魔法少女リリカルなのは L×F=   作:花水姫

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 今年最後の日にて、序章最後の話です。
 短いですが、どうかご容赦を


家族×平和=それはエピローグ

 

「フェイト、アルフ。朝ですよ。起きてください」

 

 そんな声と共に部屋に入ってくるのはリニスだ。プレシアの使い魔でありテスタロッサ家の家政婦兼教育係。

 あの後、アリシアが復活した後は新たな家族を迎えての、普通の家族のような生活が続いている。リニスに関してはプレシアの体調が良くなり本人に余裕ができた事や、契約の内容が『テスタロッサ家を陰日向にと補助していく事』に変更され、それに伴い省エネモードが追加された事なども合わせ、維持が楽になったらしい。

 省エネモードと言うのは、所謂アルフの子犬モードのようなもので、大きさは変わらないが、魔力をDランクまで落とす事で、コスパを上げているらしい。しかし、当然戦うことはできないので魔法の勉強(特に実技)の時は全力モードになる。

 

「おはよう。リニス」

 

 そんなリニスに向かって起き上がり挨拶をする。フェイトは朝が弱いらしく未だ眠っているのでもう少し寝かせてあげる事にした。まぁ、意識だけが寝ていて体は起きているので疲労は回復しないのだが。

 

「おはよ~」

 

 そんなボクにつられてか一緒に寝ていたアルフも大きなあくびをしながら起きる。

 

「おはようございます、レヴィ。それにアルフも。フェイトはお寝坊さんですか?」

「うん。もう少しだけ、寝かせてあげようかなって」

「レヴィはフェイトに甘いですね」

 

会話をしながらリニスは部屋のカーテンを開けていく。その横でアルフはベッドから飛び降りボクは着替えをするためにクローゼットに向かう。

 

「今日は天気が良いのでテラスで朝食をすることになってます。アリシアとプレシアはもういる筈なので向かってください」

「は~い」

 

今日の服をテキトーに決め、リニスに言われた通りアルフと共にテラスへ向かう。

 時の庭園は無駄に広く移動するのになかなか時間がかかる。子供の足ならなおさらだ。

 そう思いながらもアルフと他愛無いことを喋りながら歩いているとフェイトが起きた。

 

『うにゅ~? あれ、もう朝……?』

「そうだよ、おはよう。フェイト」

『おはよう、レヴィ』

「フェイト起きた? おはよう! フェイト!」

「おはよう。アルフ」

 

 フェイトが起きたことで即座に主導権を明け渡す。これは日頃の訓練の賜物だ。

 そんなこんなで部屋を出てから数分でテラスに付く。

 テラスには車いす(・・・)に座ったアリシアとプレシアが隣合って喋っている。

 

「あら、フェイト起きたのね」

「フェイト! おはよー!!」

「おはよう。母さん、お姉ちゃん」

「おはよ~」

 

プレシアが近づくフェイトに気付き挨拶すると、アリシアがすぐさまこちらを向き、手を振りながら挨拶する。

あれからもう一月ほどたっているが、アリシアはまだ歩けていない。長年死んでいたため筋力が衰えてしまっていたのだ。目覚めて数日は体を起こす事すらままならなかった。

リハビリも続けているが、みんなと同じ席で同じものを食べたいと言うので主に上半身、特に腕の筋力のリハビリを重視していたためでもある。その甲斐もあってか移動こそ車いすで誰かが側に居なければ移動できないが、自分でスプーンとフォークを持つことも、読書することもできるようになっている。

 

プレシアとは、例の話し合いの後、根掘り葉掘り聞かれ、原作知識の事なども話した。そっちの方は、すでにアリシアの復活や、ボクの存在が居る事で、参考程度にすると言われ、ボクにも原作の事は忘れるように言い渡された。

その後は、特に何もない。アリシアのリハビリなどで忙しかったのもあるし、プレシア自体があれらの話し合いについて触れてこないのだから、こちらも触れない事にした。

 

 そんな、アリシアとプレシアに見つめられ、フェイトはそちらに近づく。

 

「フェイト! こっちこっち!」

 

 車いすと言うハンデも、リハビリの辛さも感じさせないアリシアは自分の横の椅子を叩きながらフェイトを急かす。よほど妹という存在がうれしいのだろう。会って直ぐに自分を姉と呼ぶように言ったり、一緒に勉強したり読書したりする時も何かとフェイトを構いたがる。

 そんなアリシアをフェイトも好ましく思っているらしく大人しく妹としてアリシアに接している。

 

「レヴィも起きてる?」

「うん。起きてるよ」

「レヴィもおはよ!」

 

 そんなアリシアはボクの事も何事もなく受け入れてくれていた。本人的には妹が二人で来た感覚なのだろう。

 

(おはよう! アリシア)

 

 そんな太陽みたいに笑う少女にボクは念話を送った。

 アリシアは魔力が無いと言っているが極々少量なだけで皆無ではない。

 そうしてそんな魔力でも受け取れるように念話の発信者が調整してやれば、念話を聞くことだけはできるようだ。もちろん送ることはできないらしい。これはいちいち入れ替わらなければ意思疎通ができないと思い込んでいたボク達にプレシアが教えてくれたことだった。これのおかげでわざわざ入れ替わる必要は無くなったのだが。

 

――ますます幽霊っぽくなったんだよねぇ~。

 

 そう、こちらが念話で会話をするだけになってしまったのでまさに幽霊状態なのだ。ここ最近はボクが主導権を握るのはフェイトが起きていない時か、魔法の練習をする時位しかない。

 それでも、アリシアと、この場に居る皆とコミュニケーションがスムーズにとれるのだからありがたいことこの上ない。

 

「みなさん。遅くなりました」

 

 ボク達が雑談をしているとリニスが料理の乗ったカートを押してテラスにやってくる。

 

「ごはん!?」

 

 その姿にまずアルフが反応し

 

「ごっはん~♪ ごっはん~♪」

 

 アリシアが目の前に置いてあったフォークとスプーンを手に取りはしゃぎ始め

 

「もう、アルフもお姉ちゃんも行儀悪いよ」

 

 フェイトがそんな二人を嗜め

 

「そうよ、フェイトの言う通りね」

 

 プレシアは微笑みながらそんな三人を見つめ

 

「二人ともご飯は逃げないので落ち着いてください」

 

 リニスが食事を並べていく。

 

 そうして始まる一日。あの時から始まった平穏。普通の家族の様に笑いあいながら過ごす日々。

 

 

 

 

 

 

そんな日々を過ごして約3年。

 

 

 

 

 

・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「ここが、第97管理外世界」

「ビルがいっぱいだね」

「魔法文化は無いようですが科学技術自体は発達しているようですね」

「おぉう。やっぱり人が多いねぇ」

「ここが…………『地球』」

 

 

テスタロッサ一家は『地球』に足を踏み入れた。

 

――――NextStage “Magical Girl Lyrical Nanoha”

 





 くっそ短いうえになんかテキトー感あふれるエピローグになってしまいましたが、ひとまず序章はこれで終了とさせてください。

 2014年の初めごろに、正月特別編を1話だけ投稿して、本編、原作第1期に入っていきます。

 ですが、当然のようにほとんどオリジナルなようなものですので平にご容赦を。

 それでは、来年も良いお年を。そしてこの小説をどうかよろしくお願いします。

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