なんちゃって戦国人のせいでエンゲル係数がやばい   作:ぽぽたろう

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手作り餃子は大量に作り何日も食べる(予定だった)

 目が点、とはこういう時に言うのだろうか。

押し入れの襖が勝手に開くという怪現象に野太い悲鳴をあげてしまった。女をやめている気がしたけれど、仕方ないったら仕方ない。

 

 「な、なにものだ?」

 

 ナニモノて。重力に逆らったワックスガチガチ頭の青年が混乱のあまりネタ口調になっていた。正直私も服と布団を仕舞っていた筈の押し入れが、走れるくらい広い畳部屋に変わっていることに混乱しているのだが。

 

「どういうことなの……」

 

現状はどうでもいいから、とりあえず久しぶりに手づくりした焼きたて餃子をたべていいですか、いただきます。

 

 韮と白菜どばどばいれたニンニク生姜ばっちりの餃子おいしい。ホントおいしいご飯が進む。

 

 「あー、その、邪魔したな?」

 

 オールバックの畳の住人はもくもくご飯を食べる私に何やらたじろいで。ぐぅ~、キュルキュル…と盛大に腹を鳴らした。

 右に左に目を泳がせて、チラチラ留まるお盆の上。……ニンニクと肉とゴマ油の焼けた匂いはやばいよね、うん。腹も減るとも仕方ない。

色々気にしなきゃならないものが多すぎるし、言わなきゃならないこともすごくあるはずなのだけど。一先ず箸を一膳差し出して、気色満面に飛び掛かって来た謎の青年のために冷蔵していた残りに火を入れることにした。

 

 

 

 「…っ!……!!」

 

 ハフハフッ!ムシャア!

 効果音を付ければこんな感じかな。一口食べて唖然としながら「うまい」と呟いて以降、一心不乱に餃子を口に詰め込んでいる。

 あ、それ最後の方皮が足りなくて一杯詰め込んだやつだ。てか摘むやつ肉が多いの狙ってるなぁ。素晴らしく幸せそうだから、まぁ許してあげよう。

 三日くらい保たすつもりで包んでたけど、健康男児の食欲は凄まじい。明日も作らないとダメか。

 

 「あ、よかったらこれ」

 

皿に注いだポン酢を手渡して、自分も食べる。一瞬キョトンとした後に、恐る恐るといった感じで(なんでポン酢に……)浸けて口にした。

 カッ、と見開かれる目。もごもご咀嚼しながら、「天才か!」と言わんばかりの視線。うん、私はおでんしか使わないから出してなかったけど、辛子も試してみようか。

 

 あー、とにかく餃子おいしいよ肉汁とポン酢の相性最高。脂の甘みがさっぱりとしたポン酢に絡まって箸が止まらないおいしい。

 ……現実逃避餃子最高。

 

 

 

 「すまない、あまりにうまそうな匂いだったのでつい……」

 

 目一杯腹に詰め込んでから正気に返ったらしい。青年が本当に美味だった、と頭を下げた。

それは謝っているのか餃子に感謝しているのかどっちなんだ。

 

 「それがし徳川家康。今回は妙な現象の中馳走になった。気になる事は余りに多いが、まずは感謝を」

 

 ああこれはこれはご丁寧に。徳川家康とか幕府すごいですね。虐められるかネタにされるか、とにかく覚えやすいわ。

 

 「何がなんだかわからないけと、お腹空いてるのは分かったから。理解できたものに意識逸らしただけだし」

 

 自宅の襖がどこでもドア……どこでも襖?になったとか脳内から消去してたのに、相変わらず奥は畳部屋のままだよ!

 

 「あー、私は佐藤めぐみ。とにかくお粗末さまでした。」

 

 何で繋がったとか、そこはどこでここは何だとか建設的な会話は出す元気がない。明日が休みだからと餃子包み頑張ったせいで気力も残ってない。が、喋らないとどうしようもない。

 笑顔でなにか言おうとした家康くんだったけれど

 

――家康!イィィエヤアアアアスゥウウウ!?どこだ家康!半兵衛さまがお呼びだ!今すぐ顔を出せ!!――

 

押し入れ先(仮)から響く連呼される名前。

は、はは…、と渇いた笑いが聞こえるような表情に変わった顔に苦笑する。

 

 「ほい、ブレス○ア。これのんで帰りなさいな」

 

 一粒口にほうり込んでから同じのを渡す。さすがにニンニク生姜臭わせまくるのもね。

 困惑したように錠剤を眺め、意を決したように口に含む。……たかが口臭抑制剤に気合を入れすぎである。

 

 「本当に世話になった。この礼は必ず!」

 

ピシッとしたお辞儀を一つ残して、畳部屋に戻っていく家康くん。私は襖を閉じながら

 

ーー三成、そんなに呼ばなくても聞こえているぞ。

ーーならばさっさと顔を出せ!いつまで半兵衛さまを………

 

 

 押し入れから聞こえる謎の声を、聞いた。

………なんなん、いやマジで。引っ越そうかな。




昔の携帯小説引用。こっちに持ってきたら続きのやる気がきっと出るといいなぁ。
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