(完結)灰色の騎士リィン・オズボーン   作:ライアン

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夢の世界のリィン・オズボーンのスペック
・帝国宰相の一粒種にして伯爵家の跡取り
・オズボーンは原作ほど強硬のやり方をとっていないため貴族勢力ともやりあってはいるもの原作ほどの憎悪は受けていない
・皇帝から伯爵位を送られた気遣いに応えるべく貴族社会での立ち振舞いを一家でそれなりに勉強
・当然そんなオズボーンの跡取りであるリィンは結構な優良物件
・ヴァンダール及び父との縁から皇族とも縁がある
・基本的に真面目だが柔和で優しい性格
・整っていると言ってもなんら支障のない顔立ち
・トールズ士官学院を次席で卒業のエリート
・年下の女性に対する接し方はエリゼ、年上の女性への接し方はクレアとフィオナから鍛えられており、本来の世界線よりもスケコマシスキルが大分原作に近づいている

これは早々転がってない優良物件ですよ奥様
アルノールさん家のアルフィンさんとかカイエンさん家のミルディーヌさんとかとも見合いの話が持ち上がっているとか持ち上がっていないとか。

なお実際にこの理想世界を実現しようとした場合恐らく帝国の呪いが邪魔をする模様
(鋼の至宝は焔と大地の至宝のツインドライヴシステムなので多分単純な出力だと他の至宝を凌駕する)

やっぱり帝国の呪いって糞だわ。


碧き夢(下)

 

 卒業。それは別れであると同時に新たなる始まり。

 門出の季節である。離れ離れになったとしても一度結ばれた絆は容易く切れるものではなく、己を支えるかけがえの無い財産となるものである。

 ーーーそう終わりではなく始まりであるとそうわかっていても、それでもやはり心に訪れるのは寂寥感。毎日のように顔を合わせていた友人と、そう簡単には会えなくなる。その物寂しさから一人が泣き出し始めると、皆泣き出し始めるというのはある種卒業式の名物風景と言って良い。

 

 

「うう……ぐすっ……」

 

 此処大帝縁のトールズ士官学院の卒業式でも当然の如くそんな光景が……

 

「おおおお……リィンよ……お前の晴れ姿のなんと眩しい事か……!」

 

 ……訂正。常にはない光景が繰り広げられていた。

 何故ならば号泣しているのは友や恩師との別れに泣く卒業生でも、尊敬する先輩との別れに泣く後輩でも無く、190リジュ程の堂々たる体躯を有する厳つい成人男性であったからだ。ちなみにその男は稀代の名宰相として国内に於いてあらゆる美辞麗句で形容されている、この学校のOBでもある人物、すなわちリィン・オズボーンの実の父親たる帝国政府代表ギリアス・オズボーン宰相である。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 壇上にて学院長より《獅子心英雄章》を受け取った男はそんな父の様子に大変に居た堪れない思いを味わいながらも、席へと帰還する。

 先程帝国宰相として堂々とした祝辞を述べていたその人物の打って変わった様子になんとも言えぬ空気が漂っている。何せギリアスの顔はとてつもなく厳つい。190リジュもあるその堂々たる体躯とみなぎる覇気と胸に輝く多くの勲章は彼が当代の偉人である事を示すものであり、実際にこれまで彼が成し遂げてきた実績もその外見から受ける印象を何ら裏切らないものである。

 そんな男が先程からひと目もはばからずに号泣しているのである、なんとも言えぬ空気が漂うのは無理からぬ事であった。

 私人としてのギリアスの息子に対する溺愛ぶりを知っていた元上官であるヴァンダイク学院長や歳の離れた盟友であるオリヴァルト殿下等は苦笑いを浮かべているが、他の者達はそのあまりの変わり様に困惑しっぱなしである。

 

「……さっきからお前の親父さん、えらい泣いているな」

 

「頼むクロウ、お前が俺の親友だというのなら今だけはその事に触れないでくれ」

 

「お、おう」

 

 常に無い親友のその剣幕にクロウは気圧されながらうなずく。

 結局その後もギリアスのすすり泣く声は止むことは無く、記念すべき卒業式はかつて無い空気のまま終わるのであった。

 

・・・

 

 感動的な卒業式は終わった。

 そうして卒業生は最期のHRを終えると、再び講堂に集まりだす。

 講堂にはそのわずかな間に在学生が職員とも協力し合って用意した食事が所狭しと並んでいる。

 卒業生、在校生、教職員、そして来賓も含めての立食パーティである。

 卒業生にとっては2年間世話になったラムゼイ氏の食事を味わう最期の機会である。

 

「リィン兄様、ご卒業おめでとうございます」

 

 その席でリィンはわざわざ訪ねてきてくれた妹分と会っていた。

 清楚可憐、そんな言葉がまさしく相応しいその貴族の令嬢の名はエリゼ・シュバルツァー。

 皇室とも縁の深いユミルの領主シュバルツァー男爵家の一人娘である。

 彼女の父テオ・シュバルツァーとリィンの父たるギリアスが兄弟同然に育った仲という事もあって、この二人もまた幼少期からの付き合いである。

 

「ああ、ありがとうエリゼ。わざわざ来てくれたんだな」

 

「当然です。他ならぬ義兄様の晴れの日ですもの。それに……これを逃したらしばらく会えなくなってしまいますし」

 

 チラリとそこでエリゼは談笑している強敵(・・)の姿を伺う。

 二人きりというわけではないとは聞いている、あくまで六人揃っての仲良しの友人グループとしての卒業旅行だと。

 だが、それでも自分は遠く離れ離れになって、相手が旅をして所在がはっきりしないのを考えれば手紙は出して貰えどこちらから出すのは覚束ない状態になるのだ。

 それに対して向こうはほとんど四六時中一緒……かなりの劣勢と言わざるを得ないだろう。

 

「そんな顔するなって。ちゃんと手紙は出すようにするし、一年程度大陸のあちこちを勉強と遊び半分で回ってくるだけで別に今生の別れってわけじゃないんだからさ」

 

「それは……わかっていますが」

 

 基よりリィンは帝都に、エリゼはユミルに住んでいたのもあってそう頻繁に会えていたわけではない。

 一年に2,3度程度の頻度だったし、それでも十分過ぎる程だというのはエリゼとてわかっている。

 わかっているが、それでもやはり寂しいものは寂しいし焦るものは焦るのだ。

 

「アストライアは確か三年制だったからエリゼが卒業するのは2年後だろ?

 その頃には軍務についているだろうから確約は出来ないけど、最大限俺も出られるように努力するからさ」

 

「本当ですか!?」

 

「ああ、当然だろう。他ならぬ可愛い義妹の晴れの日なんだからな」

 

 笑顔のままに告げられた義妹という言葉がエリゼの心に大きな喜びと同時に僅かな痛みを齎す。

 兄のような存在、妹のような存在、そんな関係で満足できなくなったのは一体何時からだっただろうか?

 それはきっとトールズに入学した眼の前の人から送られてきた手紙、そこで自分の知らない女性と笑顔を見せながら写っているこの人を見た時からだ。

 ただ妹の兄に対する感情であるのならば、ただ安心するだろう。兄が楽しそうに学院生活を謳歌している事を。

 だけど自分の心には確かな痛みが走った。それで気がついたのだ、自分は目の前の人の事に恋しているのだと。

 

「ああ、しかしアストライアは良家の子女しか通えない名門の女学院。

 父兄でさえ事前の連絡なしには入れないと言うし、いくら家族同然の仲とは言えあくまで部外者に過ぎない俺じゃ入れないか」

 

 そんな妹分の秘めた思いに全く気づいていない朴念仁は見当違いのところで悩みだす。

 そんなリィンの様子にエリゼは動揺しながらも必死にアピールしようとする。

 「そういえば、オズボーン宰相のご子息と見合い話が持ち上がっているみたいなんですが、先輩はその方と幼馴染というお話でしたよね。どんな人か聞かせてもらってもいいですか?」悪戯っぽ笑みを浮かべながらそんな事を言い出していた小悪魔染みた後輩の事を思い出して。

 

「そういう事でしたら、その……ある解決方法があります」

 

「なんだ、そうなのか。それは良かった、それでその解決法というのは?」

 

「それは……要は家族ならば入れるわけですから、その……」

 

 家族同然ではなく本当の家族(夫婦)になれば問題ない。

 そんな言葉を紡ごうとしたが、いざというところで最後のその言葉が紡げずエリゼは硬直する。

 そして

 

「と、父様の振りをして入ればよろしいんではないでしょうか?」

 

「おいおい、それじゃあテオおじさんが入れなくなっちゃうじゃないか。それじゃあんまりだろ」

 

「で、ですよね。私ったら一体何を言っているんでしょうか」

 

 肝心なところで後一歩勇気を出せなかったエリゼは結局そのまま告白する事は出来ず、義兄妹としての談笑を行うのであった……

 

・・・

 

「おおおおおおおおおおおおお、リィンよぉ!お前のその凛々しい姿をこの父に良く見せてくれ!」

 

 そして可愛い妹分との談笑を終えたところで、リィンは式典の時からずっと号泣しっぱなしの父に捕まった。

 常の威厳はどこへ行ったのやら、190リジュにも及ぶ堂々たる体躯を有していて厳つい顔のこの男が客観的に見て中々にアレな光景であった。

 

「と、父さん……流石にこの年にもなって公衆の面前で抱きつかれるのは流石に気恥ずかしいものがあるというか……」

 

 たまらないのは本人よりもその家族である。

 頼みの綱の母は本当にしょうがない人だとでも言いた気に微笑ましいものを見るかのような笑みを浮かべ、一向に助け舟を出してくれない。

 かくしてリィンは友人知人、のみならずオリヴァルト殿下を始めとした帝国の貴人が居合わせる場で18にもなって厳つい父に抱きつかれる等というこの世の地獄を味わっているのであった。

 

「何を言うか!!!父と子の久方振りの再会なのだぞ!!!!はばかる必要が一体どこにあるというのか!!!今、私は帝国政府代表としてではなくお前の父として此処に居るのだから!!!

 おお、リィン。私とカーシャの宝よ!副会長を勤め上げただけではなく、次席で卒業した上に獅子心英雄章まで受賞するなどお前は本当に私達の自慢の息子だぞ!!!」

 

 そんな言葉と共にギリアスはますますその抱擁を強める。

 

「ははははは、本当に宰相閣下はリィン君の事になると人が変わるというか……」

 

「まあ彼にとってはようやく出来た一粒種。子どもは女神からの贈り物ともされる宝ですから」

 

 そしてそんな親子の心温まる交流風景を周囲は生暖かい眼で見守る。

 たまらないのはリィンである、父の事は確かに尊敬しているし愛しても居る。

 いずれは自分もこの強く優しい父のようになる事はリィンの幼い頃からの目標であった。

 だが、それでも衆人環視の中でこのような目に遭うなど流石に溜まったものではなかった。

 

(ああ、クロウの奴が昨日言っていたのはこういうことか……)

 

 確かにこれは恥ずかしいと遠い目をしながらリィンはしばらく父のされるがままになるのであった……

 

・・・

 

「ふむ、それでは手紙で聞いては居たが一年程度学友たちと共に諸外国を周ってくるというのだな」

 

 ひとしきりされるがままになってようやく落ち着いたのだろう。

 真面目な様子でリィンとギリアスの二人は親子の語らいを行っていた。

 

「うん、一年前のクロスベルへの留学で凄い勉強になったからさ。

 正式に軍人になったらそうそうそんな時間取れなくなるだろうし、だったら就職する前の一年の間で皆であちこち回るのはどうかって話になってさ。

 その前に見聞を広めるためにっていうのが半分の理由で、もう半分の理由はもう少しだけ6人で過ごしたいからって理由」

 

 モラトリアム全開って感じで恥ずかしいけどね等と照れくさげに頭をかく息子のその姿にギリアスは嬉しそうに眼を細める。

 

「はははは、恥ずかしがる必要など無い。

 それだけお前にとって大切な友人達が出来たという事なのだからな。

 その言葉でお前がどれほど素晴らしい学院生活をおくる事が出来たのかわかるというものだ。

 大切にするのだぞ。それは今、お前の胸に輝いている勲章等と比較するのもおこがましい程に価値のあるものなのだからな」

 

「うん、わかっているよ」

 

「そして、見聞を広めるための卒業旅行という件も良くわかったとも。

 気をつけて行ってきなさい、身体を壊さぬよう、時折近況を教えてくれる手紙でも出してくれれば嬉しい。

 一回り成長したお前と再会出来る事を楽しみにしているぞ」

 

「父さん……うん、ありがとう」

 

 そうして父と子は優しい笑みを浮かべ合う。

 心温まる親子の絆が確かにそこには存在した。

 

「むぅ……しかし、可愛い子には旅をさせろとは言うもののやはり不安だ。此処はオーラフかマテウス殿にでも頼んで精鋭1個中隊でも護衛に付けたほうが……」

 

「父さん……過保護もいい加減にしてよ……」

 

・・・

 

 そんな光景をトワはただただ幸せな気持ちで眺めていた。

 自分の両親が生きている事、あの父子がああしている事、そして自分たち6人が揃って卒業旅行に行ける事、それらがまるで奇跡のような幸福なのだとそんな感慨を何故か抱きながら。

 きっと自分たちはこうして大人になっていくのだ。卒業旅行が終わった後も、たまに時間を見つけて会って、仕事の苦労を語り合って、親になってからは親としての苦労を分かち合って、そしてお婆さんになった後は昔を懐かしみながら思い出話に華を咲かせる。そんな一生の付き合い(・・・・・・・)をこれからも続けていくのだと。

 

「トワさん、だったわよね?」

 

 そんな感慨にふけっているとトワ・ハーシェルは黒髪の優しげな女性に声をかけられていた。

 

「あ、はい。そうです。えっとリィン君のお母さんでしたよね」

 

「ええ、リィンの母でギリアスの妻のカーシャ・オズボーンよ。よろしくねトワさん、ちょっとお話したいんだけど良いかしら?」

 

「は、はい勿論です!」

 

 失礼のないようにしなければいけない!自然とそんな気合の入った状態となってトワは若干緊張した面持ちとなる。

 

「そんなに固くならなくてもいいのよ、ちょっと軽い雑談程度の内容だから。

 あのねトワちゃんに聞きたいんだけど、トワちゃんはあの子のどういうところが好きになったの?」

 

 軽い内容と言っておきながらもその言葉はトワにとっては戦車砲の砲撃の如き衝撃を齎した。

 見る見るうちにトワの顔はトマトのように真赤に染まっていって……

 

「ど、どうして……」

 

「どうして気づいたのかって?だってトワちゃんさっきからずっとあの子の事を目で追っていたもの。

 気づいていないのはあの子本人とあの人位じゃないかしら?全くもう、そんなところまで似なくても良いのに」

 

 女心に疎いところにあるこの世で最も愛している二人の男の事を思い浮かべてカーシャはため息をつく。

 それは先達としてのきっと苦労する事になる(・・・・・・・・・・・)という忠告でもあった。

 

「ねぇ、それでそんな朴念仁の息子の一体どんなところを好きになったの?おばさんにこっそりと教えてくれない?」

 

「え、えっと……それはその……凛々しくて自分にも他人にもとっても厳しくて……」

 

 アレ?とトワは言葉を紡ぎ出してから疑問に思う。

 自分の頭の中に浮かんだ凛々しい表情を浮かべる青年と今、目の前で年相応の無邪気な笑みを浮かべる優しい青年の姿が重ならなかったからだ。どういう事だろう?

 

「でもでも本当はとっても優しくて……何時も誰かのために一生懸命で……なんでもかんでも一人で抱え込んじゃう困ったところがあるけど、でもだからこそそんなリィン君を傍で支えてあげたいと思って……」

 

 優しくて一生懸命な事、これはそのとおりだ。

 でも一人でなんでもかんでも背負うような事を彼はしていただろうか。

 どちらかと言えば何時も「トワは一人でなんでもかんでも背負い過ぎる」とエミル君と共に苦笑しながら、支えられてばかり居たような気が……

 

 瞬間トワの脳裏に過るのは鋼の意志を纏った青年の姿。

 絆を羽ばたくための燃料へと変えて、理想という天に眩く輝く太陽に自らの身を焼かれながらもそれでも尚高く飛び続けて、“英雄”になろうとしているどうしようもなくバカで、どうしようもなく大切で愛しい人の姿だ。

 

 その瞬間トワは総てを理解する。

 これはとても優しい女神様が見せてくれた夢の世界なのだと。

 ならば起きなければならない、だってこれは夢なのだから。

 自分が夢に微睡んでいる間も、きっと自分の好きなあの人は羽ばたく事を止めないから。

 例えどれだけ自分の身体がボロボロになっても、そんな事を全く気にも留めずにどこまでも走り続けてしまうだろうから。

 

「ありがとう、あなたはとっても優しい子なんだね」

 

 この優しい夢を見せてくれた存在へと心からの感謝をトワは告げる。

 幸せな夢だった、とてもとても幸せで。こんな世界になったら良いと心から思う。

 どこまでも慈しむような優しさをこの夢からは感じた。

 

「だけど、私の好きな人は今も戦い続けている。だから起きなくちゃ」

 

 ただの別人というわけではないのだろう。

 この世界はきっとありえるかもしれなかった世界。

 こんな風に悲しいことも辛いこともなくて、幸せな世界もあり得たかも知れない。

 でもそれでもトワ・ハーシェルが好きになった男の子はこの世界のリィンではないから。

 

 夢とは見るものではなく、叶えるためのものだから。

 少しでもこの夢のような世界を現実にするべく自分は頑張らねばならないのだ。

 だって自分はもう夢を見ているだけの子どもではないのだから。

 好きな人に似合いの女になるためには、何時までも夢見ているだけの少女ではいけないのだ。

 彼に叶えたい夢があるのと同様、自分にも叶えたい夢があるのだとそう気づいたから。

 

 ーーー本当に目を覚まして良いの?

 そんな風に弱気な自分が囁く。夢とは見るものではなく、叶えるためのもの。

 そんな綺麗事を語っても、本当に叶えられるとは限らない。

 むしろ叶えられるものの方が少数だろう。それが無情な現実というものだ。

 だって現実では既に多くの悲劇が起こっているから。

 自分の両親もリィンの母も既にこの世には居ないのだから。

 後悔することになるかも知れない、こんなはずじゃなかったと。

 こんな事ならずっと夢見たままでいるべきだったと。

 

「だけど、それでも……」

 

 この世界に居るのは自分の愛した少年ではないから。

 だから自分も進むのだ。今も尚、一人で何もかもを背負い込んでそんなままならない現実と戦い続けている好きな人と並び立つために。

 現実と戦うのは自分がやるから、君は夢を見ていてくれれば良いと言われようが知った事ではない(・・・・・・・)

 向こうはこっちの意見を聞いてくれずに一人で突っ走ているというのに、何故自分だけが彼の言うことに従わなければならないのか。

 今は女性も社会へと進出している時代、亭主関白等認める気は一切ない。

 

 そうしてトワは走り出す。幸せな夢に背を向けて、辛く厳しい現実へと立ち向かうために。

 そうして夢の世界から抜け出す直前背後から

 

「あの子の事をお願いね」

 

 そんな母としての万感の願いが篭った言葉を聞き、トワ・ハーシェルは夢から覚めるのであった……

 




トワちゃん、姑公認の仲となるの巻
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