IS/stay scape   作:昆布さん

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しっかしなんですかねえ・・・この行事乱入率・・・すっげえ勢いで潰されてやがるぞオイ・・・


act24 高速世界

「おー、よく晴れたなあ」

空を見上げて一夏が呟くと、隣で入念に筋を伸ばしていた雁夜も頷いて

「まったくだな。洗濯物もさぞかしよく乾くだろうよ」

と返す。最後に切嗣が

「何にせよ、天気が良いと気分も明るくなるもんだね」

と、唇の端を上げて笑んで見せた。

「ところで、オレは志貴さん呼んだけど、お前ら二人は誰を呼んだんだ?」

ひとしきり柔軟体操を終えた雁夜が軽く飛び跳ねながらきくと

「俺は蘭を呼んだぞ。こないだシャルと買い物行ったときに偶然会ってさ、その時にチケット渡しといたから」

と一夏が答える。切嗣の方も答えたのだが

「生憎と呼ぶ相手がいなかったので僕の分はラウラにあげた」

というものだった。それをきいた雁夜は一つ頷いて

「それで客席に眼帯が二人いるのか」

と、客席を見ながら呟いた。と、

「何だ、3人ともこんなところにいたのか」

「探したぞ」

聞き覚えのある声が二つしたので振り向いてみると

「おう、箒。いやなに、すっげー客入りだと思ってな」

「ラウラか。ちょっと準備運動をね、じゃあ行こうか」

雁夜とラウラを伴って切嗣がその場から退去すると、すぐに後ろから

「いてててっ!?」

と言う一夏の悲鳴が聞こえてきた。

「ああ、こりゃ耳引っ張られてるな」

なんとなく呟く雁夜であった。

 

・・・・・

 

「へえ、あの二年のサラ・ウェルキンってイギリスの代表候補生なのか」

「そうですわ、専用機はありませんけど、とても優秀な方でしてよ」

ふと、一夏とセシリアの会話を聞きながら兜を磨いている雁夜の頭を棚上げにしていた疑問がよぎった。

「仕掛けてくるかな・・・『亡国機業』」

「ああ、恐らく」

何気なく口にした疑問に切嗣は短く答える。答えを聞いた雁夜は思いきりため息をついてだーっと仰け反った。

「やべーよチクショー、オレぜってえ目ェ付けられてる、十中八九あの狭間ってヤツに目ェ付けられてるよ」

緑の髪の向こうから覗く爬虫類を思わせる金色の瞳。思い出すだけで薄気味悪さに全身が総毛立つ。粘つくような口調が神経に障る。要するに雁夜は狭間のことを天敵同然に考えているのだ。

「まあ、いつ来るかは分からないが、それまでは頭の隅に置いとくだけにしておけ」

あ?と身を起こして怪訝そうな声を上げた雁夜に切嗣は

「折角のイベントだからな」

と言ってニヤリと笑った。

「ああ、そうだな。しかし鈴、お前の拡張装備、何かゴツくねえ?」

「ふふん、いいでしょ。完璧『キャノンボール・ファスト』仕様よ、最高速度もセシリアに引けをとらないんだから」

増設スラスター4基+体当たりも出来そうな胸部追加装甲、真横を向いた『衝撃砲』と、明らかにレース向けの取り合わせを見て雁夜は本当にそうらしいと内心で頷く。

「けどま、射撃による妨害は通用しないし、オレだってそこそこ行けると思うぜ」

そういう雁夜はエネルギー配分の調整による急ごしらえの高機動仕様、見た目の変化と言えば普段は『拡張領域』にしまってある『全て遠き理想郷』を腰部に常時展開、そこに『転輪する勝利の剣』を収めている。

「何だっけ?結界による擬似的な球体形成作戦だっけ?」

「げ、バレてる・・・」

バレバレよ!言って笑う鈴に雁夜はムキになって

「べっ、別にバレてようがカンケーないね!要はやり方だろ!結界があるから射撃は一切きかねえからな、エネルギー系は全部消し飛ぶぜ」

と返した。

 

・・・・・

 

『それでは皆さん、一年生の専用機持ち組のレースを開催します!』

アナウンスが鳴り響き、緑のシグナルが見える。

3・・・兜の向こうで雁夜の目がすっと細められた。

2・・・切嗣の右手が愛用のコンテンダーを強く握りしめる。

1・・・緊張に一夏の喉がゴクリと動く。

ゴー!

 

・・・・・

 

 

急激なGが一瞬意識を持っていきそうになるが、こらえてセンサーの補助で鮮明に映る世界を見る。

(セシリアが前に出たか・・・)

順当だ。機動力で言えば『紅椿』の方が上だろうが、経験値で言えばセシリアの方が前にいても何らおかしいことではない。

「一夏お先!」

第一コーナー。鈴が一気に前に出る。『衝撃砲』を連射してセシリアの回避行動を誘い、隙を突いて急加速、一気に抜き去って先頭に躍り出た。

しかしその後ろにはラウラがピタリとつけている。そしてそのまま追い抜き、トップはラウラ。切嗣達の感覚で言えば、ランサーが『風王鉄槌(ストライク・エア)』を追い抜くようなものだ。

「さてじゃ、仕掛けますか!」

『全て遠き理想郷』、起動。ガンメタルブラックの装甲が黄金色の球体に包まれる。

AAAALaLaLaLaLaie(アアアアララララライッ)!!」

気合いを入れて突撃するときはやはりこれに限るとばかりに雁夜の喉から裂帛の気合いが迸る。

擬似的な球体を形成することで空気抵抗を減らし、スピードを増した雁夜が牽制射撃をすり抜けてラウラに肉薄する。

後ろでも一夏と箒のバトルが勃発しており、漁夫の利を得ようとする切嗣はシャルロットの弾丸に足止めを喰らいながら自身も応射している。

「よっしゃあ!これで・・・」

あと一息でトップに躍り出るというところで雁夜の目が小さく見開かれた。

―――不明機によるロックを感知。

「避けろラウラッ!」

叫ぶのが速いか、レーザーが結界と干渉し、大袈裟な火花を散らすが速いか。

「ぐおっ!?」

ダメージはない。が、奇妙な既視感を感じて上空を振り仰ぐと、そこには蒼がいた。

「ぐぁっ・・・!」

雁夜が敵を視認したと同時にラウラが被弾し、コースアウト。

「BT試作2号機『サイレント・ゼフィルス』・・・お出ましか・・・『亡国機業』!」




切嗣の招待券は基本流れる方向で。眼帯の数がラウラに流れた券の数・・・です。
では次回、act25 強襲でお会いしましょう。
ちゃおちゃおー。
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