魔法少女リリカルなのは L×F=   作:花水姫

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この話は2014年、新年のために書いた番外編となっております。
読まなくても支障はありませんので、飛ばしてもらって構いません。

というか、本編読了後、時間があったら読む感じが良いと思います。

――――――以下当日の前書き――――――

あけましておめでとうございます。

今回は、活動報告でも言っていました通り新年特別編となります。
それではどうぞ。

――――――20189月29日 追記――――――
完結に伴い、番外編を最下部に移動しました。
また、この小説に関しての質問やリクエストを受け付ける用の記事を活動報告に作成しました。

魔法少女リリカルなのはL×F=の質問リクエスト箱
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=195667&uid=3443


番外編
『もしもの時間、もしもの世界の彼女たち』


――新暦69年1月1日

 

 それは、ミッドチルダにおいて時空管理局が次元世界を管理するようになってから69年たったという年でもある。

 しかし、ここ地球においてはそんな事は関係なく、目出度い事と言えば、新年が明けたと言う事位だろう。

 

 これはそんな地球の海鳴市に住んでいる中学生の少女たちのちょっとしたお話し。

 

 

 

 

「ほら、フェイト、もうちょっと頑張りなさい!」

「……で、でも母さん……。くる、しいよ」

 

 新年の朝から騒いでいるのは『翠屋』と書かれた看板が表にある店の中。今ではclosedの表札がかけられており営業してない事が判る。

 そんな翠屋に居る2人の親子だった。

 一人はプレシア・テスタロッサ。紫がかった長い黒髪が特徴のテスタロッサ家の家長にして、家主。

 もう一人はフェイト・テスタロッサ。私立聖祥学園中等部1年生であり、初等部に在籍していた時代は、聖祥小6大美少女の一人であり、現在は聖祥中9大美少女の一人でもある。

 9人って多すぎじゃないかとか思うかもしれないが、この9人はそれぞれがそれぞれタイプが別れていて、日夜議論を醸しているため、5大や3大、四天王などの語呂が良い数に減らすことが叶わない為現在では9大美少女と言われている。

 そんな美少女と言って良いほどの彼女は、いつもはストレートで流している金髪を今は項の部分で纏め、簪で止めている。ここまでの情報で察しが良い人はわかるだろうが、現在は1月1日の元日。髪には簪を差し、中学生の中ではスタイルの良い体を母に締め付けられ苦しんでいる。

 そう、つまりフェイトは今、着物を着る為の着付けをさせられているのだ。

 

「あはは、フェイトちゃんスタイル良いもんねぇ……」

 

 苦笑いしながら苦しんでいる親友を見ている少女は、高町なのは。この翠屋を経営している高町士郎、高町桃子両人の娘であり、高町家の次女。フェイトと同じ私立聖祥学園の中等部に所属している。

 そんな彼女は、中学1年生としては、特に日本人としては一般的な体系をしており、直接的に言うと未来に期待。と言う程度であるのだが、周りにスタイル抜群の美女が多いため、自身のスタイルにコンプレックスを抱いているらしい。

 そんな不屈だが、ちょっと卑屈ななのはもフェイトと同じように着物を着ている。中学生になってからはサイドポニーにしていた髪は、その場所でお団子のようにまとめられていて、フェイトと同じく簪が刺さっている。

 

「なのはは、楽で、良いです、ねぇ! ほんとに、うらやまし、いですよ。……桃子さん。苦しいですっ……」

 

 なのはに嫌味を言いながらも、締め付けられ苦しんでいるのは、シュテル・スタークス。去年の4月に聖祥中に途中入学した3人の内の一人である。彼女は、なのはにとてもよく似ていて、違うところは、瞳の色と髪の毛の長さ、そして発育位なもので、よく姉妹と間違えられるが名前で察してもらえる通り外国人であり、高町なのはと血のつながりは一切ない。そんな彼女は発育が良く。身長は160cmを超えた位、バストもフェイトよりあると言う、中学生より高校生に見える外見である。

 そんな彼女は今現在、日本に留学するにあたってホームステイ先となっている高町家の母、高町桃子にその豊満な胸をタオルで押さえつけられており、とても苦しそうだった。

 

「シュテルちゃんはおっぱい大きいからこうしないと着物が可愛く見れないのよ~。だから、我慢してね」

「ぐぬぅ……。この胸に恨みを抱くときがこようとは……」

「……ホント、羨ましい悩みだよ……」

 

 胸を締め付けられ、苦しんでいるフェイトやシュテルを見て、1人早々と着付けが終わったなのはは悲しみに暮れていた。

 そんなこんなで新年初日の朝、翠屋は女性陣が集まり、着付けと称し騒いでいたのであった。

 

それも数分立ち、おとなしくなる頃。

 

「あぁ、もうこんな時間。リニス」

 

 プレシアが側で色々手伝っていた家政婦のリニスを呼びつけた。

 

「はい。なんでしょうか」

「うちのお寝坊さん達を起こしてきてちょうだい。特にレヴィは放っておくとテキトーな服しか着ないんだから、ちゃんとそれなりのおめかしはしてあげて頂戴ね」

「わかりました」

 

 プレシアに告げられた要件を終わらせるために、リニスは翠屋を出ていく。

 テスタロッサ家は高町家とは家が近く、当然裏手にある翠屋とも近い。そんなテスタロッサ家にはフェイト以外にも娘が2人おり、その二人は年越しの夜更かしの際に大騒ぎしており、その疲れが出ているのか未だ起床していなかった。

 

「さて、これで大丈夫ね」

「うん。ありがとう、母さん」

「シュテルちゃんも。終わりよ」

「ありがとうございます。桃子さん」

「フェイトちゃんもシュテルも。二人とも可愛いよ」

「ありがとう。なのは」

「ありがとうございます。なのは」

 

 リニスが出て行きしばらくした時、やっと二人の着付けが終わったようだ。

フェイトも、シュテルも本人に合った色合いの着物であり。フェイトは本人が好む、黒地に金の詩集の入った着物。シュテルはえんじ色にピンクの花があしらわれた着物であった。

 そんな二人、特に愛娘であるフェイトを見て大きくうなずきながらプレシアは娘に語りかける。

 

「えぇ。とても似合ってるわよフェイト。これならレヴィも満足ね」

「ちょ、母さん!」

 

 そんなプレシアのちょっとしたからかいに、フェイトは少し頬を赤く染めからかってきた母に対して講義をするが、その仕方は母を呼ぶだけであり、特に何もしない。

 

「さて、じゃぁレヴィちゃんとアリシアちゃんが来るまで、少しお茶にしましょうか」

 

 桃子のそんな提案に各々賛成の意を示し、姦しい女たちの着付け教室はひとまずの終わりを見た。

 

 

 

 

 一方その頃、リニスが向かったテスタロッサ家では、二人の美女、美少女があられもない姿で一つのベッドの上で寝ていた。

 二人ともフェイトによく似ており、その内の片方は、瓜二つと言っても過言ではない。

 

 一人は、レヴィ・テスタロッサ。水色の髪に毛先が黒のグラデーションが入った美女。身長は現在160後半。ほぼ170と言う長身であり、スタイル抜群。寝間着から見える脚や腕は、鍛えられているのかよく引き締まっており健康的なエロスすら醸しだしており、特に目を張るのは胸部。

 その胸部は仰向けで寝ている今でも、重力に逆らい綺麗な形を保っており、特に男ならば自然と目がひきつけられてしまうほどの、所謂巨乳である。

これでも彼女は、一応は聖祥学園中等部1年生である。彼女は聖祥中9大美少女の内の一人であり、シュテルと共に去年の4月に途中入学してきた、3人のうちの一人である。

 彼女は、その長身や、真面目な顔は凛々しく、学力は優秀、運動は抜群。明るくよく笑い、誰にでも優しい。と、非のつけどころの無いスペックであり、男子より女子に人気がある。

 その人気っぷりは、男女混合のファンクラブまである程であり、その会員には9大美少女も入っているとかなんとか。とにかく、聖祥中の女子と一部の男子に人気があり、聖祥学園中等部では文句なしの人気者である。

 そんな彼女は現在、隣に居る姉、アリシアと共に爆睡している。その口は大きく開かれ少し涎もたれているが、それが幻滅させるわけでも無く、その姿も愛嬌のある姿としてとらえられる程である。美人は得だということだ。

 

 そんなレヴィの隣で寝ているのは、レヴィとフェイトの姉のアリシア・テスタロッサである。

 彼女はフェイトに瓜二つであり、違うところと言えば、過去の闘病生活による成長不良であり、同じ学年の女子と比べても色々と少しだけ小さい。もちろんレヴィと比べると大人と子供の様に見えてしまう。

 そんなアリシアも聖祥中1年生とフェイトと同学年ではあるが、双子ではなく姉妹だと本人たちは主張している。幼いころに闘病生活で勉学が間に合わず、妹と同じ学年になってしまったのだと言う。姉妹だと言うと、必ずアリシアが妹、フェイトが姉として見られてしまうのは、身長だけの所為では無く。姉のアリシアは明朗快活天真爛漫。明るい元気な子であり、逆に妹のフェイトは大人しめで、よくアリシアやレヴィに振り回されている。そんな性格の差の為か、フェイトは落ち着きがあり大人っぽく、アリシアは子供っぽく見えてしまうのも、二人の姉妹としての印象が逆になってしまう要因だろう。

 

そんな、彼女たち仲の良い3人姉妹の内2人は絶賛爆睡中である。それはもうよくそんな眠れるなと言われるほどの爆睡中であった。

 

 しかし、それもお天道様が許しても許さない人物がいる。プレシアに言われ、二人を起こしに来たテスタロッサ家の家政婦、リニスである。

 

「……ハァ」

 

 彼女は家にやってきても未だ惰眠をむさぼっている二人を見て大きくため息をついた。

 

「……こら! 二人とも、いい加減に起きなさい!!」

 

 そしてそのため息を吸い込むほどの勢いで大きく息を吸うと、腰に手を当て大声で二人を起こした。

 

「ヒャイ!」

「……ふぁ~い」

 

 その大声であわてて起きるのは、アリシア。そんな怒声を聞いてもマイペースにあくびをしながら起きるのがレヴィ。

 アリシアはリニスが怒っているのを感じ、あわてて起き上がるが、レヴィはそれでものんきに朝の挨拶をする。

 

「わわっ。リニス」

「ん~、リニスおはよ~」

 

「二人とも、もうみんな準備が終わって二人を待っているのですから、早く顔を洗って準備をしてください!」

「は、はーい!!」

「は~い」

 

 その言葉を残し、アリシアはレヴィの手を強くひき、風の様に部屋を飛び出した。

 残されたリニスは、ため息を再度つくとクローゼットから今日の目出度き日に合うような服を選び始めた。

 

――フェイトは振袖なのですから……、せめてそれと釣り合わなくても良い感じに見える服装にしないといけませんね……。

 

 そんな事を考えるのは、昔からテスタロッサ家の家事雑用を一身に引き受けていたリニスだからであり、たとえコートで隠れるとしてもそれでもそれなりの格好にしなければならないと言う思いがあった。

 そんな思いの元、リニスはいそいそとクローゼットをあさり、二人に合う服を見繕い始めたのだった。

 

 

 

 

「もう! レヴィ早く行くよ!!」

「アリシア~、結局遅刻は遅刻なんだから、もうちょっとゆっくり行こうよ」

「だめー!」

 

 アリシアとレヴィは、そんなやり取りを家の玄関でしていた。リニスは服を用意するとさっさと翠屋へ向かってしまい、二人はそんなリニスが用意した服を素直に着ると出かける準備をしていたのだが、アリシアは新年の会合が楽しみなのと、寝坊して待たせてしまっている妹たちへの申し訳なさの為、高速で準備を整えていたが、レヴィはそんなのお構いなしと言わんばかりにマイペースに荷物の確認やらトイレやらを済ませていた。

 

「はい、お待たせ」

「お待たせしてるのは私じゃなくて、みんな~!」

「はいはい。じゃ、行こう」

「階段ダッシュ!」

 

 レヴィの準備が整うや否やすぐさまマンションの階段を駆け下りようとするアリシア。そんなアリシアをレヴィは、家の鍵をかけながら注意して、自分も気持ち駆け足でおり始めた。

 

 

「ぜーはー。ぜーはー」

「……お、お疲れ。アリシアちゃん」

 

 結局その後も約十階分の階段を駆け足で降りたアリシアとレヴィ。テスタロッサ家のマンションと翠屋は近く、マンションから出てしまえば、数十メートルもないと言った距離なのだが、いかんせんフェイトやレヴィ程運動が得意では無く、将来の夢は科学者と言ってはばからない生粋のインドア少女であったアリシアの体力はそれはもう、火を見るより明らかであり、今は膝に手を付け、なのはに慰められていた。

 

「ごめんごめん。遅くなっちゃった」

「もう。レヴィったら。せっかくみんなでおめかししようって言ったのに」

「そうですよ。せっかくの目出度い日なのですから。もう少し計画性を持って動いてください。あなたは昔からそうなんですから」

 

 レヴィも遅刻した事を笑いながら謝るが、フェイトとシュテルはご立腹らしく、特にシュテルは、レヴィのいつもの行動までその説教範囲が及んでいた。

 

「さ、それじゃぁ皆、アリサちゃん達が待っているのでしょう? 早く行ってらっしゃい」

 

 談笑している少女たちに桃子が声をかけ早く行くことを促すと、彼女たちははっと気づいたのかあわてて歩き出す。

 

『いってきまーす!』

 

 中学生5人の少女による挨拶を見送る家族たち。

 行くべき場所はこの近辺にある最大の神社。待つのは少女たちの友達。

 

「はにゃぁっ!?」

「大丈夫? なのは」

 

 途中、運動神経が切れてるなのはがなれない着物と下駄で駆け足になったため、転びかけると言うアクシデントがあったが、最もカジュアルな服装のレヴィが助け、無事を得る。

 

 

「そう言えば、レヴィ。私たちになにか言うことがあるのでは?」

「え? ……遅れて、ごめんなさい。 ?」

 

 シュテルの唐突な話題振りについ足を止めてしまうレヴィ。しばらく、何事かと考えるが、とんと思い浮かばずとりあえず遅れた謝罪が足りなかったのだろうかと思い謝るが正解では無かったようで、シュテルは冷たい目でレヴィを睨みだす。

 そんなシュテルに得心がいったのか、なのははポンと手を叩くとニヤニヤと笑みを浮かべながらレヴィに言う。

 

「そうだね~。レヴィちゃんはシュテルやフェイトちゃんに何か言うべきだよねぇ」

「えぇ!? 私も?」

 

 唐突に話題が自分の所へ来たのか、フェイトは一瞬焦るが、何のことを言われているのか、理解できずに首を横に傾ける。

 そんなフェイトに呆れたのか、アリシアは額に手を乗せながらため息をつき、「まったく、お姉ちゃんが居ないとダメだな~」などと呟きつつもフェイトの横に並び、背伸びして耳打ちする。

 

「えぇ!?」

 

 アリシアに何を言われたのか急に顔を真っ赤にし飛び上がるフェイト。その隣では、シュテルが自身を見せつけるかのように、手を広げポーズをとっていた。

 

「どうです? これでも何か言うことは無いと?」

「え、え~っと……」

 

 そんなことを言われても……。とでも言いたげに、レヴィは頬をかく。そうしている間にも、アリシアに説得されたのかフェイトもシュテルの隣に立ち、何やらポーズを決めレヴィに対して、アピールしてきた。

 

「えっと、あぁ。二人とも着物姿、よく似合ってて綺麗だよ」

「あ、あわわわ」

「……月並みですが、今は良しとしましょう」

 

 そんな二人のアピールにやっと気づいたのか、シュテルとフェイトの着物姿を褒める。フェイトはレヴィの笑顔と褒められたことに照れたのか顔を赤くしてあわてており、シュテルも言葉は辛らつだが、その動かない表情はどこか満足そうであった。

 

「ほら! 三人とも、早く行くよ~」

「そうだよ~。アリサちゃん達待たせてるんだから、早く行くよー!」

 

 少し先を歩いていたアリシアとなのはに急かされ、少し早足で歩きだす三人。

 

「怒られちゃったね」

「うん」

「早く行きましょう」

 

 フェイト、レヴィ、シュテルの順に横並びになり、歩き出す三人の姿はどこか満足げで、楽しげなそんな雰囲気を感じさせるのだった。

 

{IMG1719}

 

 

 

 

 

 

―――――I do not know anyone or do not follow or continue.

 




ってな訳でギリギリ元日と言うことで、これが私からのお年玉です(ドヤッ)

まぁ、そんな戯言は置いといて、先日、遂にこの小説のお気に入りが200を超えました。こんなたくさんの人に見てもらえるとは思っていませんでしたが、みなさんに楽しんでもらえるよう、これからもがんばっていきたいと思いますので、どうか今年もよろしくお願いします。

それと、番外編は無印が投稿され次第、目次の一番上に移動しようと思っています。

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