どうもみなさんお久しぶりです。
なんか今日はクリスマスって奴らしいですよ。救世主の誕生を祝う日であって決して子供を仕込む日じゃありませんからね。
そんな事より、今回は無印とA'sの間の話と言うかなんというかそんな感じの短編です。
ざっくりいうとレヴィを高町家にばらす『レヴィという存在』
なんやかんやあってフェイトが嘱託魔導師にされてしまった『嘱託魔導師試験』
の二本でお送りいたします。
短いうえ特に書き込んでも居ないのであまり突っ込まないでください。
ではどうぞ
『レヴィと言う存在』
フェイトとなのはが友達になってからしばらくたったある日。
現在高町家ではフェイトがなのはに秘密を話す、という名目でテスタロッサ家一同がお邪魔していた。
長い付き合いになると思われる家族に説明しておこう。と言うレヴィの意見の下である。
「それで? 今日はなんのお話なの?」
なのははあれからフェイトを通じて、フェイトの師匠であるリニスや大魔導師であるプレシアから魔法について教授してもらっていた。
今日もそのたぐいの話かと思っていたなのはだが、フェイトが話し出す事は少し違っていた。
「あのね、今日は、私の……私とずっと一緒に居るレヴィについて話したくて」
そう言うフェイトの言葉になのはは聞き覚えがあった。
当時はフェイトの事でいっぱいで、今その名を聞くまですっかり忘れていたが、朧気ながらも思い出してきていた。
「レヴィ……れ、ヴィ……。あ!」
そうして思い出したなのはは大きな声を上げる。
「レヴィちゃんって温泉の時の!」
「うん」
なのはの言葉に頷きフェイトは説明を始める。
「私には、生まれた時からずっと一緒に居るレヴィって子がいるんだ」
「それは、多重人格……ということかい?」
士郎が疑問を訪ねる。士郎のその言葉は最もであり、普通はそうだと感じる。
その疑問に答えたのはプレシアだった。
「厳密には違うのですが、そのような物……とお考えください。フェイトとレヴィの関係については、科学的、魔法的に解明できない物でして……」
「なるほど。プレシアさんが言うならそうなんだろう。フェイトちゃん」
プレシアの言葉に頷き士郎はフェイトに優しく声をかける。
「今日は、そのレヴィちゃんを僕達に紹介してくれる。って事で良いんだね?」
「はい」
そう言うとフェイトは目を閉じる。
しばらく瞑目してから目を開くと、そこにはフェイトの持つ綺麗な紅色の瞳では無く、爽やかな蒼色がうつりこんでいた。
虹彩の色が変わるという不思議な光景を目にし高町家の面々は驚きを隠せないでいる。
「……はじめまして。ボクがレヴィだよ」
一同の視線を浴びながらもレヴィは自己紹介した。
仕事上多様な人間を見てきた士郎や、生来の観察眼の良さを持つなのはは人目見ただけで目の前の人物が“フェイト”ではない事を見抜いた。
「なるほど、僕は高町士郎。高町家の大黒柱で喫茶翠屋のマスターをやっている。よろしくレヴィちゃん」
そういう士郎はレヴィに向け手を差しだし、握手する。それを皮切りにレヴィに向けて高町家の自己紹介が開催される。
そして、最後のなのはの番となった。
「初めましてじゃないけど、改めて……。高町なのは、聖祥大小等部3年生」
「うん。いつもフェイトと一緒に見てたよ。ボクはフェイトと離れられないからね。はじめて出会った時も、この前の戦いも。全部、見てたよ」
そう言うと、なのはとレヴィはどちらともなく手を差し出していた。
その手を強く握りながらレヴィとなのはは笑いあう。
「これからよろしく、レヴィちゃん」
「よろしく、なのは」
こうしてレヴィは高町家に認知されるようになった。
*************
『嘱託魔導師試験』
「これより、フェイト・テスタロッサの嘱託魔導師認定試験及び、魔導師ランク測定試験を開始する」
クロノが放つその言葉が響くのは本局訓練室の一室。そこでは今からフェイトが嘱託魔導師になる為の実技試験が開始されようとしていた。
『頑張って、フェイト』
フェイトの頭にレヴィの声が響く。しかし、フェイトはあまり乗り気ではなかった。
「これは君の魔導師ランク認定試験も兼ねている。どちらも試験官である僕と戦うわけだが、なにも勝つ必要はない。君の実力を実際に測る事で大体の魔導師ランクを決めるだけだ。当然、僕に勝つことができたら文句なしに試験は合格だし、魔導師ランクはAAAが認定される」
フェイトの前に立つクロノがなにか言っているが、フェイトはそれを適度に聞き流し、なぜこうなってしまったのかを考えていた。
***
それは、なのはがリンディに言われた言葉が切っ掛けだった。ある日リンディからなのは(とついでにフェイト)に嘱託魔導師にならないかという打診があったのだ。
「しょくたく、まどうし……ですか?」
「えぇそうよ。管理局法では管理外世界での魔法使用を厳しく罰しています。本来であればお二人にも厳命を下したうえで、特になのはさんからはデバイスの封印処置などもする必要がある場合もあります」
「そ、そんな!」
リンディの言ったデバイスの封印処置という言葉になのはは敏感に反応し、大声をあげる。
「レイジングハートとわかれるなんて、嫌です!」
胸元でペンダントとなっているレイジングハートを強く握りしめるなのは。そんななのはをリンディは微笑ましく見つめながら言う。
「えぇ。ですから、その辺の事とかが結構自由になるので嘱託魔導師になってはどうでしょう。と言う事です」
「……な、なるほど」
リンディの言葉にわかっているのかわかっていなのか曖昧だがとりあえず頷くなのは。そんななのはを尻目にフェイトが冷静に質問をする。
「嘱託魔導師になると、なにかしなくちゃいけない事とかあるんですか?」
「そうですね。なる為に試験が必要ですが、それはお二人なら大丈夫でしょう。筆記試験もあるので、なのはさんは管理局法についてのお勉強も必要だと思いますが、受けてくれると言うならこちらから教材をお送りします。
それで、嘱託魔導師になった後ですが。基本的に管理局の要請があった場合はその任務に就いて貰う必要があります。これは嘱託魔導師の義務ですね。その代りちゃんとお給料はでます」
魔法に関するある程度の自由を認める代わりに管理局の仕事をする。これが嘱託魔導師というシステムの根幹である。
しかしその話を聞いてあまり乗り気でなかったフェイトの天秤はさらにマイナス方面へと傾く。
「それだったら……」
そう言って断ろうとするフェイトをリンディが遮る。
「ですが、お二人ともまだ若く住まいは管理外世界。それに学生ですので嘱託魔導師の中でも管理外世界在住で学生向けの制度を受けて貰おうと思います。こちらは、本来の嘱託魔導師よりも魔法の使用制限や、それに関する法をどれだけ理解しているかの確認テストが難しくなりますが、その代りお二人が仕事をしたい、と言わなければ基本的にこちらからは任務を通達することはありません」
その話を聞いて、フェイトの傾いた天秤が少し、ほんの少しだけ水平に近づく。
「詳しいことは後日パンフレットをお送りしますので、そちらの方も良く読んでおいてください」
最後にリンディがそう言ってその日の通信は終わった。
「……フェイトちゃん!」
「な、なに? なのは……」
通信が終わりしばらくしてなのはが勢いよくフェイトの顔を見ながら名前を呼ぶ。返事はしたが、何とも言えない嫌な感じをフェイトの直感は訴えていた。
「一緒に、嘱託魔導師になろう!」
――あぁ、やっぱり……。
その時のフェイトの心境は予感が当たってしまった悲しみと、少しだけの諦めに満ちていた。
結局なのはの強い希望と、レヴィもプレシアも遠回しに受けてみろと説得され、そのままなのはと一緒に勉強し、今日、なのはと一緒に試験を本局まで受けに来たのだ。
――あれ? 私って、また流されちゃってる?
そう思い至ったフェイト。他人の言う事に素直に従う人形であることを止めようと決意したが、人間そう簡単に性格を変えられるわけは無く、結局周りに流されるフェイトであった。
***
試験の結果は嘱託魔導師には合格。魔導師ランクはAA-が認定された。
結果を伝えたクロノからは、「もう少し全力を出しても良かったんだぞ」と苦笑いされながら言われたが、あまりフェイトは乗り気でなかったため良しとした。
対してなのははやる気十分であり、クロノと良い戦いをしたらしく魔導師ランクはAA+が認定されていた。
お互いの結果を言い合った時の、なのはの勝ったと言いたげなドヤ顔が、少しむかついたフェイトであった。
ってなわけで、小話でした。これからA's編に続くわけですが。私のリアルの方がそろそろ(社会的な意味で)生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされる時期になったので、今後の投稿は不明です。
ホントに申し訳ありません。いつか目に入ったらその時はお願いします。