あの地平線の夕焼け目指して   作:偽帝

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部屋で彼女と二人きり

「ただいま~」

 

 

今日も一日何事もなく終わり、家に入る。母は出かけているのか自分の声が家の中に響いた。

 

 

「ん、え?」

 

 

靴を脱ごうとした時、先に一人分の靴が置いてあることに気づく。母の知り合いか、誰か来ているのだろうか。

 

 

リビングには誰もいないが、誰が来ているのか詮索する必要もないので気にしないで自室のある二階に向かう。

 

 

自分の部屋のドアを開け、鞄を置こうと思っていたらベッドの上に蘭がうつむせになっていた。枕に顔を埋めてスリスリしている、いや可愛いけども・・・。

 

 

「あの、蘭さん?なにやってるの?」

「え、あっ、お兄ちゃん!?」

 

 

声を変えると飛び上がる勢いで枕から顔を離してベッドの上に正座する。もちろん、顔は真っ赤だ。

 

 

「なんかスリスリしてたよね?」

「・・・してないっ」

「いや、俺見たから。絶対してたでs「してないっ!」

 

 

バッチリとこの目で蘭の行動を見ていたのだが、どうやら無かったことにしたいらしい。

 

 

「してた、って言ってくれたら頭撫で撫でしてあげるよ?」

「・・・・・・・・・・」

 

 

数秒の沈黙の後、蘭は少しだけ顔を上げてチラっとこっちを見る。

 

 

「して、た・・・」

「よし、えらいえらい」

 

 

鞄を置いて蘭の隣に座ると、待ってましたといわんばかりに蘭のほうから体を寄せてきた。直ぐに彼女の頭を撫でてあげる。

 

 

「お兄ちゃんの匂いでいっぱいだったから、その・・・、居心地よくてっ」

「そっか。で、なんで俺の家にいるの?」

「ん、今日さ、朝一緒に行けなかったでしょ?その時に、春のお母さんから鍵預かったの」

「そうなのか」

 

 

うちの母が蘭に鍵を預けたらしい。と、いうことは日中に家を空ける急用でもできたのだろうか。

 

 

「勝手にお兄ちゃんの部屋に入っちゃったのは、ごめんね」

「いやいや、蘭なら良いよ。それにしても・・・」

 

 

彼女の頭に置いていた手を、蘭の頬に移動して、両手で挟むように触る。もちもちしているほっぺは触っていて気持ちいい。手が止まらない。

 

 

「小っちゃい時も可愛かったけどさ。ホント美人になったよな、蘭」

「ふぇぇっ!?ど、どうしたのお兄ちゃん突然っ!?」

 

 

顔を真っ赤にして蘭は慌てふためいている。

 

 

「いや、今まで言ってなかったなって思ってさ」

「もうっ・・・!」

 

 

蘭は胸に飛びつくように正面から抱きついてきた。そのまま顔を上げて、上目遣いで見つめてくる。

 

 

「お兄ちゃんっ」

「可愛いな、蘭は」

 

 

抱きしめ返して上げると蘭はさらに嬉しそうな表情をして、顔を密着させてきた。

 

 

「なんか今日はグイグイくるな、蘭」

「ん、最近お兄ちゃんにくっついてなかったからっ」

「こないだ手とか繋いだりしなかったっけ?」

「したけどっ!それだけじゃ足りないもんっ」

「そっか。蘭は甘えん坊だからな」

「ち、違うもんっ」

 

 

目を潤ませながら蘭は必死に否定する。こういうツンデレなとこだったり言葉の最後に『もん』って付けて子供っぽく幼い感じになるのも可愛い。ホント可愛い。

 

 

「違うならもう撫でるのも抱き締めるのも終わりだなー」

「むぅっ、お兄ちゃんずるいよっ」

 

 

今度は頬を膨らませてる。抱き締めていた片腕を解いて指でツンツンとつっつく。その度に指を弾く弾力のあるもち肌の触り心地が良いのでつい連続でついてしまう。

 

 

「それで、何が違うんだ?蘭」

「んっ、もっとお兄ちゃんに甘えたいっ」

「よく言えました、よしよし」

 

 

ちゃんと気持ちを伝えてくれたお礼に、さらに頭を撫でたり顎のところを指で撫でるように触ると蘭も気持ちよさそうに目を瞑っている。あれ、これ犬を撫でたりするときにするやつなんだけど、やっぱり蘭もモカみたいに犬っぽいところがあるな。ってか犬っぽい人俺の周りに多くないか!?

 

 

「犬みたいだな、蘭。可愛いなー」

「犬って、お兄ちゃん馬鹿にしてない?」

「いや、全然?だって、撫でられるのとか俺についてくるのとか、好きでしょ?」

「うん、好き・・・」

「なら、やっぱり犬っぽいところあるよ」

 

 

一人で納得しながら撫で続けていると蘭が鼻と鼻をくっつけてきた。

 

 

「じゃあ、お兄ちゃんじゃなくてご主人様って呼んだほうがいい・・・?」

「え!?」

「んっ・・・」

 

 

そのまま蘭は顔を移動して唇を俺の頬に軽くくっつけて、またぎゅっと抱きしめて俺の肩に顔を置いた。

 

 

「いや、あの普通にお兄ちゃんでいいです・・・」

「そう・・・?でも、ご主人様って呼んでほしい時はいつでも言って?あたしはお兄ちゃんのペット、犬なんだからっ」

 

 

ちょ、この子はさっきから何を言っているの?もしかして酔ってるの?さっきからなんかとろ~んとしてると思ってたけど。

 

 

恥ずかしそうにジト目で言う蘭は可愛いけど、生憎そういうプレイは趣向に合わないのだ。完全に変態プレイじゃんか。

 

 

「や、犬になんなくていいぞ蘭。戻れえええええ!!」

「ん、うひゃぁ」

 

 

わしゃわしゃ、と蘭の髪を両手でくしゃくしゃにする。俺の気が済むまでやってゆっくりと手を離すと、無表情だった蘭の顔が途端に真っ赤になって直ぐに両手で顔を隠した。

 

 

「お兄ちゃんの前で、何言ってんだろうあたしっ・・・!」

「ま、二人っきりだからいいじゃん。あ、一応録音しといたけど」

「え!?ちょっと、お兄ちゃんっ!」

「冗談冗談。何も手に持ってないだろ?」

「ん、そうだけど。お兄ちゃんのことだから盗聴器とか・・・」

「そんなに疑われてんの!?」

 

 

ストーカー兼不審者、みたいなことを蘭から言われるとは。とんだ誤解だ、どんな印象で見られてるんだよ!

 

 

「ん、あたしも冗談。お兄ちゃんそんなことする人じゃないもんね」

「そうそう。別にしなくても毎日のように蘭は可愛いこと言ってくれるからな」

「もうっ・・・!」

 

 

そのまま、蘭はまた俺に体を預ける。

 

 

「今日はずっとこのままっ」

 

 

蘭が言うままに、この後もずっと二人でイチャイチャした。

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