気になるあの娘は真面目でムッツリな寮長   作:ノブやん

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明けましておめでとうございまーす!

…え?もう1ヶ月経ってるって?

…まぁ、些細なことです…気にしないでください…

てか、やってみたかっただけですw



第9話 クラスでの自己紹介とお昼

「……知らない部屋だ……」

 

目が覚めたら知らない部屋にいる。なんで?と少し考えていたら頭が回ってきて転入してきたことを思い出した。

 

「あーそういや転入したんだっけ。んー!っと、天気も良いし走るか!」

 

洗面所で顔を洗い、歯を磨いた後ランニングへ向かった。

 

「はっ…はっ…はっ…ふぃ~……本当はもう少し全力で走りたいんだが…まぁ、一般学生のするスピードと距離じゃなくなっちゃうからなぁ……」

 

ランニング中に横目で学院周りを確認したが、いたる所に防犯カメラが設置されていたためいつものトレーニングが出来なくなってしまった。

 

「ま、初日からいきなり目立つわけにはいかないからその辺は慣れてからにしようか」

 

今日は見かけなかったが暁もランニングしてそうだから後でカメラの設置場所のすり合わせでもするか。

よし!戻ろう!腹減った!

 

 

 

「おはよう瑞樹君。こんな朝早くからどうしたんだ?」

 

寮に戻りロビーに入ると二条院さんとばったり出会った。

 

「おはよう二条院さん。ランニングしてたんだ」

 

「瑞樹君もか」

 

「ん?俺も?」

 

「ああ。先ほど暁君にも会ってな。暁君も瑞樹君と同じ理由だったのでな」

 

やっぱり暁も走ってたのかー。先に戻ってきてたんだな。

 

「なぁ瑞樹君。ものは相談なんだが……」

 

「ん?なに?」

 

「よければワタシも一緒に走っていいか?」

 

「ああ、ウェルカムだぜ!あ、でももう少しここの生活に慣れてからでもいい?」

 

「分かった。その時は是非声をかけてくれ!」

 

二条院さんと一緒にトレーニングをする約束をした後、部屋に戻り、体を拭いてから着替え食堂へ。

暁と七海と合流して朝食を取った。

 

 

 

 

 

「初めまして。担任の柿本香里です」

 

「在原瑞樹です。お世話になります」

 

「在原暁です。よろしくお願いします」

 

HRの少し前に職員室へ行き担任となる柿本先生に挨拶。柿本先生もアストラル能力の研究をしているらしい。

 

「昨日は申し訳ありませんでした。本来なら私が案内をすべきだったんですが」

 

「いやーむしろ同じ学生に案内してもらえて、話す機会をもらえたので良かったです」

 

「そうですか。逆に良かったかもしれませんね。あと、何か困ったことなどはありますか?」

 

「まだクラスのみんなに自己紹介もしてませんから、困るほどのこともありません」

 

「暁と同じくです」

 

「分かりました。困ったことがあれば何でも聞いて下さい。ああ。ちょうどいい時間ですね。それでは、教室に行きましょうか」

 

「「はい」」

 

みんなの前で自己紹介か。ちょっと緊張してきた。

教室にたどり着き、先生の後に続いて中へ入るとみんなの視線が俺と暁に集中する。

 

「みなさん。今日からこのクラスに新しい仲間が加わります。さっそくですが自己紹介をしてもらいたいと思います。では、瑞樹君から」

 

「はい」

 

先生に促され、1歩前へ。クラス全体を見回すと二条院さんや三司さん、それに周防の姿が見える。

 

「在原瑞樹です。趣味はネットと料理です。みなさんよろしくお願いします」

 

「在原暁です。隣にいる瑞樹の弟をやってます。みなさんよろしくお願いします」

 

暁の自己紹介が終わった後にクラス全体から拍手が返ってきた。

 

「2人はこの研究都市に来たばかりで、ここの生活にも慣れていないでしょう。困っていることがあれば、力になってあげてください。では、瑞樹君は二条院さんの、暁君は三司さんの隣が君たちの席です」

 

先生に指示された席につくと二条院さんが

 

「改めてよろしく頼む。瑞樹君」

 

「それはこっちのセリフだよ。色々と面倒かけるかもだけどよろしく」

 

「ああ」

 

さわやかな笑みを浮かべる二条院さん。その笑みを見て思わずドキッとした。やべーかわいい~

 

「では、授業を始めましょう。転入生も居るので、基礎から簡単なおさらいを……」

 

おっと、余計なことを考えてる暇はなさそうだ。

今までとは勝手が違うからな。置いて行かれないようにしっかりと聞かなければ。

 

 

 

 

 

 

「んっんんーー……」

 

御前の授業が終わると同時に背中を伸ばし、首をグルグル。

うわぁー……首回りがボキボキ言ってる……

 

「だいぶお疲れのようだな」

 

「ああ。知らず知らずの内に力が入っていたみたいだ」

 

気付かないうちに緊張してたみたいだな。二条院さんとしゃべっていたら暁と周防がやってきて

 

「みずき~お腹すいたから早く食べに行こうよ~……」

 

「そうだな。ここって学食があるの?」

 

「いや、学食ではなく各寮の食堂で準備されているんだ」

 

「お昼は好きなメニューを選ぶことが出来る上に、寮によってメニューや味はもちろん、量も違ったりするからね」

 

「へぇ~そうなんだな。それは助かる……恭平大丈夫か?足元がフラフラだぞ?」

 

確かに生まれたての小鹿みたいにフラフラしてる周防。

 

「それだけお腹が空いてるんだよ~……」

 

「相変わらず燃費が悪いな」

 

「成長期だからだよ~それに早く行かないと席無くなっちゃうよ」

 

「「それは一大事だな。急ごう!」」

 

あ、暁と被った。でもまぁ、席が無くなるのは痛いからしょうがないよな。

 

「なら、第三寮に駆け足ー!」

 

「「サーイエッサー!」」

 

 

 

 

 

 

 

第三寮へ着き昼飯を受け取るために並んでいる最中に各寮の特色を説明してくれる周防。

 

「第四寮は美味しいパンやとデザートで、第一寮は蕎麦とかの和食が多いかな?第二寮は……忘れちゃった。あははは」

 

「「なんだよそれ!」」

 

「ゴメンゴメン。で、我らが第三寮はこのボリュームさ!」

 

確かに。暁は生姜焼き定食を俺はハンバーグ定食を普通盛りで頼んだんだがそれでも十分すぎる量がある。男でも辛いやつには辛いだろうな。それなのに……

 

「いただきます!」

 

周防のやつはとんかつ定食の特盛を注文しやがった。普通盛りの倍くらいの量があるのだが怯む様子もなくバクバクと食べてその量を減らしていく。

途中、三司さんの仕事の話になり、周防が説明してくれた。

三司さんは学生会長についているが生徒会の仕事ではなく、広報活動の方が多く、テレビや雑誌の取材の対応をしている。

その原因が2年前、鷲逗研究都市で起きた

建設途中の建物が倒壊した事故でアストラル能力によって迅速に瓦礫の撤去が行われたため死亡者ゼロ、負傷者10名近くで運良く済んだ。

この時アストラル能力を使った女の子がインタビューに写り『かわいい』って評判になった。

その彼女がアストラル研究も行うこの橘花学院に入学したので彼女と学院の両方に取材が殺到。

って流れらしい。ちなみに能力を使ったのは三司さんだ。

 

「たまーに、熱狂的なファンが敷地内に入ろうとすることもあるらしいよ。でもまぁ、守衛さんがいるし、セキュリティもあるからね。簡単には入って来れないよ。あと、彼女だけは門限が特別なんだ。広報に関する仕事でどうしても、ってこともあるから」

 

「授業も普通に受けて、昼休みには取材の相談で、昼食もゆっくり取れないとか……」

 

「まるで忙しいビジネスマンだな」

 

そんなことまでしてたのかよ三司さん。たいへんだなぁ。今度なんか差し入れでも渡すかな。

余談だが、周防はあの特盛をペロリと完食しやがった。しかも食べ終わるのが俺達と同じだった。その上、おやつにカレーパンを買いに行きやがった。

あんな体のどこに入ってんだ?

俺達は周防がカレーパンを買いに行ったのを見届けてから別々に校舎のセキュリティを調べた。

この程度なら七海(女神)が何とかするはずだ。

 

その後午後の授業も受け

 

「行ってくる」

 

「いってら~」

 

ブツを取りに行った暁を見送った後に二条院さんが近寄ってきて、

 

「そう言えば瑞樹君は部活に入るのか?」

 

「今の所考えてないな。二条院さんは何の部活なんだ?」

 

「寮長の仕事で時間が取られることも多くてな。ワタシも部活に入ってないんだ。この後も呼ばれていてな」

 

「そうだったのか。いってらっしゃい」

 

「ああ。いってきます」

 

なんか今のやり取り夫婦みたいだったな……って俺は何を考えてるんだ!

あーいかん。トレーニングがてら走って頭を冷やそう。

ついでにもう一度セキュリティの確認も。

 

 


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