最近前書きでBLAZBLUEの話しかしてない気がするので別の話をば。
設定を組み上げる内にジュネスが物凄い豪華なことになってしまいました。というかそもそも最初は駅前のフードコートの名前って設定だったのに・・・
では、本編をどうぞ。
act17 会議
9月、2学期が始まって一週間が過ぎた。
その日の朝は学園祭についての全校集会が開かれたので、雁夜達はこうしてボーッと生徒会長の登場を待っていた。
「やあみんな、おはよう」
「くぁ・・・やっとか・・・」
「雁夜・・・せめて欠伸は誤魔化せよ・・・昨日遅くまで買ったばかりのゲームで遊んでたのは分かるが・・・」
壇上にいるのはリボンの色から二年生と分かる水色の髪の女子生徒。
「さてさて、今年は色々と立て込んでいてちゃんとした挨拶がまだだったね。私の名前は更識楯無。君たち生徒の長よ。よろしく」
自己紹介を終えた生徒会長が微笑むとあちらこちらから熱っぽいため息が漏れる。
「では、今月の一大イベント学園祭だけど、今回に限り特別ルールを導入するわ。で、その内容はこちら!」
慣れた手付きで取り出した扇子ふって空中にディスプレイがを投影する。
「名付けて、『各部対抗織斑一夏&衛宮切嗣争奪戦』!」
「・・・は・・・?」
「え・・・?」
当事者二人の気の抜けた声の後、すぐさま全校生徒の絶叫が響き渡る。振動で激震するホール。雁夜はこの時ジャイアンリサイタルが何故破壊的なのかを理解したような気分だった。音というのは波で、波は衝撃で、衝撃は破壊なのだ。
「静かに。学園祭では毎年各部活動ごとの催し物を出し、それに対して投票を行って、上位組は部費に特別助成金が出る仕組みでした。しかし、今回はそれではつまらないと思い」
と、ディスプレイを扇子でビシッと示す。
ディスプレイに映っているのは気の抜けた黒髪の男子と目の死んだぼさぼさ頭の男子、つまり一夏と切嗣。
「織斑一夏を一位、衛宮切嗣を二位の部活動に強制入部させましょう!」
再び上がる雄叫び。早い内に新聞部に籍を置いてよかったと雁夜は思った。
「・・・今秋季大会をあんなん呼ばわりしてた人がいた気がするが・・・」
「気にするな。それより僕達は自分の身の・・・と言うより貞操の安全を考えるべきだ」
と、そこで一夏が何かに思い至ったようで、ぽんと手を打って言う。
「ていうか俺達の了承は・・・?」
「あはっ♪」
返事のかわりにウインクが返ってきた。これでは屍とも言えない。生気がみなぎってるし、返事一応したし。
そんなことを思いながら雁夜は人波に任せて教室に戻った。
・・・・・
「で?他ないか?」
現在同日放課後である。
HRでクラスの出し物を決めるのだが・・・
「何で私達の意見は無視なの?」
「却下に決まってるだろ!何で全部俺がらみなんだよ!まだ開始5分後だよ!?なのにもう意味わかんねえし!」
「まあ、目の死んでる切嗣や彼女持ちのオレよりコイツの方が遊びやすいだろうけどさあ・・・ホストとか王様ゲームとか・・・正直ついていけんわ」
肩をすくめる副代表間桐雁夜。
一夏が助けを求めるように教室を見回すが千冬はいなくなり、かわりに<時間がかかりそうだから、私は職員室に戻る。後で結果報告に来い>と言う置き手紙。山田先生もわりとノリノリでどうしたものかと二人で首を捻る。
「なあみんな、とりあえず軌道修正しようぜ」
「雁夜の言うとおりだ、もっと普通の意見をだな」
「メイド喫茶はどうだ」
沈黙。
「え?ラウラ、もっかい言って?」
驚愕が一周して無表情の一夏がラウラに聞く。
「だからメイド喫茶だ。客受けはいいだろうし、飲食店ならば経費も回収できる。招待券制で外部からも入れるのだから休憩所としての需要も期待できるしな」
「・・・至極真っ当なお答え誠にありがとうございます」
普段通り淡々と返されておもわず一夏が頭を下げる。切嗣がみんなに意見を聞いてみると
「いいんじゃないかな?一夏には執事か厨房を担当して貰えばいいんじゃないかな」
と言うシャルロットの援護射撃。
教室騒然。
「織斑君、執事!いい!」
「それでそれで!」
「メイド服はどうする?私演劇部の衣装係だから縫えるけど!」
あまりの勢いにたじろぐ一夏&雁夜。
「間桐君が執事やったら鳳さん喜ぶんじゃないかな?」
ピクンッ!と雁夜の耳がはねる。呟きの主はわりと久々に登場した岸波白木。
「うし、じゃあ決定!ラウラ、ツテはあるのか?」
「ちょっ、判断早!雁夜判断早!」
隣であたふたする一夏を尻目に今や司会進行は雁夜であるとばかりに話を進める。
「ああ、一応あるぞ。執事服も含めて貸してもらえるか聞いてみよう・・・シャルロットが・・・な」
「え?えっと、ラウラ?それって先月の・・・」
「うむ」
「き、訊くだけ訊いてみるけど、無理でも怒らないでね?」
クラス中から怒りませんとも!と言う声が聞こえる。
異口同音。一夏唖然。
「っつーワケで、オレら一年一組の出し物はメイド喫茶ならぬご奉仕喫茶で決定!じゃ織斑先生に伝えてくるから切嗣!後任した!」
一夏を引き摺ってさっさと教室を出て行く雁夜を見送って切嗣が一言。
「雁夜、キャラ変わってないか?」
・・・・・
「と言うわけで、一組は喫茶店になりました」
職員室でクラス会議の報告をする一夏。雁夜はいかにもついでのおまけといった様子で一夏の横に突っ立っている。
「また無難なものを選んだな・・・と言いたいところだが、どうせ何か企んでるんだろう?」
「ええ、まあ。コスプレ喫茶みたいになりました。基本メイド喫茶で、プラスオレと一夏と切嗣が執事っていう事で、誰かがご奉仕喫茶とか言い出しました」
「立案は誰だ?田島か?それともリアーデか?あのへんの騒ぎたい連中だと思うが、どうだ?」
ニヤニヤして次の台詞を待ち受ける千冬にどうしたものかと考えた末の協議の結果、正直に言うことで一致した。
「「ラウラです」」
「……ぷっ・・・ははは!ボーデヴィッヒか!それは意外だな・・・かなり驚いたぞ。しかし・・・くっ、ははっ!あいつがメイド喫茶とは・・・よくここまで変わったものだ」
「やっぱこういうリアクションなのね、先生」
いつもの英霊並のプレッシャーはどこへやら。(と言うか間違いなく死んだら座に招かれるとカリギリコンビは思っている。クラスは多分セイバー)雁夜はその様子に唇を引き攣らせる。
「まあそう言うな。私はあいつの過去を知っている分、おかしくて仕方がないぞ。ふ、ふふっ、あいつがメイド喫茶・・・ははっ!」
そしてまたしても大爆笑。
「・・・雁夜。止めるべきか?」
ちょっと考え込んだ末に近所のスーパーの人の台詞を借りることにする。
「そっとしておこう」
・・・・・
「で?わざわざ潜入作戦に私も加えると?」
「あら?不服かしら?」
「いえいえ。確かに彼女だけでは少々不安があります。学外であればエムさんの助力もありましょうがね。いや、私の服装はなるほど確かにビジネススーツに見えなくもない」
「長々と喋ってくれたけど、それは了解ととっても構わないのかしら?」
「もちろんですよ」
とあるマンションでの密談。
金髪の女性が立ち去ると、男はニヤリと唇を三日月のようにつり上げた。
・・・・・
「・・・つ、疲れた・・・」
「ハハッ、ご愁傷さんだな」
あれから生徒会長に捕まり、生徒会室に連れて行かれ(何故か雁夜も)、生徒会メンバーに会った。そこで会長が一夏の指導を行うと言いだし、する、しないをかけた勝負の結果、一夏は完敗。とりあえず今日の分の指導が終わり、一応夕食を済ませて現在寮の廊下を歩いている。と、廊下の角から見たばかりの顔が現れた。
「あ・・・ちゃーす、布仏虚先輩」
三年生で生徒会メンバーの布仏虚。のほほんさん(本名は布仏本音だった。一夏も事ここに至るまで本名を知らなくて、結局本名をもじってものほほんさんになることにびっくりしていた)の姉である。
「あら間桐君。フルネームじゃなくてもいいのよ」
「あ、じゃあ虚先輩で」
「ええ、織斑君もそっちでいいわよ」
「はい、あの・・・ちょっと質問いいですか?」
「私で答えられることなら」
「っと、楯無先輩ってどんな人ですか?」
「どんなって言うと?」
「えーと、つまり、どういうつもりで俺に特訓しているのかなぁと」
「あら、人の厚意は素直に受け取るべきだわ」
「いや、まあ、そうなんですけど、なんていうか・・・」
言いよどむ一夏に虚はおかしそうに微笑んで冗談よと言う。
眼鏡をかけた真面目そうな顔立ちの先輩であるが故に冗談とか言いそうに見えなかったと一夏は後に雁夜に漏らしたそうだ。
「お嬢様・・・楯無さんは、色々考えがあるのよ。その全てまでは分からないわ」
「臣下の家系の幼馴染みにも見えない顔か・・・ホント得体が知れねーわあの会長」
雁夜の呟きにむ。と他二人が押し黙る。何も言わないが二人の顔には否定できないと書いてあった。
「まあそれは置いておいて、一つだけ忠告しておくわ。警戒しても予防しても、絶対振り回されるから。体力だけはしっかりとね」
「そ、そうですか・・・じゃあ、食事はなるべくしっかりとるようにします」
「あのテのタイプは喉を通らないくらい振り回してくると思うけどな」
「そうね。本音から話を聞く度に思っていたけど、やっぱり間桐君は鋭いわね」
「ども。じゃあオレ達はこれで。」
「ええ、またね」
「あ、はい。また」
で、一夏の部屋の前。互いに軽く手を振ると一夏が鍵を開けてノブを掴む。
「じゃあまた明日な」
「おう」
一夏がドアを開けると、中から有り得ない、そしてきいたばかりの声が聞こえる。
「お帰りなさい。ご飯にします?お風呂にします?それともわ・た・し?」
バタン。
「なあ雁夜。見なかったことには出来ないか?」
「・・・現実を認めろ」
「楯無先輩が何故か俺の部屋で裸エプロンで待ってた状況を認めるのはちょっとなあ・・・というかこれ夢だとしても絶対悪夢だろ」
言いながらドアを開ける。
「お帰り。私にします?私にします?それともわ・た・し?」
「選択肢がない!」
「あるよ、一択なだけで」
「世間一般ではそういうのを選択肢がないと言うんだよこの駄会長」
「むうっ。間桐君は厳しいわね・・・そういう男の子には・・・」
楯無の手がさっと動く。速い。と雁夜が思ったときには既に脇腹をつつかれ、くすぐったさにちょっとだけ飛び上がる。
「んなあっ!?ちょ、やめ・・・ぷっ、くはははははははは!」
「こちょこちょこちょ。そんな厳しい顔してても何も良いことないわよ~?」
「ちょっ、はははははっ!いや、じゃなくてははっ!そういう問題じゃないでしょうがぎゃはははは!嫁入り前の年頃の娘がすることじゃな・・・あーっははははは!」
「ああ、それもそうか」
「い・・・今頃になって気付いたのかよ・・・」
ようやくくすぐり攻撃が終わり、息も絶え絶えの雁夜が廊下にへたり込む。
「さて一夏君?私今日からここに住もうと思って来たの。あ、それからちゃんと水着着てるからご心配なく」
「いや、あの、ここ、一年生寮ですよ?」
「生徒会長権限」
「ま・・・マジかよ・・・いきなりワイルドのドローフォーって・・・」
「雁夜、俺、生徒会が大丈夫か心配になってきた」
野郎二人廊下で唖然としている。
ふと部屋の中を見やると、見慣れない荷物がしっかりセッティングしてある。どう見ても楯無の私物。
「はぁぁぁぁ……」
一夏は大きなため息をついて雁夜の隣にへたり込んだ。
近所のスーパーの人=番長。どんだけしゃしゃり出るんだあの人は・・・
むう。みんなオレの言うことを聞いてくれない・・・
では次回、act18 いざ、学祭へ!でお会いしましょう。
ちゃおちゃおー。