突然だが俺は一回死んでいる。
何故死んだのか。
いつ死んだのか。
どこで死んだのか。
どうやって死んだのか。
まぁ、そういう経緯というものに若干のどーでもよさがあったりするので説明は省くけど、つまりは今の俺は二度目の人生を送っているということになる。
そこが重要。
なによりも重要。
今日出た宿題とか、昨今の政治問題とか、法律やルールよりも今のこの場で一番重要なことだ。
俺は死んで転生した。
転生した際に、神様的な存在に出会ったのだが、そのお方が言うには、俺の転生というのは至って気まぐれのことだったらしく、そのため俺に条件的なもの出してきた。
それが『主人公の糧となれ』というもので、最近巷では踏み台というものが二次創作で流行っているらしく、それを俺にやれとのことだ。
俺が今から転生する場には、俺以外の転生者がいるので、俺はそいつの踏み台になればいいという簡単なお仕事だそうだ。
生き返られるのなら是非もない。
俺は即断即決でそれを肯定。
神様に踏み台に必要な能力とかその他諸々を特典としてもらい、俺はすぐさまその転生者がいる世界へと転生した。
そして、それから9年が経過。
特典で貰ったデバイス『セイバー』が言うにはこの歳から物語が始まるらしい。
物語とはなんだ? という質問をセイバーにしたところ、どうやらここは『魔法少女リリカルなのは』というアニメが元となっている世界だとのこと。
なのは、どこかで聞いたことがある名前のような……。
なのはなのは……あー、同じクラスにいるあのホンワカした娘っ子のことか。
あの子が魔法少女になるのか。
ぷりてぃーできゅあきゅあしたおしゃんてぃーなおジャ魔女的やつになるのか。
親御さんが涙を流すビジョンが見えて仕方ない。
まぁ、彼女の悲しい未来のことは放っといて、だ。
俺の仕事内容を詳しく説明しようではないか。
あのぷりてぃーで(以下略が主役で物語が進むのだが、この世界ではもう一人の主人公、セイバー曰く、オリ主というものが存在するらしい。
なんだオリ主って……。
転生者はどこ行ったんだよ……。
というかそもそも俺は踏み台というもの自体がよくわかっていないんだ。
いやほんと意味わからん。
先ほど説明するとはいってみたものの実際問題俺が説明して欲しい状況であるわけで……。
でも予測はしてみたよ。
自分の仕事内容だしね。
前世でよく知ったかをする俺は予測は得意なのだ。
いつもだいたい、それもテリーマンの靴紐ぐらいには当たる確率はある。
そんな俺の予測である。
つまりあれだ。
踏み台ってあれだろ。
主人公のライバル的なことをやっていけばいいんだろ。
多分そうだ。
きっとそうだ。
語感的にそうだし、それを言ったとき、セイバーは何も言わなかったのがなによりの証拠なのである。
なるほど、俺はこれからオリ主というよくわからんやつのライバルをやっていけばいいのか。
しかし、ここで一つ問題が発生する。
それはライバルという定義だ。
なにを持ってライバルと呼ばれる存在になる?
一般的にライバルというのはオリ主というやつと切磋琢磨して互いに互いを高め合うことだろう。
しかし、これを俺が実践しようにはかなりの難題である。
なぜならそれはオリ主ってのが誰のことを指しているのかわからないからだ。
物語の舞台であるこの海鳴どころか俺と主人公のなのはちゃんが通っている小学校にはオリ主という子供がいないのである。
いや俺だってオリ主なんて変な名前をもつ子供がいるなんて本気で思ってはないさ。
でもさ、それに準ずるなにかヒント的なやつはあるって思うじゃん!
鳳凰院凶魔とかさ、なんかかっこいい名前とかいてもいいじゃん!
なんでそういうのいないんだよ!
頑張ってアリサ・バニングスだよ!
なんで女の子なんだよ!
男ならオリ主か、ってなったのになんで素敵なレディーなんだよ!
無駄にスペック高い素敵なレディーなだけじゃねーか!
他の人たちは人並みにある名前の方々だし、もう誰がオリ主かわかんねーよ‥‥。
相棒であるはずのセイバーだってなぜかオリ主が誰か教えてくれねーし。
ふざけんなよ。なんだよ『禁則事項です♪』って‥‥。
かわいいじゃねーか。かわいいは正義だ。
声だけしか聞こえないけどセイバーは多分美人。
美人も正義。だから許す。
そんなわけでオリ主ってのが誰かわからんって問題が発生してしまっているのが現状なんです‥‥。
なのでどいつと切磋琢磨して互いに高め合えばいいのかわからんのです。
つまりライバル活動、略してライ活ができんのです。
困った。非常に困った。
これでは神様的存在から頼まれている仕事ができないではないか。
二度目の人生を与えてもらった条件であるライ活ができないとなるともしかしたら俺という存在が消されてしまうかもしれない。
俺=いらない子。
そんな方程式が成り立ってしまう。
『カーッペッ!こいつ使えねー!』みたいな感じで痰を吐かれた挙句神様に廃棄されてしまうかもしれない。
そんな未来で俺の背筋を凍りつくして一週間。
俺はとある聖典に出会ってしまった。
これは運命の出会いのような、まさしく道の角で食パン咥えた女の子とぶつかりその子が自分のクラスの転校生だった的な、そんなような感じの出会いをしてしまったのだ。
もしかしたらこの出会いは困っていた俺への神様からのメッセージみたいなものかもしれん。
ありがとう神様。
いや、まぁ、あなたを信仰しませんけど。
休暇中だった高町なのはに緊急招集が掛かったのは夜の七時を回ったあたりだった。
最近になってガジェットの動きが活発になってきたから、またどこかに現れたのかと思ったが事体はそれ以上に深刻だった。
なぜなら時空管理局の地上本部が襲撃されたからだ。
最初に聞いたときは何かの冗談かと自分の耳を疑った。
鳴りやまぬ携帯の音が何よりの証拠だ。
ディスプレイを見れば幼馴染でもあり、今では自分の上司にあたる八神はやてと名前が綴っていた。
すぐさま通話ボタンを押す。
「あっ、なのは、やっとつながった!」
焦燥感に駆られた声音で出たはやてになのははすぐさま、情報を知るために現在の状況を聞いた。
「お、落ち着いて聞いてな」と言った本人が一番慌てていることに気づいたなのははできるだけ穏やかな声で「はやてちゃん落ち着いて、一体何があったの?」と聞き返した。
画面越しに落ち着こうと深呼吸をする音が二度三度、その後、ようやく落ち着いたのか先ほどよりもゆっくりとした口調ではやては言葉を続けた。
「もう聞いてると思うけど地上本部が襲撃された。襲撃した首謀者は……雪音くんや」
冬樹雪音。
わたしの幼馴染の一人である。
いつも冷静沈着でそのうえ頭脳明晰。
昔から何かと達観しており、いつもわたし達の一歩先を見据えていた人だ。
小学生の時に起きたとある事件で互いに魔導士だということがわかり、そからは何かと気にかけてくれる優しい人。
名前の通りの冷たい冷徹な人、なんて勘違いされがちだが、言動全てがわたし達のことを考えていてくれているものであり、本当はとても暖かい人なのだ。
それなのに、それなのに―――
「それなのにどうしてなの雪音くん!」
わたしは光り輝く剣を携えてぼうっと空を眺めている青年の背中に向かって叫んだ。
わたしははやてちゃんからの連絡を受けた後、すぐさま管理局の地上本部に向かった。
なんで、どうして、という気持ちがわたしの中を埋め尽くしてはいたが、自分の目で見るまでは例え私の大切な友達の言葉でも信じることができなかったが、その場所に近づくにつれ、彼女の言葉が現実味を帯びてきた。
管理局の地上本部は元の原型をとどめていなかった。
辺りからは火の手が上がり、そして地上本部瓦礫の山と化していた。
その中心で彼はただただ佇んでいた。
今にも消えてしまいそうな、雪が溶けてなくなってしまうような、そんな希薄さをもって……。
「なのは、か」
ひどく冷たい声だった。
日ごろの彼からは想像できないような、感情がこもっていない声音。
「あいつは一緒じゃないのか」
「彼より先にここにきた。それよりわたしの質問に答えて!雪音くん、なんでこんなことしたの?」
わたしの叫びに呼応すように彼の希薄だった存在感が一気に上昇した。
「愚問だ。俺がやりたかったからやった。ただそれだけだ」
「……っ」
意味が分からない。
やりたかったからやった……ただそれだけ?
「それじゃあわからないよ……雪音くん、雪音くんが何をいっているのかわからないよ」
「わからなくていい……理解されたくてやっているわけではない」
そういって雪音くんはその手に持っている光り輝く剣、彼のデバイス「セイバー」を構えた。
「俺を止めたければ勝手に止めろ。それが出来るのは言葉じゃない。力だ。できないければそこに転がっているやつらと同じ羽目になるぞ」
そこでようやく気付いた。
ここにいるのは私だけではいことに。
はやてちゃんもフェイトちゃんもシグナムもヴィータちゃんもティアナもスバルもエリオもキャロもみんなみんな、その場で倒れ伏せていた。
これは、彼が―――
「あとはお前と奴だけだ。俺を止めたきゃ殺す気で来い」
ライバルとは何か。
それは主人公を成長させるための存在である。
それは強ければ強いほどいい。
壁が高ければ高いほど、その壁を乗り越えたとき、主人公の強さは高いものとなっている。
俺が見つけた聖典。
それには主人公のライバルが主人公とともに協力し、ラスボスを倒した後に、お前を倒すのは俺だとかなんとか言って本当の最終決戦が始まる漫画である。
最初と比べたら、最後の戦いを制した主人公は名実ともに最強の存在となって、物語の中で絶大な存在へと成長していたのだ。
だから、俺はこのライバルキャラを見習おうと思った。
主人公とともに切磋琢磨するのではなく、少なくとも主人公より一歩上、できれば数段階高いレベルに常にいること。
そして、物語のラスボスを倒した後に、俺が出て行って―――いや違うな。
むしろラスボスより強い存在。
裏ボス?的な存在になろう。
そうすれば、最後に主人公が俺を倒した時、途轍もないレベルへと成長するだろう。
メタキング以上の経験値を主人公に与えられるように俺が強くなるのだ。
そこからの俺の努力はすさまじいものだったが、そんなもん自分から人にいうことでもないので割愛しておく。
で、それなりの強さを得た俺だが、ここで一つ疑問ができたわけで、ぶっちゃけた話、この『魔法少女リリカルなのは』の物語においてのラスボスが誰なのか皆目見当もつかなかった。
いや、それっぽいのはたくさんいるよ。
次元犯罪者だの、管理局トップの脳みそどもだの、本当に候補はたくさんいるのだけれど、はっきり明確にこいつだー!っていえるやつが見当たらなかった。
だから、俺は行動を起こした。
時空管理局の本部を襲撃したのだ。
給料の少ねぇの休日出勤させて連勤連勤の嵐にしてんじゃねーぞこのブラック企業があぁぁぁ!と多少なりとも
それによってやってきた元同僚たちを一人一人をポイポイと薙ぎ払い、どーん、ちゅどーんとやっつけ、あとはなのはとオリ主君になった頃、破壊の限りをつくされた元本部をみて遣りすぎた感が否めなくて少し空を仰いで反省していたところ、やっとなのはがやってきた。
あとはオリ主君が来ればパーフェクトだがやはりヒーローというものは遅れてやってくるらしい。仕方ない。
じゃあ、なのは。
俺をここに転生させた神様の望み通り、俺を糧にして、踏み台にして、高く高く成長してくれ。
「さぁ。はじめようか」
【魔法少女リリカルなのは×最強系オリ主(踏み台風味)】
踏み台オリ主
勘違い系最強オリ主
サブカルチャーに疎いため、最初から最後まで踏み台の意味を理解できなかった。
襲撃事件後、なぜか先に監獄に入っていたスカリエッティと獄中内で親交を深め、見事飲み友達となるミラクルを起こした。
高町なのは
お話という名の肉体言語をもつ少女。
踏み台系オリ主の事をちょっぴり気になっている乙女なのはになることもある。
その魔砲は健在でこの事件の結末は紆余曲折した後悲しみを乗り越えて覚醒した彼女の桜色ビームに踏み台オリ主は飲み込まれて終了となった。
オリ主
安心院さんも勝てないぐらいの根っからの主人公。
しかし、今回の事件は悲しみを乗り越えたなのはが踏み台オリ主を倒してしまうため、活躍の場はない。