ホタテ短編集   作:社畜系ホタテ

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がんげいるおんらいん

 

 硝煙と血の臭いが辺りに充満している。

 銃撃音、罵声、なんでもござれの阿鼻叫喚。

 

 そう、ここは戦場。

 殺意と憎悪がひしめき合う最高にくそったれなクレイジーたちが集る場所だ。

 だがしかし、それがなんといっても心地よい。

 

 赤いエフェクトが飛び散るたびに血が湧き、心が躍る。

 

 もっと、もっとだ!

 殺せ、殺せ、殺せ!

 

 俺の欲望が大波となって俺自身を飲み込んだ。

 だから俺は敵を見つけ、眉間に弾丸を打ち込み、首を掻っ切り、倒れむ敵を盾に新たな獲物を探す。

 

 荒野を駆ける駆ける駆ける。

 人の波を縫うように、すれ違いざまに脳天へと鉛玉をプレゼントしながら、俺は駆ける。

 また、戦場の所々にあるオブジェクトを十全にいかして、時たま立体起動といった調査兵団顔負けの動きを入れながら、相手の死角に入り、殺す。

 

 サーチアンドデストロイ、サーチアンドデストロイ、サーチアンドデストロイ!

 

 足が動く限り、どこまでもどこまでも、敵を殲滅するまで地平を駈ける!

 

 俺は今、生を感じていた。

 

 

 

 

「ああー楽しかった!」

 

 敵という敵を全て殺しきった俺はホクホク顔で拠点へと戻ってきていた。

 満足、大満足だ。

 

 個対多の大規模戦。

 それも3つのスコードロンを巻き込んだ、それはもう大きな戦いだった。

 それを制してきた。

 もちろん個が俺である。

 ぼっち言うな。

 

 ここは荒廃した世界を舞台に銃器で戦うVRMMORPG『ガンゲイル・オンライン』またの名をGGO。

 

 大地は荒れ空は赤く、狂った殺人機械や遺伝子操作された異形生物が跋扈している。

 SF的世界観の通り、剣と魔法ではなく銃火器による銃撃戦がメイン。ゲームといっても侮ってはいけない。

 そのリアル性は凄まじく多くのガンマニアがこのゲームの魅力に取り憑かれている。

 

 また日本で稼働しているVRMMOで唯一リアルマネートレーディングが可能であり、これによって生計を立てている「プロゲーマー」が存在しトッププレイヤーは月当たり20万 - 30万円稼ぐという。

 それ故プレイヤー間の摩擦は他のVRMMOに比べて激しく、トッププレイヤー達も他のVRMMOにおける廃人プレイヤー以上の時間と情熱を注ぎ込んでいる。

 

 俺もその内の一人だったりする。

 

 だがしかし、俺が求めているのは金なんて短小なものではない。

 断じてない。

 

 俺が求めているのは現代では絶対に体感することができない殺し合い。戦争。

 

 銃をぶっ放し、アホ面晒しているバカどもの顎を食い破った時の血肉が沸き立つあの感覚!

 

 自分が強いと、圧倒的強者だと思い込んでる勘違いヤローどもを片っ端から殲滅し、戦場を狂気と混沌の渦へと変えた時など心が踊って堪らないのだ。

 

 あぁ、あぁそうだ。

 それが俺がこのゲームをやっている唯一の理由だった。

 

 俺はどうしようもないくらいのバトルジャンキーだったみたいなのである。

 リアルではしがない根暗図書委員の俺だけども。

 

 アバターネームはアカ。

 由来? んなもんねーよ。

 適当につけた名だ。

 

 武器はこだわりなんてものはないが断然実弾銃を使用している。

 光学銃だとぶっ放した気にならねぇからだ。

 

 銃はアサルト、マシンガン、ショットガン、ライフル何でもござれ。

 先も言ったがこだわりなんてない。

 銃なんて相手に当たりさえすれば優劣なんて関係ない。

 だからなんでもいいのだ。

 

 俺がこの「GGO」での基本方針はただ一つ。

 心が震えるほどの戦争をすることだ。

 現実では体験できない、ここでしかできない、最高に最低なリアルの悩みなんて吹っ飛ばしてしまうほどの戦争を。

 

 俺の毎日はその方針に沿って行動していた。

 荒野を歩き、スコードロンを発見次第即喧嘩を吹っ掛ける。

 その繰り返し。

 最初は普通にプレイしていた気がするが、そんな退屈な過去なんてもう覚えていない。

 

 狂った殺人機械?

 遺伝子操作された異形生物?

 んなもん犬のうんこ以下だ。

 魅力なんて何一つない。

 

 俺が求めるのはPvP。

 対人戦だけ。

 

 こちらはソロプレイヤーだ。

 最初のうちはそりゃこちらが殺されることなんてざらだったが、いくつか場数をこなしていく内に慣れてきたというか、戦い方がわかってきた。

 

 ようはビビったら負けなんだ。

 

 敵に囲まれようが、銃を向けられようが、はたまた、怒気や殺気をぶつけられようが関係ない。

 俺が一番強いと思い続け、あとは勘に従って引き金を引く。

 ただこれだけだ。

 

 それがわかって個対多の戦いに慣れてきたころには、どこに出してもおかしくない立派な「戦闘狂」の出来上がりだ。

 

 スコードロンの数が多ければ多いほど、脳みそが沸騰するほどハイになるし、その中に質がいい奴がいればなお良しだ。

 戦っている最中に他のスコードロンも巻き込んで乱戦状態にできれば心が躍る。

 

 そんなことをやっていたせいか、いつしか俺はこの世界で「戦争屋」なんて大層な名前で呼ばれていた。

 

 なんだその素敵ネーミング。

 最高じゃねぇか。

 

 だが、最近になって俺は満足のいく戦いがあまりできていなかった。

 

 今日の大規模戦は本当に久しぶりなくらいの絶頂すら覚える戦いではあったが、ここのところ、そういったものが減ってきているのは事実だ。

 なぜなら、俺を見つけたら即逃げるような腰抜けどもが増えてきたからだ。

 

 てめーら、本当に金玉ついてんのかと文句の一つでもつけたくなるが、大事な武器がドロップしてしまう可能性が少なからずあるから多少なりとも気持ちはわからなくはないが、いかんせん、こちらのテンションはダダ下がりである。

 

 逃げ惑う腰抜けどもを後ろから狙う撃つなんて趣味を持ち合わせていないので必然的に逃げる敵はそのまま逃がしてしまうのだが、俺のこの対応もよくないのかもしれない。

 

 だけど、無理だわ。

 戦意のない馬鹿どもただ的あてのように撃ち殺してもなんの面白味もないのだから。

 

「ああー、どっかに最高でハッピーなクレイジー野郎がいないかな」

 

 俺と同類か。もしくは俺以上の大バカ者が―――。

 

 

 

 

 

「いるよ。あたしが」

 

 

 

 

 

 

 




【ガンゲイルオンライン×戦争大好き系オリ主】

オリ主
生まれてくる時代を間違えた。
時代が時代なら英雄に慣れるほどの潜在能力持ち。
しかし、現代ではそんな機会がないためただの根暗図書委員である。

この後、とある人物と運命的な出会いを果たすが、作者の集中力が切れたため、断念。
気分が乗れば続くかもね。
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