後今回クソなげえですね。適度な字数に揃えるのが難しい・・・
ちなみに俺の思う適度な字数は3000字前後です。
では、本編をどうぞ。
『レーゲン』のレール砲が火を噴いた。
「なんだコイツは!」
「無人機・・・らしいな」
人間が乗っていては出来ないような動きで弾丸を躱す敵に切嗣はそう判断を下す。
「クラス対抗戦の邪魔者の発展型か?」
雁夜に見せられた戦闘記録を元にそう結論づけると、右手にコンテンダーを、左手にナイフを展開する。
右腕の大型ブレードで斬りかかる無人機。
「切嗣!」
「くっ・・・速い!」
身を捻って躱そうとするも、半瞬の差で頬が小さく裂ける。
「ッ・・・顔にあんなものが当たれば死ぬのは当たり前だろうに・・・何故絶対防御が発動しない?」
僅かに掠めたのが切っ先であったことに安堵しつつも切嗣の顔からは怪訝な色が消えない。
「ラウラ、ステータスを調べてくれ!」
「分かった!」
斬撃を斬撃でいなし、受け、殺す。頬を伝う血が顎から落ちるよりも先に、ラウラの驚いたような声が届いた。
「切嗣!どうやら敵はジャミング機能を持っているようだ、『絶対防御』が発動しない!」
「何イッ!?」
驚きに小さく目を見張る切嗣。しかし左腕はまるで別の機械であるかのように稼働し、正確に敵の斬撃を弾く。
(いくら装甲があるとは言え、下手に喰らうわけにはいかないか・・・ならば・・・)
と、その瞬間、ナイフをすり抜けて斬撃が頭頂部に迫ってきた。
「危ない!」
「障壁防御!」
魔術障壁によって大型ブレードによる斬撃を受け止め、コンテンダーを突きつける。後はこの至近距離から『強制解除弾』を・・・
「ッ!」
「避けろラウラ!」
ラウラに向けられる左手の砲口。そこから迸る大熱量のビームを受け止めるべく、切嗣は射線に自らを割り込ませた。
「魔術障壁最大展開!」
迸るビーム。そして衝撃。
「ぐうッ・・・!」
切嗣の口から漏れる苦痛の呻き。しかしその手は動かず、壁になったままだ。
「僕はもう、喪うのはごめんだ・・・」
切り裂くような痛みを伴う呟き。それに左手の装甲が僅かに反応した。
「もう誰も喪わない、奪わせない。世界だろうが何だろうが、聖杯だって関係ない。他の何を敵に回したって構わない!」
切嗣の視界がぶれる。右側の視界はそのままに、左側が変わり始めた。
「例え世界が敵に回っても、僕は僕の大切な1を護る!それが僕の正義、僕の目指す本当の・・・『正義の味方』だ!」
(それが・・・アンタの出した答えか)
左側の世界から、そんな声が聞こえた。
朱。燃えさかる炎。無数に突き立つ剣の丘。そして、空の半分を占領する歯車。
ああ、そうだ。青くなったかも知れないがね
切嗣がそう答えると、赤銅が言う。
(いや、それを言ったら俺はもっと青いと思うけど)
(ふん、根っこのところはみな同じか)
白髪の答えに皮肉気な笑みを一つ返すと切嗣は続ける。
で、二人は本当に士郎なのか?
(ほう、よく分かったな)
と白髪の士郎が言い、
(いや、前振り向いてたろお前)
と赤銅の士郎が言う。
(じいさん、今度は諦めないか?)
当たり前だ。
赤銅の士郎に答えると、白髪の士郎は皮肉っぽく問いかける。
(では、俺になるつもりは無いと?)
無い。英雄になったって、好きな人を裏切るのなら、そんな正義に意味はない
この世界で暮らした15年ちょっと。そこで得た記憶とかつて得た後悔。それが今の答えを作り上げた。
(ふ。ほんと、今のアンタとイリヤと、3人で暮らしたかったよ)
いつの間にか、赤銅の士郎が消えている。
ふふ。確かにな・・・士郎とイリヤとアイリと舞弥、それから僕。平和に暮らせたらどんなによかったか・・・
(でも、駄目だった)
ああ。駄目だった。それに僕はもう、こっちで護りたい人を見つけたからね。
そして、切嗣はまっすぐに士郎を見る。
士郎、お前の力を貸して欲しい
答えはなかった。ただ、左目の景色が戻っていくのが分かる。
そして、左手に宿る新しい武装。
「(『
士郎の声が頭に響く。力のこもった強い声。切嗣はそれに被せるようにその名を呼ぶ。
気付けば大仰な装甲が消え、すっきりしたボディアーマーと黒い外套を纏っていた。
「(『
展開される七枚一組の盾。花弁を模したそれが熱線を消し去った。
「切嗣・・・その姿は?」
「ああ、二次移行ってヤツだと思う。雁夜風に言えば、これは『正義への贄』じゃなく、『
言って切嗣は両手の武装を収納する。
「来い、『干将・莫耶』」
かわりに現れる一対のブレード。
「ラウラ、援護してくれ」
「任せろ!」
返答に大きく頷き、切嗣は駆けた。
斬撃を『干将』で弾き、『莫耶』で肘を斬りつける。続けざま『高速切替』を使用して装備をチェンジ。右手にコンテンダー、左手に燐光を放つ朱いボウガン。
「いけっ。『
そこから放たれる朱いエネルギー。それは大きく狙いを逸れ、無人機の遙か向こうに消えた。再び砲口を突きつける無人機。そしてエネルギーフィールドが展開され、外れたはずのエネルギーが弾けて消えた。
不可解な現象。それが無人機の思考回路を一瞬静止させる。
「ラウラ!」
「ああ!」
切嗣の声に応え、ラウラが『停止結界』を起動、敵の動きを完璧に縛り上げる。
「これで、
たった一発の弾丸。それで全て片がつく。『強制解除弾』を撃ち込まれ、無人機はコアを残して砂像のように崩れて消えた。
・・・・・
同じ頃、雁夜。
両手に握った宝剣で敵の攻撃を受け流し、どうしても駄目となると『全て遠き理想郷』でそれを受ける。何度それを繰り返しただろう。いつしか雁夜の頬を嫌な汗が伝い落ちる。
「2対1じゃやっぱ分が悪いか・・・!」
そう、今の雁夜はこの場にいた4人全員を狙う2機の無人機と交戦しているのだ。
焦りと疲労がピークに達した頃、不意に一機が雁夜の視界から姿を消した。
続いて衝撃。
「雁夜!」
鈴の悲痛な叫び。壁に片腕をめり込ませた雁夜は、必死でこれから飛んでくるレーザーを避けようとする。
結末を見ないまま途中退場などと言うそんな状況で、雁夜は吼える。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
『単一仕様能力・霊格憑依』
手元に現れる二枚のカード。青と黒のその二枚から、黒を選び、雁夜は手を伸ばす。
「バー・・・サー・・・カー・・・ッ!」
無意識にこぼれる声。そして雁夜は黒いカードを握りつぶした。とたん、めり込んだ腕が自由になり、片方の無人機がショルダータックル一発で砕け散る。
「・・・何が起きましたの?」
「さあ、僕にも分かんない」
「・・・ていうか雁夜、何呆けてんのよ」
三者三様の感想を聞きながら、雁夜は今度はより精密に体を動かそうと留意し、力を抑えて踏み込んでいった。気付けば表示も変わっていて、スラスター出力などが表示されるはずの部分には<筋力B 耐久B 敏捷性B 狂化off>と表示されている。
彼我の距離はおよそ5m。それだけの距離を一歩で詰め、見舞う蹴り上げが敵の右腕を砕き飛ばす。
「ってあぶねえ鈴!」
腕を切り飛ばされ、反動できりきり舞いする敵。思い切り振られた左腕が、臨界したままで鈴の方を向いていた。
「えっ・・・!?」
ほんの刹那。驚愕に見開かれた鈴の前に、雁夜は全速力で割り込む。
「ちょっ・・・雁夜!?」
「心配無用!」
放たれる熱線。四連続で襲い来るそれら全てを雁夜は・・・
「おらッ!」
弾き、
「はい次ィ!」
二連続で叩き落とし、
「コイツでお終い」
最後の一発を片手で握りつぶした。続いて、気付けば雁夜の姿は敵機の直上。
「・・・だぜ!」
文字通り落ちてきた拳は、あっという間に鉄の少女の胸のあたりまでめり込むと、盛大な爆発オチに変えて見せた。
「雁夜!アンタ大丈夫なの!?」
慌てて駆け寄る鈴に何でもないというような様子で両手をヒラヒラさせる雁夜。
「大丈夫大丈夫。障壁張ってたから直接レーザーに触れたわけじゃないし、何の問題も無しだ」
ぐるりと腕を回す雁夜が次の瞬間、響き渡る爆音に飛び上がった。
「ぬおっ!?何だ何だ!?」
「アリーナのほうですわね・・・」
セシリアの呟きにもしやと思ってそちらを見る。
そして雁夜は絶句した。
「・・・」
雁夜が勢いに任せて風穴を開けた通路。そこから見える一方のゲートが崩壊していた。
「なんっじゃありゃああああああっ!?」
アリーナにいるのは4人。一夏、楯無によく似た眼鏡の少女・・・多分簪、箒、楯無。
うち、戦闘が可能に見えるのは一夏しかいない。箒と楯無はダメージが大きいのか、爆心地とおぼしきゲートから動けずにいるし、簪は状況に怯え、戦えない。
「って、驚いてる場合じゃないよ!」
「全くだ!『己が栄光のためでなく』・・・起動!」
風穴のところにもしっかりシールドが機能している。そのため雁夜は以前の無人機襲撃事件と同様、『己が栄光のためでなく』でアリーナのシールドを一時的に支配下に置くことを考えた。更に。
「行け、視虫」
と、左親指を噛み切って流した血から視虫を生み出し、それを飛ばす。
「雁夜、今の何?」
「オレの予想が正しけりゃ、アイツもこのアリーナのどこかにいるはずだ。それを視虫に探して貰うのさ。アイツは通信用に生み出した特別製だし、ジャミングされてても問題ない」
鈴の質問に答えると、雁夜は両手をシールドについて目を閉じた。
・・・・・
事態は進行する。
ズダボロにされる一夏。簪を庇って斬られた楯無。その状況が辛くて、簪は泣いている。
「この世にヒーローなんかいないんだよ!」
涙ながらに叫ぶ声。彼女の大好きな物を否定するようなそれは、これ以上ないくらい悲痛な色を持つ。
「――いないさ。完全無欠のヒーローなんていない」
ボロ雑巾のような一夏の声に、簪はそちらを見た。
「完全無欠のヒーローなんて、泣きも笑いもしないからな」
傷だらけの体。アーマーもボロボロで、砕けているところもいくつか見受けられる。
それでも、簪にはその姿がまぶしく見えた。
「だから俺は人間だ。泣きも笑いもする。負けるときだってある。けど、諦めない!逃げ出さずに戦える、人間だ!」
声と共に迸る『雪羅・クローモード』の純白の爪。それが一気に敵の左腕を斬り落とす。そこへ続けて飛来する朱い光条。
「それに、ヒーローは遅れて登場するもの・・・だろう?」
風穴からアリーナに飛び込むや、切嗣は黒い外套を翻して一夏達の隣に立つ。
「って言うわりに思い切り外してるじゃないか」
切嗣が助けに来たからだろう。一夏の表情には幾分かの余裕がある。
「心配要らないさ。あれについては外れナシだ」
『赤原の猟犬』は狙った相手を確実に仕留める。そう言って次の攻撃の準備に入った。
切嗣のエネルギーボウガン、『
「『
ずおん!空気が圧縮、爆砕されるような轟音。金色のエネルギーが迸り、『赤原の猟犬』に追い回される無人機を爆砕する。
「だ、大丈夫か!?一夏!」
無人機を『赤原の猟犬』が追い回しているうちに復帰した箒である。しかし、もう一機が生きている。
「後ろだ箒!」
一夏の叫び声に反応し、咄嗟に防御を試みるも、無人機の拳に耐えきれずに箒は吹き飛ばされる。なんとか体制を整えたところへレーザーが連射される。
「くそっ、このままじゃ箒が!」
「ま、待って・・・!」
傷だらけのウイングスラスターを吹かそうとする一夏。しかしそれを簪の声が押しとどめる。
「簪?」
「待って・・・行かないで・・・あなたの機体は・・・もう限界・・・」
静止する声に、しかし一夏は首を横に振った。
「駄目だ。箒を助けにいかねえと」
「ど、どうして・・・?死ぬのが・・・怖く、ないの?」
あっさりと言いきった一夏に戸惑う簪。一夏はその問いに唇をにいっとつり上げて言う。
「そりゃ怖いさ」
「だったら・・・どうして・・・?」
「俺は、戦うよりも逃げる方が怖いからな」
「え――」
「逃げたら、もう俺には戻れない気がするから・・・じゃ、行ってくるぜ」
スラスター最大出力。『雪片弐型』を呼び出して飛翔する一夏に、簪は何も言えなかった。ただ、そこにいた切嗣が呟くように言う。
「アイツが何でああなのか気になるって顔だね」
そう言われて、簪はふるふる。と首を振る。
「ううん・・・私・・・卑怯者だ・・・戦えない、理由ばっかり・・・考えて・・・」
「まあ、それが普通の反応だな」
咎める色も、励ます色もない切嗣の言葉に俯き、簪は涙をこぼす。
「私・・・駄目だったよ・・・お姉ちゃん・・・」
ぽつり。こぼれる呟きに切嗣は静かに呟く。
「駄目じゃないさ。弱かろうが小さかろうが卑怯だろうが、人間そう言う部分は誰にだって在る。それに、僕本来の戦い方は卑怯千万迷惑上等の暗殺だ・・・アイツほどまっすぐに戦えるわけでもない」
それに重なるように、簪の心に響く楯無の声。彼女の意識はないが、それでも声は心に響く。
(切嗣君の言うとおりよ。弱さも、小ささも受け入れなさい。そうすれば、また立ち上がれるもの。だって)
「・・・人間・・・だから・・・?」
(そうよ。それにあなたは、私の自慢の妹だもの)
簪が静かに楯無を寝かせる。
「・・・行くのか?」
「・・・うん・・・」
止まった涙。しっかりと前を見ようとする目。それを見て取ると、切嗣は冗談めかすように、必要以上の緊張を削ぎ落とすように言う。
「じゃあ急いだ方が良いな。君のヒーローはわりにしょっちゅう落ちてる。もたもたしてたら逝っちまうぜ?」
「・・・それなら・・・間に合わせる・・・だけ」
言って飛び立つ簪。やれやれ。と首を振ると、切嗣はもう一つの新たな力を引き出す。
「『単一仕様能力・
とたん、空中に展開される武装。『キャレコM950短機関銃』が2挺、『干将・莫耶』が2セット計4振、それに『コルト・ガバメント』2挺と『ワルサーP38』と『M19改』が1挺ずつを足した10の武器が射出の時を待っている。
切嗣の視線の先では一夏達3人が無人機相手に奮戦している。
そして、ほんの一瞬だけ。
簪の専用機、『打鉄弐式』のミサイルを防ぐために、無人機の動きが止まった。
「・・・!
鶴の一声。キャレコが一斉に火を噴き、拳銃が狙い澄まして鉛球を放つ。『干将・莫耶』が互いに引き合う性質を利用して弧を描きつつ、挟み込むように無人機に襲い掛かった。
「
続いて切嗣自身による突撃。固有時制御による倍速化によって一気に距離を詰める。
「鶴翼―」
弾丸とミサイルの内のどれかが発振器を潰したのだろう。敵のエネルギーフィールドが消えている。たった今開いたその間隙に滑り込むように、両腕に2セットの『干将・莫耶』が突き刺さった。
「三連!」
トドメの斬撃で両腕が完璧に断ち切られる。そして、さらに次が、
「左脚、貰った!」
『紅椿』の肩部ユニットがスライドして現れたクロスボウのような物。そこから放たれたエネルギーが無人機の左脚を爆砕して体勢を崩す。
「行け!」
「決めろ、一夏!」
「応!」
『瞬時加速』を使用して、一夏が無人機に突っ込んでいく。そして敵にはそれを防御するオプションが既に無い。
「これで・・・終わりだあああ!」
『零落白夜』を使用しての一刀両断!回避しようとした敵機の左胸を抉って左腿へ抜ける。そして仕上げとばかりに切嗣の右手にはコンテンダーが。切嗣の、一夏の、箒の、そして簪の唇までもが、示し合わせたかのように上がる。
「「「「
ダンッ!『強制解除弾』が再び効力を発揮して、無人機の姿を砂像と変えた。
・・・・・
「ち~す、差し入れにジュース持ってきました~」
と、小さくいって雁夜が開けたドアは学園の医療室。無人機騒動の折、シールド解除と『霊格憑依』でエネルギーを使い切り、山場で役に立たなかった分の埋め合わせにと、雁夜は途中でジュースを買ってきたのだった。
「~ってありゃりゃ。二人とも寝てるよ・・・起こしちゃ悪いし、退散するとしますかね」
姉の体に突っ伏して眠る簪と、頭を撫でている内に眠ってしまったらしい楯無。そんな仲良し姉妹の間に入り込むような無粋な真似が出来るはずもなく、ベッドサイドにジュースの缶をおき、何事か走り書きを残してから、雁夜はその場を退散した。
・・・・・
<~もう離しちゃ駄目ですよ~by一夏(雁夜代筆)>
ふと目覚めると、そんな書き置きが目に留まった。
いつの間に夜になったのだろう。窓からさし込む月の光が
(はぁ、生意気な下級生・・・)
心の中でそっとため息を落とすが、不思議とそれほど嫌じゃない。
(一夏君・・・か・・・)
・・・・・
「!?」
「雁夜?どしたの?」
「今、また一夏が刺される可能性が上がった気がする・・・」
ちなみに霊格憑依の時のモーションは番長と同じです。
書いてるときに一回このイメージってやったらそのまま「ペ・・・ル・・・ソ・・・ナ・・・ッ!」って書いちゃったことも・・・さすがに修正したけど。
では次回、act33 敵でお会いしましょう。設定のところも追加しておきますんで~。
ちゃおちゃおー。