【SAO+PSO2】ソードアートオンライン【パラレルダイヴファンタジア】   作:ポメラニマン

24 / 40
第23章「デッドヒート」

 

 

大歓声は、両者を急かすように迫り来る。

しかし開始から10秒も経つが、観衆は静まり両者は構えたまま動かない。

不思議な緊張感に気圧された会場はその口すらも抑えられ、時折苦しくなって喉を鳴らす。

 

競技者を放棄している二人にとって、試合開始の合図など最早どうでもよかった。

 

腕を組み立ち尽くすヒートはその時を無策に無心に待つ。

 

一方は、目の前の仲間をどう攻略するかにしばし思考を巡らせようと試みたが、面倒臭くなり拳を固める。

 

 

再び向かい合う両者の腰は、刻一刻と沈み込み戦闘開始が近いことを会場に知らしめる。

 

しばし睨み合う二人を見つめていると、突如大気が唸った。

 

 

「自惚れんじゃねえええ」

〈目ぇ覚ませやああああ〉

 

 

地を蹴り滑空する両者は目の前の部位しか見ておらず、その思考からは避けるという言葉が抹消している。

交差して打ち込まれる拳は同時に入ることで勢いを相殺し、両者の距離は零になる。

 

「ガチン」と甲高い音が試合開始を宣言するが如く鳴り響くと、押さえ込まれていた歓声は一気に吹き出し、会場中を揺らす様に鳴り響いた。

 

 

仰け反りつつも残された視線の先、水平に凪ぐように放たれる脚に「you」はいち早く身構える。

それはさっき見たとカウンターのダッキングブローの姿勢を作り身をかがめる。

スウェーした頭上を切り裂いた事を肌で感じ取ると、片足に乗った全体重を腰に乗せ回転させた。

渾身の一振りが目指すは膝の外側、外側靭帯。

 

ーーーあと少しで当たる

 

目の前の景色は焦らす様に結末を見せてはくれない。

あと少し、もう少しと吹き出しそうな殺気を抑え、拳の先が肌をかすめる。

 

ーーーとった

 

拳の先に触れる感触を撃ち抜く様に、全身全霊を込めた一撃に奥歯を噛みしめる。

 

徐々に拳は歩みを進め、遂に直撃した脚を僅かに宙に浮かばせる。

 

「その程度でっ!」

 

耳に入る頃、宙に浮く脚は振り抜いた拳に押し出される様に一回転し投げ出される。

着弾点をいなされた拳は大振りに空を切り、高速で回転する何かが頭上から降り注ぐ。

 

「うざったいんだよ!」

 

「ガチン」と音を置き去りに視線が移ろい、頬を撃ち抜かれた頭は衝撃に逆らえずそっぽを向く。

 

足の甲に着地した衝撃は外部パーツを散らし、プレスされる様に地面にへばりつく。

 

見据えた先、零距離にある拳は容赦を知らず覇気を飛ばす。

 

ーーーやべぇ、脚が

 

微かな痛みに視線を落とすと踏みつけられた足は抜け出すことが出来ず地面に挟まり埋もれている。

 

 

「○○○○○○っ!!!」

 

咄嗟に腕を折り曲げ正面を遮るが、襲い来る衝撃はとどまる事を知らず加速する。

連なる音の一つ一つは鉛の様な重さを残し、それを追い越す様に次の衝撃が迫り来る。

 

使い物にならなくなった鉄腕は重力に逆らえずダラリと垂れ下がり、その頭部があらわになると憎い者を見る様な視線に目を潰される。

 

「○○○○○○っー!!!!」

 

泣き声じみた怒号は鉄仮面を満遍なく撃ち抜く。

オート回復により急速に加減を繰り返すHPバーにより、大量に持ち込んでいた回復アイテムは遂に底をついた。

 

その頃には鉄仮面は剥がれ落ち、剥き出しの内装が姿を見せる。

 

 

ーーーやばい…しんだ

 

 

HP残量残り21、所持アイテム0

デッドラインに放たれる拳を「you」は不思議な気持ちで見つめていた。

 

 

ーーーあれ、手ぇ抜くなっていったのに

 

 

「死」を覚悟した「you」の世界は、誤作動を起こしたのかスローモーションが視界を包み込んでいる。

 

 

ーーー避けていーのかな

 

 

殺気剥き出しの視線からは容赦という言葉を一切感じられない。

 

俺は、何も足搔けず生き延びるくらいなら

 

 

「死んだ方がマシだああああ」

 

 

トドメの一撃は空を切り、驚愕したヒートの一瞬の隙を突き、システムアシストが燃え盛る裏拳を腹部に叩き込む。

 

 

「っ、……ばかな、避けたのか!?」

 

 

「ガシン」と鋭い裏拳は、直撃したヒートをエリア端まで吹き飛ばす。

 

目の前の小さなキャストは内装が剥き出しの満身創痍。

鉄仮面は剥がれ落ち、身体に纏う外装はもう殆ど残されておらずチグハグ状態の丸裸。

経験則から、トドメの一撃と「死」を覚悟した事も悟った。

 

しかし、なぜ彼は勝利に満ちた出で立ちをしているのだろうか。

 

一方的な展開を打破した事に、何が起きたと観衆はパニックを起こし黙り込む。

静寂の会場にポツンと立ち尽くす丸裸からは、闘志とも違う何か不気味さを感じる。

 

 

「なあ、ヒート。タキサイキア現象って知ってっか?」

 

 

静寂は不気味さの正体を探るべく、彼らの会話を一言一句逃すまいと黙り込む。

 

 

「言いたい事ってのは、そんな事か?」

 

「ああ、これも全部込みで俺の意志表示なんでね」

 

 

喋りながらも、自身のコアパーツに手を当て発動の構えをとる。

 

 

 

「リミットブレイクッ!!!!」

 

 

 

ファイター固有スキルにして最大の奥義は、「you」の命を1/4まで喰らい身体能力を飛躍的に爆発させる。

 

 

「効果時間90秒、俺は死ぬ覚悟を持ってお前にぶつかる!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




○○○の部分は自分の中ではあったのですが、なんか押し付けがましく感じて開けました。
セリフって難しい。


読んでくれて感謝です!
また来てください!

物語の続きや整書を読んでみたいですか?

  • はい
  • いいえ
  • 悲しみ
  • ともしび
  • 嬉しみ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。