FAIRY TAIL ─Salamander of the another One─ 作:そーめん
────これは新たなる《妖精の尻尾》の物語
────百年クエスト────
痛い────
痛いよ────
助けて…ナツ…
グレイ…
エルザ…
ウェンディ…
ハッピー…
シャルル…
みんな…
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
右の拳に炎を纏った少年があたしの横を通り過ぎた。
その少年の左手は既に失われており、自分の炎で止血した痕が見られた。
少年の拳を、男は受け止める。
少年は火を吹く。
躱される。
少年は蹴りをいれる。
躱される。
片腕のみの少年は体のバランスが取れずその場に倒れ込んだ。
男は少年を嘲笑う如く、力なく倒れる少年を攻撃する。
「やめて…」
ほとんど声は出ていない。こんな掠れ声では…少年の耳には届かないであろう。唇だけが微かに動き、何度も…何度も…あたしは同じ言葉を繰り返した。
周りには今の少年と同じくして力なく倒れる仲間達…。共に戦い…笑い合いあった…何者にも変え難い、かけがえのない仲間たち…。
「やめてよ…」
声を出すたびに腹部が悲鳴をあげ、大量の鮮血が流れる。
少年はあたしの方を向き…笑った。そして再び立ち上がり、男に向かって走って行く。
無理だよ…こんなの…。
「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!ナツーーーーー!!!!!!!」
「俺はぜってぇ…諦めねぇぞォォォォォォォォォォォォ!!!!」
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「夢…?」
ルーシィは自室のベッドで目覚める。部屋の天井が霞んで見える理由が涙だと気づくのに時間はかからなかった。
その涙を拭い、ベッドから起き上がり、シャワールームへ。
熱いお湯を頭から被り、心を落ち着かせようとする。
ガシャン!!!
なにかが落ちる音が聞こえた…鍵は閉めたはずなのに…。
そっか…また
ルーシィはタオルを一枚だけ巻き、音がしたリビングへ足を進ませる。アイツならタオル一枚で充分よね。
そして、リビングへの戸を開ける。
「ちょっとアンタ達!!!勝手に人の部屋に入るなっていつも言ってるでしょうが!!!」
目の前にいつもの仲間達が自分の部屋でくつろぐ光景が広がった。
『よう!ルーシィ』
『脱ぎやすい部屋だぜルーシィ』
『エルザ見て〜エロい下着〜』
『こ、これは凄いな…』
『ルーシィさんごめんなさい、ごめんなさい』
『なかなかいい部屋じゃない』
幻覚が消えた。いや…ここにみんなが居ないのは分かっている。
アイツがいたから…みんながここに来てたんだ。
そしてルーシィは音の主を発見した。
写真立てだ。フェアリーテイルのみんなで撮った写真が入った写真立てが床に落ちてしまっていた。
ルーシィはそれをそっと拾い上げる。その写真の中には、威勢のいい笑顔で笑う《ナツ》の姿があった。
再び視界が歪む…。ポタ、ポタっと写真に涙が落ちた。
「ナツ…!!」
一週間前…ナツは、死んだ。
百年クエスト。百年間誰もクリア出来なかったクエストの総称。
それを受注したルーシィ達フェアリーテイル最強チームは、イシュガルの最辺境に位置する《黒の迷宮》と言われる洞窟へ向かった。
《ゼレフ書の悪魔崇拝団体 イルミナティ》の殲滅。
途中までは順調だった。《イルミナティ》の下っ端達は《ラグナロク》にて最も大きな功績を残したフェアリーテイルのメンバーにはそれほどまでの強さには感じなかった。
しかし…
《七つの大罪》を名乗る七人の《イルミナティ》の幹部のたった一人の魔導士よってチームは半壊。全員が瀕死の重症を負った。
しかし、それでも一人で大罪の一人に向かっていったナツは…相手の魔法により跡形もなく姿を消した。
その後《イルミナティ》も《黒の洞窟》から姿を消し、クエストは失敗。百年間も誰もクリア出来なかったクエストだ、失敗したとしても『仕方ない』で済まされる。
だが…失ったものは、何よりも大きかった。
ゼレフを倒し、アクノロギアを倒したナツが…
ギルドメンバーはナツの死を受け入れることが出来なかった…泣き、叫び、悲しみ…。全員が抜け殻のようにその場にうずくまった。
フェアリーテイルのメンバーだけではない。セイバートゥース、ラミアスケイル、マーメイドヒール、ブルーペガサス、クワトロケルベロス、クリムソルシェール…。評議員やフィオーレ王国までもが、ナツの死を嘆いた。
ルーシィは今日もギルドへ向う。本当はどこにも行きたくはない…だが、一人でいるのが辛いのだ。
ルーシィは重い足を動かし、ギルドに向かって歩き始めた。
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──マグノリア──
「腹減ったァ…」
目元まで伸びる黒い髪。背負ったリュックサックには大きなテント。
この少年の目の先には…一つのギルド。
妖精の尻尾はあるのかないのか…それは永遠の謎…永遠の冒険。
冒険は終わることは無い。
今まさに新たなる冒険が始まろうとしていた。
一人の少年の手によって。
「妖精の尻尾…か…」
フィオーレ王国、ここは魔法が溢れる世界。
そこに、一つのお騒がせギルドがあった────
その名も…
いかがだったでしょうか?
プロローグという事で文字数が少なくて申し訳ありません。
図々しい事を言うようですが、お気に入り、評価、感想をお待ちしています。
それでは次回《Salamander of the another One》でお会いしましょう!