(完結)灰色の騎士リィン・オズボーン   作:ライアン

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この作品では達人(八葉以外の流派で言う皆伝の領域。遊撃士でいうA級、結社で言う執行者)と理の部分でデカイ壁が一つずつあると考えたガバガバとした強さ設定に基づいています。
理に至った存在は文字通り人の形をした一種の戦術兵器という扱いになっています。


想い抱いて

 決戦の準備は整いつつあった。

 ログナー候の中立化宣言に続き、拘束されているヘルムートに代わり現在バリアハートを治めるユーシス・アルバレアもまた中立化を宣言。これにより帝国正規軍は後顧の憂い無く、帝都攻略へと注力する事が出来る。

 そして貴族連合もまた帝国西部での大勝利の立役者たるオーレリア、ウォレスの両将軍を帝都へと呼び寄せて迎撃準備を整えている。この一戦で、帝国の命運は決定するだろう。既に内戦が始まって2ヶ月が経過している、これ以上戦いが長引けば共和国の侵攻を招きかねない、そしてガレリア要塞という盾を喪失し、内戦によって大きくその戦力を減らした今の帝国では一歩誤れば亡国の危機すら有り得る状況である。

 兎にも角にも一刻も早い内戦の終結をーーーただし、こちら側の勝利という形で(・・・・・・・・・・・・)。それが貴族連合と正規軍双方の嘘偽りのない願いであっただろう。

 かくして内戦終結のための乾坤一擲の手を打つべく、正規軍側はある打診(・・・・)を紅き翼へと行っていた。

 

「つまり、父上達……いや、皇帝陛下と皇后陛下そして皇太子殿下の救出を我々に依頼したいという事で良いのかな、アルフィン」

 

 通信機越しに数ヶ月前とはまるで別人のように凛々しく成長した己が妹を見つめながら、オリビエは改めて確認を行う。

 

「はい、お兄様。アランドール大尉の調査によって陛下は《カレル離宮》にて拘束されている事がわかっております。

 そして知っての通り、カレル離宮は天然の要害によって囲まれた地。飛空艇を除けば、そこへの移動手段は専用の特別列車のみ。更に当然ながらその警護(・・)には精鋭たる近衛部隊がついており、生半可な戦力では手出し出来ません」

 ですが、お兄様なら……いえ、紅き翼ならばそれらを総て解決する事が出来ます。何せ紅き翼の艦長を務めておられるのはあの(・・)光の剣匠なのですから」

 

「……恐縮です」

 

 全幅の信頼を寄せる皇女の花の咲き誇るような笑みに対してヴィクター・S・アルゼイドは応える。

 カレイジャスの艦長を務めるこの人物こそが、紅き翼の、オリヴァルト・ライゼ・アルノールの抱える最強の鬼札と言っていい。

 カレル離宮は天然の要害に囲まれた地形、つまりは機甲部隊を展開するのが極めて難しい場所なのだ。

 すなわちそこで行われるのは純然たる白兵戦であり、そしてその土俵に於いてこの人物を止められるとすれば帝国でも数人しか居ない。

 そしてその数人の内に数えられるオーレリア、ウォレス両将軍は当然ながら帝都決戦に際して軍を率いなければならない立場の以上、離宮の方まで手が回る道理はないというわけである。

 

「だが、我々とそちらが協力関係にある事は先のバリアハートの一件で貴族連合も知る事だろう。当然、我々が皇帝陛下救出へと動くことも重々承知しているはずだ。

 そしてそうなれば当然、空に関しては十分すぎるほどの備えをしているはずだが、そちらの対処は一体どうするんだね?カレイジャスは確かに現在帝国……いや、この大陸に於いて最高峰と言える機体だが、それでも単騎で空挺部隊をまるごと相手取るというのは難しい」

 

 いくらヴィクターが人類最高峰の実力者とはいえ、流石に空を飛ぶことは出来ない。

 故に行われるのは武技など関係のない純然たる性能と戦力勝負だ。 

 単騎ならばカレイジャスが負ける道理はない、しかし盤石の護りをしているであろう空挺部隊を単艦で突破するなど流石に博打にすら成らぬ、自殺行為である。

 

「ふふふ、勿論それへの対処も考えていますわ。考えたのは私ではなく、元帥閣下を始めとする皆様ですけど」

 

 一瞬アルフィンの表情に陰りが指す。

 弟と兄が政治談義をしていた際には、自分たちの年で政治談義など余りに早すぎる等と揶揄したものだったが、今思うと逆だったのだ。

 自分たち皇族は否が応でも政治に関わる立場である以上、もっと早く(・・・・・)から学んでおくべきだったのだ。

 政治など自分には縁遠い事だとそんな風に思っていられたのは偏に、皇帝たる父が庇護してくれていたからこそだったのだとアルフィンはこの一ヶ月で痛感していた。

 騎手が馬より早く走れる必要はない、そんな風に元帥閣下と知事閣下は慰めてくれたが、それでもどの馬が早く走れるかを見極めるには最低限の知識がなければ出来ないのだから。

 ……蝶よ花よと育てられていた自分を省みるのはまた後だ。今は兎にも角にもこの内戦を終わらせなければ。そう気を取り直してアルフィンは再び表情を引き締めて続きを述べる。

 

「こちらの切り札(・・・)をお兄様にお貸しします」

 

 虚を突かれた様子で目を丸くするモニター越しの兄の様子にアルフィンはしてやったりとばかりに悪戯っぽい笑みを浮かべる。

 そしてそれと共に静養を終えたその男は一歩前に出てモニター越しに敬礼を行う。

 

「紅き翼への同行を拝命いたしましたリィン・オズボーン中佐です。

 殿下の道を阻む障害は自分とヴァリマールが尽く排除致しますのでどうかご安心を」

 

「……中佐の力量は良く知っている。確かに彼が一緒に居るならば、どれほど空の警備が厚かろうと突破できるだろう。

 だが良いのかい元帥?彼と騎神の力は比喩抜きに一騎当千。それをこちらに回すという事はそれだけそちらが不利になるという事だが……」

 

「ご心配には及びません。

 確かに戦術的に多少の劣勢は否めません。ですが、皇帝陛下の救出にさえ成功すれば、総て終わります。

 後の事は軍ではなく政治の領分となるでしょう」

 

 つまりヴァンダイクは自分たちが囮となると言っているのだ。

 北と東合わせて7個師団にも及ぶ大軍を貴族連合の注意を引き付けるための陽動に使うと。

 

「そして、そのためには皇帝陛下の救出を為さるのは我々ではなくオリヴァルト殿下であるべきなのです。

 理由は当然おわかりかとは思いますが……」

 

「そちらが救出してしまえば、貴族連合は皇帝陛下が正規軍に囚われの身になったと主張するとそういう事かな

 ちょうどアルフィンがそちらに付いた時のように」

 

 アルフィン皇女殿下は逆賊の囚われの身となり、その意に沿わぬ事を強引に言わされている。忠臣たる諸卿らは決して惑わされぬようにするべし。

 それが貴族連合側の皇女の声明を受けた際のお決まりの反論であった。

 

「はい、ですが紅き翼として活動してきた殿下が救出なさればそういうわけにも行きません。

 何せその艦の勇姿は何よりも雄弁にその存在を知らしめますから」

 

「そして、そのためにこちら側も協力は惜しみません。

 カレル離宮解放のためにオズボーン中佐だけではなく、クレア・リーヴェルト大尉、レクター・アランドール大尉、アルティナ・オライオン曹長、そしてアデーレ・バルフェット少佐及び外部協力者たるシャーリィ・オルランド殿を派遣いたします」

 

 そこでオリビエはなるほどと理解する。

 つまりメインはこちらだが、革新派側もまた人員を送る事で離宮の解放に協力したという実績を作る事で、今後を優位に進めるつもりなのだと。

 自分たちが全面的に前に出ては交渉は纏まらない、されど囚われの皇帝一家の救出というこの上ない実績をみすみす逃したくはないという今後を見据えての打算、それらのちょうど妥協できるラインがコレなのだと。

 

「以上がこちらの提案になります。お兄様、如何でしょうか?」

 

「……その申し出、喜んで受けさせてもらうとするよ。

 合流のために一度我々がそちらに赴けば良いかな?」

 

 そしてそれらを承知の上でオリビエは了承の意を告げる。

 ある意味では体良く使われる形となるが、それでも構わない。

 現状提案された内容が内戦を終わる最善の策である事は間違いないし、それには正規軍側と自分たちが協力するのが必要不可欠なのだから。

 何より、こちらを不安げに見つめる妹の期待を裏切るのは兄としていささかキツイものがあるのだから。

 

「いえ、それには及びません。

 こちらの掴んだ情報によりますと、貴族連合はトリスタから撤退したとの事です。

 そして現在トールズ士官学院の運営は一部の貴族生徒に委ねられた状態にあるとも。

 残存している周辺の機甲部隊はこちらの方で片付けますので、殿下の方には学院と街の解放をお願いしたく。

 おそらく一番それが血を流さずに済むやり方でしょうから」

 

 淡々とした様子でリィンは語る。

 そこには学院に対する特別な思い入れなどもはやなく、あくまで軍人としての攻略すべき拠点の一つについて語るが如き様子であった。

 もはや、自分はトールズ士官学院の副会長ではなく、正規軍の中佐なのだと語るかのように。

 それこそ紅き翼の存在がなく、それが最善であるのならば、かつての学友達を斬り捨てるのも辞さないと言わんばかりに。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 そんな変わってしまったリィンを、自分たちの副会長の姿を見てトールズの面々は一様に表情を暗くする。

 ただ一人、トワ・ハーシェルだけは胸に宿した決意を改めて固めていた。

 

「……ああ、了解した。それではリィン君たちとはトリスタで合流するという方向で行くとしよう。

 それでは最後に、アルフィン」

 

「?なんでしょうか、お兄様?」

 

 打って変わって優しい笑みを浮かべた兄の様子にアルフィンはきょとんとする。

 

「次に会うのは帝都で。

 勿論父上や義母上、そしてセドリックも一緒に。

 一家五人揃って(・・・・・・・)だ。それまで体調を壊さないように気をつけるんだよ。

 数ヶ月ぶりの一家団欒だからね」

 

「あ……」

 

 紅き翼の、第三勢力の指導者の皇子としてではなく、兄として妹を気遣うその言葉にアルフィンは一瞬泣きたくなるような心境に駆られて

 

「はい!お兄様も、どうかお気をつけて!!!」

 

 一瞬滲んだ涙をすぐさま拭ってアルフィンは年相応の笑みを兄に対して送るのであった……

 

・・・

 

 トリスタ解放は拍子抜けする程にあっさりと終わった。

 申し訳程度に配置されていた機甲兵部隊程度では、灰色の騎士を止めるには能わず。

 不良部分が改良されたゴライアスとケストレルの2機にそれぞれ乗っていた指揮官と思しき二人が蹴散らされると、あっさりと戦意を失い敗走した。

 そして学院の解放に関しても、“騎士団”を編成して残っていた貴族生徒たちも理事長であるオリヴァルト殿下立会の下、決闘を行うとハーシェル会長の下へと帰順した。

 かくして残すは明日の決行を待つのみという状況下で、紅き翼に蓄えられている備蓄を放出し、更にはトリスタの雑貨屋から大量の食材を購入してオリヴァルト殿下は盛大な宴を催す事を決定した。

 無論、明日の決行に備えてメンバーの士気を高める狙いであろう。取り戻した学院の中で生徒たちは思い思いの夜を過ごしていた……

 

 喜びに湧く学院生の中に混ざる事無くその男は一人佇んでいた。

 思い浮かべるのは明日交戦する事となる幾多の強敵たち。

 結社身喰らう蛇の執行者、西風の猟兵団の大隊長、そして宿敵たるクロウ・アームブラスト。

 黄金の羅刹と黒旋風の両名は正規軍が相手をする事になるが、これらの敵は司令官として軍を率いねばならない両名に比べて非常に身軽な立場だ。

 で、あるのならば配置されているのは恐らく自分たちが向かうカレル離宮だろう。

 それが“助っ人”たちを一番有効活用できる配置だ。

 

 だが、問題はない。

 何せこちらも戦力は十分すぎる程に揃っているのだから。

 そう順調だ、余りにもこちらにとって都合の良いように進み過ぎている(・・・・・・・)

 これが現状内戦を終わらせるための最適解(・・・)である事は間違いない。

 帝国軍の頭脳たるゾンバルト少佐を筆頭とした英才たちが検討に検討を重ねた作戦だ。

 攻撃作戦の基本というのは奇襲にある。警戒して臨戦状態にある敵と真正面からやりあってもそう簡単に決定打は与えられないからだ。

 西部での死闘に於いて決め手となったウォレス中将の側背攻撃も最新型の機甲兵を用いた高速機動による奇襲であった。常軌を逸した速度の機動戦術が、名将ミヒャールゼンが防御陣を再構築する速度を上回ったのだ。

 当然護る側も奇襲を警戒して兵を配置する。だが、兵というのは無限に湧き出る者ではない、当然使える兵力には限りがあり、どうしても警戒の薄い部分というのが出てくる。その警戒の薄い部分を事前に検討するのが参謀の役目である。

 正規軍側にとっては文字通り乾坤一擲たる今回の作戦は当然、総司令部の英才たちがその頭脳をフル回転させ検討に検討を重ね、帝国最高の名将たるヴァンダイク元帥がこれならば(・・・・・)と採用したもの。

 穴らしい穴など無い、リィン自身も見せてもらったが素晴らしいと言わざるを得ないものだった。

 

 だというのに妙な予感がリィンの頭から離れない。

 まるで誰かの掌の上で踊らされているような(・・・・・・・・・・・・・・・・・)、そんな嫌な感覚が消えてくれないのだ。

 だが、そんな感覚等一体何の役に立つというのか。作戦とは論理の世界だ。

 そこに直感等という曖昧なものが介在する余地はない、「自分でもよくわからないけどこの作戦は敵に見抜かれている気がします」等という発言等ただの難癖にしかならないのだから。

 そして論理で考えれば、今回の作戦の出来栄えは素晴らしいの一言だ。で、ある以上自分が口を挟む余地など無い。自分は自分の与えられた役目を全力でこなすのみだ。

 この手の“勘”が有効に働くのは現場でとっさの対応を行う時である。その時は素直に自分の感覚を信じるとしよう。自分を信じられぬものが戦えるはずもないのだから……

 

 

「こんなところに居たのかよ」

 

 思索にふけっていると背後から声が聞こえ振り向くと、そこには彼の信頼する血の繋がらぬ兄と姉が居た。

 

「俺らは部外者だけど、お前さんにとっては久しぶりの同級生たちとの再会だろ?

 積もる話も色々あるだろうに一人でポツンと居るなんて寂しすぎやしねぇか?

 クレアみたいにまさか学生時代ぼっちだったってわけでもないだろうに」

 

「レクターさん、余り人聞きの悪い事は言わないでください。

 私だって学友位は居ました。……片手の指で足りる程度の数ではありましたけど」

 

 常と変わらぬレクターの軽口にクレアはまさかのマジ凹みである。

 義姉を落ち込ませた義兄へと非難がましい視線を送ると、さすがのレクターもどこか罰の悪そうな表情を浮かべ、誤魔化すように咳払いを行って

 

「ま、まあ兎にも角にもだ、青春時代ってのはそう何度も味わえるもんじゃないんだ。

 せっかくだし顔を出しておいた方が良いんじゃねぇのか?ただでさえ色々と別行動だったんだしよ」

 

「レクターさんの言うとおりですよリィンさん、以前の時も落ち着いて会話をする暇も無かったと聞いていますし、せっかくの機会ですから。我々の事はどうか気にしないでください」

 

 そう二人は内戦に巻き込まれた結果、鉄血の後継として、年齢に不釣合いの重責を背負わなければならなくなってしまった義弟を気遣う。せめて今位、その重荷を下ろしても良いのだと。

 

「それは違うよ、二人共。俺の青春時代はもう終わった(・・・・・・)んだ。二ヶ月前、ガレリア要塞がクロスベルの神機に消滅させられたあの日からね。

 あの日に、この身を総て祖国と皇帝陛下へと捧げた。帝国軍人としてこの国を護るためにね」

 

 しかし、そんな二人の気遣いを振り払い、リィンはどこまでも悠然とした様子で告げる。

 背負わされた荷は既に自分の血肉と化しているのだと言わんばかりに。

 

「そして、それから俺は数多の命を奪ってきた。それが祖国のためだと信じて。

 だからそう簡単に下ろすわけにはいかないさ」

 

 自分は決して無理しているわけでも嫌々やっているわけでもない、そう証明するかのようにリィンはどこまでも自然体の様子で英雄的な言葉は告げる。

 完成は近い。もはや彼の飾らぬ自然な行いと言葉が、そのまま英雄的な言葉と行動となりつつある。それは即ちリィン・オズボーンという男の存在そのものが“英雄”となりつつあるという事だ。

 

「「・・・・・・・・・・」」

 

 そんな義弟の余りにも覚えのある様子に二人は何も言わず固まる。 

 何かを言わなければならない、そうしなければきっと目の前の義弟は“英雄”という現象へと成り果てる。

 そして、今も彼の心の中に存在する私人としての優しさはいつしか消え失せてしまうだろう。

 なんとかして止めたい、だが何を言えば良いというのだろうか。

 今も尚、負い目(・・・)を抱えつつもそれを打ち明ける事もできない自分などが。

 そうして今の彼に不安を感じる二人は負い目と情の間で身動きを取れなくなる。

 アルティナ・オライオンはそもそも気に留めていない、彼女にとってリィン・オズボーンのその筋の通った行動に挟む異論など持ち合わせていないが故に。

 シャーリィ・オルランドはどこまでも歓喜する。どこまでも一心不乱に英雄へとなっていく想い人の姿へとますます傾倒するのみだ。

 故にもはやその完成を阻むものは存在しない。明日彼は英雄へと至るだろう。

 唯一無二の親友を生贄に捧げ、天に向かって飛び立つ翼を授かるのだ。そしてもはや止まる事は無くなる。

 だって彼は理想のために唯一無二の親友さえも殺すのだから。今後、どのような人物がその行く手を阻もうと決して止まる事はない。

 

 そうして自らの手で殺した親友という最大の起爆剤を得て、灰色の騎士は完全なる鉄血の後継へと至るのだ。

 この盤上を整えた翡翠の城将の望んだ通りに。

 

「あ~リィン君ってば、こんなところに居たんだ」

 

 そう鉄血の子ども達では彼らの長兄の思惑を超える事は出来ない。

 

「もう、探していたんだよ。せっかく久しぶりに会えたから色々と話したい事があるのに、どこにも居ないから」

 

 どこまでも柔和な笑顔をその少女は浮かべる。

 そこに宿るのはどこまでも暖かな眼差し。

 かつてリィンを前にして抱いた恐怖の色はそこに存在しなかった。

 

「リィン君、ちょっと付いてきてくれないかな?話したい事があるんだ」

 

 今、理屈では決して測りきる事の出来ない、譲れない思いを抱いて。

 翡翠の城将の思惑を超えた一手が打ち込まれようとしていた……




ルーファス兄さんが眼鏡かけて「オズボーン閣下ならできたぞ?オズボーン閣下なら出来たぞ?オズボーン閣下なら出来たぞ?」とかいい出しそうな感じになってきた……

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