僕は迷宮の妖精。転生したら魔王認定されました!   作:茶々丸

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妖精は笑う為に泣く

頭の中に直接響く様に聞こえた謎の声。

スキル?なにそのゲームみたいな便利な機能。ファンタジー過ぎるでしょ!

 

・・・今の状況がまさにそうだよ。

 

どうなってんのこれ?

竹林で多分死んだのは間違いない。

あの出血量で死ぬなんてのは小学生の僕でも分かることだ。

でも今の状況は漫画とかラノベにある様な状況で、目の前にある大木と雲みたいな地面。

あとはこの羽。

 

パタパタッ

 

動くんだよなぁ。

しかも勝手に動くんじゃなく、ちゃんと僕の意思で動かせる。

ちゃんと人間だった頃には勿論僕の背中には羽なんてなかったのに、何故か動かし方が分かるんだ。

まるで呼吸の仕方を教わらずにでも出来るみたいな感覚かな?

あとは魔力だっけ?

多分この羽に使われてる光の粒子なんだろうけど・・・

魔力感知のスキルと魔力操作のスキルもあるし実在しているのは間違いない。

問題は魔力が切れたらどうなるのかだ!

この羽って出しっぱなしでも魔力消費してるのかな?魔力を使っているんだとして後どれくらい使えるの?てか羽って飛ぶ為の部位だけどこんな魔力?で飛べるの?

そんな疑いを持って羽を見つめて悩んでいると

 

《妖精の翼:通常の妖精とは異なり純粋な魔力で構成されている為、物理だけでなく神秘に干渉する事が可能。採取不可》

 

え゛っ

 

またか?またなのか?しかも今度は声じゃなくて視界?いや頭の中に思い浮かんでるの?!

さっきの鑑定スキルが原因?!『そうです』神秘ってなに?!『神秘とは魔法、魔術、錬金術等全般。魔力を用いた現象を差します』てか採取不可って僕は素材か!『妖精種は存在自体が希少ですので人間種に見つかれば捕獲される可能性は高いです』ふざけんな!!『ふざけた事実です』

 

・・・今の声はだれぇ?

 

『あなたの創造主です』

「さっき声に出してました?え?創造主ってお母様ポジション的な?」

『いいえ、頭を抱えて蹲り呻いてはいましたが疑問を口に出してはいませんでした。可愛かったです。あなたの肉体を構築しこの世に確立させたのでママポジションでもありますね』

「途中余計な事ですよね?いらないですよね?・・・でもありますって他にも意味あるんですか?」

『境界を超え漂っていたあなたの魂をつい吸収してしまって、慌てて肉体を作り魂との結合をしました。つまりあなたからしてみれば、うっかりで異形種族に転生させた邪神ポジションでもあります』

「はっ?!ちょっと?!ついで一度僕の魂食べられちゃったの?!」

『はい。味は・・・残念でした』

「姿見せろ。そして殴らせろ」

『見せてます』

「・・・どこ?」

『目の前にいるじゃないですか』

「目の前にはでっかい木しかないんだけど?」

『それが私です。さぁ、殴って構いませんよ。無抵抗の私を殴りなさい』

「・・・oh」

『これが息子の反抗期というものなのですね』

「ちっがぁぁぁう!!」

 

なんなのこいつ!

いきなり出てきたと思えば僕の事をおちょくってきてるよね?

だいたいあんなデッカイ木を殴ったら拳痛めるよ!

 

『ママはビッグでグレイトなのですよ』

「随分と愉快な邪神もいたものだね!」

『ママと呼んでくれてもいいのですよ?』

「断る!」

『そんなー』

 

さっきからずっと棒読みとか絶対にふざけていやがる・・・!

 

『そんなにイライラして、お腹が空いたのですか?』

「ちゃうわい!そんな事より神様だっていうなら凄いんでしょ?!元の世界に帰してよ!」

『それは無駄です。まず、こちら側からあちら側への過度な干渉は不可能です。そしてあなたの元居た世界に神秘は一部を除き既に存在せず、あなたが死亡したという結果があちらの世界に記録されています。つまり私があなたを無理に蘇生させたとしても、今度は世界があなたを殺すでしょう。仮にあなたを私が守り世界に殺されずとも因果崩壊が起きて、どちらにせよ帰る場所などなくなります』

 

・・・え

 

「・・・どうしても?」

『無駄でも、周りを巻き込んで死ぬかもしれなくても・・・あちらに帰りたいですか?』

 

それは嫌だ・・・けど・・・帰りたい。お母さんに会いたい。友だちがちゃんと逃げれたのかも知りたい。もっと一緒に居たかった。どうしてこんな事に、あの時カッコつけたから?だとしたらあんなことするんじゃ・・・

 

『私はあなたの行動を尊いと感じました』

『あなたは神秘を扱えるでもなく、特別な能力がある訳でもないのに命を懸けて友人を無事に逃がしました』

『力を持たない、非力な人間の子供が知恵と勇気を振り絞り、死力を尽くして守ったのです』

『確かにあなたは命を落とした。しかし、あなたのおかげで一人の命が救われたのもまた事実』

 

『どうかそれを忘れないで。あなたの行動は間違ってなんかいなかったのですから』

 

その言葉は先程までの無機質な棒読みではなく微かに温かみのある口調だった。

そして無意識にせき止めていた感情の波が押し寄せてきた。

怖かった。辛かった。痛かった。最後の時、血が沢山出て止まらなくて、身体が動かなくて、寒くて、刺された太ももだけが熱くて、怖かったんだ。

 

涙が溢れてきて止まらない。

 

死んでしまったんだ。

もう友達にもお母さんにも会えないんだ。

今までの楽しかった事、辛かった事、様々な思い出が頭の中をぐるぐる廻ってる。

 

「今は泣きなさい。明日からまた笑えるように、歩き続ける為にも今は泣きなさい」

 

僕の耳に優しい声が届いた。

涙やら鼻水やらでぐちゃぐちゃになっているのに、そんな事お構いなしに顔上げると・・・

神々しい大きくて綺麗な女神様がいた。

女神様は僕を手のひらに乗せて胸元に優しく抱き寄せてくれたんだ。

 

 

 

そんな女神様の温もりに包まれた僕は、安心感を覚え眠りにつく寸前

 

「今度こそ絶対に守るから・・・あなただけは絶対に・・・!」

 

そんな声が聞こえた気がした。

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