「こんばんは、本巻警部。で、どこの誰っすか?俺の晩飯を邪魔したアホどもは?」
「おお、瑞樹君。はて?夕食ならから揚げ弁当が支給されたはずだが?」
「違うんっすよ。自分の口はチキン南蛮を迎え入れる準備してたんっすよ!なのに!」
「そ、そうか……それはすまんかった……」
「警部が謝ることじゃ……で、今日は何なんですか?」
「ああ、それがな……」
話を聞くと薬の売買があって、直接乗り込もうとしたらボディーガードに雇ってるのが妙手クラスらしく俺を応援として呼んだらしい。
ん?暁と七海?あいつらは別件だ。
「警部、もう乗り込んでいいっすか?準備の方は?」
「あ、ああ……こちらはいつでもOKだ。君が制圧した後すぐに突入する」
「了解。行ってきます」
「えーっと、殺さないようにな?」
「はっはっは、さすがに殺しませんよ。死んだ方がマシと思うくらいには痛めつけますが」
そう警部に言った後、取引が行われている倉庫の扉の前に立ち、
「開けごま」
扉を蹴飛ばす
ドゴーン!
と音を立てて、扉がぶっ飛んでいく
「テ、テメー!なにしに来やがった!」
「うるせー」
「は?」
「こっちはテメーらのせいで晩飯食い損ねて、ドタマにきてんだよ!」
「何言ってんだテメーは。たった1人で乗り込んできて。こっちには武術の達人がいるんだよ。先生!」
「おう!」
「はいよ!」
「達人ねぇ……妙手にもなれてないザコじゃねぇか……まぁ、いいや。ほら来い。さっさと終わらすぞ」
「は?ザコだと?俺達が?」
「ちょーし乗ってんじゃねーよ!」
「チキン南蛮!」
ザコその1を殴り飛ばす。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
ドゴーン!と音を立てて倉庫の壁にめり込むザコその1。ピクピク動いてるから死んでないはず。
「……へ?ひでぶ!」
信じられないというような顔をしていたザコその2を踵落としで黙らせる。
「う……うわぁー!バケモノだー!」
「助けてくれー!」
「逃がすわけねーだろ。甘酢!」
「ぎゃー!」
「タルタル!」
「お、おたすけー!」
1分もたたずに10人の制圧完了。
「よくやった瑞樹君。よしお前らはこいつらの回収だ!気が付く前に連れて帰るぞ!」
「「はっ!」」
あとは警察の仕事だろ。
「じゃあ、警部。俺帰りますね」
「ああ、今日はありがとう瑞樹君。また、頼むよ」
「へーい」
念のため親父に報告しに行くか。
「レヴィ6、任務より帰還しました」
「レヴィ9、同じく帰還しました」
「レヴィ5、以下同文」
「あのな……まぁ、ごくろうさん」
苦笑しながら気安い態度で手を上げるボサボサ頭の男。俺達の上司であり、この“組織”の責任者でもある。
『情報局特別班』 通称――特班《とっぱん》
逮捕権も捜査権もない、必要とあらば超法規的な治安活動も行う。アストラル能力を用いた犯罪に対応するためだけに国が設立した、非公開の諜報機関。
活動内容から、政治家や役人でも限られたごく一部の人間しか知られていない。そんな裏の組織で昼は学生、夜は諜報員として働いてるってわけだ。
え?さっきのは諜報員じゃないって?まぁ、あれはここでの俺専用の仕事だな。警部は逆鬼師匠と知り合いで、師匠と親父は知り合いでって形で警部と親父も知り合いなんだと。警部も俺がここで働いてることを知っているから親父に依頼して俺に回って来るんだよね。
「これ、今回の任務の報告書です」
「こっちも報告書だ」
「2人とも怪我は?レヴィ6の方は暴力団がレヴィ5の方は妙手クラスが数人いたんだろ?」
「問題ありません。気付かれないように無力化しました」
「こっちも問題なし。てか、あんなザコに手間取った上、怪我なんかしたら、師匠たちにさらわれるわ」
「はっはっは、そいつは結構。で、ここに書かれてないことで報告すべきこはあるか?」
「いえ、特には」
「そうだなぁ……しいて言うなら、ザコどもを死んだ方がマシって思うほどボコボコにしたことかなぁ」
「「うわぁ……」」
「それは……相手が災難だったな」
「言い訳になるかどうか分かりませんが、今日の晩飯は七海特製のチキン南蛮だったんだよ!しかも甘酢とタルタルの両方!それがから揚げ弁当になったんだぞ!分かるだろ親父?この気持が!」
「確かにそれなら仕方がないな。はぁ……七海ちゃんお手製のチキン南蛮かぁ……食べたい……」
そう、俺達の報告を受けている人は情報局特別班室長――在原隆之介
俺達の上司であり、義父なんだ。
「じゃあ、明日の夕食はチキン南蛮にする?お父さん明日は帰って来るでしょ?」
「「「ぜひ!」」」
あー明日の晩飯が楽しみだ!
「おっと、そうだ忘れるところだった。仕事の話に戻ろう。次の任務を伝えておきたい」
「「次?」」
「それって、今から?」
「まさか。いくらなんでもそんなことさせるわけないだろ。とりあえず、夏休み明けからの任務になる」
「珍しい」
うん、確かに
「その分ちょっと厄介でな。長期に亘るハードな任務になる可能性がある」
「しかも長期?一体なんの任務ですか?」
「……偽札だ」
「偽札!?かなり大きな事件じゃないか!」
「でも、そんなニュースは見てないよ?偽札が見つかったら報道されないはずないと思うけど?」
「それなんだが……ちょっと面倒なことになっていてな」
少し前、別件で捕まえたバイクの窃盗犯の財布から偽札が見つかった。
でも偽札が偽造されたものではなく普通の紙に“一万円”って書かれているものだった。
でも窃盗犯はそれが“本物”だと言い張っている。
と言うことは誰かがアストラル能力で、本物だと思い込ませたんじゃないか。
「ふーん……で、捕まえるの?」
「いや、そこは流れ次第なんだよなぁ……」
「どういうこと?」
「とりあえずこれを見てくれ」
『皆さんは
見せられたのは女の子が街を説明している動画だ。どっかの学校の制服かな?
『そんな研究都市の中にあるのが、ここ
と思っていたら学院の紹介へ移った。寮、研究施設、校内、屋内プールなどの施設の紹介もしていた。
「女の子が出演している紹介動画と偽札に何の関係が?」
「暁。もしかしてこの学院に潜入するかもだぜ?」
「大当たり~!」
「「「へ?」」」
「3人にはこの学院に潜入調査をしてもらいたい」
「何でいきなりそんな話に?」
「件の偽札を入手したのが鷲逗研究都市らしい。研究都市の方でも窃盗を重ねていたんだ。で、その犯行ついでにカツアゲまでしてたんだと」
「そのカツアゲで偽札を入手したのか」
「でもなんで、この学院に潜入するの?カツアゲした人の特徴とか聞けばいいのに」
「覚えていないらしい。思い出されないようにされた可能性がある」
「能力は……催眠、かな?」
「能力が特定できても範囲が大きすぎるなぁ……」
街全体のアストラル使いとなると、容疑者はどれくらいの人数になるんだ?
「そこで橘花学院に転校という形で潜入してもらうんだ」
「だからなんで?」
「橘花学院には