ほむ&カナメ視点
「驚いたわ……昨日より断然強くなっているわよ、美樹さん」
視線の先には、まどかと、彼女を守るマミと美樹の姿。
現在、魔女を退治し終えたところである。
マミたちとチームを組んでいる以上、私も別に隠れる必要はないのだけれど、これはもう何というか、習慣になっている。
断じてストーカーではない。
「そ、そーですかね? いやー、そりゃもーボロボロにしごかれましたから!」
「まさか、本当に日中ずっと模擬戦だったの?」
「本当にほとんど休みなしでボコボコにされました。
3時間に1回10分休憩、昼ご飯も10分以内、って感じでした」
「それは……」
「うわぁ……」
事前に概要は聞いていたけど、本人が語ると余計に悲惨ね。
精神が潰れない程度を心掛ける、とは言っていたけど、「潰れない」ギリギリじゃない。
訓練が厳しくて魔女化なんて、前代未聞だわ。
「……あいつら、絶対に、いつか倒してやる……!」
あ、意外と大丈夫かしら。鬼教官を超えるって目標が、いい具合に働いているわ。
「………そうね。きっと、円さんは、そのくらいを目指してほしいのかも」
「あはは……言いそうですよね……」
燃える美樹を見て、マミとまどかが苦笑する。
しかし、当事者である美樹は、同意しかねるらしい。
「えー!? どーせ、貴女では私に勝てないわよ、とか言うに決まってますよー!」
美樹、もしかして今の、円の真似のつもり? 絶望的に似てないわよ。
「ふふ……そうね、面と向かっては、そう言うかもしれないわ。
でもね、美樹さん、円さんは、こうも言っていたの」
1度言葉を切り、マミが注意を集める。
「ワルプルギスの夜を倒した後も生き残れる程度には鍛える、って。
彼女は、ワルプルギスとの戦いでも、その後でも、あなたが戦い続けられるようにしたいみたい。
教え子に死んでほしくなんて、ないものね」
マミの笑顔は、とても、暖かい。
私が魔法少女になる前や、まだ1人で戦い続ける覚悟を決める前。
何度も、彼女の笑顔に、救われていた。
まどか以外を考えなくなって、忘れていたことを、思い出す。
彼女は脆い人だけど、それでも、私達を支えてくれていたんだ。
必死に堪えて、先輩として、懸命に。
そんな思い出が、誰も覚えていなくても、確かにあった。
「と、ゆうわけで! わたしも、実戦の教官として、しっかり鍛えないとね!
明日、円さんや杏子をビックリさせられるくらいに、強くなっちゃましょう!」
「え? えーと、マミさん。その、あたし達、魔女退治したばっかりですし、また後日……」
「あら! 鉄は熱いうちに打て、よ!
確かに昨日より強くなったけど、まだまだ荒削りだわ!
反省会も兼ねて、ビシバシ行くわよ!」
夜の町に、マミの掛け声と、美樹の悲鳴が響いた。
さて、まどかの安全は確認できたことだし、私も魔女退治に行こう。
時間を見つけて、武器の調達と設置もしなければならない。
ワルプルギスの夜を倒すために、準備はしすぎることはないのだから。
必ず、みんなで倒すために。
余談だが、マミがした円の真似は、美樹よりマシだが、やはり似ていなかった。
★★★★★★★★★★★★★
「ん?」
「あん? なんかあった?」
「いえ、気のせいね」
何やら悲鳴が聞こえた気がしたが、特にそれらしい魔力の反応は無い。
空耳か、魔法とは無関係な単なる悲鳴だろう。
「………次の魔女は……少し遠いわね」
「はーぁ、アンタの探知で見つけるのは楽って言っても、めんどくさいなー」
ぶつくさと言いつつ、指示もしていないのに、魔女の方角へ顔を向ける佐倉。良い勘をしている。
「これが終わったら、今日はもうお仕舞いかしら。グリーフシードを持っていそうなのは、次で最後」
「りょーかい。んじゃ、ちゃちゃっと終わらせよーか」
「ええ」
両足に魔力を込め、一気に跳躍。
爆発推進は使っていないが、それでも並の魔法少女では付いてこれない速度で、町を駆ける。
余計な音を立てない最高速で、屋根から屋根へ、宙を跳ぶ。
先導する私の後ろには、佐倉がぴったりと、付いている。
今日の戦果も、私1人で稼ごうと思えば、きっと明け方までかかっていた。
佐倉となら、時間は勿論、魔力の消費も半分以上節約できる。
本当に、頼もしい。
「うん? カナメ、アンタ今、笑ってた?」
「そう? 自分では良く分からないけれど……」
「うーん……見間違い、か?」
誰かに背中を預けて戦うなんて、いつ以来……いや、こんなに信頼できる相手は、初めて、かも、しれない。
今日の背後霊
「っしゃーぁっ!! カナメの笑顔ゲットォォォッッ!!!
ん? その後の魔女戦?
デュアル乱舞で使い魔を蹴散らして、魔女を2人の槍で引き裂きました、おしまい。
いやもうほんと息合いすぎ結婚しなさいハリーハリーハリー。
魔女が何を仕掛けても、カナメに気付かれず奇襲なんて不可能ですしお寿司。
強すぎて言うことないわい。戦い、そして勝った、完」