【SAO+PSO2】ソードアートオンライン【パラレルダイヴファンタジア】 作:ポメラニマン
ニャウは時空を渡るだけでは飽き足らず、この場を凍結させる力までも持っているのだろうか。
対面した「小さな半猫」と「小さなロボット」は現在互いに時を止め、石像の様に動く事はない。
その時間は正確に記録したならば、僅か数秒であったが二人にとっては永遠すら感じる程のものだった。
小さな半猫が危険を察知し、飛び上がろうと身体を震わせた瞬間、魔法を掛けられた様に二人の石化は解け、空間は止まっていた時間を取り戻すかの様に勢い良く動き出した。
「キャー!!返事返って来たあああああ」
「ニャー!!化け物オオオオオゥニャウ」
小さなロボット」は無意識の問いに返事があった事に対して驚愕し、「小さな半猫」は見たこともない小ささのキャストに恐怖し二人は勢い宜しく奇声を張り上げた。
パニックを引きを起こしているのか、互いにその場を右往左往、時折飛び跳ねながらも奇声は止むことはなく、ジタバタと数秒を過ごした。
その数秒は、「小さなロボット」が冷静になるには充分なもので、彼は目の前の半猫が自分の珍しい背丈を「化け物」と称した事に「心外だ」と怒りを込み上げ、見る見るうちにパニック状態は解かれるのであった。
「ってー、誰がバケモノじぁぁああああああ」
「you」は帯刀していた得物を握りしめ、我を忘れた様に刃を返した逆刃で「ニャウ」の身体を捉えようと大きく振りかぶる。
しかし、その打撃は詠唱が余りにも長過ぎた。
彼が腰を入れ回転させようとする頃には、「ニャウ」もまた先程のパニックを忘れ、新たな行動に移っていた。
「だれか、助けてニャウウウウウウ!!!」
命の危機を察したのか、ニャウは大声を上げ泣き出し、その者を少しでも自分の元から遠ざけようと咄嗟の反撃を見せた。
冷静でないパニック状態の彼の脳内は、「怪しい者がいた時の対応」と「怪しいロボットから身を守る対応」が混同してしまい、時を駆ける速さで「you」の足元に穴を開けた。
「きゃあああぁぁぁぁぁ………」
打ち上がる花火が「ヒュー」っと徐々に音を消していく様に、「you」も同じ様に女々しい奇声をあげ、足元を貫き落っこちた。
「……………ゥニャウ」
渋く発せられたその鳴き声を、人の言葉に翻訳するならば「やってしまった」が相応しいだろう。
知らん顔すれば、「シャオ」にどんな罰を課せられるかなんて事を考えると身震いを起こし、自身も同じように目的地へと渡った。
事の顛末を嘲笑う様に、閑古鳥が小さく一度だけ鳴いた。
「来た!!!みんな、準備はいいかい?」
管理者の予告に、その場にいる者達は「虫取り網」やら「投げ縄」やら、各々が捕縛する為に準備したアイテムを構え、中には「麻酔銃」まで持ち出している者もいる事から、事の重大さが伺える。
「3…2…1…構えて!!!」
年輩の六芒達は「やれやれ」と呆れる様に首を振ったが、童顔の女性はどうやら乗り気らしく、一目散に麻酔銃を構え照準を合わせた。
「ぁぁぁぁああああああ」
地下鉄の電車が残響を置き去りに徐々に近づいてくる様に。
その女々しい奇声は、ご丁寧にも待ち構える者達に「落下地点」を晒し、それと同時に呆れていたメンバーは密かに足の裏を踏ん張った。
空間にぽっかりと穴が開いた瞬間、それとほぼ同時に。そこから僅かに何かがはみ出した。
「貴様は私の獲物だー!!!!!」
銃声を合図に、その場の全員が飛び出した。
フライング気味に放たれた麻酔銃が、「カキィン」と鋭い音を上げると、同時に「痛っ!!」という音が聞こえた気がした。
物体が落下する速度というのは、まさに一瞬の出来事である。
しかし、その一瞬をじっくりと眺める魔法の現象が存在するのだ。
その名を、「タキサイキア現象」という。
咄嗟の危険に脳が誤作動を起こし、見ている光景がスローモーションになるという現象である。
そして、その現象は「命の危機」を察した瞬間に起こりやすいのだ。
頭から徐々に「転移先」を目の当たりにする「you」
徐々に徐々に、見たことある様な無い様な場所に、一先ずの安堵を見せるが時は待ってくれない。
何かがすぐ近くにある。いやいる!!それも迫って来てる!!!しかも鬼の形相でいらっしゃる!!!!
しかし、この現象は「見たくも無い惨状」と「感じたくも無い恐怖」を、永遠の物に変え「you」を掴んで離さない。
ーーーーーああ、母さん。先立つ息子をお許しください
「とぅわぁぁぁぁすぅぅぅぅぅけぇぇぇぇぇとぅぅぇぇぇぇぇぇ」
モザイクをかけた声は、ゆっくりじっくりと艦橋に響き渡った。
アークス最強、六芒均衡が鬼の形相で来客を出迎えた。
タキサイキア現象、恐るべし。
読んでくれて感謝です!!!
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