ホタテ短編集   作:社畜系ホタテ

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いちごぱんちゅ

 

強さとは何か。

 圧倒的なパワー、捉えることができないスピード、ダメージを受けないほどの肉体。

 スタンド能力、王の財宝、程度の能力、無限の魔力。直視の魔眼extra、extra……。

 

 それは千差万別だ。

 無数にあるのだ。

 人の数だけ最強の能力があり、それまた人の数だけ強さがある。

 

 マンタの流星群は強かったり、はたまた銃を持たせたのび太だって強かったりする。

 ジャイロでフォークさせたノゴロー君は野手に転向してもなんだかんだで活躍するし、テニスを使って五感を奪うことだってできる。

 

 人には人の強さがある。

 

 そして、人はいつだってその強さを追い続けるのだ。

 目標といっていい。

 憧れともいうだろう。

 人は皆、その強さを手に入れるために努力をするのだ。

 

 だが、いつか気づいてしまう。

 それは届かないものだと、俺では不可能であると。

 

 しかし、しかしだ。

 諦めるという選択肢はない。

 絶対にない。

 

 だから俺は今日も挑み続ける。

 あの人に近づけるために、、、。

 

 それは学校の放課後。

 河川敷で俺は佇んでいた。

 

 時期が時期なので夜が近づいてくるのが早く、辺りは夕焼け小焼けの赤とんぼ。

 夕陽が川の面を反射して神秘的な光景を創っていた。

 

 まぁ、この光景もあと数分だ。

 今はもうすぐ夜が訪れるだろう、夕と夜の中間。黄昏時。

 

 もしかしたら今だったら、この神秘的な雰囲気に騙されてできるかもしれない。

 俺の求める強さに、あの方に近づけるかもしれない。

 

 そう考えた時、俺の体は自然とある構えをとっていた。

 

 丹田に力をため内気功を練る。

 それと同時に波紋呼吸で太陽のエネルギーー取り入れ、また周囲に分泌された神秘及びリリカルマジカルな魔力を体に吸収し、あとはテキトーに霊気的なやつとかそれら全てを先程の気と混ぜ合わせる。

 

 準備は出来た。

 あとは心だ。

 絶対にできるんだという信じる心が必要だ。

 

 できないなんてありえない。

 出来て当然だという心が。

 心の弱さはいつだって天敵なのだ。

 

 だから俺は自分を信じる。

 俺が信じる俺を信じる。

 俺がナンバーワンだ。

 

 兄貴とベジタブル王子が草の陰で指をピッとして応援しているのを感じるぜ。

 全力でいってやる。

 これが俺の全力全開だー!

 

「かめはめ波ー!」

 

 

 

 

「それで?」

 

 普段の8割増しで興味のなさそうにそう聞いてくる幼馴染、名前を西野つかさと言う。

 

 なんだかんだでお隣さんの関係だったりなかったりする幼馴染であり、何気に美少女だったりなかったりするので学校ではアイドル的存在だったりなかったり。

 

 お家がお隣さん同士なのでいつもの如く窓から侵入して暇つぶしに駄弁り中、そういえばとある相談事に乗ってもらうことになったためをそれに起因する今日あった出来事を話すことに。

 

「やっぱり静寂ってやつが訪れるわけですよ。雰囲気に飲まれるとろくでもないことになるって学んだわ」

「ふーん、私は幼馴染が相変わらずのおバカっていうのを再認識したよ」

 

 ひどいなおい。

 

「おいおい、いくら幼馴染っていっても今の発言はおこだぞ。穏やかな心を持ちながら激しい怒りによってスーパーサイヤ人に目覚めちゃうぞ」

 

 かめはめ波っているのは全世界の男たちのロマンなんだ。

 誰もが一回はできるかもと思って練習するほどのロマンなんだぜ。

 

 もし、俺が無人島に流れ着いたらずっとかめはめ波の練習してるわ。

 

 

「君の場合は度合いが過ぎてるんだよ。この前の休みの時、バイトと称して手作りの亀の甲羅背負って牛乳配達してたでしょ。」

「なんで知ってるし」

「あれ、学校で噂になってるんだよ。幼馴染としてすごい恥ずかしかったんだから」

 

 だってかっこいいじゃん亀仙流。

 

「それにこの前、雨上がりの帰り道で傘を使って飛天御剣流の演武やったせいで人が集まりだしてストリートライブ染みたことになったのだって知ってるんだからね」

 

 だってかっこいいじゃん飛天御剣流。

 

「とにかく、変に厨二病患っているせいで幼馴染のあたしは大変恥ずかしい思いをしているのです」

「厨二いうな」

「特に君の場合はそれなりに再現できるから質が悪い」

「自分ジャンプ系男子目指してますから」

 

 俺の人生のテーマは友情・努力・勝利である。

 

 まぁ、いくら努力してもかめはめ波や念やスタンドはさすがに出来ないけどね。

 筋肉バスターや木ノ葉旋風や南斗水鳥拳とかなら何とか。

 

「そういえばつかさってジャンプ系女子っぽいよな。鉄棒で逆上がりされながら告白したらオーケーだしそう」

「残念でしたー。あたしはどちらかというとマーガレット系女子なのでそんな告白じゃオーケーしませんー」

 

 なんだマーガレット系女子って。

 

「それでなんでそんな恥ずかしエピソードを急にあたしに話したのかな?」

「いやそんなに恥ずかしくないけど」

「恥ずかしがってよ」

 

 むしろ誇りに思ってますが何か。

 

 まぁ、でもそうだな。

 この話は続きがあって、ぶっちゃけそっちの方が重要な出来事なのですわ。

 

 失敗したかめはめ波は次の成功への糧にするとして、反省はまた後で。

 

 

 

 

「かめはめ波ーーーッ!」

 

 しーん。

 

 聞こえるのは夕方特有の少々冷たい風の音と川のせせらぎ。

 

 俺の掌から光球が出ることもなく、ただただ無駄に時間が過ぎるだけだった。

 

 おかしいな、集中線が出るほどの迫力でかめはめ波を放ったはずだったのに。

 

 その時、俺の後方から人の気配がした。

 長年、念の円や見聞色の覇気を修行している俺が言うのだから間違いない。

 使えるとは言ってないけど。

 

 俺は瞬時、バッと後ろへと振り返った。

 

 するとそこには―――

 

「…………ッ」

 

 お下げのメガネっ子こと同じクラスの東城綾がそこにいた。

 

 東城綾を一言で表すのなら委員長という言葉が相応しいだろう。

 彼女は真面目で成績優秀で優しさにあふれた優等生である。

 現に彼女はクラス委員長であった。

 

 そんな彼女が俺の後ろに立って、なんというか、気まずそうにこちらを見ていた。

 どうしたさ。

 

 そんな彼女は何かを決意した顔になり、

 

「今日は……風が騒がしいな……」

 

 

 

 

 

「ちょっと待って」

「なんだよ」

 

 そこでつかさに止められた。

 

 何故か眉間をもみながら手のひらをこちらを見せてストップのポーズをとっていた。

 

「ちょっと待ってちょっと待って。確か東城さんってあの真面目そうな子だったよね」

「うん、あの真面目そうな東城さんで間違ってないけど。それで続きなんだが―――」

「いやいやストップストップッ!」

「なんだどうしたさつき、さっきからストップかけすぎだろ。そんなお前にストッパー西野というあだ名を贈呈してやろう」

「そんなあだ名いらないから」

「じゃあストリッパー西野と―――エブシッ!?」

「うっさい、殴るよ」

 

 殴ってから言うなよ。

 まぁ、殴るっていってもビンタだったけど。

 

 一撃がポケモンで言うきゅうしょにあたったで、ドラクエで言うかいしんのいちげきだったけど。

 

「東城さんが急に登場してきて驚いたけど、何あの子そんなこと言うキャラだっけ!?」

「はっはっは、東城が登場とはこりゃ一本取られた―――ぎゃあぁぁぁ目がぁ目がぁ!?」

「ほんとうっさいなもう!今度はグーで殴るよ!」

 

 だからってチョキで目を潰すのはよくないと思うんだ。

 

 俺は目の痛みに耐えるため床をゴロゴロと転がってたが、漸くの思いでやっと痛みが引いてきた。

 つかさもつかさで大分落ち着いたらしく、はーッと一つため息を吐いた。

 

「落ち着け、落ち着け私。このおバカの話はまだ終わってないんだ。これよりひどい落ちが待っているはず。例えばこの川から村長と名乗る河童の姿をした不思議生命体が現れたりとか急に足元に魔法陣が現れてなろう系異世界転生するとか、何かがあるはず」

「ほんとひどいなお前」

 

 ねーよ、そんな超展開。妄想が過ぎるぞ。じゃあ、続きだ続き。

 

 

 

 

「今日は……風が騒がしいな……」

 

 え、なに、何なの子。

 急に中二病みたいなセリフ言って。

 

 これ東城さんだよね。

 間違いなく正真正銘の東城さんだよね。

 

 いや、確かにこの夕方の河川敷という場所であの漫画を知っている人間が二人そろえばそう言ったセリフがでてくるかもしれないけどさ。

 

 というかあれと合ってる状況って河川敷と文学少女だけだぞ!

 

 だがしかし、俺だって笑いの訓練をされた一級戦士だ。

 彼女のフリをうまく返せなくて何がエンターテイナー。

 

 いくぜ、彼女の求める答えを!

 

「でも……この風……泣いています……」

 

 俺の返しに彼女の顔が喜びに染まった。

 

 いや、そんなにうれしいか、これ。

 つーか、なんで男女役が逆なの?

 

 というかそろそろ無理じゃない。

 次のセリフ、三人目の役者がいないと続かないぞ。

 

「…………っ」

 

 ほら、東城さんだって困ってんじゃないか。

 いや、本当に困りたいのは俺なんだけどね。

 

 さて、どうする。

 幻の三人目が来ないと次には―――

 

 

「急ぐぞ……どうやら風が町によくないものをはこんできちまったみたいだ……」

 

 一人二役ッ!?

 なんて高度な技術をつかってくるんだこの子は!?

 

「急ごう……風がやむ前に……」

 

 そして、彼女は満足そうに踵を返し、帰路につくのであった。

 

 その時、神様の悪戯か今日一番の風が吹き、奇跡が起きた。

 何があったか詳しくは言えないが、この時俺は無意識もとに口に出していた。

 

「いちごパンツ……か」

 

 

 

 

「知らねぇえよ!」

 

 つかさの魂からの叫びであった。

 うん、俺もそう思う。

 

 ぜーはー、とツッコミ疲れで肩で息をしているつかさは心底疲れたような顔で、

 

「結局何だったの?最初相談したいことがあるって言ってたけど、聞かされた内容はおバカな内容だし、もう本当にわけがわからないよ」

「あぁ、相談っていうのは俺は東城に恋をしてしまったみたいなんだ」

「」

「これから俺はどうしたらいい?」

「相談って恋愛相談の事!?ていうか、さっきの回想のどこで恋に落ちたのよおバカ!?いちごパンツ!?いちごパンツなの!?」

「どうどう落ち着けつかさ。それも間違っちゃいないが一端落ち着こうか」

「これが落ち着いていられるか変態おバカあぁぁぁ!!」

 

 この後、俺が東城とのことでつかさに相談したり、つかさに真中って彼氏ができてその事で相談されたりと、いろいろあったりなかったり。

 

 まぁ、とりあえず言えることはいちごパンツって最高だよねってことだな。

 

 




【いちご100%×男子高校生の日常(オリ主風味)】

主人公
西野つかさの幼馴染であるおばか。
ジャンプ系の技を再現できるほどの身体能力お化け。
今回の件で東城に惚れたみたい。
多分フィーリングがあったんだろうね。

西野つかさ
主人公の幼馴染で学園のアイドル。
びっくりするぐらいのツッコミ技術を持つ。
主人公の相談から数日後に真中の鉄棒告白にやられてしまうマーガレット系女子。

東城綾
いちごパンツの天使。
文学少女でもあり最近では本だけではなく漫画にも手を出すという、その知識欲は止まるところをしらないガンガンONLINE系女子。
最近のハマりは男子高校生の日常。
河川敷で主人公が全力のかめはめ波を見て、彼ならネタを振れば絶対に返してくれるという謎の信頼が原因で今回の件が起きてしまった。
反省はしているが、後悔はしていない。

真中純平
東西南北を堕とす程度の能力をもつ。
今後も出番はない。
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