act 15 襲来!ブラコンロリチャイナ!
「っしゃあああああっ!」
「第一声からハイテンションね・・・」
夏休み。朝から遊びに来た鈴を出迎えたのは雁夜の歓声だった。
ベッドに寝転がって携帯ゲーム機と対峙している雁夜。なんとなく横から覗き込んでみると体力がギリギリの所で踏みとどまった銀髪忍者が筋肉質な上半身を持った巨漢をド派手な連続技で葬るところだった。
「っとワリイ。ちとテンション上がりすぎてた」
「見りゃ分かるっての・・・で、今日ヒマ?」
「見ての通りの暇人だ」
ゲーム・・・コンボゲーと言えばこれという誉れも高い、人類と生物兵器の戦いから時が流れた世界を舞台とする――――ギアの、あんまり見ない4人対戦のヤツ・・・を終わらせて本体を閉じると雁夜は改めて鈴を出迎えた。
「じゃあさ、いっしょに買い物行かない?」
「ああ、いいぜ。着替えて・・・校門のすぐ前で30分後でどうだ?」
「いいわよ」
ジーンズにするか綿パンにするか、それともカーゴパンツか・・・そんなことを考えながら雁夜は部屋を出て行く鈴の背中に声を投げかける。
「で、これはデートととってもいいよな?」
「あっ、当たり前でしょ!」
「うし、じゃあ気合い入れて新品のパーカーをおろすとするか!」
「~~~~~!」
バタン!
・・・・・
20分後・・・
白いシャツに紫のパーカー、いくつかお気に入りのピンバッジ・・・例えば円を4等分して縁を赤く塗り、白黒と互い違いに塗ったヤツとか・・・を付けて、足下は七分丈のカーゴパンツにスニーカーという動きやすそうな取り合わせ。
動きやすくて見た目にも悪くない、わりと気合いの入った服装の雁夜が校門前にいた。
「さてと・・・ちっと早く来すぎちまったかな?」
それから5分後。
「ごめん雁夜、待たせたわね」
ツインテールはそのままに、赤いタンクトップに黒のミニスカートという組み合わせの鈴が来た。快活な鈴に良く合うデザインで、十二分に鈴を活発に見せる。
「待ってないさ。まだ合流まで5分あるんだし、二人とも早かったって事だろ」
いって雁夜は鈴の手を取る。
「エスコートは野郎のつとめ。今日はどこ行く?」
「駅前でいろいろ見るってのはどう?」
「いいな。ちょうどバスも来たし、行こうぜ」
・・・・・
以下、午前中ダイジェストでお送りします
「これなんていいんじゃないか?」
「何でアンタが選ぶ服は青緑と紫しかないのよ」
「何か面白い本見つけたか?」
「ねえ雁夜、これの原作ゲーム知ってる?」
「おう、確かここのゲーセンにもおいてあったけど、気に入ったのか?」
<喰らいやがれえええええイ!>
<ぐぇああああああっ!>
「「やったあ!」」
「ぬおおおお・・・完封負けとか・・・オレからエアホッケーしかけたのが間違ってた・・・」
「ふっふっふ・・・」
・・・・・
「さて、空いてる席は…っと」
「ないわね・・・」
昼食時のフードコートとあってさすがによく混んでいる。
二人はそれぞれに食事のトレーを持って空いている席を探す。
と、二人の右斜め前の方から声が聞こえてきた。
「こっちこっち!」
「お、相席してくれるみたいだ」
「ラッキーね」
二人が声の元に行ってみると、そこには雁夜にとって見知った顔が二つあった。
「って都古ちゃんに志貴さん!」
そこにいたのは癖っ毛を背中に流した中学生ぐらいの少女と眼鏡をかけた人の良さそうな青年。
「何?知り合い?」
「ああ、こっちの女の子が俺の妹弟子の有間都古ちゃん」
「雁夜お兄ちゃんの彼女さんですね?よろしくお願いします!」
勢いのある活発な女の子に鈴は好感を覚えた。
「で、こっちがそのお兄さん。オレの一個上の志貴さん」
「はじめまして、有間志貴です」
「で、都古ちゃんには話したことあるかも知れないけど、オレの彼女の凰鈴音だ」
自己紹介も終わり、4人でハンバーガーをぱくついていると都古が思い出したように
「折角あったんだし、雁夜お兄ちゃん、あたしとしょうぶしない?」
と言った。雁夜もそれにノって
「いいぜ、全力できな」
と返す。
その2時間後くらいに完勝した雁夜に最終奥義グルグルパンチをぶちかます都古が目撃されたらしい。
・・・・・
「鈴お姉ちゃん!」
「?どしたの?都古ちゃん」
「お姉ちゃんはどうやって雁夜お兄ちゃんをおとしたんですか?」
「んなっ!?いきなりどうしたのよ?」
「都古は志貴お兄ちゃんのことが大好きです!だからどうやったらすきな人をおとせるのか教えてください、ししょー!」
一瞬鈴の顔に言い切りおった!の文字が走ったがすぐに気を取り直して
「気が付いたら好きになってて、頑張ったら落とせたってカンジかな・・・都古ちゃんは倫理的に難しいかも知れないけど、頑張るのよ!」
「いえっさー!」
気が付けば二人の間に奇妙な絆が出来ていたと、後に雁夜は語ったという。
GGダストストライカーズは火力がおかしい・・・ポチョムキンバスター1発で8割もってかれるとか有り得ないだろシッショー・・・こんな思いのこもった出だしでした。鈴が手に取ってた小説はKOF2001のMORE THAN HUMANです。上下二巻の上の方。燃え太朗にやられた相手はお好きなように。
では次回、act16 休日と強盗と・・・でお会いしましょう。
ちゃおちゃおー。