ううむ、超やっつけ・・・本来書く予定のなかった話だからやむ無しかもしれんが、それにしたってもう少しやりようがあったような気がしてなりません。
では、本編をどうぞ。
英国貴族の血を引き、自らも商才に長け、そして何より自らの力を強く信じる男。
物理学に関する知力は他の追随を許さぬほどに高く、いわゆる勝ち組と呼ばれるところにいる男。
若くして大企業のトップに立つその男の名は、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトといった。
・・・・・
「やれやれ…僕がここに来たのは商談の為だ。だというのにロード・エルメロイ。貴様はなぜその指をこちらに向ける?」
ケイネスがトップを務める企業の日本支社。切嗣は今回非武装でその会議室へとやってきた。
そして会議室に足を踏み入れた瞬間、切嗣の背中を嫌な予感が駆け上がり、体を斜めに傾けたのだ。
「何より僕の後ろで風邪をこじらせたのはあなたの部下であるはずだ。」
「だからなんだと?魔術師が魔術師を攻撃することに何の不都合があるというのかね」
「魔術師?ふざけるなよ。今の貴様の行動は魔術師のそれじゃない。魔術使いに呼称を改めるべきではないのか?」
ぴく。とケイネスのこめかみが痙攣する。彼の魔術師としてのプライドは筋金入り。嘗ての第四次聖杯戦争ではその誇りと驕りから切嗣に翻弄され、
結果として彼は第四次聖杯戦争中最もむごたらしい形で退場することとなった。
「魔術師としての誇りなどとうの昔にかなぐり捨てた!近代兵器ごときで私の
あまつさえ
「だから自社の社員も巻き込む…と?」
声を荒げながら懐からアゾット剣を取り出すケイネスに深くため息をつくと切嗣は商談の為の書類とラウラが作った昼食の弁当をカバンから取り出し、そのまま鞄に魔力を流して強化する。
「さて、あいにくと死ぬわけにはいかないのでね。早く帰るためにも書類にサインができる程度には、冷静になってもらうとしよう。」
そういうと、切嗣はビジネスバッグを振りかざしてケイネスの召喚した水の中に飛び込んでいった。
・・・・・
水の鞭が襲い掛かり、眼前に迫ったそれを切嗣はすぐさま鞄で叩き落とす。
それを何度繰り返しただろうか。
双方ともに息が上がり始めた。
「貴様…さっさとやられてしまえばいいものを!これは誅罰なのだ!貴様はおとなしく罰されるが道理、なのに何故貴様は抗う!」
吠えるケイネスの水の鞭は疲労が影響したのか狙いが定まらずにあらぬ方向へ飛んでいく。その行く先を視認するや、切嗣はすぐさま切り札を切った。
「――ッ!
固有時制御プラス全力疾走。トップスピードで水の鞭の前に割り込んだ切嗣が守ったのは弁当だった。
強化した鞄を盾にして水の鞭を受け切ると、切嗣は底冷えのするような目でケイネスを見据えた。
「なんだその眼は。高々冷え切った愚にもつかない食事のために自らの身を危険にさらすとは…」
愚か。と続けようとしたケイネスが瞬きをする間。
その一瞬で切嗣はケイネスの頭上をとっていた。
「彼女ががんばって作ってくれたんだ。貴様の口にしてきた高いだけの料理とは比べ物にならないほどに価値がある!」
ケイネスの顔面をニーリフトが捉える。
体重と加速の乗った一撃で、ケイネスは意識を闇の中へ落とさざるを得なかった。
・・・・・
缶コーヒーを喉に流し込み、切嗣はたった今後にしたビルを見やる。
「…あれは僕の生み出した歪みか」
そう呟いて切嗣は空き缶を自販機横の籠にシュートする。
(ああ、咎なら受けてやるさ。この世のすべての悪のそしりだって受けてやる。だが今は裁かれるわけにはいかない)
綺麗に籠に収まった空き缶を満足げに見やってから、切嗣は携帯電話を取り出す。
「ああ、ラウラかい?」
(裁きは最後に受けるさ・・・皆がいなくなって、僕が一人になった後で)
最愛の妻に電話を掛けるその顔は、すでに往年の魔術師殺しとは違う、家族を思い、社会の荒波と戦う
・・・・・
結論を言えば、今回の件はケイネスがアゾット剣(普通の人間からすればナイフ)を持っていたことで、ナイフで襲い掛かる男にサラリーマンが鞄で応戦しているという構図が出来上がり、切嗣が裁かれることはなかった。
魔術師に凶器といえばアゾット剣でしょう!というわけでケイネスにはアゾット剣を持ち出してもらいました。誰もアゾらなかったけど。
家族や友人が生きている限り切嗣は彼らの味方であり続けるというイメージです。ケイネスの性格は、まあ、プライドも矜持もずたずたに引き裂かれたなれの果てというイメージでした。
これにて本当に終了となります。ではまた、何かの作品や、俺が見に行った作品の感想欄でお会いしましょう。
ちゃおちゃおー。