では、本編をどうぞ。
「好きに見てこいって・・・白木も無茶苦茶いうよ・・・」
どんだけ広いんだこの学校と呟いて白野は白木名義のチケットを仕舞い、周囲を見回す。
と、眼鏡の女性の前で豪快にキョドる茶髪の知り合いを発見。
「あ・・・弾だ」
面白がって様子を見ていると
「あっ、あのっ!」
「?何かしら?」
「い、良い天気ですね!?」
「そうね」
マッハで玉砕した。
膝を着きかねない勢いで落ち込む弾が不憫に思えたので、白野は軽く肩を叩いてやる。
「大丈夫だよ、きっとまた会えると思う・・・確証はないけどね」
振り向いて、泣きそうな声で白野ぉ・・・と、お前はなんて友達思いなんだという意味で言うが、次の瞬間、その声が怪訝に染め上げられる。
「って待てや白野」
「ん?」
「何で俺が玉砕した事知ってんだよ」
「ごめん、偶然見えたから・・・」
「ふざけんなあ!ダチにあれ見られたとか・・・俺もう生きていけんわ」
・・・・・
そんな白野達を見ている一対のレンズと一対の瞳。
「はは、賑やかだね」
「お兄ちゃんまだかな?」
言うまでもなく有間兄妹である。
と、しばらくしてから
「志貴さーん!都古ちゃーん!」
と、校門前の雑踏をかき分けて雁夜がやってきた。
「やあ、調子はどう?」
「滅茶苦茶繁盛してますね。そろそろ材料がやばくなってきたかも・・・」
「お兄ちゃん、サボりなの?」
む。と雁夜は眉根を寄せる。
「今は休憩時間だからな・・・サボってないぞ」
と、言い終わらないうちにトランシーバーに連絡が入ったらしい。
「は~いこちらステゴロ護衛執事・・・え?男子が切嗣だけじゃ追っつかない?あ~、わあった、わあったよ、オレが戻る」
「お兄ちゃん、もう行くの?」
「ああ、悪いな都古ちゃん。こっちも仕事なんだ。よかったら遊びに来てくれ」
と、雁夜は都古の手に学園祭のパンフレットを握らせる。
「それじゃ志貴さん、悪いけど失礼します!」
「ああ、しっかり働いてこいよ」
・・・・・
「ふぅ。とりあえず頼まれた分はこれで全部だ」
1年1組のバックヤードスペースでスチロールのケースを置いたのは灰白色の髪の青年、鳴上悠だった。
「んじゃま、またなんか入り用だったらいつでも電話しろよ、30分で届けてやんぜ」
鳴上に遅れて3つ重ねたスチロールケースを下ろすのは強面の男。ジュネスの配達係で鳴上が高校2年生の時からのつきあいの巽完二だ。
「請求は後で受け付けるから、終わったら陽介の方に連絡してくれ」
「ハイ、またよろしくお願いしますね」
一夏の礼に見送られて鳴上と巽は並んで廊下を歩く。
「ああ、ああ・・・分かった。ああ、すぐに行かせる・・・」
「先輩?仕事ッスか?」
「ああ、完二はすぐにジュネスに戻ってくれ」
「ウッス、先輩はしばらく見て回るんスか?」
「そうだな・・・仕事も入ってないし、悪くないな・・・」
というかだ。と言って鳴上が示す先には手持ちぶさたな様子の千冬がいた。
「見つかったら絶対に離してくれない」
「ハハ・・・じゃあ俺戻るんで、しっかり楽しんできて下さい」
「ああ、そうさせてもらおう」
そう言って巽と別れると、鳴上は千冬に軽く手を振って話しかけた。
・・・・・
「・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・なあ」
「・・・なんだ一夏」
「・・・どうした?」
「・・・どうしてこうなった」
男子3人の視線の先では・・・
「ふふっ。全く、お前も大変だな」
「・・・そうでもない」
何とあの千冬が緩みきった表情で談笑しているではないか!
「というかだ。鳴上さん、前はあんなに仲良くなかったと思うんだけど」
「ああ、なんでもな、高校時代は鬱陶しいだけだったのが何だか離れたら切なかった・・・とかで。ジュネス立ち上げで戻ってきたときなんか泣いてたぞ」
ほう。と切嗣は唸る。
「まあ、寄らば斬るような彼女にも気が許せる人間がいてよかったじゃないか」
「だな」
3人は顔を見合わせて苦笑した。
これは、襲撃の数刻前のことだった。
で、この1時間か2時間後に襲撃事件が起こるわけですな。
では。
ちゃおちゃおー。