魔法少女リリカルなのは L×F=   作:花水姫

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どうもみなさん。お待たせいたしました。
予告通り、この話は早く公開する事ができました。


今回から、空白期編、レヴィの日常だったりそうじゃ無かったりする話が始まります。
そしてその最初はレヴィについての設定説明回となります。

後書きに重要な事は纏めますので、読むの面倒くさい人はそれだけ見ても良いかも?

あと、今回かなりガバガバなオリジナル設定があります。




彼女の話――空白期編
レヴィについてのお話し


 

 闇の書事件が終結して、レヴィがテスタロッサ家の家族として認められた数日後。レヴィは管理局本局へとやって来ていた。

 

「うわ~」

 

 初めて見る本局、初めて見る次元の海。あらゆるものが真新しく感じ、レヴィは感嘆の声をあげていた。

 

「これが次元の海かぁ」

「なにもないね」

「なんや、見てると変な気分になるなぁ。今が昼なのか夜なのかわかんなくなるわ」

 

 そんなレヴィの側からそれぞれの感想を述べるのはフェイト、なのは、はやての3人だった。はやて達の裁判の準備の合間をぬって詳しい魔力ランクやレアスキルの登録等、諸々の事務をこなすために本局へ来ていた。

 

 そんな4人に声を掛けるのはまだ声変わりが来ていないと感じる少年の声。

 

「検査が早く終われば本局でもミッドでも案内するから、今は早く行かないか」

 

 彼女達の監視役兼案内役として選ばれたクロノ・ハラオウンである。

 クロノもはやて達の裁判の準備で忙しいはずなのだが、休暇の代わりの息抜きとして上司であり母親であるリンディからの命令で彼女達に付き添っていた。

 

 

「さぁ、ここで色々検査することになるが、検査員の言う事には素直に従ってくれ」

 

 クロノにそう言われ見送られながら、レヴィたち4人、そしてリインフォースに守護騎士達の総勢9人は検査室に入って行った。

 

 

**

 

**

 

 検査室の中でレヴィは一人たたずんでいた。

 

『それではレヴィ・テスタロッサさん。これから検査を開始します』

 

 室内に響く検査官の声で検査が開始される。

 

 魔力総量、魔力出力の測定。身体検査に血液採取などの精密検査。

 

 

 それらを小一時間かけてレヴィの検査はやっと終わりを見る。

 

 

『お疲れ様でした。検査結果をお待ちください』

 

 その声でやっと検査は終わりレヴィは解放される。

 検査室から出た待合室ではすでに検査を終わらせた8人が談笑していた。

 

「あ、レヴィ」

 

 レヴィが出てきた事にいち早く気付くフェイト。その声で他の面々もレヴィに気付き、労いの声を掛けてくる。

 

「なんや、えらい時間かかったな?」

「うん。なんかねぇ、色々やったんだよー。身長測ったり握力測ったり反復横跳びしたりさぁ。まったく訳が分からないよ……」

 

 はやての言葉にレヴィは愚痴りながら自分が行った検査の内容を述べる。

 

 当然のように他の面子はそこまでの検査は受けていない。守護騎士たちは近い事は行ったが、それでもレヴィ程精密では無かった。レヴィが数多くの検査を受けたのは、ひとえにレヴィの身体が今まで存在しない筈のモノであったからだ。

 レヴィは闇の書、ナハトヴァールから脱出するまでその身体は無かった。戸籍も無ければ、存在も認められていなかった。そのような存在がいきなり現れたので、どのような存在なのか、守護騎士のような存在なのかどうなのかを調べるためにかなりの時間、かなりの項目の検査が行われたのだった。

 

「へ~。握力とかも測ったんだ?」

「うん。なんか身体検査も兼ねてたみたいでさ。ホント色々、短距離走からベンチプレスまで色々やったよ」

 

 話を聞いたなのはの質問からレヴィは事細かに行った検査内容を話していく。

 

 

 こうしてレヴィたちは和気藹々と検査結果が出るまでの時間をつぶして行った。

 

 

***

 

 

一方、レヴィたちが和気藹々と歓談している頃、別室ではクロノが頭を抱えていた。

 クロノの目の前には検査官が持ってきたレヴィの検査結果が書かれた紙が置かれている。

 

 名前:レヴィ・テスタロッサ 年齢:9歳

 魔力内包値ランク:AAA+  魔力発揮値ランク:S

 総合魔力ランク:S-

 ベンチプレス:500kg  握力:右122kg、左118kg

 1500m走:5分13秒  200m走:22秒48

 

 これら以外にも異常な数値が結果には書かれている。

 

 

「なぁ……」

「はい!」

 

 意気消沈した様子のクロノに対し、興奮した様子の検査官。クロノは検査官のテンションにすら辟易しながらも言葉を続ける。

 

「これは、測り間違い、というわけじゃ……」

「はい! 違います! 私も最初は測り間違いかと思い、再度計測し直してもらいましたが、結果は変わりませんでした! そこに書いてある数値は2回目のモノです!」

「因みに聞くが1回目は?」

「はい。短距離走と長距離走、それと握力の記録は1回目の方が高かったです!」

「そ、そうか……」

 

 検査官の言葉の内容に頭痛が激しさを増した気がしながらも、クロノは朝方にリインフォースから言われた話を思い出していた。

 

 

「執務官殿」

 

 今日の予定を確認するために守護騎士たちを訪ねたクロノに、リインフォースが珍しく話しかけてきた。

 

「なんだい?」

「今日の検査はレヴィも受けるのだったな?」

「あぁ。そうだが」

「そうか……」

「どうした? なにかあるのか?」

「いや、私の予想が正しければ、レヴィの結果は執務官殿に心労をかけるものとなるだろう。だから忠告でも、と思ってな」

 

 そう言ったリインフォースの眼差しは、どこかクロノを憐れんでいたような気がした。

 

 

――くそっ、今朝の話はこの事だったのか

 

 

 最近とことん自分は苦労が絶えない。そうクロノは感じていた。ジュエルシード事件でテスタロッサ家と出会ってから、あそこの家の娘にはいつもなにかしらの問題をクロノに与えてくる。

 

「――でですね。私としては――――執務官? ハラオウン執務官!」

「うぉ! すまない、なんだ」

 

 考え事でボーっとしていたクロノを検査官が大きな声を上げ、現実へと引き戻す。

 

「ですから! 私の見解として彼女はレアスキル持ちなのではないかと思うのですよ! 検査中も、いえ、平常時ですら彼女は極微弱な魔力が身体中から検知されました。最初は身体強化魔法かと思い注意したところ、彼女自身使ってないと言っていましたので、多分彼女はレアスキルである『超身体能力(オーバーパワー)』を、しかもSランク相当の持ち主ではないかと思うんですよ!」

 

 『超身体能力(オーバーパワー)』。レアスキルの中では比較的よくみられるモノであり、レアスキルの中で珍しくランクが設定されている。

 『超身体能力(オーバーパワー)』自体の詳しい説明をすると、自身の魔力を常に消費する代わりに無意識に身体強化を行っているという物であり、その効果は不随意筋の様に自分の意志で調整できるものでは無い。そして消費される魔力は大体リンカーコアが生産する魔力で十分以上にまかなえる程度のため、魔法の使用にもそこまで支障が無い。と言うモノである。

 ランク自体はEランクからSランクまでが設定されており、身体強化の度合いで決められている。Eランクは、多分あると思われる程度の効果しかなく、人よりちょっと足が速い、力が強いといったその程度でしかない。しかしSランクにもなれば、まさに超人といえる身体能力を発揮し、その為かバリアジャケットを不要とするほどの強度すら得られるなど、まさに人を超えた身体に変質させてしまう。

 

 

 検査官はレヴィの検査からその可能性を思い立ったと、そう言っているのだ。しかし、レヴィの身体能力はそんなレアスキルの恩恵では無く、身体能力は基本スペックの高いマテリアル―Lの躯体が特典によって強化されていただけで。身体が纏う魔力は、身体を魔力で生成している構築体であるから当然である。

 しかしそんなことはレヴィの素性をしらない検査官にわかる訳もなく、検査官は検査官なりに筋の通った思考でレアスキル説に至った訳なのだ。

 

 そしてその思考、その説はクロノにとってもありがたい考えであった。

 

「なるほど。君の言う事はもっともだ」

「ですよね!」

「備考欄にレアスキル『超身体能力(オーバーパワー)』の可能性とでも書き加えておいてくれ」

「はい!」

 

 そうしてクロノはレヴィに関する諸々を『レアスキル』の一言で片づける事にした。生まれの経緯などはすでにごまかす事を始めているので、本当にレアスキルだろうとそうでは無かろうと、クロノにとってはもはやどうでもよかったと言う点もある。

 

 

――父さん。僕は自分がどんどんと汚れていくように感じます……。

 

 

 それが大人になると言う事ならば大人になんてなりたくなかった。そう思いながらクロノは持っていた検査結果を放り投げた。

 

 

***

 

***

 

 

 そんなクロノに心労をかけた検査結果が、クロノ本人からレヴィに渡されてから待合室は騒然としていた。

 

「うわー! すごい! 魔力ランクS-!!」

「なんや、この握力100kg越えって。リンゴ何個潰せるねん」

「レヴィってやっぱり凄いんだね」

 

 自分より高い魔力ランクに驚き、自分でも気づかない程度には羨むなのは。

 レヴィの身体測定の結果に顎が外れる気持ちを感じたはやて。

 純粋にレヴィの凄さを讃えるフェイト。

 

「あー、うん」

 

 そんな三者三様の反応を受けレヴィはどうこたえていいかわからず、取り敢えず相槌を打つ。

 

 レヴィとしてはこれでも手加減した方であり、それでも結果が異常な数値を出してしまうのはまだ身体を、マテリアル―Lの躯体を使いこなせず持て余してしまっているからなのだ。

 日常生活上ではリミッターが自然とかかるのか、軽く握手などをして相手の手を握りつぶしたり、鉛筆やスプーンなどを折ったりすることは無いのだが。レヴィが意識して力を出そうとするとすぐさま異常な数値を叩きだしてしまう。

 

 この検査以前に、リニスとプレシア監修の元時の庭園内で身体検査を行ったのだが、その時は直径3m、高さ50mある大木を身体強化なしで地面から引っこ抜く事ができた。その時レヴィが持ち上げる為に抱きついた部分はぐしゃぐしゃになってしまっている。

 最初は普通に計測をしようとしたのだが、時の庭園にある機材を軒並み破壊し、反復横跳びなどは人の目では計測が不可能だったため、取り敢えず山に行って丸太を持ち上げたりして見たのだった。

 

 

 そんなレヴィの異常以上に異常な身体能力はこの数日でだいぶ力を制御する事が可能となってきたのだが、それでもまだ持て余してしまっている。そんな状態だった。

 

「レヴィ」

 

 そうしてレヴィそっちのけでレヴィの検査結果の事で守護騎士も含め騒ぐ一行を見つめていると、そこから外れてリインフォースがレヴィへ近づいてきた。

 

「ん? どうしたんだい?」

「君と少し、話したくてな」

 

 そう言いながら、他の人にはなるべく聞かせたくないのかリインフォースは壁際へとレヴィを誘う。

 

「私は、最初君の身体は守護騎士達と同じような物だと思っていた」

「うん。まぁ、あってるよ」

「しかし、君の身体は守護騎士より人間らしく。そして私のようなユニゾンデバイスと同じ性能を持っている可能性がある」

「??」

 

 レヴィはリインフォースが何を言っているかわからなず、首をかしげる。

 

「君の身体は騎士達より自由なのだ。より人間らしい、というのは、君の身体は多分、ごく緩やかだが成長するだろう」

「なっ!?」

 

 その言葉を聞いてレヴィは驚く。レヴィの知識では守護騎士もマテリアルズもプログラム生命体であり、守護騎士達が成長しないように、マテリアルズも成長しないと思っていたからだ。

 

「理由としては多分だが、騎士達の様に君を縛る物が無いからだろう。騎士達は夜天の書に縛られあり方を決められてしまっている。極論だが、治癒不可能なほどの傷を受けてしまったのならロールバック、現在の構成を破棄し新たに構築し直せばいい。それが可能なのが守護騎士プログラム、プログラム生命体だ」

 

 リインフォースの言っている事は最もであり、事実原作ゲームでもマテリアルズは躯体を再構築すれば―時間がかかるとはいえ―再生する。『死』という概念はプログラム生命体には無い。

 

「しかし、それゆえに守護騎士達は夜天の書に依存し縛られる。だが君は違う。君を縛る物が無いからこそ君の身体は消えない限りその生命活動を、新陳代謝を行い成長する事ができるだろう」

 

 リインフォースの言葉を聞きレヴィは考え込んでいた。なぜそのようなことが起きてしまったのか。レヴィはその原因が転生による恩恵の影響なのではないかと予想を建てたのだが、それは見当違いであり、原作の時点でマテリアルズは緩やかであるが成長するのだ。故に、成長する躯体は正しくマテリアル―Lの躯体である。

 

「さて、その理由なのだが、君の異常なまでに高い身体能力なども合わせて話をしよう。レヴィ、君はその身体を創る時に、ナハトヴァールを、ナハトを利用して作ったのではないか?」

「え?」

 

 リインフォースの言葉の意味が分からず再度首をかしげるレヴィ。

 

「君がナハトから出てきた後、ナハトの性能が約60%低下した。魔力、再生能力、体組織。あらゆるものが弱体化していた。それは、君がナハトのリソースを利用してその身体を作ったからなのではないか? それだと君のその異常な身体能力もだいぶ、説明がつく。君はいわば、ナハトの半分以上をその小さな体に凝縮しているんだと私は思う」

 

 リインフォースの仮説は今回に限っては全て的外れであった。ナハトの性能が低下した理由として「レヴィがナハトヴァールから出たから」と言うのはあっている。しかし、それはレヴィではなくマテリアルズが、永遠結晶エグザミアがナハトヴァールから離れてしまったからなのだ。

 ナハトが真に守るべき物は、何時の時代か夜天の書に組み込まれた無限の魔力を産むエグザミア自体であり、ナハトが狂った根本の原因も、その機能を狂い闇の書の真の闇となってしまったエグザミアを、システムU-Dを封じる為に無理な改造を施し続けたからであった。

 そしていつしか、ナハトはエグザミアが産む魔力すら利用し、U-Dと同じように全てを破壊しようとするプログラムと変化してしまった。

 

 そんな闇の書の闇、ナハトヴァールの基幹システムであるマテリアルズ、永遠結晶エグザミアが無くなった事でナハトヴァールはその本来の役目を失うと共に性能を大きく削減されてしまったのだった。

 

「だからこそ、ナハトヴァールの再生能力はその身体を最適な状態に維持し、ナハトヴァールの潤沢な魔力はその身体を形作る時に異常なまでに身体能力を増やした。まぁ、私が言いたい事は、だ」

 

 言葉を発さぬレヴィに対し、リインフォースは優しく語りかえる。

 

「もし私の予想が正しければ、君は私と同じように何時暴威を振るってもおかしくない、という事だ。だから、なるべくその力を揮おうとは思わないでくれ。君自身の人間性を疑うわけではないが、それでもどうしようもない事は多々ある。先輩からの助言だ」

 

 

 リインフォースはそう言ってレヴィの頭を優しく撫でる。

 

「さて、次にユニゾンデバイス云々についてだが、これは先ほどの話よりも仮説ともいえない予想が多くなる。レヴィ、君は自由に身体の構築を弄れるかい?」

「弄るかどうかはわからないけど、躯体構築を一瞬で廃棄する事はできるよ」

「そうなっても、君の意識は残るね?」

「うん」

「それなら、君は相性の良い者となら、私のようなユニゾンデバイスと同じ働きができるだろう。使用者と融合し、魔力補助、別箇での魔法の発動、魔力量の底上げ。それらができるはずだ」

 

 そう言ったリインフォースの言葉はレヴィにとって、かなり衝撃的であった。ユニゾンデバイスの機能、それは今までレヴィとフェイトが行っていた物だったから。それが、マテリアル―Lとなった今でも、行える可能性がある事。

 

「もし、その技能を学びたいと言うなら、協力はしよう。ただ、相性の良い担い手を見つける事も一苦労だが、ね」

「それでも、それでも良い。その時になったら、よろしく」

「あぁ、任せておけ」

 

 

 リインフォースとレヴィはそこで話を終え、壁際から今だ何やら話している面々へと近づく。

 レヴィの頭には、謎と、期待と不安。それらが植え込まれていた。

 

 

 

 





と、言うわけでレヴィについての説明回。

主に重要なのは
レヴィの特典は失われていないと言う事。
躯体は緩やかだが成長すると言う事。
レヴィにユニゾンデバイス(のような機能)がある可能性がある事。

以上となります。

次回は未定。まだ1文字も書いていません。しかし、頭の中にネタ自体はあるので、筆が乗ったらもしかしたらまた直ぐお見せできるかもしれません。

それでは、また次回。

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