つぶら★マギア【アニメ編完結】   作:ダラ毛虫

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あんこちゃんもといきょうこちゃんしてん

からのカナメ視点



第8話

 マミの部屋に入るのは、久しぶりだ。

 慌てて紅茶とケーキを準備している音は、あの頃に戻ったようで、頬が弛みかける。

 

 そう、弛緩しかけた自分を自覚して、一呼吸で意識を切り替えた。

 

 魔女と戦う時と同じ、魔法少女としてのモノに。

 

 ここは、敵地だ。

 

 

「巴を待つ間に、改めて自己紹介しておくわ。円カナメよ。よろしく」

 先日アタシを爆破してくれた挙げ句に、お情けをかけてくださった円カナメが、無表情なまま語る。

 一見すると無防備な態度だが、よくよく見てみれば、まるで違う。

「……器用なもんだね。『変身直前で留める』なんてさ」

「分かるの。流石ね」

 いつアタシが仕掛けても、コイツは確実に対処する。

 突然訪ねて来たアタシを無警戒に迎えたのも、『常に不意打ちを警戒し続けている』からだ。

 どのタイミングで何が起ころうと、自分の能力が及ぶ範囲なら、対応できる。

 アタシとマミ、そしておそらく魔法少女の、円カナメの横に座る黒髪の女。

 仮に、この3人が同時に奇襲しても、コイツは即座に撤退を成功させるだろう。

 コイツの火力なら、逃走ついでにキツい置き土産くらいはやりそうだ。

 敵に想定されている奇襲なんて、奇襲として成り立たない。

 ましてや、アタシ1人じゃあ、どう手札を揃えても仕留めきれない。

「………化け物が……っ」

「良く言われるわ」

 憎々しげに歯軋りしてやっても、眉一つ動かさず、無表情のまま小さく頷かれるだけ。

 発作的に武器を出しそうになるが、辛うじて抑え込む。

 まだだ。まだ、前回と状況は大差無い。

 コイツの手札を見極める。今するべきことはそれだ。

 無意識に力んでいた身体から、緊張と魔力を抜く。

 円カナメの方は、変わらず、外見は無防備に、魔力だけは皮1枚下で巡らせているが。

 ……改めて、気が狂ったことをしてやがる。どんな神経してるのかっての。

 

「私も自己紹介して良いかしら、佐倉杏子」

 アタシがやる気を無くしたからか、黒髪が口を開いた。

 別に、名乗られて困ることも無いし、適当な相槌を打った。

「暁美ほむら、よ。円カナメと巴マミとは、協力関係にあるわ」

「へぇ……見るからに他人とつるみそうにない連中が揃ったもんだね」

 アタシが言えたことでもないけど。

 でもこの3人、全員明らかにコミュ障でしょ。

 

「お待たせー!」

 微妙な雰囲気になったのを察したのか察していないのか、やたらご機嫌なマミがテーブルに着く。

 盆に乗せていたケーキと紅茶を配り、三角テーブルの残った一辺に座った。

 なんで、あんなそわそわもじもじしてんだ、マミの奴。

 まあいいや。まずはケーキだ。どこで誰と一緒に食おうと、食いもんに罪は無い。

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★

 

 

 ケーキが美味しい。甘い。

 

 巴は、しっかり食べるよう言うが、甘味だけで充分だと思う。

 そもそも、魔法少女にとって、食事が持つ最大の効果は、精神安定だ。

 食事をして、睡眠を取り、自分は人間だ、と言い聞かせる。

 精神状態がソウルジェムの濁りに直結する私達には、これがなかなか馬鹿にできない。

 殆んどの魔法少女が、自分の身体は魔力で活動する人形だ、と知るだけで、パニックに陥るくらい。

 

 ゾンビ、という表現は、的を射ている。

 奇跡などを叶えた時点で、『生きた人間』である訳が無いのだ。

 

 と、語ったところで、嗜好として食事をしている以上、私も人間を捨てきれていない。

 何とも悩ましいことだ。ケーキ美味しい。

 

「円さん、お代わりはいかが?」

「いただくわ、ありがとう」

「暁美さんと……さ、佐倉さんは?」

「…………食う」

「……そうね、私もいただくわ、マミさん」

 

 全員が2個ケーキを完食するまで、終始無言だった。

 

 私としては、甘味は静かに食したいので、助かる。

 鹿目や美樹が居るお茶会は、話したり食べたり忙しない。疲れる。

 ケーキ甘い。美味しい。

 

 

「さて、本題に入りましょう」

 ケーキに舌鼓を打っていたからと言って、本来の目的を忘れた訳では無い。決して無い。

 この静かな空間を壊すのは惜しいが、やむを得ない。

 

「私と巴は、暁美から約1ヶ月後にワルプルギスの夜が来ると聞き、共闘しているわ。

 グリーフシードの収集は、そのための準備よ」

「ふぅん……ワルプルギスの夜、ね」

 佐倉杏子も、聞き覚えがあるらしい。

 他の魔法少女と組んでいるようには見えないが、噂くらいは集めているのだろう。

 そう言えば、私も噂されているとか言っていたな。

 まあ、その件はどうでも良いか。今は関係無い。

 頭を切り替え、暁美と巴に向けて、口を開く。

 

「私としては、彼女にも協力を仰ぎたい。

 確かな腕を持ち、会話が成立する。共闘するには良い相手だと思うから」

 先日一戦交えた時も、久し振りに初撃をかわされた。

 不遜な物言いになるが、私の突撃に回避行動を取れる時点で、魔法少女として一流だ。

 全力前進突撃爆破。今現在に至るまで『必勝』のパターンである。

 

「前半の実力については、わたしも同意するけれど、後半のハードルが低すぎないかしら?」

「何を言っているの、巴。会話が成立しないと、交渉すらできないのよ」

「……そうね。こちらの話を聞こうともしない相手は、本当に……」

「暁美もそう思う?」

 うんうんと頷き合う私と暁美。

 巴と佐倉杏子が、何やら思案顔で私達を見ていた。

「ふん……お誘いのとこ、もーしわけないけど、アタシは手を組むなんて言ってないよ」

「そうね、報酬の設定は重要だわ」

 会話を繋ぎ相手の要求を引き出す技術など持ち合わせていないので、単刀直入に。

 発起人の暁美、見滝原を守りたい巴、魔女を殺したい私と違い、彼女にはわざわざ挑む理由が無い。

 なので、手持ちのグリーフシードをテーブルの上に山積みにする。

 

「ワルプルギスの夜を殺した時点で、手元に残ったグリーフシードを分配。

 取り分の割合は、今後の交渉次第ね。

 問題無いかしら? 暁美、巴」

「私は構わないわ」

「わたしも、それでまた杏子と一緒に戦えるなら」

 巴から佐倉杏子への呼び方が変わった?

 まあ、些細なことだろう。

「後は貴女の意思よ。私達に、協力してほしい」

 

 

 しばらく黙ってから、佐倉杏子は頷いた。

 

 こうして、おそらく魔法少女史上、最高峰のチームが結成された。

 




背後霊のターン
「カナメのやってることをざっくり言うとねー。うん、念能力で例えようか。
 オーラを増加させる『練』を寸止めして、オーラを留める『纏』をし続けてる感じ。……分かりにくくなったかな?」
「ほむマミはともかく! うちの子ぼっちちゃうわ!
 見滝原来る前は、ヤンデレズ3人と殺し愛やったわ!
 あかん! コミュ障やんこれ! ヤンこれ!」
「カナメの表情を読むうちに、読心術級洞察力を得たわたしですが……。
 こんな見え見えの『仲直りしたい顔』は初めてです。マミさんマジマミマミ。
 てか、あんこちゃん、ケーキまっしぐらで気付いてないし。見てあげなよー(笑)」
「ケーキタイムの微笑み、ってか微々たる笑み? とにかく可愛い。可愛い」
「……カナメちゃん、ほむらちゃん、乙、超マジ乙。
 そうね。会話が成り立つって何より大事よね」
「なにこの面子すげーつよーい。なんすか世界でも救いに行くんですか?
 あれ? これに混じるとか、さやかちゃん、足手まといになんない?」





オマケ・見滝原に来る前(設定すら未完成)

穂群明美「私達……ずっと……ずぅっと一緒だから………ね?」
麻実朋恵「大丈夫よ。
     わたしを殺そうとする人も、わたし達をジャマする人も、全部『片付ける』わ」
笹倉あんず「このアタシの所有物(ファン)にしてあげるって言ってんだから、アンタはただ感激してればいいの。
      歓喜して、感涙して、歓声をあげなさい。アンタの瞳は、アタシだけ映せばいい」

円カナメ「………会話が成立しない? どういうことだ?」
キュゥべえ「あの3人は、特に激しい感情エネルギーの持ち主だからね。
      僕にも訳が分からないよ」
姉(カナメちゃん、もしかして変なフェロモン出てない?
  何この、ヤンデレギャルゲで無謀にもハーレム目指した末路、みたいな修羅場)
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