IS/stay scape   作:昆布さん

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切嗣が登場しました。タイトルはそのままBGMから。


act.4 EMIYA

夢を見た。

そこは父と暮らした島。

そこは船の上。

そこは夜の街。

悔恨が渦巻き、心を叩く。

僕があの時彼女を殺していれば・・・!

ふざけるな・・・ふざけるなっ!馬鹿野郎っ!

人類の本質は石器時代から一歩も前に進んじゃいない!

怨嗟が渦巻き、心を抉る。

ヤメロヤメロと声が響く。

それらの中でもひときわ大きな嘆きと叫び。そして何より憤怒が燃える。

この俺が・・・たったひとつ懐いた祈りさえ、踏みにじって・・・貴様らはッ、何ひとつ恥じることもないのか!?

声を出すことは許されない。声を出しても意味がない。記憶に焼き付く声達はいくら抗おうと止まりはしない。

赦さん・・・断じて貴様らを赦さんッ!名利に憑かれ、騎士の誇りを貶めた亡者ども・・・その夢を我が血で穢すがいい!聖杯に呪いあれ!その願望に災いあれ!いつか地獄の窯に落ちながら、この■■■■■■の怒りを思い出せ!

やがてそんな声はひとつにまとまり、殺せ殺せと揃って叫ぶ。

暴食色欲強欲憂鬱憤怒怠惰虚飾傲慢嫉妬が黒いモノの中で渦巻き襲う。

およそ全ての行為は罪でありまたそれらは拭えず積み重なるモノであるが故に皆々全て悉く死罪極刑につき恨め憎め拒絶し否定し殺せ殺せ殺せ許容せず殺せ殺せ殺せ認めず殺せ殺せ殺せ否良し殺せ殺せ殺せ是認し殺せ殺せ殺せ許諾し殺せいやいやさっきから馬鹿か君はひとつ覚えに殺せ殺せと口五月蝿い、夢ぐらい大人しく見させてくれよ

―!?

それともこれが目覚まし時計か?だったら早く起きないとな・・・起こしてくれてありがとう。衛宮切嗣はその程度、いつだって背負っているからそんな物は効果がないよ。

 

・・・・・

 

六月頭の日曜日、衛宮切嗣は米神を押さえてそこにいた。

「ああ、何だってこんな事になったんだ・・・」

彼のトレードマーク・・・夏でも冬でも変わらない、夜より深い黒のロングコートが頼りなげに風に揺れた。

話は昨日、土曜日に遡る。

切嗣の趣味はモデルガンコレクションだ。

今回はちょっと遠出して大型ショッピングモールに出かけていた。

そんな切嗣の目に付いたのが、見知った白い無造作ヘアー。

「やあ雁夜。二月振りくらいかな?」

「ああ、切嗣か。相変わらず死んだような目エしてるじゃないか」

横目で切嗣に答えながら雁夜が向かっているのは格闘ゲームの筐体。時折相槌を打つために視線を切嗣に向ける以外はゲームに意識を集中させている。

と、雁夜の操る白い上着を着た鉄塊装備の長髪の男が連続してリズムよく攻撃を叩き込んでいく。

俗に言う目押し乱舞というヤツだ。

<デストローイ!>

「おっしゃあッ!」

「よくもまあそんな超短いリーチを当てられるもんだ」

悪男(仮名)が勝ち、反対側からあああああ!という嘆きが聞こえてきたのを最後に雁夜は席を立った。

「で、切嗣はエアガンでも見に来たのか?」

「ああ、そう言う雁夜は・・・暇だったから久しぶりに外出してるって所かな」

あたり。といってにんまり笑う雁夜。

「ついでだ、フードコート行こうぜ、お互いどんな生活か報告会といこうじゃねえか」

「ああ、ちょっと気になってたしね、いいだろう、付き合うよ」

で、二人はフードコートにあるピエロが目印の某有名ハンバーガーチェーンで昼食を手に入れ、二人がけのテーブルでハンバーガーをぱくつきながらクラスに同じ中学のヤツは何人いるとか高校で新しくできた友達はいるかとか、弾の様子はどうかとか、そんなとりとめもない会話に終始していた。

しかし突然それをブチ壊すような轟音がフードコートを襲ったのだ。

爆音と衝撃。

テーブルが砕け、椅子が吹っ飛び、コーラが、人間の腕が宙を舞う。

「IS・・・ありゃ二世代型の・・・『リヴァイヴ』だっけか?」

「テロか・・・とはいえ、正義の味方は遂行不可能だ。雁夜に任せる」

委細承知とひとつ頷き、雁夜は『閃疾歩』の歩法で一気に距離を詰めにかかる。

無論その間に『バーサーカー』を展開、ついで『騎士は徒手にて死せず』の変則使用法のひとつを行使する。

主に『騎士は徒手にて死せず』の変則使用法は二つある。

ひとつは無人機との戦いで見せた遮断シールドの突破。

もう一つは敵ISに触れることにより、

「たまの休日くらい・・・ゆっくりさせろっての!」

敵ISを強制解除させるというモノだ。

解除させるや否や雁夜の拳が鳩尾にめり込んでテロリストの女はお縄につくことになった。後になって雁夜が言った所による、とその時やってきた婦警(だと思う、警部補とか言っていたから)の雰囲気に雁夜は自分が居なくてもとりあえずこの人呼べば良かったのではと思ったらしい。警備員が鬼トマトと言っていたのは聞かなかったことにする。

「しかしふざけた兵器だな・・・」

なんとなくだろう。切嗣は雁夜の手の中にある『リヴァイヴ』の待機状態に触れてみた。

で、何故か作動、連行、書類超速で用意、翌日入寮という正気の沙汰ではない事態を経験して、切嗣は現在ここにいるのである

「・・・ハア・・・」

以上、回想終了。もう一つため息をつくと、切嗣は自室となるらしい部屋へ歩いて行った。

ちなみに雁夜が切嗣と相部屋であることを知るのはこのわずか三時間後だったりする。

救えなかった救いの手。

夢の破れた正義の味方。

二人の魔術師(メイガス)という歯車はようやく物語にはめられた。

物語は冬木に降りる聖杯のように、二人の転校生と共に。

静かに時を待つ。

 

・・・・・

 

ケリイはさ、大人になったらどんな大人になりたいの?

僕はね、正義の味方になりたいんだ




戸馬的警部補がモブキャラとして出演してくださいました。このようにして他作品キャラが時たまバイトとか背景で登場してくれます・・・ってちょっ、鬼トマトのことは謝るし、というかそれは警備員が・・・ぎゃあああ!
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