IS/stay scape   作:昆布さん

43 / 57
と、言うわけで、今回は大変なことにさせていただきました。
原作に追いついちゃって、もうオリジナルに走るしかないので。
では、本編をどうぞ。


act39 血を呑む尾呑蛇~ウロボロス~

狭間の喉からクツクツという音が聞こえる。

「どーかな?てるみんの専用機は」

一人不思議の国のアリス、すなわち篠ノ之束の質問に対し、狭間は唇をつり上げて作った歪な笑みでもって答える。

「いいですねえ、反応速度、出力、防御力のわりに見た目は普段と変わらないのもとても魅力的だ」

そう言われて、当然とでも言うように豊かな胸を反らせる束。

「それに何より、私大好きなんですよねえ、あのゲーム」

「見た目なんかそっくりだもんね~」

「あら、気付きました?いや、会社の友人が数年前にお前そっくりのキャラがいる!とか言って私に勧めてきたんですよ。それ以来どハマリしちゃいまして」

帽子で目元を隠したまま、口元の笑みを深くする狭間。

「まあ、それからですけどね。チェーンナイフなんてピーキーな物を使うようになったのは」

「ふーん・・・まあ良いけど。で、どうどう?武装とか自信作なんだけど」

「ええ、良いと思いますよ。と言うか好きなところから呼び出せるなんて最高じゃないですか」

にんまりと、唇に凶暴な笑みが閃く。

次の瞬間。

「・・・え・・・?」

歪な肉塊が二つ、足下に転げ落ちた。

「・・・だが、研究所のセキュリティはイマイチだな」

二本の直剣が、束の両腕を斬り飛ばしていたと気付くより先に、その声は聞こえてくる。

その直剣は投擲を想定した極端に柄の短い剣で、指にはさんで一度に最大8本投げることが出来る特殊な形状をしている。また、刀身は魔力で編まれた半実体で、柄のみの状態でコートの内側などに複数本収納することが出来る。

その剣の名を『黒鍵』といい、それを使用する者達はこう呼ばれている。

聖堂教会の裏事業、埋葬機関に所属する異端狩りの祓魔師(エクソシスト)、通称『代行者』

「さて、早速で悪いが、この茶番も幕引きとしたい」

乱雑に積まれた機械類と、無軌道に這い回るコードの向こう。背徳の代行者、言峰綺礼がそこにいた。

「さァて・・・それじゃあご褒美に・・・ラクにしてやるかァ!」

束の足下に広がる緑色のフィールド。そこから緑の燐光を纏う蛇頭の鎖が這い出でる。

「出血多量で意識が朦朧としているようだな」

言峰の分析に狭間はやれやれといった様子で頭を振った。

「細胞単位でオーバースペックと言っていましたが、私と同じでさすがに人間ですね・・・機能までは変わらないというわけですか・・・」

そこへもう一つの声が割り込んでくる。

「だが念のためだ、一応トドメを刺しておけ。出血が止まってから義手でも付けられてはかなわんからな。意識朦朧を通り越して狂われてはこちらの命も危ない」

そう言うのは茶色いロングコートをサンドベージュの服の上から着た白髪の男。

「分かってますよ叢雲さん。『ウロボロス』!」

ずぶり。

 

ちー・・・ちゃん――

 

・・・・・

 

「――ッ!」

「箒?どうしたんだよ急に」

時は流れて11月の中頃。

いつものメンバーで夕食をとっていたときのことだった。

「いや、ちょっと寒気がしただけだ。心配は要らん」

ふうん。と言って鰻玉丼を乱獲する雁夜だが、一夏は答えを聞き、更に近くから箒の顔を覗き込んだ。

「とてもそんなふうには見えないぞ。具合悪いなら送ってくけど」

「だっ、大丈夫だ!心配は要らんと言っただろう!」

ただ。と箒の顔が少しだけ俯く。

「ただ、少し嫌な予感がしただけだ」

「「「「「嫌な予感?」」」」」

声を揃えて聞き返す女子一同。

「ああ、何か、寂しいような、怖いような、そんなカンジだ」

「・・・そうか。一夏」

なんだよ。と一夏は切嗣に質問する。

「食事が済んだら篠ノ之を送ってやれ」

「おう」

頷く一夏。そんな様子を見て

「心配なのは分かりますが・・・」

「何か複雑だね・・・」

「・・・釈然としない・・・」

三者三様の反応を示すセシリア、シャルロット、簪の3人。

「まあそう言うな」

と、肩をすくめる雁夜。気付けば鰻玉丼は綺麗に狩り尽くされている。

「こういう時は一番安心できる奴にいてもらうのが一番だからな、仕方ねえとあきらめな」

それは、11月の中頃。

奇しくも、狭間の専用機、『終わらない欲望(エンドレス=ディザイア)』が完成する前日のことだった。




と、いうわけで、残った1人分の他作品枠は「アカツキ電光戦記」および「エヌアイン完全世界」より、げんじんしんでした。ダカダカしてやった。後悔はしていない。
それは置いといて、物語もついに佳境!ラスボス1人に中ボス3人という構図もできあがったところで、頑張って風呂敷をたたもうかと。
では次回、act40 強襲『亡国機業』でお会いしましょう。
ちゃおちゃおー。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。