なんちゃって戦国人のせいでエンゲル係数がやばい   作:ぽぽたろう

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多分絹の着物とカレーと言う地雷

「秀吉公の居城ではないのに繋がったか」

 「ここはどこだ!?太陽の正義!」

 「長政様、ここはみんなの声が聞こえないみたい……」

 

 なかなか混沌とした状態に陥っている私の居間。晩御飯用の材料が何もなかったから、買い物に出ていたら繋がってしまったらしい。

 家主の有無は関係ないんかいマジこのアパート防犯どうなってんだ。

 

 「ただ今いらっしゃい」

 「めぐみ殿、今帰りか」

 「む、家主殿か。邪魔をしている」

 

 はじめまして、といつもの挨拶。最近は新しい人が来ることがなかったため新鮮な感じがする。

 

 「近江浅井が当主、浅井長政だ。よろしく頼む」

 「市……。よろしくね、無色さん」

 

 働いてます。反射的に沿う返しそうになったけれど我慢した。しかし浅井夫婦、だよね?なんとも両極端なお二人だわ。

 袴?和服の正式名称なんてわからないが、それをビシッと着こなした美男子と、薄い桃色のミニスカ浴衣……?を着た美女。雰囲気は両極端でも、誂えた用に似合っている二人だ。ミニスカなんて時代を先取りし過ぎている感はあるけれど、まぁとんでも戦国時代だもんね、うん。

 

 「来てしまったものは仕様がない。お二人さんお腹空いてる?もちろん家康くんも」

 

 唐突だろう私の言葉に、それでもおずおずと頷く和風美人と元気に返事を返してくれる美男子。ちょうど八ツ時だからと、軽食を摂りに行くところだったらしい。

 こっちに繋がる理由以外の説明をちゃっちゃとして、二人に食事をとってもらう事を了承してもらう。

 

 「めぐみ殿の作る食事は本当に旨いからな。ワシも今日の御八ツが楽しみだ」

 「あなたはよくこの場所に来ているの?」

 「何度も来させてもらって居るよお市殿。その度に何か持っていきたいと思うのだがどうにも間が合わなくてなぁ」

 

 そういえば家康君から手土産を貰ったことがないわ、1番多く来ているのに。魚とか野菜とかが、たまーに回ってくるぐらい?

 

 「ま、とにかく座っといて。今から作るから時間かかるだろうし。壊さない程度に見ておいて」

 「そういえば戻られたばかりであったな」

 「今から御八ツを作るのね……。市も一緒にいい?長政さまに作ってあげたい」

 「い、市!」

 

 浅井さん素晴らしく感動した目で市さんを見つめておられますが。ってまぁそうか、国主と姫(いまは嫁だけど)じゃ手料理なんて縁がないよね。

……ん?縁がないとな。

 

 「市さん、包丁握ったことある?」

 「ううん、ないわ」

 

ふるふると首を横に振る姿すら可愛いんだけど、いやしかし無いのかぁ。

それを聞いて顔色まで変えながら止める浅井さん。どれだけ心配なんですか。

 

 「市、長刀は振るったことあるから、大丈夫よ?長政様」

 「しかしだな市!」

 「まぁまぁ長政殿!お市殿は貴方のためにおつくりしたいと言われているのだ、少し位任せられても良いだろう?」

 「だがなぁ……」

 

 渋る旦那さんを説得する家康くん。結局、ゆっくり一緒に作ることになりました。……さてどうしようかなぁ。ホントはそろそろ暑くなったから素麺するつもりだったのよね。でも初心者に胡瓜や大葉の千切りや錦糸卵は無理だろうし。

 

 「んー、牛の乳で作った白い汁物と、ちょっと色は悪いけど香辛料たっぷりの丼物(全然ちがうけど)どっちがいいですか?白い汁物はとつくに?の味付けでやわらかく鶏だし風味、丼物……もとつくに風か……。まぁとにかく辛口で香辛料の風味がよくておいしい。あ、どっちもね」

 

 カレーとシチューならなんとかなるはず。初心者ならまずこれでしょう。

 

 「ふむ、どちらも気になるが……暑気祓いに辛いものでも頼もうか」

 「市も辛いものがいい……。義姉さまからいろんな物を貰ったけど、辛いのは、なかったから」

 「姉上、また無駄遣いを……!」

 

 その一言でどんな姉なのか何となく分かったけど、そんなことはまぁいいか。とにかくカレーね。んじゃ頑張りますか。

 

 

――――――――――

 

 

 「皮剥きはするから、お手本見てね」

 「うん……」

 

 人参ジャガ芋玉葱な洋食三種の神器(個人的に)をささっと皮剥き芽取り。最近ピーラーより包丁の方がジャガ芋剥きやすくて困る。

 さて、まずは比較的柔らかいジャガ芋を縦に真っ二つ。半分を市さんの前に置いて、残りを今度はゆっくり縦に半分。

 

 「はい、それも同じ様に切ってみて。包丁の握りはこう。刃の付け根を、親指と人差し指で支える」

 持ち方指導をすれば、あっさりと危なげなくにぎりしめる市さん。長刀を振った、と言っていたし、刃物に対してそれほど忌避感はないみたい。

 ジャガ芋の真上から押さえる様に包丁を入れていたから、少し前に押しながらと伝えれば、あっさりと半分に切り分けた。……まぁ万能包丁は両刃だし、ちゃんと研いであげてるから真下でも問題なかったんだけどもね。

 

 「市、ちゃんとできた?」

 「うんうん、上手。包丁も全くぶれてなかったし、この調子なら大丈夫よ」

 

 嫁の初めての料理姿をハラハラと眺めていた旦那さんが、ちょっと安心したように肩の力を抜いた。家康くんは……うん、頑張れお市殿オーラが纏わり付いてるね。

 男どもの様子に笑うのを堪えて、続きを説明する。

 

 「ここからが大変だからねー?早く煮るために、ちょっと小さめに切るよ」

 「うん…」

 

 まずはゆっくり。縦四つに切ったジャガ芋を横に向け、包丁を左手に沿わせながら一切れ。ホントはゴロゴロしたのがいいんだけど、まぁ今回は急ぎたいし。

 

 「ちょっと怖いだろうけど左手丸くして野菜の上に。曲げた指に刃を当ててそのまま切る。包丁を左に傾けないかぎり絶対に指は切らないから、慌てず慎重にやってみて」

 

 ゆっくり何度も1センチ幅に刻む私の手を暫く見つめ、こう?と手の形を作る。頷いてあげれば、恐る恐る包丁をスライドさせた。スコンとまな板を叩く音に、ぱちくりと瞬き一つ。左手を確認して、大丈夫みたいと息を吐いていた。こら旦那さん、気持ちは分かるけど拳を握り締めないように。

 

 「うまいうまい。んじゃもう一回切ったら、今度は左指をもっと丸く内側に入れてみて。包丁を指に当てたままにしていたら野菜の左に動いて、切り幅が増えていくから。ちょうど良いと思ったらまた切って」

 

 お手本をもう一回。スコン、スコンと動かせば左指を追い掛けるように目が流れる。半分ほどになってから、市さんがまた包丁を握り直した。

 

スコン………スコン………スコン………スコン……スコン……スコン……スコン…スコン…

 

ちょっとずつ短くなる間隔。手が足りなくなればジャガ芋を中央に動かして、また猫の手。いはやは素晴らしく飲み込みが良いなぁ。私中学ぐらいまで怖くて猫の手活用出来なかったわ。

 

 「切れた…!」

 「おおお!凄いぞ市、料理頭にも勝る腕だ!」

 

言い過ぎやん?とツッコミたかったけれど、夫婦で形成される喜びの空間に押されて口が開かない。らぶらぶ過ぎてあたしゃ肩身が狭いよ……。と〇ちゃんになりながら、それでもやっぱりほっこり。仲良きことはなんとやら、だわね。

 

 

 

 市さんは硬い人参もきっちり刻みきり、ホッとしたように微笑んでいた。至近距離で花も恥じらう笑顔を見てしまった私と、流れ弾に当たった旦那さんが悶絶したのはまぁどうでもいい話しだと思う。いやしかしホントに美人だ。

 浅井さんも(話した感じ顔だけなら)涼やかな美形なため、二人揃えば目の保養にもほどがある。平然としている家康くんに物申したいレベルだわ。

 

 「さてはて、残りは玉葱なんだけど。目が痛くて涙が出ると思うよ。それでも切る?」

 「市、すべて作りたいわ……」

 

 初めて長政様に何かお造りして差し上げるから、と包丁をキュッと握ってそう言う市さんがいじらしくていじらしくて。

 旦那さんが喜び過ぎて感極まっている。素晴らしい絆だと笑いながら微妙にからかってるのかな、家康くんは。うろたえる浅井さんに、段々爆発させたいなーとか思いつつ玉葱をまな板にすけた。

 

 「んじゃま、玉葱だから簡単にザク切りで」

 

 縦半分に割った玉葱を渡して、三つに切ってもらう。向きを変えてさらに三つ分け。

 

 「……っ」

 「うおおお!?目が、目が痛い!?」

 

 作業していた市さんと、近くで見学していた浅井さんに玉葱の汁が直撃している。たくさん刻まなかったけれど、慣れない二人には大ダメージの様子。

 赤い目をしぱしぱ瞬かせて、ホロッと涙を流す市さん。……どうしようこの罪悪感。隣で浅井さんが叫びながら泣いててどうでもよくなった、うん。

 

 「暫くしたら落ち着くから、目を閉じて口呼吸してみて。鼻だと目に直接行っちゃうから」

 「うん……」

 「先に言ってくれめぐみ!」

 

 ごもっともです、すみません

 

 

 

 

 換気扇を回して、ホーロー鍋に油を引く。肉は切ってある二割引きの鶏肉を解凍しているので割愛。

玉葱と鶏肉を鍋にいれ、木ベラを渡してはい交代。油の跳ねる音を聞きながら、焦がさないように時々混ぜてと伝える。

 

 「時々で、いいの?」

 「火が強ければずっとだけどこのくらいなら大丈夫」

 

弱中火なのでそうそう焦げたりなんかしない。わかった、とちょこちょこヘラでお肉を反す市さん。スン、と鼻を鳴らして男二人が腹が減ったと話し合っている。鶏肉も焼けたらイイ匂いだよねぇ……。

 

 「はい、残りの野菜も入れるよー」

 「全部?」

 「そう全部」

 

 程よく火の通った肉を確認して、人参ジャガ芋を一気に入れる。大分深い鍋だけれど、弾いて中身を零さないよう慎重に回している。ジャガ芋が油を吸って透き通って来たら、火を止めて水を被さるよりちょっと多めに。

 

 「底全体を一度擦って焦げ付き防止して、強火ね。沸騰し始めたらアクとり」

 「あく……?」

 「悪!?」

 

……浅井さんのアクは何か違う気がする。

 簡単にシュウ酸の説明をして、ヘラをオタマに持ち替えて貰う。

 

 「茶色い泡が真ん中に集まったら、一網打尽にして」

 「一網打尽……。無色さんは、戦術も得意なの?」

 「いや、うん、そうじゃなくて」

 

 コツ的にはそうだけど間違ってる。強火のまま沸騰したら真ん中に溜まる性質を利用してね、そう。手早く回収しないと混ざっちゃうので要注意だけど、すごい楽なんだよねぇ。

 

 「……これでいい?」

 「まだまだ。もっと出てくるから、ほら次!」

 

 慌てて何度もオタマを流しに往復させて、ようやくOKを出す私。蓋を半掛けにして中火に戻す。完璧だったよと笑いかければ、よかったと微笑む市さん。ああ美人。

 

 「後は野菜が煮えれば、ルゥ……香辛料と辛みの元を溶かして完成ね。市さんが頑張って小さく刻んだからすぐに出来ると思う」

 「そうか。いやぁ楽しみだなお市殿!長政殿!」

 

 ぐきゅう、となかなかいい腹の虫を鳴かせて笑い声を響かせる家康くん。浅井さんも腹が減った!と頷いている。

 あー、カレー初体験なんだよなぁ全員……。フルーツ缶開けてヨーグルトと混ぜておこう、念のため。

 

 

 

 

 「うっし煮えた。後はこれを溶かすだけ」

 「これは……味噌、か?」

 

 引っ張りだしたルゥを見つめ、首を傾げる家康くん。浅井さんと市さんはよく出来た絵だとパッケージに感心している。

 「あぁそうか味噌カラーだっけ。色は似てるけど全然違うよー。入れたら分かる」

 

 ほいポチャン。個数なんて適当だ。弱火にした鍋をオタマでぐるぐるかき混ぜる。ドロっと崩れるルゥを不安気に見つめる家康くんも、カレー臭が漂い始めてから口元が緩んだ。キラキラと輝く目線にニヤリと笑う。

 

 「な、なんと芳醇な!」

 「市もお腹が空いてきたわ……」

 「めぐみ殿の家で色んなものを馳走になったが、これ以上香に引かれるものがあっただろうか」

 

 スパイスがやばいぐらい胃に刺さっているようで。何度嗅いでもいいなぁ、カレー。ふつふつと煮える鍋にとろみが付き、ルゥも完全に溶け切ったのを確認して火を止める。よし。

 

 「前掛けは絶対、絶対にかけてたべること!このタレ、服に付いたら落ちないからね!」

 「そうなのか?」

 

 勝手にスプーンを取り出して味見しようとしていた家康くんが動きを止める。……場所を把握しすぎだろうが。

 とにかく、下手をしたら絹だ、この人達の服は。そうでなくとも手作業で仕立てる筈だから、カレーの染みなんて論外。予防をするにこしたことはない。

 長々しいタオルを首に垂らす三人はどこと無く間抜けだけど言わないでおこうそうしよう。

 

 

 深めの平皿は流石に四枚なかったから、私だけ丼だ。なんとも微妙な見た目だけどしょうがない。白米に驚く浅井夫婦はまぁ、いつものパターンと言うことで。

 カレーは市さんに注いでもらった。ご飯にたっぷりかけて、「長政様、お願い」と手渡す市さんと「任せろ!」と受け取る浅井さん。ささやかなやり取りなのに本当に仲の良さが伝わるんだもんなぁ。

 

 ま、とにかくご飯だ。三人ともカレーにくぎづけだし。

 

 「いただきまーす」

 「いただき、ます」

 「いただきます?」

 「馳走になる」

 

 なぜか浅井さんだけ首を傾げていたけどまぁいいや。何時も同じように口にしようとかとスプーンですくったけれど、家康くんの言葉に手を止めた。

 

 「この香り…正しく正義!」

 「めぐみ殿のところの食事に美味くないものは今までなかったからなぁ。せっかくのお市殿の手作りでもある、是非とも味わってほしい」

「……」

 

そわそわと浅井さんを見つめる市さんに、一番の感想は任せたほうがいいかと食べるのを考え直す。浅井さんにとって謎の液体のかかったご飯なんだけど大丈夫だろうか。…オソマじゃないからね?

掬ったカレーをいざっ!とばかりに口に含み、目を見開く。咀嚼している表情からどれだけカレーに魅了されたか伝わって来る。

 

「辛い!美味い!美味いぞ市!そなたも食べるがいい!」

 

これ以上ないほどストレートな感想を喜色満面に叫び、勢いのまま二口目を口に含む。

 

「長政さま…。市嬉しい……」

 

ぽわっと薄紅頬を染め、感想に喜ぶ市さん。…ルーすごいよね、とは口に出さないでおこう、うん。

浅井さんに促されるままカレーを口に含み、市さんも驚き顔を綻ばせる。

 

「………!ヒリヒリするけど、おいしい…」

 

どうやらカレーは二人の口にあったようで安心した。フルーツヨーグルトはデザートの立ち位置で大丈夫そう。

そんな二人をニコニコと嬉しそうに眺めていた家康くんも相伴に預かろう、と口にする。そして浅井さんと同じく辛い!美味い!とカレーの感想を叫び、ガツンと来た!と一言、麦茶をがぶ飲みしていた。……甘口なくてごめんね。

 

大興奮の面々を見て私もいただきます。うん。カレー。美味い。

食べつけてるせいであそこまで荒ぶれないけど、やっぱりカレー美味しい、思い出したように食べたくなる。

 

 

 小鳥が啄む様に食べる市さんと、しっかり噛んで優雅に素早く(としか表現できない)食べる浅井さん。辛い、おいしい、と何度も言いながら口にする二人。

 ふと隣を見れば、家康くんのペースがカレーは飲み物な食べ方に!?ちゃんと噛もうよ!

 

 「匙が止まらないなぁこれは。それに食べてないと逆に辛い!」

 「確かに口に入れてないと舌が焼けるようだ。食べているときはほんのり柔らかいくらいだというのに」

 「ご飯、進むね」

 

カレーのルゥが足りなかったのか、追加をしに立ち上がる家康くん。ついでにご飯も注いではダメかと言わんばかりの目線に、はいはいと許可をだす。喜びいさんでシャモジを振るっている家康くんに、市さんが一言。

 

 「長政様もお代わり、いる?」

 「ああ、しかしだな…」

 

 流石に初めて来た浅井さんは遠慮気味にこちらを見つめて来たけれど。大丈夫ですよと頷けば、感謝する、頼むと市さんにお皿を渡していた。

 旦那さんのお手伝いが出来るのが嬉しい、と市さんからふんわりとした空気が漂っている。

 こうしていると、本当にいい夫婦だなぁ。

 

 

 

 

 

 物凄い勢いで掻っ込んでいた家康くんと、お代わりしていた浅井さんのおかげか、綺麗さっぱりとカレーは完売しました。デザートのフルーツヨーグルトもきっちり食べ切ってくださりましたよ。あ、染みは大丈夫でした。

 

 「市の手料理が食べれて私はうれしかった。よくわからない空間も悪くは無いものだな!」

 「私も、楽しかった……。また作るね、長政様」

 「お市殿の貴重な手料理を頂けてワシは幸運だったよ。そしてめぐみ殿、いつもありがとう。今日もとても美味しかった」

 「どう致しまして」

 

 

 

――長政ー?市ー?……あらあら、お客が来ているのに逢い引きなんて隅に置けないわねぇ

 

 「ち、違うぞ姉上!」

 「光色さんも、一緒よ?」

 

 押し入れから聞こえる声に慌てる浅井さん。あぁ買い物好きのお姉さんかと思いながら、多分道が直った事を伝える。

 

 「す、すまない。もう少しきちんと礼をしたいところだが」

 「いいのいいの、いつもこんな感じだから。また来てねとは言わないけど」

 「ありがとう、めぐみ、さん?市、色んな事が出来たわ」

 「帰っても時々、台所借りてみてね」

 「うん……」

 

 お邪魔しましたと、お辞儀をして押し入れを潜る夫婦。

 

 「それではめぐみ殿、またな!」

 「……あー、うん。またね」

 

 来るなといっても繋がるんだからしょうがない。諦め混じりにそう言えば、喜ぶ家康くん。

 

 「次もかれえが食べたい!」

 「やっぱりもう来るな!じゃあね!」

 

 きっちりリクエストしていく家康くんを押し入れに潜らせて、ぴしゃりと襖を閉じた。あー、まったく。

 

 「来るのに慣れたらダメだよなぁ、私」

 

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