「それで?」
それでって何だよ・・・呟くと雁夜は少しだけゲーム画面から外し、長めの茶髪を無造作に流した同い年の少年に目を向けた。
「いや、ちょっと枯れかけた雁夜が女の子に興味を持ったかどうかちょっと気になってさあ」
「るっせえ、その心配は余計だっつーのこのザビ男が」
「ザビ男は酷いなあ・・・ちょっと頭ぶつけて朦朧としたときにフランシスコ・ザビ・・・って言っただけじゃないか」
「それで充分」
ザビ男と呼ばれた少年はため息を一つついて○ボタンを連打して光弾を連射する。
「まあ冗談は置いとくとしてだ。実際の所どうなんだよ、帰る直前の鈴、ちょっと雁夜のこと意識してたぞ?」
「知ってるよ、オレだって気にはなってるけどよ、なんつーかな・・・まだ浮いた話に発展するようなエピソードもないし、もしそんなエピソードがあっても絶対裏目に出るし」
「裏目って・・・」
雁夜の指が素早く動き、レバーとボタンを無駄なく操作する。
「うっし、昼飯お前の奢りな・・・、まあとにかく、だから今はタイミング待ちかな?もう少し進展させるには裏目に出る確率が少ない一夏のイベントを待つしかないんだよ」
「へえ・・・ああクソッ!気弾弾きが上手すぎる・・・」
がっくりと肩を落としてコントローラーを取り落とすザビ男。
と、その背後でバタン!と思いきりドアが蹴り開けられた。
「
「ああ、白木さん。邪魔してる」
以上。現在雁夜が居るのは岸波家。ついでに白野の部屋だ。
「あ~・・・そういや白木さんって白野の双子の妹だっけ?」
「ああ、いわゆる異性一卵性双生児ってヤツだよ」
喋りながら岸波家を出て、近所の商店街へ向かう。
「そういや、白木は彼氏とかいるのか?」
「白兄こそ、あの・・・ピンク髪の・・・タマモさんだっけ?とはどうなったのよ?」
「ちょっ、なぜにタマモの話が出てくるんだよ!?白木の話だろ!弓塚先輩と仲良かっただろ、どうなんだよ?」
「しししし士朗先輩は関係ないでしょ!」
明らかに蚊帳の外に置かれている雁夜はむう。と唸ってから周りの店を見回す。
「美味そうな料理屋ってなかなか無いモンだなあ・・・五反田食堂に行くかな」
「ん?あの中華料理屋なんていいんじゃないの?」
「そうそう、あそこの麻婆豆腐って凄くおいしいんだよ」
「敢えて視界に入れないようにしていたのに・・・泰山麻婆はオレには辛すぎる・・・」
そうか。とだけ頷き、まあちょっとマケてもらえるかな?と呟いて白野は雁夜同様五反田食堂へ向かおうとし、白木に肩をギリギリと掴まれた。
「・・・ど、どしたの?」
「お代は白兄持ちなの?」
「あっ!?あっ、ああ。そうだけど」
「ゲームで負けてな」
またスパー○ング?と首を傾げる白木。うんにゃ、インフィニットワー○ド。とだけ返す雁夜。ふうん。と一度頷くと改めて白野に顔を向けた。
「私が払わなくていいなら、そうねえ・・・」
「・・・シ、シラキサン?イヤナヨカンガスルンデスケド・・・」
「駅前ショッピングモールの食べ歩き。シメは@クルーズの一番高いパフェ」
「オサイフシヌカモデスケド・・・」
「じゃあ私はパフェだけでいいよ」
「うわあ・・・白木さん自分持ちじゃないと分かったとたんこの容赦のなさ・・・怖え・・・」
結局白野が折れて3人で駅前ショッピングモールに向かうことになった。
・・・・・
同日。午前7時。
「んぁ・・・」
(ああ、今日は休みだったな・・・雁夜は・・・昨日から家に戻ってるんだったか)
衛宮切嗣は大体7時前後に目を覚ます。
それから5分ばかり布団の中でむにゃむにゃしてから朝食というのが今現在の生活スタイルだ。
と。
ふにっ。
なんだか布団の中にやわらかいものがあるのを確認した。
ふにふに。
(?・・・まあ良いか・・・でも何でこんなに気持ちいいんだろうなあ・・・『魔術師殺し』時代じゃ味わえなかったゆっくりした朝ってのも悪くないなあ)
「「ぁふ・・・」」
(!?今明らかにどこかで聞いた声がした気がする!)
慌てて掛け布団を蹴飛ばして状況確認・・・しなきゃ良かったと切嗣は後悔した。
「ん・・・、何だ?・・・朝か・・・?」
ラウラが全裸で布団の中にいた。
「・・・・・」
「どうしたのだ?真っ赤になったり真っ青になったり・・・」
「何いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」
・・・・・
時計を少しいじって同日昼頃。
「あ~、お~いしかった~!白兄、ご馳走様!」
「僕の一月分の収入が・・・」
白野が死にかけている。とりあえずジュースでも奢ってやろうかと考えた雁夜は、自販機はどこだと周りを見回す。
そこで雁夜は見てはならない物を見てしまった。
「あのさあ」
「何ですの?」
「あれ、手ェ握ってない?」
「握ってますわね」
見覚えのあるツインテールとブロンドに少しだけ目が点になる。
「そっか、やっぱりそっか。アタシの見間違いでもなく、白昼夢でもなく、やっぱりそっか。アタシだって雁夜と二人きりでデートなんてまだしてないのに・・・よし、殺そう」
・・・・・
「な~にやってんだお前ら」
「かっ、雁夜!?」
「織斑君の観察?」
「というより一夏のデートを監視してるみたいだね」
「岸波さん・・・と、どちら様?」
「いつも妹がお世話になってます、白木の双子の兄、岸波白野です」
白野の落ち着いた挨拶で二人とも落ち着いたらしい、鈴が部分展開していた『甲龍』の右腕部が消える。
「で、二人してなにやってんの?」
改めて雁夜の質問。ちなみにこれは形式的なもので、いつの間にやら街路樹からブレーメンの音楽隊よろしく縦並びで顔を出している。
「見りゃわかるでしょ、シャルロットと一夏が二人して出かけたからどういう事か気になってつけてんのよ」
「これはこれは、パフェの前に面白いイベントが出てきたわね、お腹もいいカンジに空きそう」
「白野さん?白くなってますわよ」
「僕の財布が・・・」
「白野、ご愁傷様」
「「「「「!?」」」」」
続いてまたしてもどこかで聞いた声。
「なかなか楽しそうだな、では私達も交ぜるがいい」
驚いて振り向いた5人の前には制服姿のラウラとなんだか憔悴しきった顔の切嗣が居た。
「なっ!?あ、アンタいつの間に!・・・ってか切嗣、何があったのよ」
「布団の中にラウラが居て・・・何も着てなかったから、せめて部屋着ぐらい着てくれといったら・・・他の服が軍服しかないといわれて」
「ああ、なるほど。それでとりあえずローテーションだけでもいいから服買いに来たのか」
「だがまあそれだけでは少しつまらん、一夏達の方に交ざるとしよう」
「待って待って待って。今後の実戦のためにデータ収集は欠かせないんじゃない?」
「ふむ、岸波妹の言うことも一理ある。ではどうする?」
「ここは追跡の後、二人の関係がどのような状態にあるのかを見極めるべきですわね」
「なるほどな。ではそうしよう」
かくして、何が何だか分からないうちに追跡カルテットとお目付トリオが結成されたのであった。
・・・・・
「うんじゃまあ、オレらは一夏の方を監視すっから、シャルロットの方は任したぜ」
駅前ショッピングモール2階、水着売り場である。雁夜と切嗣は間近に控えた臨海学校のために水着を新調することを考えていたので、ついでということで一夏を見張っていた。
といっても野郎の水着なんて所謂界パンなのでそれほど時間はかからない。
切嗣がダークグレー、雁夜がマゼンタのものを選び、ハンガーの後ろに身を隠して一夏が出てくるのを待つ。
「・・・雁夜、なんだかんだでノリノリだな?」
「その台詞、特上寿司の折り詰め付けて返してやるよ」
「・・・お前ら」
グダグダ言いつつも白野もしっかりと身を隠しているあたり結構ノリノリだったりするのだが。
「で、だ。一夏が来るまで暇だし、ちょっと切嗣に質問だ。おまえ、あのラウラって娘の事、どう思ってるんだ?」
「どうというのは?」
「随分仲も良いみたいだし、普通女子が男子の布団に入ってくるなんて有り得ないだろ。ましてや寮の別室どうしだ、彼女、明らかに君のことが・・・」
「ああ、ラウラは確かに可愛いと思う。一途で、何というか、たまに信じられないくらい大胆になることもあるが、前向きで、僕なんかじゃ釣り合いが取れるとは思えないよ。だから今はまだ、護りたい仲間の筆頭ってカンジかな」
「つまり恋愛対象としては全く見ていないと?」
「自信が無いだけさ、自分に自信が無いだけで、彼女のことは好きなんだ。だからこそ、僕なんかでいいのか迷ってる・・・」
難儀なヤツだと呟いて雁夜は立ち上がる。
「とりあえず一夏がでて来るから散ろうぜ」
「・・・そうだな」
「だね」
この後、千冬&山田先生に見つかり、結局合流して買い物を済ませたのだった。
EXTRA勢はいわゆる他人のそら似という奴でございますのであしからず。
それでは皆さん次回はいよいよ臨海学校です。お楽しみに!
ぶるらじみたいなの・・・タイトル略すとIS/SS・・・えすらじとか?後今隣で北朝鮮がきのこきのこって・・・第一書記ちょっとご乱心?っとそんな事は置いといて。
ちゃおちゃおー。