比率は多分シリアス:ネタで3:7ぐらいかと。
act.1 クラスメイトは殆ど女
コイツは、想像以上にキツい・・・
間桐雁夜の思考を占めているのはそんなことだった。
背中に好奇の視線が突き刺さり、まるでありとあらゆる宝具の原典でグッサグッサにされたようだ。
何故なら・・・
(クラスに男が二人だけだもんなあ・・・)
雁夜はクラスどころか学園に二人しかいない男子生徒だ。
と、スパァァン!という音と共に声変わりし始めた男子特有の少しかすれたような
「げえっ、関羽!?」
という悲鳴が聞こえてきた。
(一夏も大変だな・・・鬼の姉さんがまさかの担任教師だもんなあ・・・)
「ち、千冬姉!?」
「織斑先生だ馬鹿者」
雁夜同様学園にたった二人の男子生徒、織斑一夏と、その姉である千冬である。
(しかしすぐに手が出る人だな・・・旦那さんとか尻に敷かれs・・・)
「何か無礼なことを考えているな?」
パァンッ!
「うがぁっ!?」
「よし間桐、次はおまえが自己紹介しろ。」
「ちょと待てちょと待て!今『お』だよな!?オレ『ま』だよ!?ゆっくり文面考えてt」
ズパァンッ!
「早くしろ」
「・・・はい。」
さてと。と頭をさすりながら雁夜は追想した。
何故オレはこんな所にいるんだろうか・・・?
・・・・・
間桐雁夜には6歳以前の記憶がない。ただ燃える車と、自分だけが助かって死んだ両親を見ていたことが最初の記憶として存在している。
それ以前と言えば、体を貪り食われるような痛みと共に浮かび上がる恋した女性の面影や憎んだ男の顔、可愛らしい二人の少女の姿だけがあった。
何年か前に占い師に占ってもらった時に、雁夜の前世は魔術師だと言われたが、あたりである。
まあ、その辺のゴチャゴチャした過去話は追々語っていくとして、今語るのはそんな雁夜の15歳の冬の話だ。
両親を亡くした雁夜は織斑家に居候していたわけだが、いっしょに高校受験に行った一夏が受験会場を間違え、気が動転している内に二人まとめてそっちに引きずり込まれてしまったのだ。
同じ高校を受けるはずだった中学時代からの友人である衛宮切嗣は後からそれを聞いて何ともいい顔をしていた。
目が死んでいるわりにそのププッて顔は妙に生き生きしていた。アレは本当にムカついた。出来ることなら『翅刃虫』に喰わせてやりたいくらいだった。あのセクハラ虫が欲しくなったことに心底驚いた雁夜であったが、何故この学園に女子しかいないのか。というか雁夜と一夏以外がみんな女性なのはどうしてか。雁夜の現実逃避ついでに語るとこうである。
この学校は校名を『IS学園』といい、ISを学ぶ学校である。
ではISとは何か。
で、何故そんなところに男の雁夜達がいるのか。
彼等が本来受験するはずだったのは地域密着型の就職率撃鷹の学校であるところの『藍越学園』。
要はそう言うことだ。
・・・・・
逃避終了。結論、終わったことはどうにもならん。
「あ~っと・・・オレの名前は間桐雁夜と言います・・・趣味はゲームで、最近のお気に入りは『Fate/extra C.C.C』で、使用サーヴァントはアーチャーです。あと、虫とか小動物に言うことを聞かせるのが得意です。最後に、この髪の毛はひょっとしたら目立つかも知れませんが、気にしているので若白髪という意味の呼称だけは絶対にしないようにお願いします」
頭を下げる。頭を下げながら脳内で手早く術式を組み上げて魔術回路を少しだけ励起。
(魔術障壁展開・・・対象範囲・・・外耳道及び聴感覚器官・・・)
そして雁夜の予想したとおりわずかな静寂の後
「「「「「「きゃ~~~~~~~~~~!!!!!!」」」」」
(うげっ・・・魔術障壁越しにこの威力・・・どんだけ男に飢えてんだコイツらは・・・助けてくれ幼なじみ!)
ちらりと少しだけ離れた席に座るポニーテールの女子、幼なじみの篠ノ之箒に目線でヘルプサインを送るもフイッと軽く無視されてしまった。
「まったく去年よりも増している感じがするな。私のクラスにだけ馬鹿を集めているのか?」
嘆息する千冬であったが、雁夜はそれよりもなお深い思索の海に沈み込んでいた。
(オレの生活・・・一体どうなっちまうんだアアアアアッ!)
代われることなら切嗣に代わって欲しい。切実にそう思う雁夜なのであった。
・・・・・
「・・・ゴメン、ゴメンゴメン、ちょっと待ってちょっと待って、落ち着いて落ち着いて、頼むからちょっと待ってくれみんな質問攻勢はちょっと勘弁!」
この学校に男子二人であることは何度も述べてはいるが、つまり初来日したパンダ並の興味の対象なのである。
これは2限目が終わってもそうだった。
「・・・雁夜、すまん。さっきはこの状況におまえ一人置いてっちまったんだな・・・」
1限目と2限目の間では箒に連れ出されて質問攻勢から免れていた一夏だが、その分今回とんでもない量だった。単純計算で密度が前回比5倍(雁夜調べ)になっている。
と、そこに高飛車な声が落ちてきた。「ちょっとよろしくて?」なんて今時あまり聞かない台詞でだ。
「ん?」
「あ?」
いきなり話しかけられて返事とも言えないような声を返す二人。。その反応が気に食わなかったらしく声の主である金髪の女子生徒は
「まあ!何ですのそのお返事は!!私に話しかけられるだけでも光栄なことなのだからそれ相応の態度があるのではなくて?」
と憤慨する。
「そうなのか?」
「さあな。入学初日にクラスメイトの名前を覚えろなんてどんな無茶振りだってカンジ」
雁夜がそう言って肩をすくめると相手のほうはまたしても怒りに顔を真っ赤にして
「まあ!わたくしの事を知らない!?このセシリア・オルコットを!?イギリス代表候補生にして学年主席のこのわたくしを!!」
少しうざくなったらしい雁夜。肩をすくめてふっと笑い
「ああ、知らんな」
と返した。挑発する気満々のリアクションである。というより煽っているらしい。ついでにペットボトルの麦茶もあおる雁夜。
「すまん。代表候補生ってなんだ?」
それを聞いた周りの生徒はみなずっこけていた。雁夜に至っては麦茶を吹き出しそうになり、それを無理矢理押さえたせいで気管に入ったらしく、かわいそうなぐらいむせている。セシリア本人も驚愕とあきれが半分半分といった表情で
「し、信じられませんわ!日本の男性というのはココまで知識に乏しいものなのですか!?」
と叫ぶ。
「お、おまえ・・・それぐらい語感で分かるだろ・・・ゥェッホッ、ゲホッ、ガハッ」
むせながら突っ込む雁夜である。周りの思考を読むことができたとすれば間違いなく満場一致で「哀れだ・・・」と言ったものになっていることだろう。
「スポーツで想像してみろ、WB○日本代表のエース候補のピッチャーと同じだよ。要はルール上でなら超優秀なヤツってわけ」
雁夜の解説に一夏は「つまりエリートってことか?」と聞く。そこでセシリアは再び胸を張り、
「そう!エリートなのですわ!」
と豪語する。しかしそうは問屋(雁夜)が卸すはずもない。もう一度ふっと口元だけで笑い、
「ルール無用なら間違いなくオレの方が強いがな」
「~!」
再び顔を真っ赤にするセシリア。雁夜がエクストラCCCをやっているのを横で見ていた一夏は一言
「ジナコだ」
と呟く。するとそれが合図になったように3限目始業のチャイムが鳴った。
「く!?後でまた来ます。おぼえてらっしゃい!!」
と言ってセシリアも自分の席に戻っていく。雁夜はその捨て台詞に
「もう来るなよ~!」
と手を振ってやった。その様子に一夏はため息をついてもう一度
「雁夜さんマジジナコ」
と呟くのだった。
ジナコさんとはチト違うかも知れん・・・あと、stay nightとzeroが存在しない設定となっています。stay night名義でプロトタイプがあるというカンジです。
それでは。
ちゃおちゃおー。