IS/stay scape   作:昆布さん

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P4Aの再放送録ってみてます。
クマが可愛くて死にそうになる俺がいる。
近所のタイトーステーションにもP4Uがない・・・後もう一軒近くにゲーセンがあるけど、ここになかったらもうダメだ・・・かなり切迫したゲーセン難民のオレ・・・
では、本編をどうぞ。


専用機持ちタッグトーナメント編
act28 家族(ファミリイ)


「・・・・・・」

視界がぼんやりする。

夢か現か意識は虚ろ。

とりあえずそんなぼんやりした意識の中で彼は呟いた。

「・・・なんか、デジャヴ」

医務室を見回した雁夜ははぁ。とため息を一つ。視界に入った日めくりは28日、当然月曜日。デジタル時計は午後11時。

「また無茶したなあ・・・精神的に見りゃもう無茶も利かないってのに・・・」

若い体って得だな。などという事を呟きながらとりあえず上体を起こす。と、脚の上に重みが一人分。

「・・・鈴」

授業が終わってからずっといてくれたんだろうか?疲れ果てたように眠りこけている姿に少しだけ罪悪感。

「情けねえ・・・」

護ると誓ったのにこのていたらく。穴があったら自殺して死体を1ダースぐらい放り込みたい。その上で忘れ去られた都市伝説になって欲しい。

「まあでも、オレの事なんて今はどうでもいいか」

す。と鈴の頭を撫でてやる。

「ありがとな」

不思議とガチガチに固まった気持ちがほどけていく。ふ。と笑みを浮かべて雁夜は鈴の寝顔を見つめていた。

「・・・可愛いな・・・」

口をついて飛び出した言葉に一人静かに赤面していると、欠伸がこみ上げてきた。

「ふぁぁ・・・まだ疲れてるのか・・・じゃ、まあ、お休みなさい・・・だ・・・スゥ・・・」

 

・・・・・

 

あれから更に丸1日寝ていたらしい。

「・・・な、なあ、晩飯、食った・・・?」

「・・・ま、まだよ・・・雁夜のことが心配で、ずっといっしょだったんだから・・・」

とりあえず快復したので食堂で夕食でも摂ろうかと思う雁夜なのだが、先程うっかり鈴と目が合ってしまった。しかも頭を撫でている途中で寝オチしてしまって、その後同時に目を覚ましたのだ。二人とも顔が真っ赤で、マトモに顔を合わせられない。

「お。雁夜ー!」

いつの間にか食堂に着いていたらしい。雁夜達の間に漂う微妙な空気を全く気にしない一夏の声がした。いつもどおり雰囲気が読めない一夏クオリティ。

「まあ、なんだ。相席させて貰うか」

「このままだんまりが続いたらどうなるか分かんないし、ま、いいわよ」

と、一夏のところへ行くと意外や意外。同席しているのは切嗣とラウラのみ。

「オイ、いつもの3人は?」

「今日はいない。と言うか怒ってパスした」

怪訝そうに眉を寄せる雁夜に切嗣が答える。

「・・・お前そのうち刺されるぞ?」

「うるせえ。掌に風穴開けられたくせに」

そんな一夏の反撃にお前は背中だと返す雁夜。

「はあ。まあそんな当たり前の話は置いといて」

雁夜の話題転換に鈴が置いとくんだ。と呟く。

「今度は何やらかしたんだ?」

「いや、やらかしたっつーかな。・・・今度全学年合同でタッグトーナメントをやるそうなんだけどさ、楯無さんに妹と組んでやってくれって頼まれちゃってさ。なんか姉妹仲も不仲らしいからなんとかしてあげたくなったんだよ」

「というわけで4組の簪という奴に組んでくれと頼み込んだそうだ」

一夏の後を継いだラウラの解説。ここまでくれば雁夜達にも大体の想像はつく。

「つまり過程を全てキングクリムゾンして説明した結果箒達を怒らせた・・・と」

「あ、ああ。しかしなんだ。楯無さん、何かしおらしかったな・・・」

これを聞いた一夏観察組の感想は綺麗にまとまっていたそうだ。後日聞いて曰く

((((あ、これまた旗建てたな))))

「・・・と。それは脇に退かすとして。許可が出るならオレは鈴と組もうかな。良いか?鈴」

「いいわよ。やっぱ切嗣はラウラと組むの?」

「そのつもりだ」

と、早くも陰で間桐夫婦とか衛宮夫婦とか言われるコンビが結成されたわけなのだが、

「今回のタッグトーナメントだけどよ」

ふと雁夜が呟く。

「どこぞの唐変木と同じ血液型の雨が降るぜ」

切嗣達は厳粛な表情で頷いたが、一夏だけは?マークを浮かべていたとさ。

 

・・・・・

 

「・・・げ」

夕食を少し控えめに、ついでに比重的にホウレン草多めで鉄分を摂取した雁夜は先に戻ると言って一人、ハンドポケットで自室に向かっていた。

そんな雁夜の背筋を嫌なモノが這い上がる。

日常であればハンドポケットのままで大抵の危機を乗り越えることが出来る雁夜なのだが、そんな彼が思わず手を引き抜いて障壁を張ると、隣のドアから五発ほど弾丸が吐き出された。

「・・・うげぇ・・・」

幸いにしてゴム弾だったのか全弾咄嗟に張った薄めの障壁で防げたが、反動で思いっきり壁に叩き付けられる。

「痛づづ・・・」

誰かが一夏を待ち伏せしていたらしい。そう言えば悪寒というかなんというか、そんな物を感じる直前に何か引っかけたような・・・ついでに実弾・・・

「なあ、シャルロット、怒ってないから出てきてくれるか?」

微妙に貧血気味の覇気のない声でそう言うと、

「わわっ、ごめん雁夜!大丈夫だった!?」

予想したとおりの人物が一夏の部屋から出てきた。

「あのなあ・・・いくらタッグ組んでもらえなかったからって襲撃はさすがにどうかと思うぞ?」

数が少なかったので咄嗟に躱したと言っても通るだろう。ちょっと腕が痺れたのは事実だし、まあ、掠ったぐらいに捉えてくれたようで少しほっとする。

「う・・・だ、だって・・・」

「だってじゃねえっつの。切嗣なら即座にピンホールショット決めてくるぞ?」

はあ。と一息ついて、雁夜はやってきた軽い目眩を頭を振って振り払う。

「じゃあアレだ。箒とセシリアにも伝えとけ、トーナメントまでアリーナと実習以外でIS使ったら剄罰だ・・・ってな」

「剄罰・・・?刑罰じゃなくて?」

大体合ってるから良いんだよと言って雁夜は空中に向けて軽くジャブを打ってみる。

普段に比べてキレがないが、しかしそれでも意図(つまり内臓一発)は伝わったらしく、シャルロットは乾いた笑いを残してそそくさと残り二人に伝えに行った。

「っとと・・・早いとこ戻って休もう・・・」

部屋に戻って息を大きく吐く。

「~っと、確かここに・・・お、あったあった」

少しだけ空腹感が残っていたのでプルーンを食べて眠る。

(そうだ・・・またなんかあるといけないから結界張っとこう)

明日からの課題を見つけた雁夜はゆっくりと眠りに落ちていった。

 

・・・・・

 

家族。そう言われて真っ先に思い浮かぶ顔が二つ。

物心ついたときからいっしょにいて、育ててくれた大切な姉と、兄弟同然に暮らしてきた親友兼居候。

なんとなくベッドに寝転がって一夏はそんなことを考えていた。

「はあ。家族って意外に大変なモンなんだな・・・」

思えば周りには特殊な家庭環境の人間ばかりいるように思う。

(って、俺も人のこと言えないか)

そう思うと無意識に弾や白野と比べてしまう自分がそこにいる。

「ま、うだうだ悩んでてもしょうがないな」

今はとりあえず楯無の頼みを聞いて、後、出来れば二人の仲も取り持ってあげられたらと、そちらの方に意識を集中させるべきだ。

とはいっても、頭の片隅で考察が続く。

さて、楯無も収まるところには収まると言っていたが、では自分は誰と結ばれるのだろうか?

と、そこまで来て記憶がフラッシュバック。

まだ同室だった頃、箒とシャルロットの二人とそれぞれ大変なハプニングを起こした。

あと、臨海学校では二人と、セシリアの水着姿にクラッと来たりもした。

(―――――!!!!!)

思考回路が一瞬で焼き切れる。連続して想起したそれは健全な16歳には少々刺激が強かったのかも知れない。

 

・・・・・

 

夢を見た気がする。

いつもの怨嗟とは違った夢。

―体は剣で出来ている。

―体は剣で出来ている。

そこにいるのは見覚えのある見知らぬ青年。

――血潮は鉄で、心は硝子。

――血潮は鉄で、心は硝子。

赤銅の髪と白髪の二人の姿がダブって見える。

―――幾たびの戦場を越えて不敗。

―――幾たびの戦場を越えて不敗。

赤銅はどこかまぶしく見えて、

――――ただ一度の敗走もなく、

――――ただの一度も敗走はなく、

白髪にはどこか寂しさを覚える。

―――――ただ一度の勝利もなし。

―――――ただの一度も理解されない。

二人の顔は逆光で見えない。

――――――担い手はここに独り。

――――――彼の者は常に独り。

ただ、やはり知っている気がする。

―――――――剣の丘で鉄を鍛つ。

―――――――剣の丘で勝利に酔う。

ただ、寂しげな二つの詩だけが響く。

――――――――ならば我が生涯に意味は不要ず。

――――――――故に、その生涯に意味はなく。

そこは見覚えのある和風の屋敷。いつか見たときより綺麗な庭には土蔵が一棟。

―――――――――この体は、無限の剣で出来ていた。

―――――――――その体は、きっと剣で出来ていた。

綺麗な月が天に昇っている。

知らず知らずのうちに、彼はその名を呼んだ。

――!

赤銅の青年はベージュ色をした学ランの裾を翻して振り向き、白髪の男は赤い外套を少しもゆらすことなく顔だけをこちらに振り向ける。

ああ、やはり。と思う。

穏やかな眠りを与えてくれた家族。ああ、彼も含めて4人いっしょに。何故いっしょになれなかったのだろうか。

ふと、呼ばれたような気がして、彼は振り向く。

毎日見ている銀髪の少女。

二人の青年に顔を向け、すまない。と言うと、赤銅は困ったように、白髪は皮肉げに笑った。

彼は、銀髪の少女の方へ歩いて行く――

 

・・・・・

 

「・・・家族・・・か・・・」

覚醒した意識。鮮明に覚えている夢。

想起した者達。

妻がいた、娘がいた、血の繋がりはないが息子もいた。

あれは、短い時間だったが、かけがえのない家族だったのだと思う。

身を危険にさらしてまで自分を待っていた父がいた。母親代わりの先生がいた。

二人は自分を育ててくれた大切な人だった。

だからこそ封印する。

ロクでもない科学者だったが、それでも自分を気にかけてくれて、力を遺して逝った父がいた。幼い頃に死んでしまったが母もいた。そして護りたい大切な人。

どちらも大切だから、今を大切にしようと思う。

取り戻せないものを追うのではなく、今あるものを抱えて生きる。

「・・・家族・・・か・・・」

もう一度呟く。時刻は午前2時半。

切嗣の意識は再びゆっくりと眠りに落ちていった。




クマが強い!カッコイイ!影クマが怖い!・・・とまあそれは置いといて。
今回アレが出ました。
こんなこと言い切れる奴は壊れていると思う一方、カッコイイと思う俺がいる。
I am the bone of my sword.
では次回、act29 腐心と不審でお会いしましょう。
ちゃおちゃおー。
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