【SAO+PSO2】ソードアートオンライン【パラレルダイヴファンタジア】   作:ポメラニマン

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第38章「エピソード零」

 

 

「ヒーローの凱旋ニャウー!!!」

「なんだ、もう到着したのか?」

「いきなり開けるな」

 

ニャウ以外の二人は虚空に開かれた円形の空間から受け身もなしに飛び出したら。

 

「君たち、無事で良かったけど、随分と派手な帰還だね」

 

落下した場所で最初に目に入ったのは、360°をグルッと一周を文字で埋め尽くす大画面。

その大画面の真下に設置された椅子に腰掛け驚愕する少年。

どうやら、ここは艦橋にあるコントロールルームのようだ。

 

「貴様…」

 

静かに怒りを滲み出すクラリスクレイスに目もくれず、ニャウは目の前の少年、管理者シャオの元へと走り出す。

 

「僕のお願いを聞いて欲しいニャウ!」

 

順序が違うだろうと、ヒートはニャウを抱き抱え皐月から聞かされた「事の顛末」に自らの体験談を交え管理者に説明した。

 

 

 

「なるほど、結果的にニャウの存在は必要不可欠だったけども、事件のきっかけも彼だったのか」

 

どう対処したものかと、しばし考え込む様子を見せる。

 

「君の対処はまた後にするとしても…」

 

「ごめんニャウ。もうしないニャウ」

 

俯く猫は処分されることを覚悟したのか、逃げ出す素振りも見せず審判の時を待った。

 

「正直危険極まりないけど…今回君がいなければ干渉を止められなかった事もまた事実だ。ありがとう、感謝する」

 

予想外の返答に一瞬だけ耳をピクリと動かす。

その言葉は彼の気を良くしたのか、すぐ様無邪気を取り戻した。

 

「シャオ、もしも特異点で起きた事件を止められなかったらこの世界はどうなっていたんだ?」

 

ヒートの質問は残る二人も同じことを疑問視していたのか、静かに管理者の回答を待った。

 

「〈you〉の睨んだ通り、特異点で死者が続出したのならこちらの世界も干渉を受けて似たような事象が起こっただろうね。因みに、どういう訳だか〈you〉のやって来た影響は未だ見られない」

 

その疑問は出発前から予想されていたことではあったが、ヒートは管理者の口から事実を聞く必要があった。

その回答は、「また会えるかな」という戦友の提案を「No」と決定づける力がある。

覚悟はしていたが、名残を消し去るためにも必要な事だった。

 

「ヒート!!」

 

艦橋の隅、テレポーターから突如姿を現した声色はいつもの勇ましさは無く、探し人を見つけ驚愕するようなものであった。

 

「師匠…」

 

言いたいことは決まっているのに言葉に詰まる。

第一声を発しようと試みるが遮るように息がつかえる。

頬を静かに伝った一滴の涙は意図しないもので、恥ずかしそうに慌てふためく。

 

「ヒートは泣き虫ニャウね」

 

不意を突かれ困惑している内に、空気の読めない猫は楽しそうにヒートの足元にちょっかいを出していた。

 

「アホか貴様は!」

 

童顔の少女は空気を一変させた無邪気さに半分感謝すると、軽めに拳骨を見舞った。

「ニャ!」っと渋い声で鳴いた猫の姿に小さな笑みを分けてもらうと、照れ臭くて躊躇った自らの信念を皆に打ち明けることを決意した。

 

「お前の言う通りだよニャウ。俺は泣き虫だが、それも今日で辞めだ」

 

その表情は、迷いを断ち切った晴れ晴れとしたものであった。

勢いのままに、六芒の「六」は高らかに向上を述べた。

 

「俺は六芒均衡の〈六〉!あの世界もこの世界も、全てのオラクルを照らし目印になる太陽になる!!」

 

そんな彼の決意表明を、一匹を除く一同は優しく見守り静かに微笑んだ。

一匹は、そんな「六」の姿を格好いいと感じたのか、彼に続いて自らも真似て向上を述べた。

 

「ヒートがそれになるなら、ニャウは〈アークス〉になるニャウ!!!」

 

突拍子も無いニャウの宣言にその場の空気は一変し、やれやれと呆れ気味にも微笑ましく見守った。

対処を決めかねていた管理者も、少しだけニャウの成長を嬉しく思うのであった。

 

「それは良い心意気だと思うけど、ちょっとばかし難しい事かな」

 

嬉しさを隠しつつ、シャオは管理者として事実を述べた。

管理者である彼の言葉の重みは「絶対」であって、それを理解しているニャウは食い下がる様に駄々を捏ねた。

 

「どうしてニャウ!ニャウは世界を救った英雄ニャウ!」

 

御褒美に聞き届けて貰えると思っていたらしく、戸惑いつつも引くわけにはいかない。

 

「この世界の僕がそれを許しても、君はあちこち飛び回るだろう?行く先々で、〈アークス〉を名乗っても信じる者は誰一人いないだろう」

 

あちこち飛び回ることについては否定出来なかったらしく、それでもニャウは諦めずに管理者を見つめる。

 

「だからこの世界の僕は、君をアークスとは認めないけど〈僕達の仲間〉である証明を君に贈ることにするよ」

 

シャオは虚空を描き、現れた電子色のコンソールをひと押しする。

すると、ニャウの目の前には「いかにも彼が好みそうな玩具の剣」が姿を構成し浮遊する。

 

なんだこれ!と目を輝かせ見つめる彼の姿を見ると、どうやら話に納得してくれたらしい。

 

「これは僕の特注品でね、簡易的に身を守る程度の力はあってもアークスを傷つけられる程の力は備わっていない。その代わり、荒っぽい君が壊してしまっても再構成するように作ってある。協力してくれてありがとう、感謝する」

 

待ちきれないとばかりに、ニャウはユラユラと宙を停滞する証明に恐る恐る手を伸ばす。

 

グリップを握ると玩具の剣は重力を取り戻し、突然の重みに慌てるが寸前で堪える。

その剣は彼専用の、それも管理者の創造した特注品なだけあり片手でも振り回せるほどにフィットしていた。

 

「今後、君の好奇心でまた同じ様な失敗が起こると困る。飛び回った先で、むやみに干渉しない事を約束出来るかな?」

 

優しい口調で問いただすと、失敗を反省した子供の様にニャウは一度だけ大きく頷いた。

 

ニャウは剣を掲げ、再び向上を述べる。

 

「全ての世界は僕がパトロールするニャウ!異変があったらすぐに知らせるニャウ!」

 

向上を述べ終えると、彼は贈呈された剣を早速使ってみたくなったらしい。

見守る一同を一瞥し、剣を頭上で二周グルングルンと振り回し挑発した。

 

「さぁー、僕と勝負するニャウ!!!」

 

 

 

その後、ニャウは時空をパトロールし飛び回り、時折寂しくなっては構って欲しくてアークス達に戦いを挑んだ。

 

この地点においては異変らしき干渉は見られなかったが、ここではないオラクルでそれは起こっていた。

 

「NPCに生命が存在しないこと」が選択された世界にヒート達が及ぼした干渉は時空を超え、のちに火を継ぐ少女らの手によって解決される事となる。

 

「プレイヤーが存在しないこと」が選択された世界において「you」というプレイヤーが入り込んでしまった影響も同じく時空を超えていた。

 

ここではないオラクル。

そこには一般アークスでありながら全宇宙の観測者に見染められた存在がいた。

素性は知れず、事件の渦中には必ずそな姿は存在し、数々の事象を正解に導き世界を救い続ける存在。

その功績を称え、いつしかその者には「守護輝士(ガーディアン)」という専用の役職が与えられた。

 

どんな理不尽も打ち破るその存在は、まさに【主人公】であった。

 

 

 

「立派な向上の後で悪いんだけど、ヒートにはその輝きを別の形で発揮して貰いたい」

 

「え、もしかして俺では力不足でしたか?」

 

「いや、ヒートの意志に均衡の立場はいずれ枷になると考えている。それに、やっぱりヒューイにはまだ現役でやってもらわなきゃならない事もある」

 

やんわりと突っ張った空気に先程まで騒いでいた者も静かに行く末を見守る。

管理者への返答として、ヒューイは視線を送り返すと腕を組み直し姿勢を正した。

 

「どんな立場であろうが俺の成すべき事は変わらん」

 

「ありがとうヒューイ。ヒート…君はどうだい?」

 

「俺も…〈六〉だからでは無く、自分自身でやると決めた事です。与えられた先、どこであっても俺の意志は変わりません」

 

「ありがとう。君にはこれから、その輝きで宇宙を守護して貰いたい。やって貰えるかな」

 

 

この世界を救ったヒートもまた、そうであったのかもしれない。

 

 

ーエピソード零ー(PSOサイド)

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

晴れ晴れとした日差しを浴びながら泳ぐ雲は、どうして眺めているだけでも気持ちが良いのだろうか。

 

登校時間よりも早く到着してしまったらしい。目を逸らし続けた過去に向き合う貯め、気を落ちつかせる為にも皐月は上空を眺めていた。

 

転入初日、皐月は18歳以下のSAOサバイバーが通う生還者学校の門前で過ちと向き合う覚悟を決める。

 

「さよなら、みんな。私、進むね!」

 

跨がれた門はゴールテープではない。

ほんのりと熱を込めた風は皐月の背中を流れ、晴れ晴れとスタートラインを駆け出した。

 

 

 

 

エンディングテーマ

http://mqube.net/play/20180616643343

 

 




まず、読んでくれてありがとうございました。
頭の中では、皐月が最後の言葉を発すると同時にエンディングスタートです。アニメごっこです。

タキサイキア拳法はアニメSAOでキリト君がスローでかわし続けるシーンを見て思いつきました。

PSOサイドはゲームのシナリオに繋がるようにしました。
世界を救うため奮闘したニャウはエネミーに愛されています。
救った先か、救われなかった世界からか。
ニャウの助けにエネミーは参上する様になりました。

悩んだ結果、ヒートを守護輝士にしました。しない方向で考えてたのですが、やっぱり〈六〉はヒューイ。
まだ頼りないヒートだから、数年後になるって方向もいいと思いました。
エピソード1〜3をヒートが主人公として達成したのち、なるのも考えました。
しかし、パーフェクト演算のシオンはシナリオ上いてもらっては困る存在でした。
この世界はシオン消滅後なので、その案もボツにしました。

他にも書きたい事まだまだありますが内に秘めておきます。

読んでくださった方、しおりお気に入りしてくれた方、たまたま通りすがりの方もみんなありがとう。

本当にありがとうございました。
またねヾ(・ω・`)

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