退屈な日々を忘れたい俺がなぜバンドの手伝いをしているんだ......   作:haru亜

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ああああああ
3時投稿は許してください。
明日学校で出す課題終わらせてます()





第8話 英雄だけにある選択肢

吐けテメェら!!!

交渉材料に『()()』使いやがった!!!

 

止めどない怒りが部屋全体に迸る。

そして通信機から返ってきたのは

 

『そう喚くな。

我々も、新しい天皇を失うわけにはいかない。

これも全て国の為だゼロ』

 

なんとも自分たちが殺されないが為の言い訳じみた答えだった。

 

「…誰を差し出した?」

 

『いつも隣に居ただろう?

確か名前は…() ()()()…だったか?

銀髪の女を1人差し渡した』

 

「っ…!」

 

『それに、これは()()自身が望んだことだ。

我々は、ただ利害が一致しただけ』

 

ワザとらしい言い方共々に、怒りでどうにかなりそうだったが、それを抑える為にも皮膚を裂く程に手を強く握った。

もし、目の前に奴らが居たら、蹂躙した後に家族ごと殺してたところだ。

そして右手に何か液体が伝っていくのを感じながら、問いかけることにした。

 

「友希那が…自分からとか言ったか…?」

 

『ああ。

我々に協力してくれたよ。

敵の場所はわかっている。

早く助けに行ってあげたらどうかね?

体は無事でも心を壊されているか…。

心は無事でも体を壊されているか…。

はたまた、その両ほ」

 

「…もういい。

切ってくれ」

 

親父さんは、言った通りジジイの話を途中で切った。

そして俺はズカズカと親父さんに歩み寄り、血の付いた手でネクタイを掴み上げた。

 

「アンタ…こうなることをわかってたな。

俺たちがダミーのテロリスト共を殲滅している間に、本物のテロリスト共が欲しがる()()()()()()()()()を取引した」

 

「……」

 

「アンタが言ってた言葉の意味…。

よくやく理解できたよ…」

 

あの時、ダミー任務を遂行する前に言われた『お前が覚悟を決める日はそう遠くない』という言葉。

それは、俺がこの時に起こる分岐を決断をする覚悟のことだった。

 

「アンタ。

あのメッセージが届いた時点で、全部見当が付いてたんだろ!!

全部知ってた上で、俺に隠してたな?」

 

そんな切羽詰まっている俺の手を親父さんは片手のみで振り解く。

そして親父さんは襟を正しながら口を開いた。

 

「今回ばかりは、我々に非があるだろう。

だが、どんな手を使おうと国を守る一心でやった。

それをお前に責められる筋合いは無い」

 

「どういう意味だ…」

 

「なぜ、お前はここにいる?

仕事の為に来たのだろう?」

 

「仕事のせいでここに来たんだ」

 

「どちらでも良い。

肝心なのは貴様が『全てを賭けると誓ったバンド』を放棄してここに来たということだ」

 

「放棄なんかしてない。

今は…ただ仕事に専念したいだけだ…」

 

「…またそうやって誤魔化す…か」

 

「!」

 

「大方、恐れているのだろう。

屠り損ねた相手に復讐されるのが、お前は怖い。

だから、嘘をついてまで彼女たちを遠ざけた。

もっと言えば、お前が居る世界を彼女たちに見せたくない。

そういうことだろう」

 

「っ……!」

 

核心を突かれ冷静を装っていた表情が崩れる。

 

「貴様の言う居場所など。

所詮、都合の良い逃げ場所にしていただけだ。

どこまでも中途半端だな」

 

「っ…俺だってこんな所さっさと抜け出したいに決まってんだろうが!!」

 

「もはや言葉すら薄くなったか。

『抜け出したい』ではなく『抜け出す』だろう?

中途半端に複数の理想ばかり抱えるから、理想に嫌われる。

それすら理解出来ないのが、貴様という人間の『程度』だ」

 

「……だったら…」

 

「…」

 

「だったらなんて言えば良かった!?

こんな事情を知ったら、あの子たちが絶対に助けに来るだろ!!

だから、俺はこんな世界に触れられないようにしてきた……!」

 

「なら最初からバンドなど手伝わずに向こう側に関わらなければ良かった。

これが正解だ。

いずれこうなることはわかっていたことだろう?」

 

「ああ、わかってた。

でも、アイツらは関係無いだろ!!」

 

「無関係では無い。

貴様が関わった時点で、巻き込まれる可能性はあった」

 

「っ…!」

 

「現に貴様の読み通り、その女は貴様を助けようとした。

それ相応のリスクを知った上でこちら側に足を踏み入れたのだろう?

今回は、その女自らが政府の取引材料になった。

ただそれだけの話だ」

 

「っ…!ふざけんな!

あの子たちがこっちに関わろうが関わらまいが、どうせ政府の言いなりになって友希那以外にも手ぇ出したろうが!!」

 

「さっきも通信機の相手が言っていただろう。

今の天皇に死なれるわけにはいかない。

だから、被害の少ないお前の友人を拉致した」

 

「!!」

 

「ふざけるな?

ふざけているのはどっちだ。

少数の命と、約1億の国民の命。

どちらかだけを助けられる選択。

普通なら誰もが後者を選択する。

だと言うのに、貴様が守ろうとしているのは、少数の命。

貴様のエゴで死ぬ虚しい国民など生ませるものか」

 

その言葉を聞いて、俺は再び悟った。

もうこの人には、守るべき唯一無二の大切な存在が居ないのだと。

 

「…そうだな…。

だが、このエゴは貫かせてもらう。

友希那にとって、俺が助けるべき価値のある人間だと言うのなら、俺は生き抜いて必ずあの場所に戻る。

それで、この件は終わりだ」

 

「それが愚行だとまだわからないのか!!

そんな都合の良い理想など現実になるわけが」

 

「実現させてやる」

 

「!」

 

「だから俺がこの理想を実現させたなら。

その時は、俺を特殊機関から出て行く為の手立てをしてくれ」

 

「自惚れるなよ。

貴様にそんな力は無い。

第一この世界で1番感情に左右される強さとは『怨恨』だ。

今回の相手は怨恨で強さを得た復讐者の集まり…。

確かに、人は守るべき存在がいればその分強くなれる。

だが、怨恨に比べれば、失う物も多くあり、何よりその存在を突かれれば脆い。

それと同じように、お前など()()()に比べれば惰弱過ぎる」

 

「だからどうした…。

俺は勝手に俺の見る世界を変えてくれた女を助けに行くって言ってんだろ…!」

 

焦りで手を握り締めて言うと親父さんはため息混じりに応えた。

 

「…良いだろう。

だが、最悪の場合。

大事な女すら自分の手で殺す羽目になっても知らんぞ」

 

「それは、アンタが殺した妻の話を重ねてんのか?」

 

その言葉を発した瞬間に、ピリピリとした威圧を向けられる。

それでも口を止めずに少し滑らせた。

 

「噂話くらいなら聞いたことがある。

いや…今はどうでも良いな」

 

「…懸命だな。

もし死んだ場合は遺体をその場に捨て置くが、それでも良いのか?」

 

「それで良い」

 

「そうか…。

捨て身で行くと言うのなら、こちらもわざわざ引き止めるつもりはない。

敵の位置情報なら、ここのデータベースにアクセスすれば手に入る」

 

「そうか」

 

黙って振り返り、扉に近づくと

 

「本当に行くつもりですか?」

 

ドアの前に雫が立っていた。

黙って横を通過しようと歩くスピードを上げる。

 

「どう考えても、あなた1人で勝ち越せる訳がないですよ」

 

その言葉に苛つきが増す。

理解してる。

冷静に考えれば、数で向こうに勝てる訳がない。

けれど、余裕のない心の中にあるのは、焦りや怒りやらの負の感情だけだった。

 

「行くべきではありません。

無駄な犠牲が増えるだけで」

 

「黙れ雫…!」

 

「!!」

 

今にも吹き出しそうな怒りと殺意を噛み殺した。

 

「勝てないなんてことは、理解してんだよ…」

 

「!」

 

「そもそも、あのメッセージが()()()()()で、俺の生きて帰る可能性は0に等しくなった…。

だから俺は…死ぬつもりで日本を離れた…」

 

「!今回の首謀者が誰かわかっているんですか!?」

 

「……よく知ってる。

だから、俺が行かなきゃいけない…」

 

「…総監。

彼を止めても構いませんか?」

 

「好きにしろ」

 

親父さんの許可が下りると雫は抜刀した。

もちろん純白の刃は本物である。

 

「…お前に止められんのか?」

 

低く冷たい声で問いかける。

 

「っ……」

 

「退け。

3度目は無いぞ」

 

「ですから!ここを退く訳には」

 

刹那。

雫が言い切る前に視認出来たのは、刀の切っ先を掴む陽菜の手だった。

 

(いつの間に…!?)

 

刀の腹を立てて引き、獲物を取り返した。

しかし

 

「先手必勝だ」

 

その声が耳元で聞こえた時には、刀の切っ先からヒビが入っていき、刀身が砕け散った。

それと同時に自分が天井を向いていることに気づく。

 

「かはっ…!!?」

 

目眩がするほどの衝撃で背中を地面に打ち付けられた雫。

 

「……!」

 

完全に()()()と思っていたが、雫は揺れながらも立ち上がった。

 

「今は堪えてください…!!

どんなに大事な人であれ…見捨てて次の任務で仇を取るべきです!!」

 

「…それはつまり、こんな俺の為に命張った女を見捨てろ、ってことか」

 

「残念ですが…今はそうするしかありません…!」

 

「そんな選択肢は、どんな偉人と英雄にあっても、愚か者にはねぇんだよ」

 

怒りを押し殺しながらも吐き捨てた後、俺は情報保管室に向かい敵アジトの情報を手に入れてから、武器保管室へと向かった。

 

白い袋にC4を複数個入れる。

粘土状なのでC3より個人的に使いやすいからだ。

次に、種類の異なる二丁のハンドガンを突っ込む。

マガジンも種類別で2つ入れた。

弾が切れれば殺した敵から奪う。

奪う弾が無ければ近接戦で殺す。

そんな単純な思考しか出来ないほどに追い込まれているとは知らずに、ある程度の準備が整ったら、地下1階の駐車場へと降りた。

メタリックスパークブラックに跨り、ヘルメットを被る。

 

「……久しぶりに乗るな…」

 

これで最後になるバイクを撫でた。

そしてレバーを引きながらアクセルを全開で捻り、ほぼ同時にレバーを離して、バイクで走り出す。

そのままトップギアへ移行させて、地上へ繋がる坂を一気に上っていった。

 

(無駄な時間を取られた…。

急がないと友希那が危ない…!!)

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

同刻 敵アジト本拠地

 

「……ん…」

 

小さな声を鳴らして起き上がる友希那。

見たことない隔離病棟のような真っ白い部屋と1つの扉。

部屋の隅に置かれている緑葉の植木。

そして、それらを見た後に手触りで下にある物が、部屋と同じくらいに真っ白で、大きいダブルベッドだと気づく。

 

「…?」

 

友希那は身軽さに違和感があり、自分の服装を見ると部屋と真反対に真っ黒なワンピースを着ており、首には青薔薇のネックレスだけが残っていた。

 

(どうして服が変わって…。

いえ、それよりも、ここは…どこかしら…?

確か…私は飛行機に乗っていたら……眠たくなって…)

 

思い出そうとしているとカシュと軽い音を立てて扉が開き、中に誰か入ってきた。

 

「おっ、とぉ。

あーあーあー…。

お嬢ちゃん起きちゃってたかぁ…」

 

黒く腰まである長いボサボサ髪を持つ男。

一見細く見えるが、服の所々に筋肉が張り付いている。

余程の筋力を持っていることには違いなかった。

 

「……誰かしら?」

 

こちらに近づいてくる青年に少し警戒して聞いた。

しかし

 

「んー?

ちょっとオモチャになって貰おっかな〜と思って」

 

話に集中する気配も無く、ただこちらに近づいてきた。

 

「オモ…チャ…?」

 

予想外の返しに一瞬戸惑っていると男がベッドに上がり込んできた。

 

「あなたは…誰?」

 

「あっ、名乗るの忘れてたよ」

 

友希那が尋ねると、男は警戒心を生み出させない笑顔で言った。

 

「オレの名前は西園寺 蓮ね。

趣味は…まぁ、色々」




フヨト様 紅桜風月様
流聖様 暁06様 RINTO様

お気に入りありがとうございます。

ここから下は気になったら見てね。
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『いやあかん
そこでソイツは
マジやばい』

↑見ての通り、川柳少女見始めました」

???「季語どこだよ…」

作者「語彙力?
気にすんな(迫真)」

???「季語だっつってんだろ」

作者「あのお父さん良いキャラしてるドス」

???「エセ京都人かな?」

作者「あと、ミイラの飼い方も見始めました。
見てたら心がとても癒されて精神安定します。
あ、いや、普段は不安定という訳ではありませんよ?
至って健康で精神安定してる上に、規則正しい生活を送っておりますドス」

???「お前ゲームしまくりで夏休みの課題ほぼ終わってねぇじゃん。
まさかとは思うが、そのアニメ見て課題も小説も書くのサボってたのか?」

作者「いやいや、まさかまさか…」

???「ミーくん可愛かったか?」

作者「もうめっちゃくちゃ可愛かった。
ムクムクと一緒にめっちゃもふもふしたい。
土地神様万歳」

???「最後までアニメ見てんじゃねぇか!ブチ○すぞ!!」

作者「しかも今回かなり短いから、このおまけコーナー(?)で長く感じて貰おうとしてるからね」

???「考え方がせこい」

作者「次回はそれなりに投稿早くて進むんで許して!」

???「本当かなぁ…」

作者「あ、今の陽菜の状況で言うのも気が引けるけど…。
陽菜早く着いて。
じゃないと友希那が危ないっすよ!!」

???「いや、それお前の仕ご」

作者「はいはいメタ発言しない」

???「ところで、この話にオチあるの?」

作者「無いよ」

???「どうすんの?」

作者「んー…うん」

???「うん?」

作者「次回!陽菜死す!デュエルスタンバイ!!(ヤケクソ)」

???「え?」


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