【SAO+PSO2】ソードアートオンライン【パラレルダイヴファンタジア】   作:ポメラニマン

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第32章「異なる黒」

 

 

黒鉄宮までの道のりは然程の時間を要さなかった。

道中行き交うプレイヤーを見てみると、装備やレベルは疎らなもので、分け隔てなく訪れている事が伺えた。

 

主街区中央にそびえる黒鉄宮へと近づくにつれ人の気配は薄れ、門の前まで辿り着く頃には不思議な緊張感が辺りを包み込んでいた。

 

「無理だ、中に通すことはできん!」

 

「どうして、お願い…少しだけでいいから」

 

門番の意志は非常に固く閉ざされており、会話を取り付ける事すらもままならなかった。

 

「無理だ、ここにはそれだけの悪人が収監されている!素性も知らぬ君を通すわけにはいかない!」

 

ラフィンコフィンを代表とする犯罪者達が収監されるこの宮殿はセキュリティが非常に高く、関係のあるプレイヤーでさえ中に入るのは難しい状況だった。

 

「そもそも、なんだ?お前まだレベル1じゃねぇか!そんなお前がどうして今更この牢獄に用がある?怪しすぎるんだよ、お前!!」

 

「いたっ…」

 

門番に軽く押された程度でこの有り様、甘かった。

命を懸けて戦う者達が、その命を犠牲にしてまで捕縛した殺戮者達がここには収監されている。

 

デスゲームから…「死」から目を背け続け何もしなかった不甲斐ない自分程度に面会が許される筈など無かった。

 

倒れた身体を起こし、踏み出さねばならない。

今の皐月は止まることを許さない。

ここで止まってしまったら、この「SAO」というデスゲームで生き残れても、いずれ訪れる新たなデスゲームを止める事が出来ない。

 

何より、あそこで命を懸けて戦った者達がいた。

 

「私だけ逃げるなんて…諦めるなんて……今の私は絶対に許さない」

 

 

無策に費やす時間などあってはならない。

皐月は考えることをやめ主街区へと走り出す。

 

「誰か、…だれかっ!」

 

肩で息を切らしながら、プレイヤーの密集する一画を我武者羅に、当てずっぽうに走りまわる。

 

「誰かっ!話だけでいいので、聞いてくれませんか!」

 

菊岡から聞かされた話によると、捕縛された数ヶ月後にこのゲームはクリアされる。

迫るタイムリミットに唸る心臓がうるさい。

始まりの街のみんなは黒鉄宮を恐れていた事から、頼るわけにはいかない。

 

周囲の人々は目をそらすばかり。

「レベル1」のプレイヤーが必死になるその姿はどこか不気味で、皆一様に居留守をしていた。

 

走り疲れ、叫び疲れ。

それでも時間は待ってなどくれやしない。

これといった打開策も無く迫る恐怖は身体の節々を痛めつけ、皐月はついに足を砕かれつまずいた。

周囲の視線は追い討ちをかける様に皐月の首へと襲い掛かり、ついには頷きヘタレ混んでしまった。

 

そうしてみると、無理矢理に蓋を閉じ押さえつけていた弱音が一斉に口から漏れ出し、えずく様に呟いた。

 

 

「誰かぁ…助けてよぉ…」

 

「わかった、助けるよ」

 

 

頭上から中性的な声がした。

 

恐る恐る見上げてみると、黒い髪の男の子。

覇気を仄かに放つ黒のレザーコートに同色のシャツとズボン。

その背には、「彼が世界最強だ」と言わんばかりに主への忠誠心を放つ二本の剣。

 

「立てるか?」

 

差し伸ばされた手は優しく暖かい筈なのに、哀愁や悲しみなどそれとは正反対のものも微かに感じた。

 

その手は、皐月が長年思い描いていた様な甘いものでは無く、歴戦を戦い抜いた剣士のものであった。

 

彼が何者であるか、言わずも悟った。

 

「あなたは…」

 

「俺はキリト、よければ力になるよ」

 

 

優しくも頼もしい美声に導かれる様に、皐月は差し伸ばされた手をとった。

 

 

 

 




キリト君どうしても出したかったんだ!!!
口調とかは読んだイメージです。

読んでくれて感謝です!
また来てください!

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