というわけで、ハザマさんぶっ込んじゃいました。
一応普通の人間ですので・・・
では本編をどうぞ。
「鈴お姉ちゃんかわいかったよね~、お兄ちゃん!」
「ああ、よく似合ってたな。雁夜君も美形だし、お似合いカップルじゃないかな?」
廊下を歩く一組の兄妹。
眼鏡をかけた普通の範疇内で整った顔立ちの青年と赤い中華風の上着を着た小学生ぐらいの少女。
言うまでもなく有間都古と志貴である。
「アレ?お兄ちゃん、なんかみんな体育館にむかってるよ?」
「ああ、そうだな・・・ちょっと済みません」
志貴が近くにいた茶髪の高校生に声をかける。
「何スか?」
「あの、何かあるんですか?」
「ああ、何でも生徒会主催の演劇があるんだとか。シンデレラで」
ふうん。と呟くと志貴は都古に顔を向けた。
「見にいくか?」
「うん!」
・・・・・
「ふ~っ。ああ、疲れた・・・」
「お疲れさん」
寮の玄関に腰掛けてスポーツドリンクを傾ける雁夜。隣で同じようにウーロン茶を傾ける鈴が労いの言葉をかけている。
「で、鈴は演劇見にいかねえの?」
「雁夜が行かないなら行かないわよ」
そんなことを話していると自販機の方から飲み物が出てくる音が二つ。
「まあ、演劇部が客全部持っていったからな」
「うむ。体勢を立て直すために店を閉めているのだから休憩しているわけだ」
コーラを美味そうに喉に流し込む切嗣とコーヒーを傾けるラウラもいる。
「しかし切嗣はあいかわらずのジャンク舌なのな」
「いいだろう?美味いんだから」
「アンタら相変わらず仲良いわね」
鈴が半ば呆れながら言うとラウラも一つ頷き、
「先人は『仲良きことは美しき哉』と語るからな」
「全くです、お友達は大切にしなさい高校生諸君?」
唐突に聞こえた聞き慣れぬ声に4人がそちらを向く。
「おっと失礼。ダブルデートの邪魔をしてしまったような気がしますが、まあ良いでしょう」
蛇のような印象を受ける男だ。仕立ての良い黒いスーツがよく似合う線の細い体付き、緑色の髪の上に黒い帽子を乗せている。
「IS装備開発企業『みつるぎ』渉外担当の狭間照美と申します。以後、お見知りおきを」
一礼する狭間だが、その所作からはどこか名乗りにそぐわぬ感覚を覚える。
と、そのとき狭間の懐から巻紙の声が聞こえてきた。
<悪の組織の一人だっつつーの!>
「ッ!?」
<ふざけてねえっつの!ガキが!秘密結社『亡国機業』が一人、オータム様って言えば分かるかぁ!?>
「・・・ち。ンだっつーんだよ・・・あのバカ女よオ・・・何で通信入ってんのきづかねえンだよ・・・」
それまでの慇懃無礼な振る舞いはどこへやら、粗雑な口調でブツブツ言う。
「オイオータム、通信入ってんぞ・・・ああ、ああ、そうだよ!クソッ!テメエのせいでこっちの段取りまでグチャグチャだ!次ヘマやったら俺もう手助けしねえぞ!」
一方的に通信を切る狭間。
「ああ、見苦しいところをお見せしました。改めまして『亡国機業』実働部隊の狭間照美と申します」
<鈴、先生を呼んできてくれ。切嗣は一夏のところへ。ラウラは退路を。コイツの相手はオレがする>
プライベート・チャンネルで3人に指示を出すと雁夜は片手で手招きする。
「おおかたオレの『円卓』が狙いなんだろ?」
「おや、よくお解りですね」
言って狭間はベルトにチェーンで繋いだナイフを取り出して右手に構える。左には普通のナイフ。
「じゃ、まあ、テメエら殺して専用機をブン取るとするか!」
瞬時に距離を詰めた狭間は蛇のようにしなる腕で斬撃を繰り出す。しかし雁夜も負けてはいない。ナイフを持つ手を狙い、巻き込むように振るう。
「おっと!」
「そらそらあ!」
左手をはねのけられ、少しだけ仰け反る狭間の脇腹を雁夜の後旋腿が捉える。
「ぐへぇあ!」
「『渦剄・纏』」
脇腹を押さえ、よろめきながらも立ち上がる狭間。
「っととと・・・いつつ・・・痛いですねえ・・・っと、ありゃ?後の3人いなくなってません?」
「テメエの相手はオレ一人で十分ってわけだ」
「へえ・・・こりゃまた随分と吹いてくるじゃねエか」
にい。と蛇のような笑みを浮かべる狭間。
「良いねエ・・・その分不相応な自信、良いねエ実に良い、ひゃはっ!行くぜ!」
「『渦剄・纏』から『六大開・頂肘』と『寸剄』同時発動、『金剛八式・掌錘』まで強制接続」
雁夜のコンボが狭間を捉えた。だが相手も紙一重で打点をずらして効果を減少させる。
「ってえ・・・なかなかどうして今時のゲーマー高校生にしちゃやるじゃねえか・・・」
「そっちこそ、運動不足の会社員とは思えねえな」
睨み合う二人。
そしてもう一度仕掛ける狭間。
「そらァ!」
「面倒だ、とっ捕まえてやる!」
左手首を掴み、固定する。続いて時間差で振るわれる右手のナイフを弾いてその手を掴む。そのまま腕をねじり上げる。
しかし狭間はそのまま腕をへし折られる愚を犯さない。
「ヒャッハーッ!空の旅へご招待だ!!」
「ガフッ!」
足技が役に立たないような零距離で放たれた直上に突き上げるような蹴り。それが雁夜の顎を捉え、そのまま打ち上げた。
「続いてこいつだァ!」
「ッ!?このヤロ、キャラ変わってんじゃねえか!」
右手でチェーンを鞭のように振るってナイフを操る狭間。迫る斬撃を身を捻って躱そうとする雁夜だが浅く肩を斬られる。
「あァん?何だオータム!」
唐突に狭間が通信機を取り出して怒鳴った。
「どーいうこったよ?あァ!?・・・3対1でボコボコにされたから『アラクネ』捨てて逃げ出しただァ!?・・・ちっ。わーったよ。IS複数機がかりで袋叩きじゃ生身の俺に勝ち目はねえ・・・ここらが引き際ってとこか?・・・ったく、絶句だよ。テメエホント手際わりいなオイ」
言うだけ言って通信を切る。
「では、少々口惜しくはありますがここいらで失礼させて頂きますね」
「逃げんのか?」
「生憎と私は進んで死にに行くようなバカじゃないですから」
言って狭間は敷地内の木々に向けて無造作にチェーン付きナイフを投げる。
「では、またお会いしましょう」
「おいおい、逃げられるとでも思ってんのか?」
雁夜の台詞にむう。と唇をへの字に曲げる狭間。
「さしずめあの眼帯少女が待ち伏せしていると言ったところでしょうねえ・・・いやはや困りましたよ・・・でもざーんねーん!もう手は打っちゃってるんだよなーあ!ヒャーハッハッハ!じゃあなクソガキ!今度はもちっと派手に殺し合おうや!」
チェーンを引っ張って木々の間に消えていく狭間。置き土産とばかりに投げつけられたスタングレネードに雁夜の感覚が狂わされる。
「・・・ち。こちら雁夜。切嗣、ターゲットを逃がした。そっちはどうだ?」
<同じく。ISの自爆に紛れて逃げられた。相手はコアを抜き取っていたからすぐには動けないだろうが、再起は可能だ>
「ノヤロあのスーツのどこにスタングレネードとかナイフとか隠し持ってやがったンだよ・・・。くそっ、いやな予感がしやがる・・・まさかあっちにも伏兵がいやがるのか?」
苦々しい表情でプライベート・チャンネルを切った雁夜が自身の予感が的中していたことを知るのはその日の夕食でのことだった。
雁夜の顎を蹴り上げたのはご存じ『蛇翼崩天刃』でございます。後、口調については単なる二面性って事でお願いします。ユウキ=テルミはいません。というかいてたまるか・・・
では次回、act21 後片付でお会いしましょう。
ちゃおちゃおー。