ワンピースの伏線っていっぱいあるよね。
「おそらくそれはフェルトの奴だな」
「「フェルト?」」
二人は揃って繰り返す。
「ああ。金髪で女で子供ですばしっこいだろ?きっとフェルトの奴だ。こいつはこの辺りでも結構有名でな。確か貧民街に住んでるって事は聞いた事がある。」
「貧民街・・・」
今度はサテラだけが繰り返す。
「もしかしてお前さんフェルトに何か盗られただろ?」
図星を突かれてビクッとなるサテラ。そんな反応も可愛いな~と一人思うサンジ。
「フェルトに物を盗られて物が返って来たっていう話は聞いた事がない。素直に諦めることだな」
「そうはいかないわ!!あれは本当に大事な物なの。」
「そうはいってもな・・・まあ貧民街に行ってみたらどうだ。何かわかるかもしれないぜ」
「ああ、わかった。ありがとう。」
サンジはそう言いながら銀貨を一枚取り出して店主に投げる。
「これは?」
店主は上手く片手で受け止めてサンジに聞く。
「情報提供料だ。ありがたく受け取っておけ」
そしてサンジとサテラは貧民街へと向う事にした。
そして10分ほど歩いた時。サンジは唐突に言い出した。
「いつまで隠れているつもりだ?」
「え?」
サテラはサンジの言葉を聞いて声を上げる。
「何時もの俺なら常に女性を落とす為に話しかけるんだけどな。見知らぬ気配がしたんじゃそうもいかねえ。」
サンジはサテラに向き直りサテラ以外の人物に話しかける。そして、
「すごいね。僕の存在に気づくなんて」
サテラの髪の中から何かが出て来た。
それは手乗りサイズのネズミだった。普通のネズミと相違する点があるとすれば喋る事そして空を飛ぶ事。そして異常なまでにサンジが警戒しているという事だった。
「いつから気づいてたの・・・?」
サテラは驚きながらもサンジに聞く。そしてサンジは咥えていたタバコを外し答える。
「最初からさ。あの時はユウちゃんの母親を見つける事が最優先だったからな。そのネズミの事に関しては触れなかったんだ。だけど今となってはその縛りもない。聞くがどうして隠れてたんだネズミ」
「ネズミじゃない。僕の名前はパック!この子と契約している精霊さ!」
サンジの周りをグルグルと飛び回るパックと名乗ったネズミ・・・ではなく精霊。
「精霊・・・・」
サンジは精霊という単語を聞いて思う。前の世界では精霊というのは架空の存在だったものだ。しかしこの世界ではこのように普通に存在しているという事に改めて異世界なのだと実感した。
「あのねサンジ!隠していたつもりじゃないの・・・だけどパック自身が出るタイミングを失っちゃって・・・」
申し訳なさそうにサテラは顔を俯かせる。
「いやいいんだよサテラちゃん!サテラちゃんが気にする事じゃない!」
「そうだよリア。何か色々ありすぎてどのタイミングで出ていいか、わからずにずっと出てこなかった僕が悪いんだ」
二人して・・・一人と一匹が何故か罪悪感を感じているサテラを慰めにかかる。
「別に怒ってはないんだ。ただ今は徽章探しっていう共通の目的があったからな。ずっとこのこネズミの存在を知らないっていうのはこの先不便になるんじゃないかって思っただけさ」
「失礼だなサンジ!さっきも言っただろう。僕にはパックっていう立派な名前があるんだ!そう呼んでほしいな!」
ぷんすか怒るパックにサンジは冷たい視線を送る。
「ん・・どうしたのサンジ?」
パックはサンジに見つめられて戸惑う。
「お前相当強いだろ。わかるぜ」
「そりゃ僕は精霊だもん。でもそれは君も同じだろ?」
パックもサンジを見透かした目で見つめる。
「まあいい。先に進もう。もうすぐ陽が暮れそうだからな。サテラちゃんの徽章を取り戻さないと」
サンジは二人に背を向けて再び歩き出す。
「リア。趣味が悪いよ・・・」
「ごめんねパック・・・」
貧民街。
「なんだここは・・・」
サンジは思わず口に出す。
そう。そこは先ほどまで栄えていた街とは違い薄気味悪く、どんよりとした空気が漂っていた。人の声は無く、ちらほらと見える貧民街に住んでいるであろう人達は元の世界にいた奴隷が着ているようなボロボロな服を身に着けている。
ーーー俺の勘違いか。別の世界だろうと身分の差ってのはできちまうもんなんだな。
この世界に来た時に感じた最初の印象は上辺だけだったと思い何だかやりきれない気持ちになるサンジだった。
「もう暗くなってきたわね」
サテラは空を見ながら言う。時刻は夕方で陽があと数時間もすれば落ちて代わりに空には月が登ると言った時間帯。
「ごめん僕もう限界だ。」
「限界?」
パックの言葉に疑問を持つサンジが繰り返す。
「うん。僕達精霊は活動する為にマナを多く消費しちゃうからね。5時以降はもう現界することはできないんだ。」
「マナ?」
目を擦りながらパックは説明するが新しく出てきたマナという単語にサンジは首を傾げる。
「大丈夫よパック。後は私達だけで何とかするから。」
半透明になっているパックを手の平に乗せてそういうサテラ。
「何かあればオドを使ってでも僕を呼び出すんだよ」
「うん。わかった。お休みパック」
そしてパックは光がはじけ飛ぶようにして消えていった。消えた途端今度は気配すらしなくなった。
ーーーあとで聞くか。
どういう原理か知りたかったサンジだが時間が無いのも事実。先に進む事を選択したためそこではサテラになにも聞かなかった。
そしてしばらく歩き、
「ここにあいつが言っていたフェルトって言う子の住処があるんだよな。」
サンジは見聞色の覇気を発動させてここら一帯の人間の気配を探る。すると、
ーーーなんだ?
「どうしたのサンジ?」
顔色を変えたサンジを見てサテラが問う。
「いや、なんでもない。とにかく先に進もう。暗くなる前にフェルトを見つけるんだ」
「そうね!急ぎましょ!」
そして歩く事数分。思った以上にこの貧民街は広くて人探しに難航する二人。
「しょうがない。誰かに聞くか。」
サンジは近くにいた青年に声を掛ける。この青年の見た目もお世辞にも綺麗とは言えずボロボロになった服を身に纏っている。貧民街の人間というのは皆こうなのかと思うサンジ。
「なああんた。フェルトっていう子を知ってるか?」
「知ってるぜ。」
いきなりフェルトを知っている人物に出会いサンジとサテラは内心喜ぶ。
「どこにいるか教えてくれないか?」
「嫌だね。あんたら上層階級の人間だろ?そんなやつに教える事なんて何もないな」
サンジとサテラを睨み付ける青年。確かにサテラは綺麗な服で身に纏い自分は身分が高いんだぜといった感じの雰囲気を出している。サンジも前の世界で来ていた新品の黒スーツを身に纏っている。このような貧民街の人間にとって上層階級の人間というのは招かれざる客と言ったところだろう。サンジに至っては元の世界では一国の王子なのだが。
しかし折角フェルトの事を知っている人に出会えたのだ。サンジ達も簡単には引き下がれない。そしてサンジは、
「これでどうだ?」
サンジは金貨を取り出し青年に見せる。
「金貨じゃないか!まさか・・」
「ああ。この金貨とフェルトのいる場所の情報。それで手を打たないか」
やはり貧民街の住人。金に困っているのか無駄なプライドを捨てて即座にサンジとの交渉に乗った。
「ちょっとサンジ。私の為に金貨まで出さなくても・・・」
さすがに申し訳無いと感じたのか待ったを掛けるサテラ。しかしサンジは
「俺は勝手に君の事を手伝うって言ったんだ。俺の好きにさせてくれ」
サテラの静止を振り切り青年と交渉に入る。
先にサンジが青年に金貨を渡す。そして後に青年がサンジに情報を渡すという形だ。
「この先に盗品蔵がある。結構デカいからわかるはずだ。そこにロム爺って人がいるからその人に聞いてくれ。」
青年が指を指す方向を見るサンジとサテラ。
「そこにフェルトって子がいるんだな」
「ああ多分な」
「多分?」
「フェルトは毎日のように盗品蔵に通ってるからな。行けばきっと会える。」
「なるほどわかった。ありがとよ。」
そしてサンジとサテラは青年に言われた通りの道に進む。
「サンジ。本当にありがとう。私の為にここまでしてくれて」
すでに陽が沈み暗くなった貧民街で鈴の音のような声が響く。美少女と二人きりという状況にサンジは鼻息を荒くする。
「か、構わないさ。さっきも言っただろう。困っているレディーを助けない男なんて男じゃないってさ」
「サンジってすごーく優しいんだね」
笑いながらそういうサテラにまたもや目を♥にするサンジ。そしてついに、
「ここか・・・」
「ここに私の徽章が・・・」
完全に暗くなり辺りが見えなくなってしまったのでサンジはライターに火をつけて建物を見る。
ーーーなんだこの気配・・・。中に誰かいるな。こいつがロム爺か?
覇気で気配を探るサンジ。するとこの盗品蔵の中に何者かの気配がするそうだ。
「サテラちゃんはここで待っててくれ。俺一人で行ってくる。」
「うん・・・わかった。ねえサンジ」
「どうした?」
サテラは一瞬黙りそして、
「後で必ず謝るから」
「??」
そしてサンジは盗品蔵の扉を開けた。
ウルージさん最強説
でも好きなのはローだね。
ローの女体化めちゃ可愛い