星降る空といろは道   作:高橋かりんとう

4 / 4
変わっていく日々

次の試合相手は木戸川清修と聞いてから

益々練習はハードになった

 

「もう疲れたの〜!!」

 

阿形がグラウンドに寝転がり駄々っ子の

様に振舞っている

 

「兄さん…我儘言うのは駄目ですよ」

 

「やだー!疲れた疲れた!!」

 

ハードになった練習に早くもついていけず

阿形はすぐに疲れたといいだした

 

「どうしたんだ、お前は体力ある方だろう」

 

鬼道かそう言いながら休憩するよう支持する

 

「うー…そうだけどぉ……」

 

実はここの所阿形はすぐにばてる事が多かった

 

対称的に吽形は全く疲れを見せなかった

 

「その様子では試合は無理だな」

 

鬼道がズバッとそういうと

 

「やー!試合絶対でるなー!!!」

 

さっきまでの疲れた様子とは一転、

さっさと駆けていった。

 

_______________________

 

今日の練習は終わり、各々自宅へ帰っていく

そんななか阿形と吽形の姿が部室に残っていた

 

「兄さん…大丈夫ですか?」

 

「まだ…まだやらなきゃいけない事が

沢山あるのな…こんな所で休んでられないのな!」

 

二人だけで紡がれる会話は、誰かに聞かれる事も

なく闇夜に消え去って言った……

 

 

_______________________

 

 

木戸川清修戦当日

 

「今回も頑張るのなーー!!!!」

 

いつにも増して大声で騒ぎ立てる阿形

 

昨日の意気消沈した姿とは大違いだ

 

「ぷくくー!りょうへいGKなのー!」

 

逆に元気が有り余って灰崎をからかい倒す勢いだ

 

 

まだ、この時は誰も知らなかった

この試合が全てを狂わせる切っ掛けになるなんて

 

 

 

_______________________

 

 

 

 

試合開始してからすぐに異変は起こった

 

阿形は確かにテクニックプレイとは

程遠いプレイをする選手ではあったがそれでも

相手選手に怪我をさせかねないプレイをするわけ

ではなかった

 

 

けれど、今日の阿形はまるで獲物に襲いかかる

獣の様に敵陣に攻め入っていた

 

あの灰崎でさえも阿形の変化に驚き先程までの

鬼道に対しての怒りなどどこかに

行ってしまった様に呆然としていた

 

「おい阿形!戻れ!」

 

本来DFである水神矢が阿形を止めるために

前線に出るが、それでも阿形は止まらなかった

 

こんな事、初めてだった阿形が荒々しいのも、

吽形が阿形の暴挙に対して何も言わないのも、

水神矢の言う事を聞かないのも。

 

 

これが初めてだった

 

 

_______________________

 

 

 

今日の試合の結果は上々だった

試合に勝ったし、灰崎は周りと連携する様になり

阿形は充分な戦力になる強い選手だとわかった。

 

けれどもチーム全体の空気は重かった

 

それ程長い間を共にしたわけではないが

阿形のあんな姿は初めてみた

 

その衝撃が皆を素直に喜ばせてはくれなかった

 

阿形も吽形も試合が終わってから一言も喋らない

 

 

そんな重苦しい雰囲気のなか解散になった

誰も勝利の歓喜を上げることもなく

まるで敗北の様に静まり返った勝利だった

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。