【SAO+PSO2】ソードアートオンライン【パラレルダイヴファンタジア】 作:ポメラニマン
青々と生命力をたぎらせた大樹は、乱雑でいて統一感のある立ち位置。
日照りは良好、ただ生物の鳴き声が一切ないことから、ここもまた密かにエネミーの被害を受けていることを匂わせる。
そよぐ風が吹いたのならば、それはさぞ気持ちが良く感じたことだろう。
それを感じられないのは「VRMMORPG」に対する唯一の不満であると、惑星ナベリウス「森林エリア」に散歩を兼ねた捜索に来ている「you」は思いにふけっていた。
「アミュスフィア」は、実際そこまでの感覚をプレイヤーにもたらす力を持っているだろう。
しかし開発者は、現実世界との区別がつかなくなり混乱する者が現れると予測し、差別化を図るために感覚のパラメーターは低く設定されている。
「ザシード」内のシステムである「ペインアブソーバー」も相まって、プレイヤー達が困惑する事象は未だ報告がない。
だからこそ、エネミーの被害を受けているだろうこの惑星でも、「you」は大自然を満喫することができるのだ。
渦中の謎クエスト「行方不明のエネミーを探せ」は、確認された日にはゲーム内プレイヤーで知らない者はいないまでに広がりを見せ、日にちを跨いだ集会ロビーには「エネミー出現統計」を取るべく待ち構える一団が出来る程の活気を見せていた。
「you」も負けじと燃えていたのだが、そんな光景が羨ましく思ったのか、息苦しく感じたのか。
精神を休めるため、気晴らしの散歩も兼ねてこのエリアに足を運んでいた。
「行方不明……か」
エネミーであるのにアークスの渦中にある存在。
それに比べて自分はどうなのだろうかなどと、如何にも自分勝手な感情に浸る「you」であったが、プレイヤーの気配の無い場所を選んで来ているため見られる心配はない。
「見つけたら一発かましてやるか」
「you」は思い新たに深呼吸すると、腰掛けていた小高い岩石から滑り落ちるように落下し、満点の着地を決めて行き先を見据えた。
一方、見据えられた行き先の一画。
森はひらけ、小川の流れを両足で塞き止める様にして座り込む半人半猫がいた。
「なんか騒がしくて恐いニャウ」
都会の喧騒に疲れたのか、はたまた血走り情報を搔き集める〈特異点〉が恐かったのか。
彼は人目のつかない場所へと足を運んでいた。
半人半猫、「ニャウ」は日頃から「ヒート」によくちょっかいを出す間柄であった。
そんな彼がショップエリアから掛けられる声を後回しに駆ける姿を見るとニャウは
「何か面白そうだ」
と考察し、「ヒート」の後を密かに尾行していた。
気がつかれない様に、テレポーターでなく「自身の力」を使い潜入する程の入念さは、「子供心」「好奇心」がそうさせたのだろう。
その後、管理者達の話を盗み聞きしていると
〈特異点〉という「ここではない場所」のせいで危険に晒されるかも知れない。
そこでは悪者がいて、そいつのせいかも知れない。
そこに行けるのは、自分だけ。と解釈した。
「つまり僕は、選ばれし英雄ニャウ!」
その後、〈特異点〉へ単独潜入したニャウの計画はこうだった。
潜入先を観察し、それらしき人物を発見次第あの場所、「コントロールルーム」へと誘拐する。
もしも、誘拐した者が強かったとしてもあそこには管理者「シャオ」がいる。
事件をスマートに解決に導いた自分はかっこいい。
しかし、「シャオ」は演算能力は類を見ない存在ではあったが、戦闘能力は無い。
アークス最強「六芒均衡」が「シャオ」の言葉に従っている姿を見て、ニャウは「シャオ」が最強と結論付けていた。
来てみたはいいが、いざ来てみると心細い。
如何にも子供の様な感情にニャウは苛まれていた。
「ここのシャオは、僕の話を無視するニャウ」
この「VRMMORPG」内にも管理者シャオは存在していたが、魂の無いNPCとしてだったため、同じ言葉を繰り返すシャオに対して「無視されている」と感じていた。
本人すら気がついていない様々な不安を癒す様に、ニャウは走り疲れたその足を冷やしていた。
そこに、一歩一歩テクテクと行進する影が一つ。
しかしその表情には「悪意」はなく、まるで「無表情」
正真正銘の「鉄仮面」が何の気無しに歩みを進めていた。
とりあえず目に入ったから。
ニャウに近づく「you」の動機はそんなものでしか無かった。
しかし、歩みを進める内に段々といつもと違う点に気がつく。
この「PSOP」にも、敵キャラクターとしてニャウは存在している。
しかし、彼は希少な存在らしく「突発クエスト」内でしか出会えないレアエネミーであった。
しかし、いくら近づこうがそのクエスト発生予兆は表示されない。
おまけにニャウは「好戦的」で、構ってちゃんの子供の様に玩具の剣を振りわまし勝負を挑んでくる筈なのだが。
歩けど歩けど、ニャウはこちらの存在など見向きもしない。システムエラーでも起こっているのだろうか。
そんな疑問も、ニャウの真後ろまで辿り着いてしまった今では、中断せざるを得ない。
先手必勝は悪手だろう。ニャウは激弱だが、勝負に負けると大泣き直後次元の裂け目から過去作品の強敵などを呼び出し逃げ帰ってしまう。
バグなのだとしたら様子を見たい。それに、この「ニャウ」は自分の知りうるニャウと異なる点が余りに多い。
そしてそこに、「行方不明のエネミーを探せ」の存在。
「もしかして俺見つけちゃった?」などと内心思うのだが、であるならば尚更慎重に接触せねばならない。
第一声を「初撃」と「言葉」で決め兼ねていたが、言葉に応じるプログラムは個人主催には厳しいと判断し、両剣(ダブルセイバー)を今正に振りかぶろうと構える。
しかし、服も着ない特徴のないニャウを彩る象徴ともいえるものが見当たらない事に気がつき、思わず心の声が漏れ出た。
「あれ、なんでお前丸腰なの?」
誰かの返答が欲しくて発した言葉では無かったのだが、目の前の猫は「声を掛けられたから振り向いた」と言わんばかりに自然に振り向き、疑問に対して疑問で返してきた。
「まるごしってなんニャウ?」
直後、半猫は自らが今まさに斬られようとしている惨状を目の当たりにし、鳴き声を上げて飛び上がった。
その後二人は幸せに暮らしましたとさ。まさとし、まさとし。
読んでくれて感謝です!!!
また来てください!!!
物語の続きや整書を読んでみたいですか?
-
はい
-
いいえ
-
悲しみ
-
ともしび
-
嬉しみ