まあ近所にゲーセン無いから結局ダメなんだけど!チクショオオオオオオオオオオ!
数値を見ては調整して、軽くスラスターを吹かし、違和感を感じて調整を行う。
何度かそれを繰り返すうちにどうやら自分なりにいいものになったらしく、雁夜は満足して息をついた。
「ふう。ま、こんなモンで良いかな?」
「雁夜ー!」
「おお、一夏か。どうだ?調子のほう」
「いや、よくわかんねえけど多分良いと思う」
そうか。と頷いて雁夜は高速機動用のセンサーバイザー兼防具という西洋兜を展開する。
「何かますます騎士ってカンジだな・・・」
「褒め言葉として受け取っとく。で、エネルギー分配はどうするんだ?」
「『雪片弐型』封印してスラスターに全振りだな」
「一応聞いとくけど攻撃されたら?」
「躱す」
「仕掛けるときは?」
「体当たり」
真顔で返ってきた返答に雁夜は思わず吹き出した。
「真剣に考えたのに・・・」
「まあウダウダ作戦考えるよりそっちの方がらしいだろ。オレも中盤まではスラスターと『全て遠き理想郷』に全部注ぎ込むし」
まあもっとも。と言って雁夜は肩をすくめる。
「展開にはエネルギーがいらねえから『転輪する勝利の剣』は使うけどな」
「そうか。じゃあお互い頑張ろうぜ」
「おう、てめえにゃ負けねえからな」
一夏を見送ってから試しに全力で吹かしてみる。
「ぅおっ!はええなこりゃ・・・超音速とはよく言ったモンだ」
と言うか計器は明らかにマッハの世界にいる事を示している。
「旋回は・・・体を捻る勢いで強引に出来るし、そうでなくてもいくらでも方法はある、減速は・・・うし、思った通りに動くな。調整はこんなモンでよしかな」
雁夜は一息ついて西洋兜をとると、汗ばんだ頭を軽く振って蒸れた空気を振り払った。
・・・・・
一方の切嗣は既に調整を終えており、やはり実際に高速戦闘の実習を行うのみとなっていた。
と、そんな切嗣にラウラが近付いてきた。
「?どうしたんだい?」
「切嗣はどうするのだ?」
「『キャノンボール・ファスト』用の調整かい?そうだな、敢えて言えることがあるとすれば・・・念のためにロックをかけてある予備のエネルギーを機動力に回すかな?」
「言えないところは?」
「4倍速」
なるほど。と頷いてラウラはそう言えば。と中央タワーに視線をやる。
「そう言えば一夏が山田先生と模擬戦をすると言っていたな」
「そうなのかい?じゃあちょっと見せて貰うとするか」
二人がハイパーセンサーで拡大している視線の先で一夏と山田先生が急加速した。どうやら始まったようだ。
・・・・・・・・・・・・ちゅどーん!ぐえっ。
「終わったな」
「ああ、動きが直線的すぎる。雁夜あたりなら体を捻って強引に手榴弾を躱すだろうな」
「そういう切嗣ならどうする?」
「撃ち抜くか、進行方向をずらすかの二択かな」
ラウラはやっぱり『停止結界』か?と切嗣が水を向けると、ラウラはそれだと呟いて長身の切嗣の顔を見上げた。
「前々から気になっていたのだが、何故お前達二人は『AIC』ではなく『停止結界』と言うのだ?」
「ああ、それ?魔術師だからかな。あと何でも停止させる3層の結界を扱う魔術師もいたらしいから、そのイメージかな」
さてと。と切嗣は体の筋を伸ばしながらセンサーバイザーを付けた。
「それじゃあ実戦テストにするか・・・ラウラ、付き合ってくれるかい?」
「ふっ。経験の差を教えてやろう」
そう二人は言葉を交わし、そして同時に急加速を行った。
・・・・・
かくして『キャノンボール・ファスト』当日がやってきた。
「えっと・・・俺の席はどこだったかな・・・」
一年生専用機持ちの部が始まる前に見つけてしまおうとあたりをきょろきょろ見回す志貴の肩にどんっ。と言う震動が走った。
「っと。すいません」
「いえいえ。お互いケガがなくてよかった。では私の席はまだ向こうのようですので、失礼させて貰いますよ」
「ああ、どうぞ」
ちょっと歩き、何気なく志貴が振り向いてみると、そこにはもうさっきぶつかったスーツの男はいなかった。
荒耶だ、取り乱しちゃった・・・っと、寒いですね。でも取り乱したのは事実。テスト且つ受験生にアークゲーの新作はキツイ!まあ、それはそれとして。
今回短かったですねえ。つなぎって意味もあったんですけど。
では次回、act24 高速世界でお会いしましょう。
ちゃおちゃおー。