魔法少女リリカルなのは L×F=   作:花水姫

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1か月以内の投稿。一応破ってない。うん。

今回は3000文字くらいです。やはりこの位が私にとってはちょうど良いようです。


使い魔×相棒=それは第3話

 

 それからと言うもの、日々はゆっくりと、しかし確実に過ぎて行った。

 リニスからまともな指導を受ける事ができ、魔法への理解度は格段に上がった。

 そんなある日の事、ボク達が魔法の訓練を終え、庭を散歩している時だった。

 ボクは庭にある森の方から微弱な魔力を感じたのでフェイトに話しかけてみた。

 

『フェイト、フェイト』

「? どうしたの? レヴィ」

『なにか魔力を感じない?』

 

 ボクのその言葉にフェイトは不思議そうに首を傾げたが、そのまま魔力サーチを行った。

 

「うん。感じる」

『すこし行ってみようよ』

「そうだね」

 

 ボクの提案にフェイトは簡単にのり魔力を感じる方向へ歩き出す。

 なにも疑問に思わないのもどうかと思うが、今回ばかりは助かった。

 なにせ今回の魔力反応はボク達、特にフェイトにとっては運命的な出会いになるのだろうから。

 

――まぁ、僕と言う存在がいる時点でどうなるかはわからないけど、ね。

 

 

 

 

 魔力反応を頼りに森を歩いていたボク達だったが、付いた場所に居たのは傷ついたオレンジ色の毛皮をもった子犬、いや狼の子供だった。

 しかしその狼は傷ついているのか息が細く、今にも死んでしまいそうだった。

 

「レ、レヴィ! どうしよう!?」

 

 フェイトはそんな狼をすぐさま抱きかかえると、こちらに指示を仰ぐ

 

『とりあえずリニスに見せよう! 何とかしてくれるかもしれない!』

「うん!」

 

 ボクの提案に従いすぐさま屋敷の方へ駆け出すフェイト。

 

(早くしないとこの子が!)

 

 純粋に子狼の心配をするフェイトに対しボクは心の中でほくそ笑んでいた。

 

――いらっしゃい。アルフ。

 

 

 

 

 あれから数か月たった。

 ハッキリ言って特筆することは無い。

 結局あの狼はフェイトの使い魔となり、『ずっと一緒に居る』という契約に従いフェイトと共にいる。

 隠す気もないのと野生の勘からかボクの事は早々にばれたが、特に何事もなく受け入れられた。

 まだ幼かったせいもあるのだろう。

 

 この数カ月でアルフも新たに仲間に加わったボク達はリニスにこってり絞られ、魔法がグングン上達してきた。

 アルフと言うともに研鑽する仲間もできた上、アルフは補助系前衛というなかなか居ない役割として育ちこれまたリニスとは違うスタイルなので模擬戦の相手としてもレパートリーが増え万々歳である。

 

 そして今日はリニスが伝えたい事があるとある部屋に呼ばれた。

 

「なんなんだろうね~」

 

 未だ幼いアルフがつたない喋りと純真な笑みでボク達に喋りかけてくる。

 

「うん。そうだね、急に伝えたい事って言われても。レヴィはなにかわかる?」

『わかるわけないじゃん。でもなんだろうねぇ。楽しみだな~』

「レヴィなんて?」

「わかんないって」

「そっか~」

 

 雑談をしながら目的の部屋を目指す。

 フェイトにはあぁ言ったが僕にはリニスの目的はわかっている。

 つまり今日なのだ。

 今まで魔法については基礎もばっちりしたし、今までデバイス無しで空中戦ができる程になった。フェイトもボクも超必殺技と呼べるほどの魔法も習得した。練度自体は足りてないのか、リニスには勝てる事は無いが、あと足りないのは実戦経験とデバイスだけだろうと言うところまで来たのだ。

 そう、デバイス。

 つまり今回はそう言う事なのだ。

 

――ボク達のリニスからの卒業。

 

 それが示す事は、遂にボクが動くときが来てしまったと言う事なのだ。

 

 

 そんな事で呼ばれた部屋の前にリニスは立っていた。

 

「あら、フェイト、アルフ。いらっしゃい。レヴィもちゃんといますよね?」

「うん。大丈夫だよ」

 

 リニスの確認に対し答えたのと同時にフェイトと入れ替わる。

 瞑っていた目を開けるとそこには青色に変わった瞳が見えて居るはずだ。

 

「えぇ。ちゃんといるようですね。それではこちらに」

 

 ボクの存在を確認すると部屋へ入るように促すリニス。

 フェイト以外はボクの存在を基本的に感知できないので、このように目に見える形で知らせるか、フェイトに伝えてもらうしかない。

 

 まぁ、そんなどうでもいいことは置いておいて。

 すぐさまフェイトに変わり部屋の中に入ると、そこには大きな試験管(?)のような物の中に長い物が入っていた。

 先端は黒く斧のような大き目の刃がついている。その黒の中心には黄色の宝玉がはめ込まれ長い銀の棒がくっついている。

 一見するとクレセントアックス、ハルバードとも言えるような見た目。しかし最も良く表現できる言葉を探すならば、黒を基調とした機械的なバルディッシュとなるだろう。

 そう、つまり魔導師の相棒にして杖、全てを切り裂く雷刃、寡黙なダンディズムあふれるイケメンデバイス。

 インテリジェントデバイスの『バルディッシュ』がそこにあった。

 

「これなに~?」

 

 アルフが質問するとリニスはにこやかに笑った後、バルディッシュを見て言う。

 

「これは杖です」

「つえ?」

「そう。魔導師の杖にして相棒。魔法の発動の手助けをしてくれる杖、デバイス。あなたの行く先を切り開く雷刃。名を、『バルディッシュ』と言います」

「バル、ディッシュ……」

「はい。これはあなたの杖として、相棒としてあなたを、フェイトを支えてくれるでしょう。レヴィには申し訳ないのですが予算が合わずに一本しか作れませんでしたが、ちゃんとレヴィの魔力の波長もマスター登録してあるので大丈夫なはずです」

『大丈夫だよ! 気にしないで!』

 

 こちらを見つめばつが悪そうに言うリニスに向かって言う。もちろん聞こえていない筈なので、即座にフェイトが伝えてくれる。

 

「レヴィが『大丈夫だよ! 気にしないで!』だって」

「そうですか。ありがとうございます。さぁフェイト。最終登録を終えてセットアップしてみましょう」

「うん」

 

 大きな試験管から取り出されたバルディッシュを握りたった一言

 

「セットアップ」

 

 その一言に応えるようにまたデバイスも一言だけ喋る。

 

〈Get Set〉

 

 その言葉に従いフェイトの想像した戦闘服、バリアジャケットが展開される。

 黒いワンピースに裏地が赤の黒いマント。各所にベルトがあり、腰の部分は前の無いスカート。

 端的に言うとMovie1stの時のフェイトのバリアジャケットが展開された。

 

 未だ年齢的には6歳ほどなのに、このバリアジャケット。

 

――やはりフェイトは真正の露出狂か!?

 

 なんてくだらない事を考えつつも周りの状況を見つめる。

 

〈初めまして、サー〉

「うん。よろしくバルディッシュ」

〈あなたの刃となりあなたを補佐するのが私の役目。なんでも申し付けてください〉

「うん。これから一緒に頑張ろうね」

〈イェッサー〉

「それではフェイト、レヴィに変わってあげてください」

 

 フェイトとバルディッシュの語らいが一段落した時にリニスが言う。

 それに従い、フェイトと入れ替わる。

 変わってもバリアジャケットは展開したまま、バルディッシュのコアが何か読み込むようにチカチカと点滅している程度だった。

 

「フェイトからレヴィに変わってもバリアジャケットは解けませんね。一応成功しているとみて間違いないでしょう」

 

 リニスによると、成功という話らしいので大丈夫なのだろう。

 

『よかったね。レヴィ』

「うん」

 

 フェイトと共に安心していると手元のバルディッシュが話しかけてきた。

 

〈あなたがもう一人のマスターでしょうか?〉

「うん。そうだよ」

〈マイスターリニスから聞いています。これからよろしくお願いします〉

「ありがとう。ボクの名前はレヴィって言うんだ。これからよろしくねバルディッシュ」

〈イェッサー〉

 

 やはり口数は少ないようだが、声は渋く落ち着いた感じだ。カッコいい

 

「それではフェイト、レヴィ。これからはバルディッシュと共に精進してください」

 

 そう言って退出しようとするリニスを止める。

 バルディッシュを貰い、リニスに一人前と認められた今しかない。

 

「どうしました?」

『どうしたの? レヴィ』

 

 リニスとフェイトの二人が不思議そうに尋ねてくる。

 因みに空気だったアルフはバルディッシュに興味津々なようで、指をくわえて見つめている。

 

閑話休題

 

「話が、あるんだ……。大事な話」

 

 大事な話。そう今しかない。

 リニスにバルシッシュを貰ったと言う事は、一人前として認められたと言う事。

 未だ大魔導師と呼ばれるプレシアに勝てるとは思えない。しかし死ぬことは無いはずだ。

 だから今しかない。リニスが消えてしまう前に。

 

――遂にアリシアとプレシアを救う時が来た。

 





と言うわけで、アルフとバルディッシュの登場回でした。

私、英語はからっきしなので今後もデバイスの会話はこのように日本語表記でいかせてもらいますのでご了承ください。

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