【SAO+PSO2】ソードアートオンライン【パラレルダイヴファンタジア】   作:ポメラニマン

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第18章「猫を被る」

 

 

如何にも電子空間とも言える紫色のライトに、時折不規則に走る閃光が眩しい。

観客は収容許容を超え、アークスシップ内部のモニターに人だかりができる程の盛り上がりを見せていた。

 

アークス訓練用プログラムが行われるVR空間、大歓迎に包まれながらこれから拳を交えるであろう二人は異なる意思を持って対峙していた。

 

その内の一人、普通であれば格上の相手をどう倒すかなどの戦略を思考する筈なのだが、彼にとって分かり切った勝敗など無駄な時間でしかなかった。

 

そんな中、対峙するもう一人を選んだ経緯を振り返る事で己の為すべき意志を固めていた。

 

 

 

「なあ、少しいいか」

 

そこに猛々しく勇ましい声色は無く、神妙な面持ちから「you」は呼び掛け主である「ヒューイ」が真剣な話を要求しているのだなと姿勢を正し、返事した。

 

「おー、ヒューイじゃん!やっぱり生身と知った後だと感動も倍増するってもんだな!んで、どしたの?」

 

かといってオフザケを止めるとその場の空気に飲まれてしまいそうだ。そんな気持ちを、ヒューイは尊重しつつも己の疑問を投げかけた。

 

「お前の世界での〈六〉は俺なんだろう?それなら何故ヒートを選んだんだ」

 

これを聞かれる事は初めからわかっていた。しかし、ヒートに聞かれることを避ける為にも、彼らの方から個人的にコンタクトを取ってもらう必要があったのだ。

 

「あー、やっぱおかしいよな。けど、みんなと話すあいつ見てたら…俺はどうしてもあいつに言ってやらなきゃ収まりがつかなくなっちまって」

 

重要な所がまだ話されていないが、話はまだ終わっていない。焦る必要もなかろう。

 

「なんだー?同族嫌悪ってやつかな。俺はあいつが被ってる猫の正体を知っている。問題はいつ言うかだけどな」

 

彼の思考は大体予想はついた。しかし、それを覚悟も無しに良しとすることは出来ない。

 

「それは、ヒートにとって大事な事なのか?それとも、お前にとって大事な事なのか?」

 

「んー」と小さな腕を組み考え込む様は、真剣な問いに対しては少々無礼とも思えるが、重要なのはそこではなく答えだ。それを答える声色には色々な物が詰まっており、ヒューイはそれを無下には出来なかった。

 

「両方かな」

 

そして、ヒートもまた同様の気持ちを持って〈you〉との握手を交わしていた。

 

 

 

「二人ともー、準備いーかー?」

 

司会であるクラリスクレイスに、二人は無言の構えで答える。見据える先は、これから戦う仲間。いっ時さえ視線は離さない。

 

「それじゃー、第一回戦!ヒートvs〈you〉…」

 

「何が出来るかわかんねーが、何かしてやんなきゃ収まりがつかねー。手ぇー抜くなよヒート」

 

「ああ、俺も〈you〉に言いたい事があった。良い機会だから、利用させて貰うことにする」

 

 

「はじめっ!!!」

 

 

 

 

時は遡り、現在。

〈特異点〉へと向かう一向は某アニメに出てきそうな四次元トンネルの中を、吸い寄せられる様に飛んでいた。

そこには断片的に切り取られた景色や、触ることも躊躇する何かが捻じ曲がりながら飛び交っており、一向が暇を潰す手段は会話しか残されていなかった。

 

「なー、まるごしー。まだ着かないの?」

 

着いてしまえば瞬間移動だが、それまでを一瞬にできる程に次元超越というものは簡単では無いらしい。

 

「もう少しニャウ。次まるごしって言ったら怒るニャウ」

 

「いや、俺から見たらその方が区別つけやすいんだって!見分けつかなくなったらどーすんだよ」

 

ニャウが丸腰と言う言葉の意味を理解しているのかは定かでは無いが、何かが癇に障ってしまっているらしい。

しかし、〈you〉にとっては見分けがつかなくなった時の手段として丁度良く、それを利用する事にしていた。

 

「なぁ〈you〉。特異点では、俺は本当に存在しないのか?少し不安なのだが」

 

彼の不安も最もだろう。

未知の領域には未知の恐怖がつきまとうもの。

その中で、自分だけが存在しないなんて不安材料を知ってしまったら、少しでも早く回答を求めたくもなるものだ。

 

「ああ、確かにヒートだけ存在してない。でもお前に関係してるやつは誰かしらいんじゃねーかな。影響受けんだったらいなきゃ可笑しいし」

 

「何にしても、先ずは到着してからだな」

 

クレイスクレイスが会話を終了に導く。

かといって、彼女は新しい話題を作る事もしなかったため〈you〉は残りの時間をニャウを弄る事で過ごす事にした。

 

「なあ、何でお前はこんな事できるんだ?」

 

ニャウは自分の事をお前と言われる事も嫌いなのか、少しそっぽを向く様に知りうる事実を述べる。

 

「わからないニャウ。ニャウは気がついたら生まれてて、これが出来ることも知ってたニャウ。次オマエって言ったら怒るニャウ」

 

「じゃあ何て呼べばいーんだよ」

 

「ニャウはニャウニャウ」

 

「だから、それじゃ困るんだって!」

 

「〈you〉はセンスないニャウ。もっとカッコイイのがいいニャウ」

 

「それじゃあー」と腕を組み考え込む。

フサフサは可愛い系だし、肉球も駄目だろう。

彼の持ちうるボキャブラリーを総動員し、悩みに悩んだ結果。

 

「まるごし」

 

一周まわって原点回帰が望ましいと結論付けて放たれた一言だったのだが、説明不足がニャウの拳を握らせた。

 

「ガシャン!」とニャウの腕が鉄を撃ち抜くと、ちゃんと真剣に考えたのにこの仕打ちは無いだろうと〈you〉も反撃の一手に出た。

 

「っ、痛いニャウ!!!」

 

極小の指先はニャウの尻尾の体毛を一本毟り取った。

割れたメインフレームがじっと無言で見つめているが、感情が全く読めない。

ニャウは馬鹿にされたと解釈し、再び仕返しを見舞う。

 

「スカァァン」と頭部をぶたれて鳴り響く音をゴングに、二人は子供の様に取っ組み合いを始めた。

 

「貴様ら、少し落ちつけ」

 

話も聞かずに分からず屋二人は喧嘩を止めようとしない。

 

「キン!」と一度甲高く鳴り響く魔法は、手加減のためか極小の火種を団子状態に飛ばす。

 

「ニャウウウウウウ!!!」

 

直ぐに火は消えたものの、火種に引火したニャウの頭部は縮れてアフロ状態。

それを可笑しく思った「you」の笑いの沸点は限界を迎え、余計な一言と共にこぼれ落ちた。

 

「あはははは。まるごし、出来たてのモジャモジャじゃん!」

 

「ニャウウウウウウ」

 

「やめろ、洒落になんねーよ!落ちるって!」

 

「こうなれば道連れニャウ!みんなまとめて落ちるニャウ!!!」

 

 

 

一方、「皐月」はログイン時の様々な選択をすっ飛ばし、唯一自分で選ばねばならない選択に悩まされていた。

 

アカウントや機材などは菊岡が用意してくれた物を使っているが、プレイヤーネームは自分で決めなければならない。

 

正直、名前など何でも良かったのだが「ALO」で自らが使い込んだ愛刀の名前を貰う事にした。

 

愛刀に誓って任務を遂行する。

 

彼女なりの決意の表れなのだろう。

名前を決定すると、再び決意も固まり敵地への恐怖心も薄まっていた。

 

選択コンソールが姿を消すと、宇宙を漂っていた空間は景色を変え、気がつけばスタート地点であるゲートエリアに立ち尽くしていた。

 

大きな窓ガラスから覗き込めば、吸い込まれてしまいそうな不思議な感覚をもたらす果てしない宇宙。

SF映画でよく見る近未来なデザインに、それに溶け込む様にデザインされた服装。

様々なカウンターには人が列をなし、待機用に設けられたスペースでは談笑するプレイヤー。

上を見上げれば、見たこともない内装を覗かせた穴が皐月を歓迎する様に見下ろしている。

 

「これ、変よね…」

 

穴の内部は、グニャグニャと捻じ曲がる何かや時折眩しい閃光で満ちている。

中から聞こえる微かな音は、徐々にこちらに近づいてくる。

 

「まあ、来たばかりだし…OPの演出かしら?」

 

そう結論付けると、皐月は無言で頭上の演出を待ち構える。

 

「ぅぅぅぅうあああああ」

 

恐らく人の声であろう音は、迫る新幹線の如く猛スピードで迫っている。

 

「ャウ!」

 

何だろう、頭に何か…フサフサしたものが乗っかった気がする。

 

触れて見ると暖かくて、生々しく鼓動する地肌からは血の巡りを感じさせる。

 

これは一体何だろう

 

 

四つの演出は皐月の登場を祝う様に盛大に降り注ぎ、皐月の悲鳴は情報に飢えたプレイヤー達の餌食となった。

 

 




会話描写難しい。説明文みたいになっちゃう…

読んでくれて感謝です!!
また来てください!!

お気に入りが三人になってる!
ありがとう、頑張るぞ!

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