【SAO+PSO2】ソードアートオンライン【パラレルダイヴファンタジア】   作:ポメラニマン

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第36章「歪んだ恋心」

 

「まだ確かめなきゃいけない事がある」

 

僅かばかりの労いを終えると、玲奈はいつものオフザケを捨て真剣な眼差しを送る。

 

「といっても、拙者このゲームの復活地点がどこかわからぬしまいで」

 

「あはは」と自身の後頭部を撫でまわしたのち、頼み事をする様に両手を合わせ訴える。

 

「いこっか、玲奈」

 

「かたじけない」

 

目的地は復活地点に設定されているショップエリア。

その道中、半端強引に繋がれた両手が離れる事はなかった。

 

目的地に到着すると、魂の抜けた男は仰向けに寝転び只々平和な空間の上空を見つめていた。

 

「貴方に一つ聞きたい事がある」

 

「全て知っているのだろう…私に応えられる事など何もあるまい」

 

「看守は私一人じゃなかった筈。なんで私を選んだの」

 

「操り人形を選ぶのに理由などあるまい…たまたまだ」

 

「私は!その気まぐれに選ばれたせいで…人を殺すかもしれなかったの!」

 

涙ぐみ怒りを露わに震える彼女をみて、腑抜けた村木の身体に一つの感情が憑依する。

 

「……楽しかったのだよ」

 

「楽しいって…そんな言葉じゃ何もわからない!!」

 

「君と話すのが、楽しく感じた」

 

 

「君を洗脳の標的に選ぶまでは偶然だった。

日番で代わる看守全員に洗脳をかけることも、私には可能だった。

だが、君と会話を続けていくうちに得体の知れない何かに苦しむ様になった。

しばらくすると、私は君と会話をする洗脳の時間を〈楽しい〉と感じている事に気がついた。

 

私は事件を起こし、成就される事となれば間違えなく捕まる。或いは、死刑を免れないだろう。

 

操り人形にも愛着は沸く者だ。

私は、自らのシナリオのフィナーレを好いた人と共に飾りたかった。

そのシナリオに君以外の看守は邪魔以外の何者でもなかった。」

 

 

「自分の好きな人に殺しをさせて、しかも殺しちゃうなんて…どうかしてる!!」

 

 

「今の君にはわかる筈が無かろう。君は本田玲奈であって、もう〈poN〉では無いのだから」

 

 

村木は、自分の歪んだ感情が他人に理解して思えるなんて思うほどには自惚れてはいなかった。

 

ただ、自分の好いた女性が「殺戮者poN」になる事でこの感情を理解して貰えるかもしれない、分かち合いたかった。

彼女が選ばれた理由の内には、そんな如何にも「殺戮者らしい恋心」があった。

 

「ログアウトしたら、貴方を待ってる人がいる。もう逃げられないよ」

 

「その必要はない」

 

座り込んでいた身体をゆっくりと起こし、玲奈ではないどこかを見据えながら呟いた。

 

「私は、殺人を後悔する私など大嫌いだ。もうこの世界に用はない」

 

弱々しく自虐すると、音は無言で「お迎え」が来る時を待った。

 

「最後に一つ、…謝っておく」

 

今更何を言い出すのだろうか。

村木は力無く彼女を見つめる。

 

「この世界の私に限っての事だけど…ちゃんと会話しなくてごめんね」

 

 

ーーーああ、何と無く……わかっていたさ

 

 

迎えの時は突如として訪れた。

殺戮者の姿は一瞬で消え去り、それは強制的にログアウトさせられた事を皆に伝えた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「おはようございます、村木智史さん」

 

黒のスーツをビシッと着こなす男が、村木の現実世界への目覚めを歓迎していた。

同様のスーツを着こなす連れが二人程いるが、彼らはこの目覚めを歓迎してはくれなかった。

 

「申し遅れました。私、総務省の菊岡誠二郎と申します。宜しければ、お話お聞かせ願えませんか?」

 

「……よかろう。よくきけ」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「私の名前は村木智史などではない!!殺人ギルドラフィンコフィン所属!!poNだああああ!!!」

 

彼は奇声混じりに怒鳴り上げると、自らの舌を噛みちぎる。

すぐ様小刻みに身体は震え、白目をむいて絶命した。

 

「な、何をするんだ!救急車の手配を!!」

 

傍に控えていた内の一人は、携帯端末を操作し出し会話を始める。

 

「くそ、脈が止まってる」

 

持っていたハンカチで傷口を押さえるが血は止まらない。

 

その後、病院から手術の灯りが消えるまで菊岡は人命救助を果たし続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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