ゲーセン難民なオレは大変悲しい・・・辺鄙すぎる・・・。まあそれは置いときましょう。
では、本編をどうぞ。
「あ、すいません、そこ置いといて下さい」
織斑家の玄関。時間は大体4時半。
雁夜に言われて、ハニーブラウンの髪の青年がよっこらせと段ボール箱をおろした。
「いつもえこひいきあんがとよ」
そういう青年は花村陽介という。何でも高校時代からの親友と組んで始めた店が繁盛したとかで、20歳半ばでありながら『スーパーマーケットジュネス』の敏腕店長として近所の有名人になっている。
「すいませんね苦労かけて」
「いやいや、いつもひいきして貰ってるからな、お得意さんにはサービスを欠かさない!それがジュネスのモットーだ」
端末を叩きながらそう言う花村店長。彼は顔もよく、子供受けする陽気な性格とお客様は神様を信条とする剛毅さ、ついでに元全国レベルのスプリンターというネームバリューによって大成した、超絶早咲きな男なのだ。
「エブリデイ・ヤングライフ・ジュ・ネ・ス~っと。ほい、こんだけな」
「あざっす」
支払いを終えると花村店長は帰りしなに
「ところで一夏だけどさ、気をつけないと刺されるぜあいつ」
と忠告していった。
「わーってますよ」
加害者になりそうな面々―箒、セシリア、シャルロット、後最近は楯無やのほほんさんも上がるようになってきた―を脳裏に思い浮かべて雁夜は苦笑を一つ漏らした。
「さてじゃ、さっさと台所にコイツを運びますか」
・・・・・
前もって自室に隠しておいたダブル●ー●アンタのプラモデルを取り出し、雁夜は部屋を出た。
本来ならばリビングで済むはずだったんだが、異常に参加人数が増えたことで、衛宮邸からテーブルを拝借し、庭でパーティーをすることになったのだ。
「なあ切嗣、お前何用意したんだ?」
「秘密。ということにさせて貰うよ」
運んできたテーブルを設置しながらカリギリコンビは無駄口をたたき合う。
余談ではあるが、一夏と雁夜がいっしょにいるときに切嗣はイチカリコンビと呼び、一夏と切嗣がいるときはそれを一切コンビと雁夜は呼んでいる。センスはないが、まあ、腹いせのような物だ。
「ほい、テーブル設置完了。他はどうだ?」
「ちょっと待ってろ・・・ラウラ、キッチンの方は?」
<大体終わっている、いつでも持って行けそうだ>
良し。と頷く切嗣。雁夜はそれにポツリと
「事後処理、速くおわんねえかなあ・・・」
とだけ返した。それが何のことを指すのか、切嗣は十分理解している。
「千冬さんなら大丈夫さ、きっと手早く終わらせて、みんなが帰る直前にやってくるさ。じゃなきゃそうだな・・・鳴上さんを引っ張り出して飲みに行くかな?」
違いねえ。と苦笑を返す雁夜。
時間は4時55分。パーティーまであと5分だ。
・・・・・
「せーの・・・」
「一夏、誕生日おめでとう!」
ぱん。ぱん。ぱん。赤い色は既になく、頭上には濃紺の絵の具をぶちまけたような色。そんな空に一斉に鳴らされたクラッカーの音が響いた。
「お、おう、サンキュ・・・けどこの人数は一体・・・」
パーティーの開始に先立ち、ちょっとこの場にいる面々をリストアップしてみよう。
まずいつもの面々。箒、シャルロット、セシリアに、間桐夫婦と銃撃カップルで7人。
それに男友達の五反田弾と御手洗数馬、弾の妹の蘭で3人。
後生徒会メンバー3人に何故かいる黛先輩と雁夜が呼んだ有間兄妹で6人。
それに一夏を加えて現在織斑家の庭にいるのは総勢17名。
人数に軽く退いている一夏の肩をばむばむと叩き、雁夜は朗らかに言う。
「まあまあ、こんな大勢に祝ってもらえるんだ、良いことじゃねえか!」
あ、これプレゼントな。と付け足してガ●プラを手渡す雁夜。
「あんがと。また今度作ってみるわ」
プラモの箱はかさばるのでとりあえずテーブルに置いておく。
と、そこに蘭がやってきた。
「あ、あの、一夏さん!け、ケーキ焼いてきましたから!」
「おお。今日どうだった?楽しめたか?・・・っつっても途中で滅茶苦茶になったけどよ」
「は、はい!志貴さんにちょっと助けて貰いましたけど・・・あの、格好良かったです!あっ、ケーキどうぞ」
「へえ、チョコケーキか。サンキュ」
もむもむとケーキを食べる一夏。蘭は感想はまだかと待ち構えている。
「うまいなー、蘭一人で作ったのか?」
「は、はい!」
「蘭って料理上手だよな。いいお嫁さんになりそうだ」
「しまった、ここにも犯人いたじゃねエか・・・」
脳裏に再生されるのは花村店長が去り際に残した刺されるという言葉。
「はい一夏。ラーメン」
「おわっ!?鈴、いきなりだな」
「できたてだからおいしいわよ。麺から手作りだし・・・あ、食べたら感想聞かせてね」
「おお、今度雁夜に食わせるのか?」
おいしそうな湯気を立てるラーメンを見ながらそうきくと、鈴の顔が真っ赤に染まった。どうやら図星らしい。
「むっ、鈴さん・・・」
「あ。蘭じゃない。どう?ちょっとは背伸びた?」
「あ、あなたに言われたくありません!」
「・・・なんでこの二人仲良くしないんだ?」
麺をすすりながら雁夜に尋ねる一夏。
「喧嘩するほど仲が良いんだよ。いや、違うか。姉貴に張り合う妹・・・ってとこか?」
と、台詞の最後で(まあ元々は、あれがあるまで鈴もお前に惚れてたからだけどな)という言葉を省略する。省略しておいて何だか腹が立った。
「フンッ!」
すぱあん!丼を置いて一息ついたところで一夏の後頭部を雁夜のツッコミ平手が襲った。
「何すんだよ・・・」
「無性に腹が立った!」
「はぁ?」
言い合いながら食べ終わった丼をキッチンに持っていく一夏。それを見送った雁夜はムスッとした顔で
「鈴、オレにも今度作ってくれ」
と言うのだった。
・・・・・
一夏にくっついた楯無を引きはがそうとセシリアが騒いでいる。その後右腕をケガしたという理由で、一夏にケーキを食べさせて貰うセシリア。慌てて割り込むシャルロット。その様子をケラケラ笑いながら見ている志貴と、何とも言えない修羅場の臭いにちょっとだけすくむ都古。
「切嗣」
「なんだい?」
そんな様子を少し離れたところで眺めるラウラがポツリと呟く。
「その・・・何だ・・・私はこういうのは初めてなんだが・・・何というか・・・うむ、悪くないな」
そうかとだけ返すと切嗣は少し待っていろと言い残してラウラから離れる。
しばらくして戻ってきた切嗣の両手にはケーキの載った皿が二つ。
「いっしょに食べるかい?」
「そう・・・だな・・・そうしよう」
二人並んで喧噪の様子を眺めながら、ケーキを食べる。
「じゃあ、食べたら僕らも交ざろうか」
頷くラウラの仕草が何だか子供っぽくて、いつも大人びた印象を与える彼女のそんな様子に切嗣は少し顔を赤くした。
・・・・・
「うぅ~・・・くそう。どうにか仕事が終わったと思えばあいつらめ・・・私を置いて騒ぎ出すとはどういう事だ・・・」
アルコールが入ってきた千冬は不機嫌モードをどんどん加速させていく。
「千冬、さすがに飲み過ぎじゃないのか?」
突然の呼び出しに応じてやってきた鳴上の頬を嫌な汗が伝う。
「よし、付き合え鳴上!今日はとことん飲むぞ!」
「・・・陽介も呼ぶか?」
少しでも自分に降りかかる負荷を軽くしようと提案するも、あの千冬にアルコールで上気した頬を緩ませて
「いや、お前がいればいい」
何て事を言われた日には折れざるを得ないだろう。
「はぁ・・・程々にな・・・」
普段とのギャップの破壊力に押し流される鳴上なのだった。
・・・・・
雁夜は少し前に飲み物を調達にいった一夏を追いかけて夜道を歩いている。
最寄りの自販機まではそんなに時間はかからないので、のんびり歩いても一夏がコインを投入している間に追いつくだろう。一人で17人分の飲み物を調達しに行くとかどんな無茶振りだとぼやきながら夜道を進む。
「・・・ん?一夏と・・・誰だあの女の子?」
自販機の照明に浮かぶ一夏の姿。大量の缶やペットボトルを抱えた彼の視線の先には少女の姿。
「おまえ、『サイレント・ゼフィルス』の・・・」
「そうだ」
息を呑む一夏の姿。なにやら剣呑なところに出くわしてしまったらしい。
(・・・ンな事はどうだっていい、あいつ、何で・・・)
「そして、私の名前は・・・」
明かりの中に踏み込んだ少女が口を開く。
曲がりなりにも10年ほど共に暮らした姉貴分と同じ目、眉、邪悪な笑みを浮かべる口元も見覚えのある彼女と同じもの・・・
(千冬さんにそっくりなんだ!?)
「織斑マドカ、だ」
唐突に突き出されるハンドガン。引き金に乗った指が・・・
「私が私たるために・・・」
トリガーを引き絞る。
「お前の命を貰う」
状況が分からないなりに焦り、『円卓』を呼び出しながら踏み込む雁夜の目の前で、一夏に向いた銃口から、
乾いた銃声が一つ。
番長がいたらそりゃあガッカリ王子も出ますわな。というか出します。というか出しました。後で完二も出てきますよ~・・・わぁい、豪華な人選。IS/ssのジュネスは凄い(震え声)。
次は蟲さんがご登場です!
では次回、act27 魔術でお会いしましょう。
ちゃおちゃおー。