つぶら★マギア【アニメ編完結】   作:ダラ毛虫

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マミ視点

杏マミが俺のジャスティス



第11話

「……それでも……それでもあたしは、恭介の手を治したい!」

 

 

 長い長い、息が詰まるような沈黙の末に、美樹さんは叫んだ。

 

 振り絞るように、血を吐くように、願いを告げた。

 

「そう。分かったわ」

 円さんは、それを否定しない。

 彼女はきっと、全ての願いを肯定するだろう。

 願った魔法少女が、対価として、運命を受け入れる限り。

「ほら。貴方の出番よ」

「やれやれ。普段は遠ざけて、都合の良い時だけ呼び出すなんてね」

「それを気に病む貴方では無いでしょう」

 久し振りに見る、キュゥべえの姿。

 かつては、誰よりも信頼していた相手。

 だけど、円さんの言葉で現実を再認識すると、奇跡を差し出し悪魔の取引を持ちかける存在にしか思えない。

 

「さやかが魔法少女になることに、賛成なのかい?」

「賛成する者は、この場に居ないわ。

 でも、貴方が契約を結ぶ邪魔もしない。良いから早く仕事をして」

「契約ができるなら、ボクはそれで良いけどね。

 ところで、まどかはーーー」

「死ぬかしら?」

「やめてよ、もったいないじゃないか」

 言葉の表面を滑らせるような、円さんとキュゥべえの掛け合い。

 心なんて欠片も込められていない、凍り付いたやり取り。

 

「契約内容は、『他者を癒す力』で構わない? 美樹」

 いつも通りの眼差しと口調で、円さんが美樹さんに確認する。

 問われた美樹さんは、円さんから目を逸らし、キュゥべえに質問した。

「……その力で、恭介の手は治せるの? キュゥべえ」

「指先の麻痺くらいなら、すぐに完治できるよ」

「なら、それでいいわ」

「じゃあ、契約していいんだね?」

「………うん、やって」

 美樹さんの言葉に応じて、魔法少女の契約が始まる。

 青い光が室内を照らし出し、ソウルジェムが生まれる。

 それを、誰もが、それぞれの表情で、見つめていた。

 

「さあ、受け取るといい。それが君の運命だ」

 

 そして、また1人、『魔法少女』が誕生した。

 円さん曰く、『残りの人生を投げ捨てた者』が。

 

 

 

 

 

 

 上条君の治療は、簡単に終わったらしい。

 

 円さんが暗示の魔法で上条君の意識を奪い、美樹さんが治癒。

 暗示に従い、指先を自由に動かしている姿も確かめた、とのこと。

 美樹さんの魔力コントロールの練習も兼ねて、魔法少女の姿で移動したため、あっという間だった。

 円さんと美樹さんが出発してから、30分も経っていないかもしれないくらい。

 あっさりと、美樹さんの願いは、完了した。

 

 

「では、今後の訓練予定についてだけれど」

 そして、流れるように、話は次に向かっていく。

 これを余韻が無いと言えば、きっと円さんは、未練は要らない、と答えるだろうけど。

「夜間はこれまで通り、巴と行動してもらうわ。

 日中は、私と……佐倉、貴女も付き合ってくれる?」

「………はぁ、分かったよ、どーせ断っても押し通すんでしょ?」

「そうね」

「少しは否定しなよ、アンタ」

「嘘は苦手だから」

 ところで、円さんと杏子、やけに仲が良い、わよね……いつのまに……?

 杏子がうちに来た時は険悪そう、というか、杏子が円さんに噛み付いている感じだったのに……。

 何かしら……何だかもやもやする……。

 

「ま、待ってよ! マミさんはともかく、あんた達に教わるなんてーー」

「死にたいなら好きにして。ただし、戦力にならないなら、巴の邪魔もしないで」

「な!?」

 と、考え込んでいる間に、美樹さんが円さんに反論して、そして即座に斬って捨てられた。

 

「ワルプルギスの夜への対策で忙しい時に、お守りをする余裕は無いの。

 縄張り争いも面倒ね。この近辺は既に私達が狩り場にしているから。

 出ていくか追い出されるかは、自分で決めて良いわ」

「つ、円さん、もう少し柔らかい言い方で……」

「私は前もって、魔法少女として扱う、と言ったはずよ、巴」

「あぅ……」

 ぐうの音も出ません。正論です。ぐすん。

「……あんたって、本当に!」

「情けをかけて優しくしてほしいなら、ワルプルギスの夜を倒した後、巴に頼りなさい。

 ただし、今は邪魔をしないで。作戦の成否に関わるから」

「っ!」

「一応、これでも柔らかく言っているつもりなのだけれど、はっきり言った方が良いかしら?

 貴女に強くなるための手段を選ぶ余地は無い。

 最低限の戦力にもなれないなら、足手まとい。

 グリーフシードを浪費するだけの素人を養う余裕は無い。

 私達の狩り場で魔女や使い魔を狩られることも迷惑。

 強くなるか、立ち去るか、追い出されるか、選びなさい」

 

 

 ……ごめんなさい、美樹さん。

 何一つ擁護できません。わたし、弱い先輩です。

 

「なんでアンタが落ち込んでんのさ?」

「だって……わたし……」

 知らず涙声になっていたわたしの頭を、杏子が撫でる。

 暖かい。

 杏子の手のひらから、温もりが心と体を満たしていく。

「それは、アイツが選ぶことでしょ?

 アンタは、アイツが強くなりたいって決めた時、全力で応えてやればいい。

 アタシを鍛えてくれた時みたいに、さ」

「……杏子……杏子ぉ!」

「わぷっ。きゅ、急に抱き着いてくんな! つーか! 胸で! 息が! ちょっとマミ!」

 

 

 

 

 

「………あなた達、余所でやってくれないかしら?」

 

 暁美さんに引き剥がされた時、杏子はやけにぐったりしていた。

 

 

 

 そういえば、さっき抱きしめちゃった時、杏子が久しぶりに「マミ」って……!

「余所でやって、と言ったわよね?」

「やらねーよ!」

 怒られちゃった……。

 

 でも! これから少なくともワルプルギスの夜を倒すまでは、杏子ともチームなんだから! これから仲直りしていけば!

 

「なー、ほむら……なんか、マミが燃えてんだけど……」

「知らないわよ。自分でどうにかしなさい」

「できたらやってるよ」

 

 巴マミ! 頑張ります!

 




復活の背後霊
「杏マミ美味ぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!!!
 よし! わたし復活! 元気出た! カナメちゃんペロペロ!
 ほむほむもまどか抱き締めて良いと思いますむしろ推奨やっちゃえやっちゃえ!」




なお、「これでは『マミあん』ではなかろうか?」と脳内会議で議題が提出されましたが、

「杏子ちゃんがイケメンなパターンは、『杏マミ』と定義できるのでは?」
「受け攻めで考えるなら……」
「マミさんはたとえ積極的でも受けでしょう間違いない」
「とりあえず杏子ちゃん聖女カワイイヤッター」
「「「「「「「「「「カワイイヤッター」」」」」」」」」」

議論の末、『細けぇこたぁいいんだよ』が満場一致で可決されました
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