つぶら★マギア【アニメ編完結】   作:ダラ毛虫

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ほむほむは苦労人(確信




第7話

 土曜日の朝、私は巴マミーーマミの家に向かった。

 

 特に約束はしていないけれど、この時間なら、多分いるだろう。

 魔法少女同士のテレパシーを使うことも考えたが、インキュベーターに傍聴される気がして嫌だ。

 内容は今週の成果確認と情報共有なので、隠すほどでもないものの、何か嫌だ。

 

 携帯電話? まどかと会うまで入院生活だった私が持っているとでも?

 マミもそんなコミュニケーションツールに縁は無い。

 (ツブラ)の場合、魔法で作った偽物らしい。どんな機能かは聞いていない。

 

 

 などと、徒な思考を弄びつつ、エレベーターに乗り込む。

 後になって思えば、この時の私は、余りにも油断していた。

 

 

 扉が閉まる直前に滑り込んで来たのは、佐倉杏子。

 

 この日付で見滝原に来たことなど、『過去』に1度も無い魔法少女。

 もしも彼女が私達と敵対するつもりだったら、今の瞬間に、殺されていた。

 

 なんて迂闊。だけど、まだ、致命的ではないはず。少なくとも、現時点では、彼女は私に敵意を向けていない。

 

 警戒心を隠しつつ、佐倉杏子を観察する。

 幸い、彼女はエレベーターのボタンに目を向けていて、私の動揺に気付いた様子は無い。

 既に私が押したボタン、マミの部屋がある階が点灯しているのを見て、彼女は壁に背を預けた。

 

 間違いない。マミの部屋に行くつもりだ。

 

 このイレギュラーの原因は、考えるまでも無い。

 円が何かした。おそらく、魔女退治の縄張り争いで彼女とぶつかった。

 マミの部屋に円がいることは、どうせインキュベーターが教えたのだろう。後で殺そう。

 そうなると、目的は円への報復か。でも、佐倉杏子の態度には、襲撃前の緊張感が感じられない。

 

 どうする。下手に干渉すると、また『まどか』を失うかもしれない。

 今回は、かつて無いくらいに順調だ。

 まどかも美樹も魔法少女になっておらず、マミと協力関係を結ぶことができた。

 更に、強力なイレギュラーである円もいる。

 その円は、まどかを魔法少女にせずワルプルギスの夜を倒す、という私の願いに賛成している。

 

 できるなら、今回でもう終わらせてしまいたい。

 何度繰り返すことになっても、必ず『まどか』を守ってみせる。

 その約束にも決意にも、変わりは無い。だけど、これ以上『まどか』が不幸になる姿を、見たくない。

 この状況で、どう動くのが正解か。

 佐倉杏子は有力な魔法少女だ。無意味な戦いは避けたい。

 だけど、でも、いやしかし。

 考えている内に、気付けばマミの部屋の前まで着いてしまった。

 

「……あなたも、巴マミさんに用事があるのかしら?」

 迷った末に、偶然同じ家を訪れた初対面として振る舞う。

 まずは、相手の出方を見極めなければ、動けない。

「へぇ。そう言うアンタは、マミの知り合い?

 だったら、教えてほしーんだけどさぁ」

 目を細めた佐倉杏子が、ずいと私に顔を寄せる。その眼差しは、明らかに私を値踏みしていた。

「円カナメって奴も、アンタの知り合い?」

 滲む敵意。完全にビンゴだ。絶対に縄張り争いしている。そして、彼女は十中八九、円に負けている。

「そういう話は、本人も交えてしましょう」

 極力自然に、かつ素早く、インターホンを押す。

 この距離で佐倉杏子と戦闘になるのは危険だ。

 円の性格からして、マミがいる時に玄関を開けに出てくる可能性は低いはず。

 拘束に長けたマミと2人なら、無駄な争いをせずに佐倉杏子を捕らえることもーー

「まったく、巴は何をぼんやりしているのやら……」

 何であなたが出るのよ!?

 あなたの魔力感知能力なら、扉越しにでも誰がいるか分かったでしょ!?

 縄張り争いした相手なんでしょ!?

 空気を読みなさいよ!?

「とりあえず、暁美は部屋に入れて良いとして、佐倉杏子はどうするべきかしら」

 案の定と言うか、円は何も考えていなかったらしい。

 基本的に、彼女は物事に取り組む時、とりあえず当たってみてから考えるタイプだ。

 無表情に冷静に無計画。

 半ば条件反射の対応で大体どうにかなるのが、余計に憎たらしい。それによる周囲への影響を考えなさい本当に。

「円、あなたはどこまで愚かーー

「……へ? 杏ーー佐倉さんっ!?!」

 そんな円に苦言を呈そうとしたところ、部屋の奥から、やけに慌てた様子のマミが飛び出してきた。

 名前で呼びかけてから、名字で言い直した。

「よぅ……巴マミ……」

 それに対して、佐倉杏子は、気まずそうに視線を逸らす。

 呼び方も、先ほど私と話した時は『マミ』と呼んでいたのに、フルネームだ。

 

 

 ああ、これは、思った以上に、面倒な関係性らしい。

 

「なんだ。2人とも知り合いだったのね。

 好都合だわ。貴女とは対話したいと思っていたの、佐倉杏子」

 

 空気を読まないあなたが、今だけは羨ましいわ、円。

 

 




背後霊「あんこちゃんキターッ!! って、え? マジで? なんでこんな早い段階で?
    て、うん、やっぱカナメちゃんが縄張り侵略してボコった挙げ句に『治療費』ポイしたせいだよね分かります。
    杏マミ? マミあん? あるいはほむあん? どれでもおいしいですもぐむしゃあ。
    とりま、ほむほむ、ふぁいと」
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