「「「はい、よろしくお願いします。式部先輩」」」
「うんよろしくね。じゃあさっそく始めようか。えーっと、在原瑞樹君」
「はい」
「うーんと、生年月日や血液型は、この書類に書かれてあるもので間違いない?」
「はい、間違いありません」
「ん、OK。打ち込むからちょっと待ってねー」
そう言ってPCに打ち込んでいく式部先輩。
「よし、次は在原
「あ、サトルです。暁と書いて、サトルです」
「あ、ゴメンね」
「いえ、よく間違われますから」
「サトルね。アカツキと書いてサトル……ん?暁?ジー……」
「……な、なんでしょうか?」
「もしかして、以前アタシと会ったことない?」
「先輩と?……ないと思いますが?」
「本当に?」
「はい、すみません」
「……そっか。なら勘違いかな。ゴメンね。昔の知り合いに似てる気がして、つい」
そんなやり取りを暁としたあと、カタカタとキーボードを叩き打ち込んでいく先輩。
「それで妹の……在原七海さんで、合ってるよね?」
「はい」
「じゃあ同じ女の子の可愛い後輩だし、七海ちゃんって呼ばせてもらっちゃおうかな」
「え!?また!?」
「ダメなの?」
「いえ、その……ダメ、ではないですけど……」
「式部先輩。七海のやつ、ちょー顔見知りなんで、遠慮なく呼んでやってください」
「瑞樹君!?」
「ふむ。お兄さんの許可も出たし、よろしくね七海ちゃん」
「~~~ッ」
「七海ちゃんは可愛いなぁ~。さて在原瑞樹君は……」
「先輩。俺と暁は名前で呼んでもらって結構ですよ」
「そう?ありがとう。お言葉に甘えて瑞樹君は『身体能力の強化』で……あれ?暁君も『身体能力の強化』なんだね」
「「はい」」
暁の能力は本当は別で、強化は副産物なのだ。かく言う俺も強化のほかにもう1つ能力がある。
「それから七海ちゃんが『治癒』と。じゃあ、まずは能力の確認をさせてもらうね。3人とも、これを持って」
差し出されたのは、付箋のような長細い長方形の紙。
「これは?」
「アストラル能力の性質を調べるためのもの。知っての通りアストラル粒子の変化は……」
「あのー、先輩?」
「はっ!ゴメンゴメン。端的に説明すると、リトマス試験紙の様なものだと思ってくれればいいよ」
「「「あー……」」」
「その紙を持って、能力を発動させてみてくれる?そしたら色が変わる。こんな感じの簡単な検査を複数重ねて、キミたちの能力を特定していくからね」
それってもしかして気付かれてるのか?
「ああ、勘違いしないでね。キミたちのことを疑ってるわけじゃないよ。自分の能力でも、勘違いしてることはよくあるからさ。……例えば飛行能力とか」
確かに、飛行能力1つにしても念動力で自分を浮かせてるか、風を操作して浮いてるのかで違うからな。
「だから能力を正しく理解することは重要ってわけ」
「分かりました。とりま、この試験紙からですね」
そうして全ての検査を終えたのは、10個近い検査を行ってから2時間くらいたった頃だろうか。
「はい、検査はこれにて終了。お疲れ様。さて、3人の検査結果だけど……まずは在原瑞樹君と暁君の2人は自分にだけ影響を及ぼして、力を発揮するタイプだね。申告通り、身体能力の強化で間違いないと思う」
「「そうですか」」
俺はともかく暁の本当の能力には気付かれてないようだ。
「七海ちゃんの治癒は、対象相手の治癒力を高めるタイプだね。ケガを無かったことにするわけじゃないけどやっぱりすごい能力だね」
「はい、式部先輩。質問があります」
「なんでしょう、瑞樹君」
「先輩もアストラル使いなんですか?」
「そうだよ。アタシの能力はね……」
そう言って先輩はコーヒーの入ったコップを持ち上げ、空中で手を放した。すると、コップは重力を無視するように、その場で停止した。
「すごっ!物体を固定する能力、ですか?」
「微妙に違うかな。物体をではなくアストラルを停止……その場に固定させてるって考えてくれればいいよ」
「アストラルを?」
「ざっくり言うなら、空気中に見えない壁を生み出すようなものだね。今は固定したアストラルを土台にして、そこにコップを乗せてるって訳さ」
「面白い能力ですね」
「でもねー意外と凡庸性も無くて、対して役に立ってないけどね」
能力を解除してコップを元に戻す先輩。
「これで登録完了。3人ともお疲れ様」
「式部先輩もお疲れ様です。休日なのに俺達のために」
「いやーそのー……気にしないで、いいよ?どうせ暇してたから?……2回もダブると、周りもどう接していいのか分からないみたいでね……」
「遠くを見ながら、んなこと言わないでください」
「俺で良ければ、いつでも先輩にお付き合いしますよ」
「わ、私もっ、お付き合いしますので」
「俺も付き合いますので元気出してください」
「……こんなオバさんでいいの?」
「オバさんって年じゃないでしょ。先輩は」
「うぅ……ありがとう」
「編入したばかりですから、先輩が友達になってくれると嬉しいです」
「私も同じ気持ちです」
「3人とも……ありがとうっ!今後とも、よろしくね」
「「「はい。よろしくお願いします」」」
その後、先輩にちょっとした実験?に付き合った。内容は、能力を使って片腕で先輩を持ち上げるものだった。
まぁ、その役目は暁にやってもらった。俺だとごじゅ……40㎏程度だと能力を使わずに持ち上げれるからだ。そのあとも先輩の気がすむまで実験に付き合った後、校舎を後にして寮へと向かった。