IS/stay scape   作:昆布さん

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新学期が始まっちまってガチでめんどくさい・・・
受検まで一月無いとはいえ、かーなーりめんどくせえ
では、本編をどうぞ。


act35 襲撃

「―繰り返すことは愚なり」

雁夜の唇が動き、全身の魔術回路が活動する。紡ぎ上げる呪文は魔術の発動にそれだけの行程が必要なことを示し、また、それだけの力を持っていることを裏付けている。

「―繰り返すモノが過なれば、繰り返しを超越し、愚の骨頂とならん。されど振り返ることは愚にあらず。さりとてただ振り返るもそれは愚なり。そうでなければ拾い上げよ。振り返りは拾うモノがあればこその益なり。ならば我が前にその姿を見せよ。鉄壁にして血壁、残虐にして冷静なその姿を。其は狂おしき愛の形、かつての英雄の威光を持って我が前の敵を殲滅せん―」

学園中に仕掛けた召喚陣。探知結界から敵の位置情報を把握。召喚陣に魔力を送り、それを用いることで刃を持つ蟲で狙撃する。

床面から飛び立つ無数の蟲は鋭利な刃で腕の、脚の肉を削ぐ。

それは吸血鬼ドラキュラと言われた男、ヴラドⅢ世の宝具の再現。蟲を用いて近づけた迎撃奥義。その名も同じ

「『串刺(カズィクル)――――城塞(ベイ)!」

3人で分けて敵を撃退するのだからと、雁夜は最低限の魔力行使で済むように、ピンポイントで狙う。

そして、敵は自分たちの四肢が食いちぎられ、斬り飛ばされる様を幻視し、機能が現死する様をまざまざと見せつけられた。

「やれやれ・・・骨のねえ奴ら・・・オイ、そこの。動くんじゃねえぞ」

と、雁夜が呟いたとたん、すぐ後ろの空間がぐにゃりと歪み、工学迷彩で姿を隠していた敵が姿を見せた。

「皮膜を使用した工学迷彩は上に何かかかったらそれで意味を亡くす。てめえはオレの仕掛けたコーヒートラップにはまったんだよ」

全身焦げ茶の敵に向けて、雁夜はしっかりと拳を構える。

出し、狙い、撃つ。拳銃にはその3ステップが要る。要はそのステップの間に拳をねじ込めばそれで事は済むのだ。

「一撃で沈める・・・无二打(うーあるだ)!」

強化、魔力解放にタイミングを合わせた一瞬のインパクト。それはまさに一撃必殺、二の打要らず。英霊の座にまでのし上がった拳士、李書文のように、その拳は殺傷性充分、しかし雁夜は後味が悪くなると言って、全身に衝撃を走らせ、敵の四肢を砕くに留めてやった。

 

・・・・・

 

やれやれ。と呟くと、切嗣は無造作な一射で目前に迫った工学迷彩の男の腕を撃ち抜いた。

「ば・・・バカなっ!?何故俺の居場所が分かった!?」

「・・・いくら工学迷彩で身を隠していると言っても、硝煙の臭いやちょっとした足音は消せない。それだけだ」

そのままその男の両手両脚に弾丸をぶち込んで行動不能にした上で、それと並行して次々に現れる敵の体に銃弾を撃ち込んでは蹴り飛ばし、銃床で殴りつける。

「数だけの歯応えのない奴らだったらしいな・・・なら、手っ取り早く済ませるとするか」

切嗣の場合において出し、狙い、撃つの三ステップはそれをステップと呼ぶのが正しいのかどうか疑問に思うほどなめらかに移行する。しかも、手っ取り早く済ませると言って切嗣が部分展開した武装は『キャレコM950短機関銃』。

廊下いっぱいに弾幕が広がり、それらが過たず男達の体を叩き伏せる。

「・・・くだらないな・・・」

やがて自身を中心に敷いた探知結界に反応が無くなると、索敵範囲を何度かいじってから、

「終わったようだな」

と、切嗣は武装を引っ込めると、累々と転がる気絶体達にくるりと背を向けた。

その時だ。切嗣の頭の中に雁夜の声が響いた。

「(プライベート・チャンネル・・・こんな時にか・・・?)どうした?」

<結界に反応があった!楯無さんがヤバイ!>

「・・・何イッ!?」

雁夜の告げた新たな状況に切嗣は目を見開いた。が、次の瞬間にはもういつもの顔に戻っている。なぜなら、視界の端、弾丸で吹っ飛んだ窓の防護シャッターの向こうに白い物が見えたからだ。

「心配なさそうだ。一夏が戻ってきた」

<・・・こっちでも感知したぜ。じゃあまあ、オレは敗残兵掃除してから行くから、先に戻ってろ>

ああ。と応じて通信を切り、切嗣は元来たルートを逆に駆けていった。

 

・・・・・

 

「意識体を転送する以上当然のリスクではあるが・・・」

切嗣は呟きながら自身に催眠の術をかけ始める。

「にしたってこう簡単に的中させるモンでもねえだろうに」

肩をすくめる雁夜も同様に、自身にかける術を徐々に強めていく。

切嗣達がオペレーションルームに戻ってくると、千冬は今度はアクセスルームで戻ってこられなくなった電脳ダイブ組の救出を指示してきた。既に一夏もそちらへ向かったというので追いつくと、スタンガンを持った簪と、目を回す一夏がいた。

そして現在。切嗣と雁夜もいったん意識を手放し、電脳空間へと潜り込もうとしているのだ。

そして、術が完璧に作用したことを二人が確認する前に、雁夜の左目が利かなくなり、切嗣の視点が高くなっていた。

「・・・どうやらちゃんと入れたみたいだな」

「の、ようだな」

<二人とも・・・森の中に急いで。ドアがあるから・・・きっとその先にみんながいる・・・一夏も先に行ってるから・・・>

と、頭の中に響く簪の声にOK。と返して、雁夜は歩き出した。

走る必要はない。と言うか走れない。雁夜は精神体になる度に体に精神が近付いていることを自覚しているが、それにしたってまだ走れるほどに肉体が活性しているわけではない。精々が聖杯戦争の1年前に刻印虫を植え付けられてすぐの時と言ったところだ。

「・・・後もう少し体に心が馴染めばなあ・・・」

と、そんなことをぼやきながら雁夜は森を進み、やがて森の中に立つ五枚のドアに辿り着いた。

「簪ー?鈴が入ったのってどれだー?」

雁夜がなんとなくそう質問してみると、思い出すような間の後、

<一番右のドア・・・ラウラは・・・左から二番目>

と言う答えが返ってきた。

「うし、じゃあ行くか」

「ああ、手っ取り早く終わらせて現実に戻るとしよう」

 

・・・・・

 

そして、雁夜が鈴が入っていったというドアを開けると。

「何してやがるこのニセモノ!」

と、鈴を押し倒している、幻想の雁夜に思い切りショルダータックルを仕掛けた。




Fate/EXTRAより、串刺城塞(カズィクルベイ)、ランサーさんの宝具を刀みたいな角のカブトムシで再現しているカンジです。ちなみに前回バオーが混じっていたのに気付いてくれましたか?
では次回、act36 幻想と記憶でお会いしましょう。
ちゃおちゃおー。
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