真剣で念能力者に恋しなさい!   作:あすとろん

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1話

山田太郎。

THE平凡な名前すぎて逆に珍しい部類にまで至った名前である彼。

そんな彼は今、自分が所属している川神学園1-Bの教室でとある雑誌を見ながら唸っていた。

 

「明日は『辻堂さんの熱愛ロード』の発売日。しかし平日、加えて予約を忘れた俺は並ばなければ入手はしばらく先になってしまう…。よし…サボるか…!」

 

一般的に考えるとアウトなことを宣言する彼。

この若干駄目な雰囲気を醸し出す山田太郎こそこの物語の主人公(笑)である。

そんな明日は仮病を使ってサボることを決めた主人公の頭部にどこかからか平手が飛んできた。

 

「プレミアムな私が迎えに来たのに何くだらない理由で授業をサボろうとしているのかしら太郎⁉」

 

「今日日暴力系ヒロインは流行らないよ、お嬢。」

 

「~~~誰がヒロインですか!誰が!?」

 

誰もいない夕方の教室。

そんな教室で一人残る山田。

そして彼を甲斐甲斐しく迎えに来る暴力系ヒロイン(仮)の名前は「武蔵小杉」という。

彼女は山田と同じ川神学園でも本当のエリートだけが所属を許されるS組に所属し、入学早々に掌握した才女である。

まあ原作を知っている読者からしたら才女(笑)かもしれないが、冷静に彼女を評価するなら文武両道かつ家が資産家、体の凹凸こそ平均的(規格外が多くいるため目立たない)で見目も整った美少女である。…性格は色々残念だが。

 

「まあまあ武蔵さん。山田君がゲームの話をしているのはいつものことじゃないですか。」

 

「そうだぜ!つーかまゆっちとムサコッスという美少女二人と可愛いマスコットであるオイラが迎えに来るの分かっててエロゲ雑誌広げてるとかどんだけオープンなんだYO!?」

 

「こら松風!わ、私なんかが美少女だなんて!?」

 

武蔵小杉と山田太郎のこの掛け合いはいつものことなのか、同じく山田を迎えに来ていた「黛由紀恵」とその相棒にして馬の人形の九十九神「松風」が二人をなだめる。

由紀恵は武蔵小杉と同じく1-Sに所属している少女である。

彼女は剣聖黛十一段の娘で自身も凄腕の武士娘であり文武両道、年齢の割に凹凸の激しいスタイルに涼やかな大和撫子然とした美貌を持つ美少女である。

まあ引っ込み思案な性格のため挙動不審であったり、日本刀を持っていたり、松風…どう見ても由紀恵自身の腹話術による人形を使った一人芝居をするなど割と不思議ちゃんな感じなので友人が極端に少ない。

どれくらいかというと風間ファミリーという仲良しグループを除けば4人しか友人が登録されていないというくらいである。

因みに山田自身は割と友人が多く、風間ファミリーの師岡先輩と島津先輩とはよくつるんでいたりする。

 

「…確かに友人とはいえ年頃のJKが来るのが分かっていてエロゲ雑誌を全開なのはデリカシーがなかったな。すまん黛さん、松風。」

 

山田は現状を客観的に分析し、確かに自分の行動はアレだと感じ、此処は潔く謝罪するべきと判断したようだ。

このままでは某童帝のように学校中の女子生徒から汚物の如く見られるポジションに堕ちてしまう。

 

「い、いえいえ構いません!?わ、私なんて気にせず心行くまで楽しんでください!!」

 

「まゆっち流石にそれをやっちまったら上級者過ぎるぜ…?」

 

「あれ?今プレミアムな私のことを無視しなかったかしら?」

 

「いやそんなことないよお嬢。あ!ところでこのページ見てくれない?荒くれもの数人に捕まって○○と△△に同時に■■されて◇◇顔している女の子、お嬢に似てない?どうかな?」

 

「ぎゃああああ!!なんてものを見せるの⁉うわっそんな両方にだなんて…⁉ってそうじゃない!!さっき言っていたデリカシー云々はどこ行ったのよ!!」

 

言われるままつい山田の差し出す雑誌のページを見てしまい顔を真っ赤にする武蔵小杉。

そんな勝気な武蔵小杉が普段見せない恥じらい顔をしているのを見て某2年のハゲのような悟りの表情を浮かべる山田。

完全な流れ弾でハードエロゲCGを見て顔を真っ赤にして目をグルグルさせている由紀恵。

混沌がここにあった。

そしてそんな混沌の中、何も知らずにとある男子学生が教室に入ってきたことでさらに悪い方向へ加速する。

 

「…まゆっちいる?…え?何この状況!?修羅場!?」

 

その男子学生の名前は「直江大和」という。

彼は週末に控える東西交流戦にむけて準備がある者もいるため、本来明日行う予定の金曜集会を取りやめ今日やらないかと風間ファミリーのメンバーに声をかけて回っていたのだ。

他のメンバーにはメールで連絡したのだが偶々由紀恵の姿を見かけて追いかけてきた大和はこの混沌とした異空間に迷い込んでしまったのだ。流石原作主人公、トラブル体質である。

 

「あ、どうも直江先輩。イキナリですけどこの女の子どう思います。お嬢に似てませんか?」

 

「へ?この状況で普通に挨拶してくるのか山田!?…確かに武蔵小杉さんによく似ているなあ、うわあこれはまたドエロイなあってそうじゃない!?息をするように俺まで巻き込もうとするな!!」

 

「っち。」

 

「舌打ち!?」

 

「な!?太郎!何直江先輩にまでソレを見せてるのよ!?辞めなさい!!とりあえずそれを寄こしなさい!?」

 

「え“っ!?お嬢、俺が言うのもなんだけど高校生でこのエロゲは少し上級者向けすぎますよ?それならこっちのマイルドなやつか…どうしてもっていうなら俺といっしょにプレイしますか!?やばいパートは俺が担当しますから。」

 

「そうじゃない!?プレミアムに違うわ!!どうして同級生の男子と自分に似たキャラが出てくるエロゲをしなくちゃいけないのよ!?」

 

「はわわ!?武蔵小杉さんちょっとマニアック過ぎませんか!?」

 

「ohムサコッスさんマジパねえな。」

 

「プレミアムに誤解よ⁉」

 

「ニッコリ(無言の悟り顔)」

 

エロゲ雑誌を片手に顔を真っ赤にして叫んでいる武蔵小杉。

同じく顔を真っ赤にしてチラチラと顔を隠した指の隙間からエロCGをガン見している由紀恵。

そんな二人をみてロリコニアを見つけた某ハゲようなアルカイックスマイルを浮かべる山田。

そしてそんなある意味修羅場の方がマシな状況を眺める大和。

 

「…まゆっちは今日は欠席だね。じゃあ友達と仲良くネ!」

 

大和は軍師としてこの死地から戦術的撤退を選び教室の扉を閉めるのであった。

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