【SAO+PSO2】ソードアートオンライン【パラレルダイヴファンタジア】 作:ポメラニマン
まさかニャウたけでは飽き足らず、「you」までもがその場を凍結させる力を持ち合わせていようとは。
メインフレームに小さく音を立て入った亀裂は、我慢の限界を迎え「パリィィン」と盛大に砕け散り、内部から配線やらが目視出来る程あらわになる。
彼なりの冗談のつもりであった悪戯返しは、笑いを取る為の行動であったが、結果その場の全てを凍りつかせた。
その光景は、命が一つしかないこの世界においては「大怪我」であって、「緊急事態」を意味していた。
「……たっ、大変だ!!直ぐに治療キットを!!!」
先程まで悪戯な笑みを浮かべていた「シャオ」は、どうしてこれ程までに血相をかいているのだろうか。
たかがメインフレームを割った程度、回復すれば時期に修復されるのに。
浅はかなキャストは、自らが「未知」に足を踏み入れていることにまだ慣れていないらしく、腕を組んで疑問を浮かべていた。
「いや、笑うとこなんだけど……」
「大人しくしてて!直ぐに治療しないと!」
無視しやがった。
「シャオ、話を聞いてくれ!俺は大丈夫なんだよ!回復すれば時期に修復され……あれ」
何だろう、目の周りが痛い気がする。
「ペインアブソーバー」どうなってるの。
バチバチと音を上げ、時折小さな閃光を放つ己の瞳に気がつくと、彼はゲーム内を飛び出している現状に気がつき、女々しい叫び声を張り上げた。
「キャァァァァァァ!!!シャオ、助けてっ!」
「だから今そうしているよ!お願いだから自分の置かれている立場を理解して」
「you」は小さく、「はい」と返事をするとその場で大人しく治療を受けた。
結果虚しく、異世界の情報の塊である「you」の身体は修復される事はなく、メインフレームを割ったままこの場を過ごす事になった。
「自決を選んだニャウね、信用ならないやつニャウ」
話について行けなかった猫は、さり気なく輪の中に入ろうとしたが、巻き込まれた「you」はその態度が癇に障ったらしく、猫の頭を小突いた。
「取り敢えずは大丈夫そうだから話を戻すけど、〈特異点〉では自傷行為は珍しく無いのかい?」
「シャオ」は彼が何の危機感も感じていなかった事を疑問に感じていた。
この情報は無下に出来ない。これから向かう先の重要な情報なのだから。
「えーと、自傷行為は無いけどしたとしても安心設計というか。俺たちプレイヤーはバーチャル空間のキャラクターを操作してるだけであって、本体は別にいるんだ」
「つまり、ゲーム世界の〈you〉が死亡しても、外の本体が死なない限り、また生き返るのかい?」
「ああ、その筈だったんだけど。ここじゃどうやらそうでも無いらしい」
痛い目を見たからか、彼は現状を把握してくれたらしい。
しかし、その中には非常に厄介な意味も含まれており、シャオは神妙な顔つきで問う。
「そうなると話は更に飛躍して厄介なものになる。それは〈特異点〉に繋がりを持つ世界がまだ存在する事を意味している。僕達はその両方に挑まなければならない」
〈特異点〉を操作しているのは現実世界のプレイヤー。
〈you〉にとっては当たり前だが、この場の者にその発想は有るはずも無いのだ。
「死者が出ない世界で異変が起きるとも考えにくい。恐らく、干渉をもたらす大元の原因は〈youの本体〉がいる世界で起こると予想される。でも、あの催しには〈干渉の原因〉に纏わる情報が詰まっている事には違いない」
事件はゲーム内で起こるが、干渉をもたらす大元の原因は現実世界で起こると管理者シャオは結論つける。
〈特異点〉の環境で生まれ育った〈you〉は、それが可能なことに気がつくと、閃いた勢いそのままに投げかけた。
「操ってる本体が死ねば、ゲーム内の俺たちも死んじまうんじゃねーかな。そうなりゃ、ゲーム内で死者が出るのと同じことだろうし」
あり得ない話では無かったが、それは干渉をもたらす程プレイヤーが死亡することを意味している。
つまり、〈本体のいる世界〉でプレイヤーが大量に死亡することを意味する。
「確かに、ゲーム内での死亡は頻繁だったのにも関わらず、この世界には干渉は無かった。あり得ない話では無いかもしれない。でも、干渉をもたらす程の殺人なんて可能なのかい?」
〈特異点〉のそのまた外にある世界の事情など、知り得ない。〈you〉の情報を待つしかない。
「そんなん、不可能かもな。例えゲームの管理者が俺たちの心臓?の〈アミュスフィア〉を破壊しようとしても、あれの操作は出来ない。それに、プレイヤー人口はここに住んでる人口程居ると思ってくれ。一度にそんな事不可能だ。それと、ゲームをぶっ壊そうが、安全装置が働いて死ぬことも無い」
どの道にしても、大量に死者が出る程の可能性が見つかってしまった以上、それを差し置いて別を優先するのは悪手。
シャオは〈you〉の提案した可能性に賭けることを決断する。
「そうなると、君たちを死に至らしめる者が存在することになる。そして、不自然にも同時期に開催される催しには、その犯人が関係している可能性が高い」
シャオは少し考え込むが、あの催しが重要な役割を果たしていることには変わりはなく、寧ろ強まっている。
あそこに行かないことには何も始まらない。
重要度を増して振り出しに戻ると、シャオは自らの計画を一同に伝える。
「みんな、これから僕の計画を話すよ。〈特異点〉に向かい催しに出るまでは前と変わらない。でも、不測の事態にこの世界も備えなければならない。だから、向こうに出せる六芒均衡は二人とする」
「それはわかったが」と六芒均衡は待ち構える。
「六芒均衡は均衡の立場。未知の地力なら誰が選出されても力は大体同じだとおもう。ねぇ、〈you〉は誰となら行動しやすいかな?」
突然話を振られたので少したじろぐ。
こんな重要な選択を彼は望んでいない。先程までのお気楽な〈you〉は、メインフレームと共に砕け散ってしまったのだから。
「俺なんかの意見で、いいのか?」
行った先で摩擦やシコリが生じる方が、寧ろ困るのだ。
シャオは〈you〉が怖がらない様に笑顔を浮かべているが、その気遣いが胸を締め付けた。
仲間なら、それに応えなければならない。
「それなら、俺は〈六〉が好きだ!歳も近いし何かとやりやすそうだし」
「ツワモノ揃いの中、何故そこを選ぶんだ」と予想外の「選択」に皆が驚愕し、「待ってくれ、〈六〉は俺だろう!」と飛び出し意義を唱えた者もいるが、その頃には〈you〉は〈六〉の目の前まで辿り着いていた。
「俺、〈you〉ってんだ。俺は、六芒の中で〈六〉が一番好きだ。重要な選択だからこそ、俺はお前に来て欲しい」
お気楽は死んでいた。転生した彼の瞳は砕け散って意志を伺えないが、真剣な姿勢がそれを補った。
「ああ。俺自信は正直役不足を感じてるが……俺は、選んでくれたお前に応えたい」
「俺はヒートだ」と屈んで握手を求めると、「よろ!」と小さな鉄腕がそれに応じた。
「二人とも、しっかりニャウを守るニャウよ」
ズケズケと入り込んだ猫は両者の握手に手を添える。
それに少し腹のたった「you」はニャウを小突くとやり返され、「カァァン」と甲高い音が響き渡った。
目の前で勝手に繰り広げられる決意に押され、意義を唱えた者は自らも彼に託すと決意をする。
シャオは残るもう一人を「you」が選択しない内に、誰よりも早く行動に出た。
「決まったみたいだね。因みに、あと一人は僕から選ばせて貰うよ。六芒均衡は均衡していなければならない。奇数番号の三英雄が暴走した時、止めらるのは偶数番号(イーブンナンバー)だけだからね」
〈you〉達は、「お任せします」と各々身体で意思表示をしその選択を待つが、その選択はシャオではない人物によって決定された。
「ヒー坊が行くのならば、三英雄からは私だな」
六芒の〈五〉、三英雄「クラリスクレイス」が名乗り出る。
彼女は〈you〉達の元へと向かい、歩き様に向けられる視線に視線で応える。
その意志交換を終え、視線の送り主達は「もう無理だよ」と呆れ様にシャオに訴えた。
「クラリスクレイスだ。貴様らに力を貸してやろう」
「うわー、ゲームのまんまなんだな。実際見てみるとあんま迫力ないな」
「貴様…」
〈you〉は殺気に震え、彼女が言い切る前に「ごめんなさい」とこれからの自分の立ち位置を訴えた。
シャオが最終確認として一瞥すると、残る彼らもそれに応じ視線を返した。
「誰が行くか、は決まったね」
奇妙な含みを残す言葉に一同はその続きを無言で要求する。
「まさか、君たちを無策に敵陣に送り込もうなんて思っていないよ。催しには催しで返したいと僕は考えている。相手はどうやらこの状況を楽しんでるみたいだし、乗ってくると考えてる」
向こうはまだこちらに気がついていない。
相手の異常な性格を利用した作戦。
「〈特異点〉で催しの前座と噂を広め、新たに催しを開いて欲しい。そこで、事態が動く前に犯人を釣り上げる。内容は何でも構わないけど、〈創世器〉の使用は禁止する。異世界から来たと晒す様なものだからね」
管理者の意志は尊重され、各自は出発の仕度を始めた。
説明は上手く書けているだろうか。
読んでくださって感謝です!!!
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