次の試合相手は木戸川清修と聞いてから
益々練習はハードになった
「もう疲れたの〜!!」
阿形がグラウンドに寝転がり駄々っ子の
様に振舞っている
「兄さん…我儘言うのは駄目ですよ」
「やだー!疲れた疲れた!!」
ハードになった練習に早くもついていけず
阿形はすぐに疲れたといいだした
「どうしたんだ、お前は体力ある方だろう」
鬼道かそう言いながら休憩するよう支持する
「うー…そうだけどぉ……」
実はここの所阿形はすぐにばてる事が多かった
対称的に吽形は全く疲れを見せなかった
「その様子では試合は無理だな」
鬼道がズバッとそういうと
「やー!試合絶対でるなー!!!」
さっきまでの疲れた様子とは一転、
さっさと駆けていった。
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今日の練習は終わり、各々自宅へ帰っていく
そんななか阿形と吽形の姿が部室に残っていた
「兄さん…大丈夫ですか?」
「まだ…まだやらなきゃいけない事が
沢山あるのな…こんな所で休んでられないのな!」
二人だけで紡がれる会話は、誰かに聞かれる事も
なく闇夜に消え去って言った……
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木戸川清修戦当日
「今回も頑張るのなーー!!!!」
いつにも増して大声で騒ぎ立てる阿形
昨日の意気消沈した姿とは大違いだ
「ぷくくー!りょうへいGKなのー!」
逆に元気が有り余って灰崎をからかい倒す勢いだ
まだ、この時は誰も知らなかった
この試合が全てを狂わせる切っ掛けになるなんて
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試合開始してからすぐに異変は起こった
阿形は確かにテクニックプレイとは
程遠いプレイをする選手ではあったがそれでも
相手選手に怪我をさせかねないプレイをするわけ
ではなかった
けれど、今日の阿形はまるで獲物に襲いかかる
獣の様に敵陣に攻め入っていた
あの灰崎でさえも阿形の変化に驚き先程までの
鬼道に対しての怒りなどどこかに
行ってしまった様に呆然としていた
「おい阿形!戻れ!」
本来DFである水神矢が阿形を止めるために
前線に出るが、それでも阿形は止まらなかった
こんな事、初めてだった阿形が荒々しいのも、
吽形が阿形の暴挙に対して何も言わないのも、
水神矢の言う事を聞かないのも。
これが初めてだった
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今日の試合の結果は上々だった
試合に勝ったし、灰崎は周りと連携する様になり
阿形は充分な戦力になる強い選手だとわかった。
けれどもチーム全体の空気は重かった
それ程長い間を共にしたわけではないが
阿形のあんな姿は初めてみた
その衝撃が皆を素直に喜ばせてはくれなかった
阿形も吽形も試合が終わってから一言も喋らない
そんな重苦しい雰囲気のなか解散になった
誰も勝利の歓喜を上げることもなく
まるで敗北の様に静まり返った勝利だった