【SAO+PSO2】ソードアートオンライン【パラレルダイヴファンタジア】 作:ポメラニマン
ー効果時間残り85秒ー
怒号一閃、命を燃料に全身は燃え盛り、擦れば死亡の死の淵を駆け抜ける小さな赤き閃光。
迎え撃つ雄叫びは野生の本能を四肢にたぎらせ、四足をバネにその牙は大気を貫く。
両者によって蹴り出された床はめくれ上り、破片は観客席を破壊し震え上がる。
被害を被った者達はそれでも目を逸らせず呼吸を忘れ見入る。
獅子の牙は大気を喰らい、本命の虎爪を隠す事なく晒し音を突き抜ける。
僅かに残された鋼鉄にぶつかる照明は屈折する事を忘れ滑り落ち、裂かれた空間は鉄を擦り鳴り響く。
ー効果時間残り84.5秒ー
「キィィィン」と鳴り響いた甲高い音に、耳を塞ぐ観客の呪縛は解け息を吸い込みゴクリと唾を飲み込む。
先を駆ける赤き閃光は目を瞑り、迫る恐怖を浴びる様に頭部を起点に突進する。
虎爪は五つに大気を裂き、別たれた風は竜巻を作り爆風を撒き散らし迫りくる。
ー効果時間残り84秒ー
「逃げたお前にぃぃぃぃ」
〈最低な俺じゃなきゃ〉
ー効果時間残り83.5秒ー
「俺は負けねぇぇぇぇ」
〈言ってやれねえんだよ〉
ー効果時間残り83.4秒ー
俺は名家に生まれ凡人ながらにも秀才を演じてた。
指はタコまみれで擦り傷からは血が滲んでた。
街を歩くとみんなは優しく声を掛けてくれた。
それに応えたいと表情は明るかったが、それは俺の知ってる俺じゃなかった。
いつしか、何をしたいのかわからなくなった。
やるべき事は何だと気合いを入れると、みんなの期待に応えたいと、一人納得して見過ごした。
ある日、街のオッチャンにやりたい事は見つかったのかいと、訪ねられた。
何を言ってるのかわからなかった。
自分への不信感も消えた頃、お婆ちゃんは俺の背中をさすりながら何か呟き泣いていた。
みんなの期待に応えたい以外に、やりたい事なんて何一つなかった。
鏡を見ているのかと、目を疑った。
後に出会った赤い髪の少年は、現実世界の俺と全く同じ顔をしていた。
お前の期待に応えたいと握手に応じたそいつは、どっかで見た事ある俺だった。
ー効果時間残
「お前に何がわかるんだぁぁぁぁ」
〈そうじゃねえんだよぉぉぉぉぉ〉
掌底を撃ち抜く様にぶつかる拳。
互いに勢いを相殺され、停滞してはいるが止まらない。
押し潰され行き場を無くした空間は全てを吹き飛ばし真空を生み出す。
背筋が凍りつく。
ーーー左腕がぶれた
連撃を予測すると、それをなぞる様に迎え撃つ。
真空で再びぶつかる衝撃からは音も無く暴風が漏れ出る。
連撃に次ぐ連撃。
音すらも殺して加速する衝撃に意識が遠のいた。
「期待に応えるための努力はしてきた」
〈知ってるよ、お前の夢だもんな〉
「お前は俺の覚悟を疑うのか?」
〈寧ろ俺に言える資格はねえよ〉
「俺は六芒の〈六〉として応える義務がある」
〈周りの奴らはそんな事望んでねーよ〉
「例え望まれなくとも、俺の意志は変わらない」
〈お前は何を成すために「六」になったんだ?〉
「みんなの期待に応えるためだ」
〈だから〉
〈それが気に食わねーって言ってんだよぉぉぉぉぉ〉
顎を捉えると両手は息を切らし睨み合う。
「逃げたお前にだけは言われたくない」
〈みんなはお前の努力を見ちまってるから、最低最悪な俺しか言ってやれねーんだよ〉
〈みんなが期待してんのは「六」なんて関係ねーんだよ〉
「そうなる事が誰を不幸にする?皆の幸せに繋がる」
〈てめぇが勝手に不幸になって、周りはそれに巻き込まれる〉
地を蹴る足からは先程までの力は無い。
振り絞った気力をぶつける様に再び交わる。
「俺は皆の望む〈六〉になるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
〈やりたい事も見つかってねえくせに居座ってんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ〉
衝撃は徐々に両者の命を蝕んでいく。
ー残りHP18ー
「俺は六だ」
〈違げえよ、お前はヒートだ〉
「わけがわからん」
〈ヒートは何がしたいんだ?〉
「皆を幸せにしたい」
〈お前が何をすればみんなを笑顔にできる?〉
「責務を全うする事だ」
〈それじゃ誰がやっても変わんねーよ〉
ヒートのやりたい事が〈六〉になって、みんなはそれを待ってるんじゃねーのか?
ー残りHP1ー
衝撃は収まり、真空は空気で満たされる。
防御を兼ねた音速の殴り合いの余韻は鼓膜を狂わせる。
観客は体験した事のない命の削り合いから解放され、静かに姿勢を崩した。
「だがな、俺はお前にだけは言われたくない」
「わかってんよ、叱ってくれてありがとな」
高く掲げた両者の片腕は、フラフラと左右を掻き白旗を振る。
「降参する〉
〈参りましたあー」
「ウワー」と、重なる観客の歓声は人から発せらた声だとは思えない音で会場中を埋め尽くす。
大歓声に背中を押され、向かい合う二人はゆっくりとその距離を縮める。
「〈you〉、お前照れているのか?気持ち悪いぞ」
「うっせーよ、ヒートのニヤケずらにくら…」
「あれー、なんで死んでないのぉー?」
刹那、友(とも)の首が宙を舞った。
またタチの悪い冗談だろうか。
「you」は空気の読めない奴だ、奴ならあり得る。
しかし何故だろうか…鋼鉄は消散の予兆を見せ、細かい光を放っている。
徐々に粒状に分解される友は、苦しそうに叫んでいる様にしか見えない。
「ねー、今殺し合いしてたよねぇ?私もまぜて欲しいなぁー」
この女は何をこんなにも嬉しそうなのか?
そんな事よりも、今は「you」を叱ってやらなければならない。
ようやく分かり合えた、初めての友達だ。
嫌がってでも、逃がしてやるものか。
それなのに、目の前で
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」
友は……粉々に砕け散った
「ワルフラァァァァァァァン!!!!」
待機フェイズを解かれた「創世器」は瞬時に燃え盛る獅子を両の拳に宿す。
「破拳ワルフラーン」を瞬時に展開すると、ヒートの殺意を滾らせた瞳は目の前の標的を撃ち抜く。
漆黒のマントを放り投げた女は、嬉し気に楽し気に飛び跳ね応える
「やる気まんまんだぁー、うれしいなー」
「俺は……お前を、許さない!!!」
他人を作るって死ぬほど難しい。
こんな事言いたかったんだろなーって感じて貰えたら良いんだけど不安。
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最後、シナリオ上迷ったのですが、許さないに変更しました。
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